2022年07月27日
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現在購入可能なダイバーズウォッチのおすすめ5本

Donato Emilio Andrioli
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スポーティーでアイコニック、そして堅牢で日常使いに最適なダイバーズウォッチの人気は、時計愛好家の間で非常に高い。市場に出回っている数多のダイバーズウォッチの中で、特におすすめのものはどれだろう。現在購入できるものからおすすめの5本をご紹介したい。

ダイバーズウォッチは時計愛好家の間で評価が高い

1. アイコンウォッチの代表格、ロレックス サブマリーナ

筆者が選ぶダイバーズウォッチのベスト5に順位はないが、もしたった一本を選ぶとすれば、やはりロレックス サブマリーナだ。ダイバーズウォッチの世界で総合的にみて最高の時計だと思う。仕上げが素晴らしく、シンプルだが見事なデザインで、現代的な技術とグライドロックシステムのような革新的な機能を備えている。だが、ロレックス サブマリーナの最大のセールスポイントはその象徴的なステータス感だ。高級時計で大切なのはまずエモーションであり、伝説のサブマリーナほど、それを体現できているダイバーズウォッチは他にない。

「サブ」はその伝説的ステータスにふさわしい時計だ。1954年の発売以来、時計界になくてはならない存在となり、「007」とともに大衆の間で空前の人気を博すこととなった。ロレックス サブマリーナはその70年あまりの歴史の中で数々の改良を重ね、発展を遂げてきた。その一方で、象徴的で普遍的なデザインは変わることなく受け継がれている。そのため、時計愛好家がサブマリーナのどのリファレンスを選ぶかはあまり重要ではない。アンティークモデルはツールウォッチとしてのキャラクターで評価が高く、初期の6桁リファレンスはセラミックベゼルと幅広のマキシケースでロレックスのダイバーズウォッチの新時代の幕開けを告げた。2020年にリリースされたサブマリーナの新バージョンはその両方の長所を兼ね備えている。筆者個人的には「ノーデイト」バージョンを特にすすめたい。日付のないバージョンはオリジナルモデルに最も近いからだ。とはいえ確かに、デイト機能は実用的であり、特にサイクロップレンズはおそらく最も広く知られているロレックスのトレードマークではある。難点を言わせてもらえば、ロレックス サブマリーナは市場価格が高騰しているため、すべての時計ファンが手に入れられるわけではないことだろう。

ロレックス サブマリーナは品質、技術、デザイン、ステータスを総合的に兼ね備えた最高のダイバーズウォッチだ

2. 気持ちいいほど個性的なオメガ シーマスター 300M

オメガ シーマスター 300Mはロレックス サブマリーナに代わってジェームズ・ボンド ウォッチとして登場しただけでなく、他の追随を許さないコストパフォーマンスの良さで時計界を熱狂させた。技術的に優れ、かつエキサイティングな現代性を備えたダイビングウォッチが80万円以下で購入できるのだ。セラミック製の文字盤は見ているだけで幸せな気分になるほど美しい。レーザーエングレービングによる波模様がコンピュータアニメーションのように見えて、催眠術的な効果がある。こんな文字盤デザインのダイバーズウォッチを筆者は他に知らない。

このオメガのダイバーズウォッチには時計愛好家が現代の時計に求める技術がすべて備わっている。セラミックベゼル、両面無反射コーティングのサファイアガラス、日付表示機能、300m防水、申し分ないパワーリザーブは、これほど評価の高いダイバーズウォッチとしては当然の条件だ。しかしさらに、極めて正確なコーアクシャル自動巻きムーブメントと最高1万5000ガウスの耐磁性を備えていることで、オメガ シーマスター 300Mは技術的にライバルたちを大きく引き離している。ただし、小さな減点要素もいくつかある。ベゼルの手触りはロレックスのように完璧ではなく、メタルブレスレットもそれほどスポーティーではない。しかし、これは些細なことで、時計愛好家が皆筆者と同じように感じるわけではないだろう。オメガ シーマスター 300Mはダイバーズウォッチに新鮮でモダンなデザインを求める方にとってはファーストチョイスとなる時計だ。特にラバーストラップと合わせると、ロレックスのサブマリーナよりもはるかに大胆で美しい。

圧倒的なコストパフォーマンスとユニークなデザインのオメガ シーマスター 300M

3. チューダー ブラックベイ ヘリテージ / フィフティ-エイトという名のタイムマシン

チューダー ブラックベイは画期的なデザインでもなければ、他のメーカーが妬みで目のくらむ思いをするほど飛び抜けた技術もなく、ダイバーズ・エクステンションのような実用的な機能も備えていない。チューダーの決定的な切り札は、人を惹きつけるその魅力であり、2012年に発表されたこのダイバーズウォッチにはそれがふんだんに盛り込まれている。ケースの描く曲線、ベゼルの暖かい色合い、いかついながらも魅力的なデザインの文字盤、そしてチューダー社の歴史へのオマージュを込めた細かなディテールの数々が、チューダー ブラックベイを特別な存在にしている。

