人生を共にしたいと思える相手を見つけることほど、素晴らしいことはないだろう。もしも相手が時計への情熱も共有できる人だとしたら、恐らくそれは理想的な幸せの形。あるいは完璧な理想の一歩手前かもしれない。というのも、情熱だけでなく、時計そのものも共有できればさらに素晴らしいことが分かったのだ。一緒に探して手に入れ、一緒に身につけることで、数多くの素晴らしい思い出ができる。家ではいつでも話の種がつきず、日中は時計を身につけていることで、いつでも繋がりを感じていられる。
一度試してみてはいかがだろう?ただしその場合、筆者からひとつアドバイスを。「腕時計をつけたまま、うっかりドア枠にぶつけてしまっても怒らない。自分にも起こり得ることだから」などの基本的なルールを決めておくことだ。それさえ決めてしまえば、あとはシェアする時計を探すだけ。もしかしたらそれは、これからご紹介するおすすめの5本のうちの1本かもしれない。
カルティエ サントス ミディアム
1904年、ルイ・カルティエは飛行家の友人、アルベルト・サントス・デュモンの「飛行中にすぐに時刻を確認できる時計があれば」という願いを叶えた。男性向け腕時計第一号「カルティエ サントス」の誕生の瞬間だ。このアイコンウォッチは今日でもカルティエ(Cartier)の製品リストにラインアップされており、画期的なスクエアデザインが今でも受け継がれている。また、文字盤やネジ留めされたベゼルのデザインも変わっていない。
変わったのは、女性も好んで身につけるようになったことだ。それもサントス ドゥモワゼルである必要はない。直径35mmのクラシックなカルティエ サントスもおすすめだ。一体型のラグとステンレス製ブレスレットは最初はやや大きく見えるかもしれない。しかし、ブレスを付属のレザーストラップに交換すると、まったく別の時計になる。格段に小さく、繊細に見え、さらにアンティーク感も増す。
筆者にとってカルティエ サントスはコレクションに欠かすことのできないアイコンウォッチというだけではない。シェアウォッチとして最高の時計なのだ。男性はステンレスブレスでスポーティーに、女性はレザーストラップでレトロなルックで身につけられる上に、ストラップの交換も簡単で、付け替えが煩わしいこともない。
ジャガー・ルクルト レベルソ クラシック モノフェイス ステンレススチール
ジャガー・ルクルト(Jaeger-LeCoultre)のレベルソ クラシック モノフェイスは、アールデコデザインの代表とも言える。発売されたのは1930年代。反転式のケースデザインが特徴で、ポロプレーヤーが競技中に時計を回転させ、衝撃から時計を守れるようにしたものだ。それ以来、レベルソはジャガー・ルクルトの定番的なラインアップであり、さまざまなバージョンのモデルが多くの人に愛され続けている。
レベルソ クラシック モノフェイスの魅力はカップルにとっても理想的な時計であることだ。縦の長さは40.1mmで男性の手首にも小さすぎず、横の長さは24.4mmで女性の手首にも大きすぎることはない。エレガントなサンバースト仕上げを嫌いな人はいないだろうから、デザインも明らかにユニセックスだ。裏面にはエングレービングを入れて、二人の大切な時を記録することができる。
また、シンプルなインターチェンジャブルシステムや、豊富に取り揃えた交換用ストラップも非常に実用的だ。レベルソ クラシック モノフェイスほど、あらゆるシーンにマッチする時計はないだろう。クラシック、カラフル、スポーティーと、1分もかからずに新しいストラップに交換でき、まったく別のスタイルに早変わりする。パートナーの誕生日に新しい時計バンドをプレゼントすれば、新しい時計を贈った気分になれるという嬉しいおまけもついている。そしてどんなシーンにも合う理想的なプレゼントはプライスレスだ。
ロレックス デイトジャスト 36mm
