2022年03月08日
 7 分

ロレックス オイスターパーペチュアルより安価かつ優れた時計3選

Donato Emilio Andrioli
Rolex Oyster Perpetual Tiffany Blue-Magazin-2-1

今でもよく覚えている。2020年の夏、現行のロレックス オイスターパーペチュアルは、まだ待ち時間も短く、比較的簡単に手に入れることができた。せっかちなコレクターは多少の追加料金を払えば、簡単に手に入れることができたのだ。だが、そんな時代は終わった。2020年9月の「ロレックス オイスターパーペチュアル 41」登場以来、状況は急激に変化した。時計の世界で人々の注目を集めているのは、なにもカラフルなバリエーションだけではない。最もシンプルな文字盤のバリエーションでさえ、現在130万円以下では手に入らない。これはもちろん、ディスコンになった前モデルや、36mmの小さめのバリエーションでも同様だ。そこで今回は、エントリーモデルであるロレックス オイスターパーペチュアルよりも安価で、その上いくつかの点では優れている、純粋主義的かつ普遍的な3つのモデルをご紹介したい。 

時計愛好家にとって、今ロレックス オイスターパーペチュアルに代わり得るのはどの時計だろうか。
時計愛好家にとって、今ロレックス オイスターパーペチュアルに代わり得るのはどの時計だろうか。

オイスターパーペチュアルを定価の半額で: チューダー ブラックベイ 36/41

ロレックス オイスターパーペチュアルに代わり得るものといえば、まず思い浮かぶのがチューダー ブラックベイ 41あるいは36だ。ロレックスになるべく近いものが良いという方には、最適な選択肢だろう。オイスターパーペチュアルにそっくりで、足りない点はほとんどなく、ほぼすべての面でロレックスのモデルと同等の性能を備えている。ブラックベイのケースは、優美な曲線と斜面部分の面取りが素晴らしい。ブレスレットはロレックスを着けているのかと思うほどの高品質だ。このブレスは、ブラックベイのファンに特に人気が高い。理由は、リベットがないからだ。ブラックベイでは当たり前のように使われているリベットだが、実際のところ、いいと思っている人はほとんどいない。最高150mの防水性があるため、日常生活での使用に最適だ。自社製ムーブメントでないことを欠点と感じる方もいるかもしれない。内蔵されているセリタ社製ムーブメントは、チューダー社によってチューンされており、極めて信頼性が高く、メンテナンスも簡単だが、客観的に見ると、ロレックスに比べて明らかにマイナス点だ。 

しかし、ロレックス オイスターパーペチュアルよりもチューダーのブラックベイのフォーマルバージョンの方が圧倒的に良い出来だと思う点がある。筆者としては、この価格帯の時計には自社製ムーブメントよりも大事なことがある、と思っている。それは時計が醸し出す魅力だ。ダイバーズタイプの文字盤は、本来このような時計には適さないが、チューダーにはとてもよく似合っている。「ビッグクラウン」と呼ばれるリューズと、そこに刻まれたバラの花は、小さいながらも素晴らしく美しいディテールで、この時計に特別感を与えている。特に黒いバージョンで、リューズチューブが文字盤の色を再現していることは秀逸だ。ブルーバージョンやシルバーバージョンでもこれを是非やってほしかった。こういったディテールがオイスターパーペチュアルにないのは非常に残念だ。オイスターパーペチュアルのデザインは一段と大人しく控えめなため、チューダーに比べて、他のものと置き換え可能な印象を与える。少なくても標準カラーのモデルはそういえるだろう。ブラックベイ 36/41は、オイスターパーペチュアルと同等で、とても似ている代替品を探している時計愛好家にお勧めだ。また、ちょっとした遊び心や大胆さを好む方にも楽しんでもらえるだろう。36mm径のモデルを是非じっくりチェックしてほしい。41mm径よりもプロポーションが良く、素晴らしい出来栄えだと思う。価格はどちらのバージョンも非常に魅力的で、スチールブレスレットバージョンで約40万円だ。 

オイスターパーペチュアルの妹分であり、かつロレックスよりも遥かに大胆で遊び心のあるモデル: チューダー ブラックベイ 41
オイスターパーペチュアルの妹分であり、かつロレックスよりも遥かに大胆で遊び心のあるモデル: チューダー ブラックベイ 41

