2021年05月19日
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今週の編集者のおすすめ: ノモス、ブルガリ、ジャガー・ルクルト

Mathias Kunz

4月の注目はWatches and Wonders。時計業界の名だたる企業が2021年の新作を、主にバーチャルで発表したイベントです。ロレックス、パテック・フィリップ、IWCなどのブランドは人気の高いベストセラー製品の進化形を発表。ブルガリのように薄さの世界記録を更新したものもあります。スイスのマニュファクチュール、ジャガー・ルクルトは自己記録を更新し、史上最も複雑なレベルソを発表しました。

今回の編集者のおすすめは、Watches & Wondersから特別な時計を3つ選んでみました。まずはグラスヒュッテ発のお手頃価格の腕時計、ノモス タンジェント ネオマティック 41 アップデートをご紹介しましょう。

50万円以下の素晴らしい時計

ノモス タンジェント ネオマティック 41 アップデート Ref.180

ノモスはWatches & Wondersでタンジェント ネオマティック 41 アップデートをアップデートしました (失礼、ただの言葉遊びです)。ノモスの定番にミッドナイトブルーの文字盤バージョンが加わったのです。文字盤の外周を走る特許取得済みの日付リングはグリーン。スーパールミノバが塗布され、暗闇でも鮮やかに光ります。この色を選んだことで、スポーティーな印象になりました。白銀仕上げの文字盤に赤い日付リングを配したモデルは、少しクラシカルな印象になっています。

ノモスは2018年からタンジェント ネオマティック 41 アップデート Ref.180をラインナップに加えています。マニュファクチュールキャリバーDUW 6101は、この腕時計の強みです。グラスヒュッテのマニュファクチュールであるノモス自慢のムーブメントですが、自信があるだけのことはあります。ノモスのエンジニアは、このムーブメントをぐるりと一周するように日付リングを配置しました。そうすることで、ネオマティック キャリバーでは初の日付表示付きムーブメントでも薄型を実現することに成功。その薄さ、約3.6mm。ケース全体の厚みはわずか7.8mmで、日常的なオフィス使用には理想的です。直径は41mm。DUW 6101のパワーリザーブは完全に巻き上げた状態で約42時間です。世界記録ではありませんが、通常はこれで十分です。

1992年、手巻き式のクラシックなタンジェントが発表され、現在の成功の基礎を築きました。テトラ、ラドウィッグ、オリオンとともに、ノモスが最初に発表した4つのモデルのうちのひとつです。タンジェントの最も重要な特徴は、バウハウススタイルにインスパイアされたクリアなデザイン。細い針、6時位置のスモールセコンド、アラビア数字とロングバーインデックスが交互に配置されたデザインはドイツのゲアハルト・シュレーダー元連邦首相やフランク=ヴァルター・シュタインマイヤー大統領もお気に入りのようで、二人ともタンジェントの愛用者です。

ファンのコーナー: レアで特別な時計

ブルガリ オクト フィニッシモ クロノ GMT Ref.103068

ブルガリはWatches & Wondersで7年連続、世界記録を達成しました。超薄型時計で知られるマニュファクチュールのブルガリは、永久カレンダーを搭載した自動巻き時計としては現在最も薄いオクト フィニッシモ パーペチュアル カレンダーを発表しました。ケースの厚みはわずか5.8mmで、キャリバーBVL 305はわずか2.75mmです。他の時計と比較してみましょう。例えば、オーデマ・ピゲのロイヤル オーク パーペチュアル カレンダー Ref.6586IPの厚さは6.3mm、パテックフィリップのノーチラス パーペチュアル カレンダー Ref.5740/1Gに至っては8.42mmです。ブルガリのエンジニアはオクト フィニッシモ パーペチュアル カレンダーによって、超薄型時計分野では自分たちがマエストロなのだと再び証明してみせたのです。