このような愛すべきデザインのダイバーズウォッチは、おそらく2度と見つからないだろう。品質の高さと仕上げの素晴らしさは、親ブランドであるロレックスに通じるものがある。そして、チューダー ブラックベイは何よりも、ダイビングウォッチの全盛期だった50年代へタイムスリップした時計であり、黄色くなった夜光とブレスレットのリベットがそれを物語っている。といっても、技術の古さを恐れる必要はない。全モデルにCOSC認定の自社製ムーブメントを搭載し、70時間のパワーリザーブを実現している。サファイアガラスを使用し、200mの防水性を備えているのは現代のダイバーズウォッチとして当然のことで、チューダー ブラックベイが「アンティーク」なのは外観だけだ。価格が50万円を切っていることも、この時計をさらに魅力的にしている。41mm径では大きすぎるという方には、小さめでスリムなフィフティ-エイトがちょうどよいかもしれない。時計コレクターの間ではむしろこちらの方が人気が高い。とはいえチューダー ブラックベイにも小さな欠点はある。アンティークなデザインは万人受けするわけではない、ということだ。この意見に頷けるという方には、本稿の最後にロレックス サブマリーナに匹敵する、よりモダンなチューダーのダイバーズウォッチを紹介するので、楽しみにしていてほしい。

The Tudor Black Bay: ETA back in the day, now with an in-house caliber
チューダー ブラックベイのムーブメントは当時はまだETA社製であったが、現在ではチューダーが「自社」で製造するようになった

4. ブランパン フィフティ ファゾムスは妥協を許さぬアイコンウォッチだ

ロレックス サブマリーナと同じくらい歴史がありながら、まだそれほど注目されていないアイコニックな時計をお探しなら、ブランパン フィフティ ファゾムスがまさにぴったりだろう。この歴史あるダイバーズウォッチの初代モデルは、ロレックス サブマリーナよりも早く1953年に登場し、逆回転防止ベゼルを備えたダイバーズウォッチとして長い間唯一の存在だった。この機能は安全上重要で、今ではあって当然のものだが、そもそもはブランパンの特許技術なのだ。ロレックスのサブマリーナと同様、この数十年の間デザインはほとんど変更されていない。ブランパン フィフティ ファゾムスは最高級の素材、高品質のステンレスブレス、300m防水、最長5日間のパワーリザーブを実現した自社製ムーブメントを備えている。

直径45mm、厚さ15mm超、ラグ・トゥ・ラグは50mmを超えるブランパンのアイコンウォッチは妥協を許さぬ大きさであり、手首サイズの大きな方、または大きな時計がお好きな方にこそおすすめしたい。サイズの大きさには歴史があり、ブランパン フィフティ ファゾムスは1953年の発売当時にすでに直径42mmで、大型のダイバーズウォッチだった。もしもお好みなら、ブランパン フィフティ ファゾムスはアイコニックで歴史的に重要な時計であり、滅多におめにかかれないサブマリーナに代わり得る選択肢となるだろう。しかし、約200万円という価格なので、この高級ダイバーズウォッチはむしろ経験豊富な時計コレクターに向いているだろう。

The Blancpain Fifty Fathoms – as relevant as the Sub but still under the radar
サブマリーナと同じように歴史的に重要なモデルでありながら、あまりマークされていないブランパン フィフティ ファゾムス

5. 機能的でスポーティーなチューダー ペラゴス

ブラックベイとは対照的に、チューダー ペラゴスは時計愛好家の間では影の薄い存在のようだ。しかし皮肉なことに、このスポーティーなチューダーはブラックベイ・ラインがダイバーズウォッチを着ける人たちから批判されがちな足りない点をすべてカバーしている。アンティークの要素もあるが、ペラゴスの外観は総じてとにかく現代的だ。黒文字盤のモデルも青文字盤のモデルもそうなのだが、その一方で「左利き」ダイバー用のモデルはアンティークなテーマに回帰している。マットな質感のベゼルは一見アルミニウム製に見えるが、実はセラミック製だ。500m防水はチューダー ブラックベイだけでなく、本稿で紹介したすべてのダイバーズウォッチが少し古く思えるほどで、70時間のパワーリザーブと自社製ムーブメントの日付機能すらもほぼ霞んでしまう。

しかし、チューダー ペラゴスの最大の特徴は、チューダーが独自開発し特許を取得したダイバー用のアジャストメント機能付きクラスプだ。これは優れもので、温度に応じて自動的に手首まわりのサイズに合うようになっている。クラスプは普段使いには確かに特別美しいとは思えないが、軽量なチタンを使った42mmのダイバーズウォッチはむしろ機能的な時計ととらえるべきだろう。特に、フルセットに付属のラバーストラップで着けると、スポーティーで機能的な側面が強く出る。チューダー ペラゴスは約50万円で購入でき、現在市販されているダイビングウォッチの中でも指折りの優れた時計である。

ブラックベイの陰に隠れているが、チューダー ペラゴスは機能も多く、革新的な技術を備えている

記者紹介

Donato Emilio Andrioli

チューダー ブラックベイ41という機械式時計を始めて買って以来、機械式時計の虜になってしましました。特に、古くて感動的な歴史を持つアイコン時計が大好きです。

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