ドレッシーな選択肢: ノモス オリオン ネオマティック

ロレックス オイスターパーペチュアルのシンプルさを気に入っているのなら、ノモスオ リオンも気に入るに違いない。オイスターパーペチュアルと同様に、オリオン ネオマティックも、その魅力は控えめなデザインだ。まず目に飛び込んでくるのは、6時位置のサブダイヤルに表示されているスモールセコンドで、これがこの時計にエレガントな印象を与えている。デザイン的には、特に白い文字盤のものが良いと思う。目を惹く赤い秒針が、それ以外は極めて控えめな外観にちょっとした面白みを与えている。ノモス オリオンで一番成功しているのは「シルバーカット」バージョンだろう。水平方向のブラッシュ仕上げを施された、ロジウムメッキの文字盤が、この時計にもうひと押し、真にモダンなテイストを与えている。ここでも、印象的な赤い秒針がまさに正しく「色」を添えている。直径38.5mmというサイズは、このタイプの時計には理想的だ。厚みはわずか8.7mmで、手首を回せばシャツの袖口の下にすぐに姿を消してしまう。 

唯一少々気をつけなければならないのは、水だ。50mの防水性を持つこの時計は、防滴仕様程度でしかない。ノモスのオリオンにも、ロレックス オイスターパーペチュアルよりも個人的に気に入っている点がある。それは、サファイアガラスのケースバックだ。このケースバックから、美しく装飾されたムーブメントを見ることができる。もちろん、読者の言いたいことはわかるし、筆者も同意見だ。つまり、ロレックスにはこういったデザイン要素は似合わない。だが、ノモスには有効だ。そういった理由から、少なくとも見た目ではオリオンの方がオイスターパーペチュアルよりも魅力的だと思う。控えめな時計にしては、これは素晴らしいポイントだ。そうは思わないか?ノモス オリオン ネオマティックの価格は、ロレックスよりも遥かに手頃で、40万円以下で希望のオリオンを選ぶことができる。もしも、とりわけ美しい「シルバーカット」にまだ心を決めていないなら。 

ロジウムメッキの文字盤に赤い秒針を配したオリオン ネオマティックの「シルバーカット」バージョンは実に良くできている。
ロジウムメッキの文字盤に赤い秒針を配したオリオン ネオマティックの「シルバーカット」バージョンは実に良くできている。

総合的に優れた選択肢: カルティエ サントス

ロレックス デイトジャスト 41よりも安い価格で優れている時計3本の記事をお読みになった方は、以前筆者がカルティエ サントスのラージモデルを最良の選択肢として挙げたことを覚えているに違いない。今日ご紹介するのは、さらに優れたモデルだと思っているカルティエ サントスのミディアムモデルだ。日付表示がない分、ラージモデルよりもさらにピュアな印象を与える。もったいをつけずに言おう。カルティエ サントスは、ロレックス オイスターパーペチュアルに代わり得る選択肢であるだけでなく、総合的に見てより優れた時計ですらもある。全体のデザインは、オイスターパーペチュアルよりもさらにアイコニックだ。丸みを帯びた四角いケースと、インダストリアルな雰囲気のブレスレットは、一目見れば見間違えることはないほど知られている。 

独特で伝説的、アイコニックなカルティエ サントス
独特で伝説的、アイコニックなカルティエ サントス

時計ファンとして、筆者はロレックス オイスターパーペチュアルに大いなる敬意を抱いている。その目立たなさゆえに忘れられがちだが、この時計は、今日私たちが高く評価し、愛してやまないすべてのロレックスのモデルの礎となっている。それでも、カルティエ サントスの歴史はさらにエキサイティングだと言える。オイスターパーペチュアルの誕生よりも数十年前に、すでにサントスは、本当の意味でのパイロットウォッチではないにもかかわらず、初めてのパイロットウォッチとして歴史に名を残している。話を現代に戻そう。カルティエは、ユーザーフレンドリーな使い勝手の良さを追求してきた。クイックスイッチシステムとスマートリンクシステムのおかげで、時計屋に行かなくても、素早く簡単にブレスレットを短くしたり、交換したりできる。100mの防水性を備え、日々の生活に欠かせない理想的な時計となっている。データ上、サントスの厚みはわずか35mmだが、気にすることはない。スクエア型の時計は、腕に装着したときの印象が従来のものとはまったく違う。とにかく、サントスのミディアムバージョンをじっくりチェックすることをお勧めする。個人的には、オイスターパーペチュアルよりもこちらの方が好きだ。それは何も、90万円前後の価格でロレックスよりもっと優れた時計が手に入るから、というだけの理由ではない。 


記者紹介

Donato Emilio Andrioli

チューダー ブラックベイ41という機械式時計を始めて買って以来、機械式時計の虜になってしましました。特に、古くて感動的な歴史を持つアイコン時計が大好きです。

記者紹介

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