ブルガリは2019年にオクト フィニッシモ クロノ GMTを発表し、当時の時計業界を驚かせました。42mm径のチタニウム製で、クロノグラフ機能と第2タイムゾーンを備えた最も薄い自動巻き時計です。厚さ3.3mmの薄型キャリバーBVL 318のおかげで、複雑なクロノグラフ機能を持ちながらケース厚はわずか6.9mm。それを可能にしているのはペリフェラルローターです。パワーリザーブは、完全に巻き上げた状態で55時間と驚異的な長さを誇ります。シースルーのケースバック越しには、繊細な装飾が施されたムーブメントを眺めることができます。

八角形のクロノグラフのケースとブレスレットには、サンドブラスト加工が施され、マットなチタニウム製の文字盤は全体のデザインに自然に融和しています。文字盤上には、3時位置に24時間積算計、6時位置に30分積算計、9時位置にスモールセコンドが配置されています。ちなみに、オクトのデザインスタイルは、オーデマ・ピゲのロイヤル オークやパテック・フィリップのノーチラスなどをデザインした著名な時計デザイナー、ジェラルド・ジェンタによるものです。

アイコニックなタイムピース: 価格に対する最高の価値

ジャガー・ルクルト レベルソ トリビュート デュオフェイス ムーン Ref.3958420

ジャガー・ルクルトは数週間前にレベルソ ハイブリス メカニカ キャリバー185 クアドリプティックを発表しました。全部で11もの複雑機構を搭載し、これまでのレベルソ・コレクションの中で最も複雑な腕時計となっています。また、世界で初めて4つの文字盤を備えた時計でもあります。ここでは、レベルソシリーズの特徴である反転式ケースの原理が生かされています。第一の文字盤には時刻表示、トゥールビヨン、永久カレンダーがあり、ケースの可動部を反転させると、デジタルジャンピングアワーとミニッツリピーターが現れます。ケースバックの内側を見れば、様々なムーンサイクル (月の周期) まで読み取ることができ、たとえば、次の日食がいつか分かります。ケースの裏側には南半球のムーンフェイズが表示されています。ジャガー・ルクルトはこの非常に複雑なレベルソを10本しか製造していないので、ここではもう少し地に足のついたモデルも見てみましょう。レベルソ トリビュート デュオフェイス ムーン Ref.3958420です。

このモデルの外観は、ジャガー・ルクルトがポロ選手のために開発した、1931年の初代レベルソをベースにしています。反転式ケースは当時、ポロ競技中の衝撃から表示面を守るために設計されました。レベルソ トリビュート デュオフェイス ムーンは2つのタイムゾーンを表示します。たとえば、表側にローカルタイム、回転するケースの裏側にはホームタイムといった具合です。そのため、このモデルはポロ選手向きというよりは、旅行や出張の多い方やビジネスマンに適した時計といえます。

また、第一の文字盤にムーンフェイズと日付を針で表示しており、二つの表示は、6時位置のインダイヤルに配置されています。このレベルソの見どころであるムーンフェイズはジャガー・ルクルトの職人が手作業で製作し、地球の衛星である月をとても立体的に表現しています。文字盤色はシルバーグレー、ブルーのインデックスはアプライト、針にはクラシックなドフィーヌ針を採用しています。第2の文字盤はブルーで、「クルー・ド・パリ」と呼ばれるギョーシェ彫りが施されています。第2タイムゾーンに加え、視認性の高いデイ/ナイト表示も備えています。

ポリッシュ仕上げのステンレススチール製ケースは49.7mm x 29.9mmで、手巻きキャリバー853Aを搭載しており、約42時間のパワーリザーブを備えています。

ジャガー・ルクルトのレベルソは、間違いなく時計史における伝説的なモデルであり、トリビュート デュオフェイス ムーンはそのレベルソのDNAを受け継ぐ、コストパフォーマンスの良い時計です。

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Mathias Kunz

2015年からChrono24の編集者として働いており、毎日時計と関わっています。特に興味を持っているのは、伝統と工芸・工学技術を体現する精巧なメカニズムです。…

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