ロレックス(Rolex) デイトジャストについては特に何も言う必要がない。まさに定番以外の何ものでもないのだ。ドレスウォッチでありながらスポーティー。サイクロップレンズやジュビリーブレスが人目を惹くだけでなく、すべてのモデルがクロノメーター認定を受け、水深100m(10気圧)までの防水性を備えているなど機能的価値も高い。さらに、デザインオプションも豊富で、自分の希望にぴったり合うものを見つけることができる。
ダライ・ラマから『アメリカン・サイコ』のクリスチャン・ベイルまで、この時計の愛用者のリストも壮観だ。デイトジャストはロレックスの中でも非常に人気が高く、時代に左右されない。しかしその結果、価格も高騰し簡単に手に入らなくなっているのが現状でもある。ならば、2人で使うために1本のロレックス デイトジャストを購入するのが良いアイデアではないだろうか。直径36mmは現在一般的なレディースサイズだが、同時に1945年当時、男性が身につけていたオリジナルサイズでもある。ひとつ確かなことは、自分がつけていても、パートナーがつけているのを見ても、どちらの視点からでもその美しさを楽しむことができるということだ。
IWC ポルトギーゼ パーペチュアル カレンダー
1980年代、IWCは時計作りの最高傑作である永久カレンダーを完成させた。このカレンダーはグレゴリオ暦を正確に再現する。あまりに完璧に再現するため、デイトは100年に1度、ムーンフェイズは577.7年に1度手動で修正するだけでよい。つまり、ただシンプルに時計の素晴らしさを楽しむことができるのだ。技術的な完成度に加え、IWC ポルトギーゼ パーペチュアル カレンダーはその外観も傑作と呼ぶにふさわしい。文字盤上のさまざまな表示も、非常にすっきりとしてミニマリスティックにすら感じられる。
また、カレンダーの設定が簡単にできるのも素晴らしい。もちろん、時計を常に身につけている方がもっと簡単なので、それを2人で分担するのも良いだろう。クリアでクラシックなデザインのため、男性はどんなシーンでも身につけることができる。ジーンズでも燕尾服でも、IWC ポルトギーゼ パーペチュアル カレンダーを着ければワンランク上の装いになる。また、女性も大いに輝かせてくれる。筆者のような細い手首を最高に上品なオーバーサイズドルックに演出してくれるのだ。目立つけれども目立ちすぎず、時計作りの技を愛する心をシンプルに表現してくれる。女性の皆さんは勇気を出してほしい。そして男性諸君にはぜひ購入してほしい。IWC ポルトギーゼ パーペチュアル カレンダーほど高度で複雑な技術とスタイリッシュなデザインが見事に融合した時計は他にない。
オメガ シーマスター エディツィオーネ ヴェネツィア
時計愛好家なら誰もが知っているオメガ(Omega)。なのにシーマスター ブティックエディションを知らない人は多い。特定の都市のオメガブティックでしか買えないため、まだ多くの人の目には触れていないのだ。でも、一度見たらすぐに惚れ込んでしまうだろう。
時代を超えたミニマルデザインはあらゆるシーンにマッチする。また、サイズは直径39.5mmとどんな手首にもフィットする。男性がつければクラシックなドレスウォッチという印象になり、女性がつければ懐かしい時代へのオマージュのような印象になる。
オメガ シーマスター エディツィオーネ ヴェネツィアにはステンレススチールだけでなく、セドナゴールド製も用意されている。このローズゴールド合金はオメガが開発し、同社の時計にのみ使用されている、とっておきのおすすめ素材だ。特別な光沢と、あらゆる肌色を美しく見せる淡い赤みのある輝きが特徴的。また、他のローズゴールド合金とは異なり、経年変化で赤色が失われることはない。
時計好きで、恋の街ヴェネツィアから特別なお土産を持ち帰りたいなら、オメガ シーマスター エディツィオーネ ヴェネツィアをおすすめする。その技術とローズゴールドの輝きは一生物のパートナーになるだろう。そして、この時計を誰がいつ身につけるかで喧嘩になったりしなければ、パートナーとの関係も同様に長く続くはずだ。