2022年05月17日
 6 分

ムーンスウォッチに代わる15万円以下のモデル 3本

Donato Emilio Andrioli
Moonswatch-Alternativen-unter-1000-Magazin-2-1

Omega X Swatch ムーンスウォッチは伝統的で時に旧態依然ともいえる時計業界に新鮮な風を吹き込む、素晴らしいリリースである。スウォッチオメガのコラボレーションはこの数週間に大きなセンセーションを巻き起こし、今でも世間の評判になっている。しかし、伝説的なオメガ スピードマスターのデザインをまとったスウォッチというアイデアがどれほど素晴らしいとはいえ、客観的に見てプラスチック製のクォーツ時計であるムーンスウォッチの現在の価格はまったくフェアではない。確かにOmega X Swatch ムーンスウォッチが「限定生産品」であることは間違いないと思うが、それでもムーンスウォッチを求める時計ファンは皆いつかはこの時計を手に入れることができるだろう。それまでは、ムーンスウォッチの代わりとなるモデルを3本ご紹介したい。この3本は独自の歴史と非常に特別なデザインを持つステンレスクロノグラフで、さらには正真正銘の「ムーンウォッチ」も含まれており、15万円以下で購入できる。

Omega X Swatch ムーンスウォッチに代わる15万円以下のモデルを3本ご紹介する。その中には正真正銘の「ムーンウォッチ」も含まれている。

1. 過小評価されているムーンウォッチ

伝説的なオメガ スピードマスター プロフェッショナルが初めて月に行った時計であることは、時計愛好家であれば誰もが知っているだろう。しかし、他にもあまり知られていない「ムーンウォッチ」が存在することもご存じだろうか?宇宙飛行士デイヴィッド・スコットが船外活動の際に身につけていたブローバ ルナ パイロットが月へ降り立ったのは1971年8月2日。デイヴィッド・スコットは2度目の船外活動の後、オメガ スピードマスターの風防が外れてしまっていることに気づいた。そこで、アポロ15号ミッションの3度目の船外活動には、時計を個人の装備品として持ち込んでいたブローバ クロノグラフにつけ替えて臨んだのであった。ブローバ ルナ パイロットはこの時計をかなり正確に再現し、現代的な技術を搭載した復刻モデルであり、一見驚くほどオメガ スピードマスター プロフェッショナルに似ている。ケース形状も文字盤も歴史あるオメガ時計を思い出させるが、45mmのケース径によってオメガ スピードマスターとムーンスウォッチよりもはるかに大きな時計となっている。262kHzの高振動で作動する高性能クォーツムーブメントを搭載しており、その精度は極めて高い。スピードマスターやムーンスウォッチと同じく、防水性は最大50mであるが、風防はサファイアクリスタル製となっている。ケースバックにはブローバのロゴが刻印されており、その下にはデイヴィッド・スコットがオリジナルの時計を使用したミッション、日付、座標が記されている。オメガ スピードマスターと異なり、ブローバ クロノグラフはNASAの正式装備品ではなく、個人の時計であった。デイヴィッド・スコットは2015年までブローバ クロノグラフを所有していたが、その後オークションで競売にかけることに決めた。その落札額は約170万ドル(約2億円)。それに対して、復刻版は8万円以下でコレクションに加えることができる。

ブローバ ルナ パイロット:過小評価されている「ムーンウォッチ」

2. 本物のレーシングクロノグラフ

Omega X Swatch ムーンスウォッチのリリースは、オメガ スピードマスターがとりわけ宇宙計画に使用された時計およびムーンウォッチとして有名になったことを明らかにした。しかし、この時計のルーツはレーシングにある。オメガ スピードマスターはもともと宇宙飛行士ではなく、レーサーのために作られた時計であった。ティソ PRS 516(Ref.T100.417.37.201.00)もまったく同じルーツを持っている。この時計はオールブラックのクォーツクロノグラフで、カーボンのベゼルと文字盤がすぐにレーシングカーのような魅力を感じさせてくれる。特に成功しているのは秒針とボタンのライトブルーの要素で、外観にアクセントを付け、クロノグラフのスポーティーな雰囲気を強調し、全体的なデザインに遊び心を加えている。ケースはステンレス製で、PVDコーティングが施されている。

このクロノグラフの直径は42mmで、ムーンスウォッチと同じく使いやすいサイズだ。しかし、ティソ PRS 516はサファイアクリスタル風防を搭載しているだけでなく、最大100mの防水性と便利な日付表示も備えており、それによって完璧なデイリーウォッチとなっている。メタルクラスプ付きのラバーストラップも非常にマッチしており、この価格帯では珍しくスタイリッシュなデザインをまとっている。唯一の難点はステンレス製のケースバックで、この部分にだけPVDコーティングが施されていない。もしこの時計がすべてブラックで統一されていたとしたら、もっと気に入っていただろう。しかし、これは着用時には気づかない小さな欠点にすぎない。ティソ PRS 516は新鮮で成功したデザインを持つ本物のレーシングクロノグラフを8万円以下で提供している。

ティソ PRS 516はムーンウォッチとムーンスウォッチのルーツがレーシングにあることを思い出させてくれる。

3. クロノグラフのオールラウンダー

今回紹介する最後の時計の価格は15万円弱で一番高価であるが、多くの機能を提供している。ハミルトン カーキ アビエーション X-ウィンド GMTは本物のパイロットクロノグラフで、そのためムーンスウォッチとはまったく異なる雰囲気を持っている。とかくの風評があるスウォッチとは異なり、このクォーツクロノグラフのケース径は46mmと大型で、力強い手首の持ち主か冒険家にしか似合わない。ハミルトン カーキ アビエーション X-ウィンド GMTは多種多様な機能を搭載しており、これらの機能が多くのスペースを必要とするのだ。このオールステンレスの時計が提供しているのは日付表示機能を備えたクロノグラフだけでなく、GMT機能によっていつでも第2タイムゾーンの時刻を確認することができる。しかし、ハミルトンのクロノグラフが提供しているユニークな機能は、文字盤の縁に刻まれている目盛りによって実現される偏角計算機能である。ほとんどの人はこのような機能を必要としていないが、それでも偏角計算機能は他の時計モデルではほとんど見ることのない珍しいコンプリケーションだ。これによってハミルトン カーキ アビエーション X-ウィンド GMTは非常に大型でありながらも優れた外観を持つ唯一無二の時計となっている。そして、100mの防水性とサファイアクリスタルがこの時計を完璧に仕立て上げている。さらには、ブラックまたはブルーの文字盤、ステンレスブレスレット、スポーティーなラバーストラップなど、さまざまな選択肢も用意されている。ハミルトン カーキ アビエーション X-ウィンド GMTは力強い手首、または冒険家のための時計を好む時計愛好家に完璧なクォーツウォッチなのである。

ハミルトン カーキ アビエーション X-ウィンド GMTはGMT機能と偏角計算機能を備えたオールラウンダーを約14万円で提供している。

記者紹介

Donato Emilio Andrioli

チューダー ブラックベイ41という機械式時計を始めて買って以来、機械式時計の虜になってしましました。特に、古くて感動的な歴史を持つアイコン時計が大好きです。

記者紹介

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