2019年07月31日
 6 分

スイス製以外の人気の高級時計 トップ3

Bert Buijsrogge
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スイス製以外の人気の高級時計 トップ3

時計というとほとんどの人がすぐにスイスを思い浮かべるのには、正当な理由がある。最も有名な時計ブランドの多くが、山と谷に囲まれたスイスを拠点としているからだ。しかし、時計への視野を広げようとしないと、自分自身にとって損になる。というわけで、スイス以外の国から発信される高級時計をいくつか見てみようと思う。これらの時計のほとんどは、繊細なディテールだけをとってみても、非常に特別なものである。

グローネフェルド 1941 プリンシピア

このリストの最初に挙げるのがグローネフェルドであるのは、彼らが私と同じようにオランダ人であるからというだけではない。この時計師兄弟は、1世紀以上にわたる時計づくりの優れた腕前の後継者たちなのである。それは彼らの血の中に息づいていると言ってもいい。長年をかけて、彼らは最高の技術を備えたエレガントな時計作りを専門とするようになった。このブランドの最初のタイムピースは、2008年にリリースされたミニッツ・リピーター付きのトゥールビヨン時計である。

Grönefeld 1941 Principia
Grönefeld 1941 PrincipiaImage: Bert Buijsrogge

グローネフェルドの最新作は1941 プリンシピアで、これは彼らが作る初めての自動巻き時計でもある。この入門機 (もし約320万円の時計を “入門機” と呼べるならば) は、考えうる限りの高水準に仕上がっている。表側はスモールセコンド付きのすっきりとした文字盤だが、その裏を見てみると、この兄弟が得意としていることを見ることができる。手作りのムーブメントはまさに完璧だ。彼らはぜひとも顕微鏡を使って全ての繊細なディテールを詳細に見てほしいと勧める。ブリッジは古いオランダ家屋のファサードにある切り妻屋根のような形で、これがグローネフェルドのデザインの特徴になっている。

この時計が他と大きく異なるのは、ムーブメントに使用されるステンレススチールだ。ほとんどの時計が真鍮または貴金属のみを使用するのに対し、グローネフェルドのムーブメントには手仕上げのステンレススチール製ブリッジが使用されている。これはステンレススチールが硬く加工が難しいことを考えると、特に驚異的である。鏡のように仕上げるために、多大な労力が部品の仕上げ研磨に費やされている。だがこの特別な作業により、この時計の価値が一層上がっているのだ。

グランドセイコー ヘリテージ スプリングドライブ

次のブランドは、地球の反対側、日本発のセイコーである。その人気にも関わらず、同社はいまだにしばしば中級ブランドであると見なされ、非常に過小評価されているところがある。しかし、グランドセイコーは中級品などでは決してない。この印象的なタイムピースは1960年からの歴史を誇り、精密さ、美しさ、そして耐久性を兼ね備えている。

グランドセイコーの異なるムーブメント使いは非常に興味深いものだ。機械式キャリバーかクオーツ式キャリバーかの違いだけでなく、その両方の最良の部分を合わせたハイブリッド、セイコー スプリングドライブ ムーブメントもある。ほとんどの機械式キャリバーは日差±6秒だが、クオーツ式ではそれほどの差は数ヶ月経たないと発生しない。この2つを融合させたことで、スプリングドライブは日差±1秒の精度を保っている。

グランドセイコーの時計を買うチャンスがあったら、ぜひ買うべきだ。このブランドの時計は、特に値段を考慮に入れると非常に素晴らしい。もちろん、ゴールドやプラチナなどのもっと値段の高い貴金属モデルもある。しかしグランドセイコー ヘリテージ SBGA373はわずか60万円ほどで入手できる。同じレベルの仕上げの時計を買おうとしたら、この数倍の価格はするだろう。

A.ランゲ&ゾーネ ツァイトヴェルク・デシマルストライク

さて、ではまたヨーロッパへと戻り、ドイツの小さな時計作りの町、グラスヒュッテへと目を向けよう。この町はドイツ国内の時計作りの中心であり、A.ランゲ&ゾーネを含む多くの有名ブランドの拠点でもある。この会社は史上最も美しい時計のいくつかを作ったことで有名だ。ベルリンの壁崩壊後に再興された同社の現在のモットーは、「決して立ち止まらない」である。

その並外れた時計作りと高級な仕上げで知られる同社は、いくつかの革新的なコンプリケーションも作り上げた。その好例のひとつがツァイトヴェルク・デシマルストライクである。第一に、時刻はデジタル式で、つまり時計の針ではなく数字で表示される。ランゲにとってこのコンプリケーションは新しいものではないが、時計業界においてはいまだに稀なものだ。彼らはこれを十進式ハンマー打ち機構と組み合わせた。これは正10分と正時に違う音で時刻を知らせるコンプリケーションである。ケースの素材であるハニーゴールドもチャイムの音に影響を与えている。もちろん、この十進式ハンマー打ち機構を止めるオプションも備わっている。

シルバー無垢製の文字盤とハンマーは控えめなグレイン仕上げで、裏側からは輝く美しいムーブメントの見事な様子が伺える。全てのランゲの時計と同じく、手彫り模様の施されたブリッジがテン輪の上とガンギ車に置かれている。想像に難くないように、これら全てが価格に反映される。

最終結論

スイス国外でも高品質の時計が作られていることをお分かりいただけただろうか。時計の世界はどこまでも多様性に富み、あらゆる人の予算に合うものがある。ただ時刻を知るための時計から、より複雑な機構を備えたものや高級なものまで、必ずぴったりな時計が見つかるだろう。そのためには、スイス製の時計だけに縛られないように気をつけることが肝心である。

このリストに挙げたブランドは、特定のブランドイメージを長続きさせるような大規模なマーケティングキャンペーンを行わない。彼らには、自分たちが得意なこと、つまり素晴らしい時計を作るということを続けていくだけで十分だということがよく分かっているのだ。結局、それこそが肝心なことなのだから。

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Bert Buijsrogge

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