細い手首をお持ちの方に良い知らせがある。トレンドが再び小型な時計になってきているのだ。例えばロレックスは、新作エクスプローラーにおいてケース径を現代的なサイズである39mmから36mmにサイズダウンした。この記事では、細い手首を持つクラシックなサイズのファンにぴったりの素晴らしい時計を5つ紹介する。小型な時計を見つけるために必ずしもアンティーク時計を探す必要はない。ここで紹介する時計はほぼすべて最新のリファレンスである。
1: チューダー ブラックベイ 36 ― ロレックス オイスター パーペチュアルの半額
チューダー ブラックベイ 36は細い手首に似合う素晴らしい小型時計であるだけでなく、比較的安い価格で買える最高の時計の1つでもある。最上の品質とロレックスの技術を兼ね備えた時計を、約32万円で手に入れることができるのだ。36mmのケースを持つ時計の外観は印象的である。ドレスウォッチとスポーツウォッチの組み合わせは癖が強いが、ファンの心を掴むすべを心得ており、どことなくロレックス オイスター パーペチュアルやロレックス エクスプローラーを想起させる。しかし、このタイプの時計としてはかなり珍しい文字盤を搭載していて、それが上記のロレックスと比較してブラックベイ 36に少々思い切った印象と遊び心を与えている。
また、仕上げもロレックスを想起させ、その水準は非常に高く、あらゆる点でロレックス オイスター パーペチュアルに匹敵する。ロレックスブレスの繊細さには敵わないが、この価格帯でそのような品質を求める方が難しいだろう。チューダーによく見られるバラのモチーフがあしらわれた「ビッグクラウン」や、各所に散りばめられている古いチューダー時計へのオマージュはこだわりを感じるディテールである。この小型なチューダー ブラックベイ 36はあらゆる機会に合わせられる時計でもある。現在用意されているカラーバリエーションはブラック、ブルー、シルバーの3色で、誰でもぴったりの1本を見つけることができるだろう。
細い手首にぴったりの素晴らしい時計であり、30万円前後の価格帯における最高の時計でもある。
2: オメガ スピードマスター コーアクシャル 38
オメガ スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナルが好みであっても、42mmのケース径は細い手首の持ち主にとって少々大きすぎるだろう。幸い、オメガは細い手首に似合うスピードマスターの小型モデル、スピードマスター コーアクシャル 38も提供している。客観的に見て、このオメガ スピードマスターにはムーンウォッチに比べて3つの大きな利点がある。コーアクシャル 38は52時間のパワーリザーブを持つ自動巻きコーアクシャルムーブメントを搭載し、100m防水で、6時位置に日付表示を備えている。定番のオメガ ムーンウォッチは手巻き式で、防水性能は最大50m、日付表示は搭載されていない。ケース、文字盤、ブレスレットの全般的なデザインは両者ともに非常によく似ている。積算計とタキメータースケールのデザインは少々異なり、文字盤はマットではなくラッカー仕上げのブラックになっている。全体的にオメガ スピードマスターの38mmモデルは、何十年も前からほとんど外観が変わっていないプロフェッショナル ムーンウォッチよりもはるかに現代的な印象を与える。また、価格は65万円以下で現行のムーンウォッチよりも大幅に安くなっている。ムーンウォッチとしての伝説的ステータスは持っていないが、すべてを手に入れることはできないのだ。
3: ノモス ラドウィッグ 35 ― 上品なドレスウォッチ
上品な時計は本質的に小型であり、したがって細い手首を持つ人により適しているが、その中でも筆者を夢中にしたドレスウォッチが1つある。ノモス ラドウィッグは信じられないほど控えめな外観、素晴らしい仕上げ品質、およびメイド・イン・ジャーマニーの上品なデザインを持ちながらも、その価格は非常にリーズナブル。ローマ数字があしらわれたエナメルホワイトの文字盤、6時位置のスモールセコンド、スリムで繊細なケース。この時計においてはすべてが完璧に調和している。
ラドウィッグはグラスヒュッテの時計らしく控えめな美しさを見せている。この時計のケース径は35mmで、どのような服装にも合わせられる。素晴らしい品質と「ドイツ製」のムーブメントを持ちながらも、ノモス ラドウィッグ 35の価格は26万円以下。これは高級時計の世界において間違いなくお買い得といえるだろう。この時計を気に入ったならば、筆者はシースルーケースバックのモデルをおすすめしたい。上品なラドウィッグ 35にさらなる魅力を加えている美しいムーブメントを眺められる。
4: チューダー ブラックベイ フィフティエイト ― タイムマシン
もし筆者の記事をいくつか読まれたのであれば、筆者がチューダー ブラックベイ フィフテ-エイトの大ファンであることに気付かれたに違いない。今回の記事ではこの時計を取り上げないでおこうと思っていたのだが、ご覧の通り、この試みは失敗に終わった。チューダー ブラックベイ フィフティエイトは、とりわけコレクター的観点と時計コミュニティにおける人気によって評判になっているが、実は細い手首に似合う素晴らしく優れたダイバーズウォッチでもある。チューダー ブラックベイ フィフティエイトのケース径は39mm、ラグからラグまでの長さは47.5mmで、サイズ感は完璧だ。品質にはなんら疑う余地もなく、この記事の冒頭で紹介したブラックベイ 36と同じ水準にある。筆者はどちらの時計も所有しているが、品質の違いを見つけることはできない。しかし、これが当てはまるのはケースとブレスレットに関してだけ。ブラックベイ 36とは異なり、このチューダーは70時間のパワーリザーブを持つ自社製キャリバーを搭載している。
チューダー ブラックベイ フィフティエイトは過ぎ去った時代へのタイムマシンである。この時計のブレスレットにはリベットが付けられており、文字盤にはゴールドメッキの要素が配され、レッドの三角形が付けられたアルミ製のダイビングベゼルが搭載されている。1958年のロレックスやチューダーのサブマリーナはこのような外観だった。アンティークが好みでないとしても問題ない。現在、ブラックベイ フィフティエイトは新しいカラーや別の素材でも提供されている。細い手首に似合う時計としてだけでなくとも、65万円以下でこの時計よりも優れたダイバーズウォッチはほとんど存在しないと筆者は考えている。
5: ロレックス デイトジャスト 36
おそらく世界で最も有名な時計はとりわけ細い手首によく似合う。これは素晴らしいことではないだろうか？ロレックス デイトジャスト 36ほどに多くの選択肢を提供している時計は皆無である。定番のフルーテッドベゼルとジュビリーブレス、珍しいオイスターブレスとスムースベゼル、もしくはその両者の組み合わせなど、ロレックス デイトジャスト 36においてはすべてが可能なのだ。
現在のロレックス価格が予算を超えることを心配されるかもしれない。しかし、デイトジャストは異なる時代の無数のモデルから選ぶことができ、90万円以下でロレックス デイトジャストを手に入れることもできる。運が良ければさらに安い商品も見つかるだろう。この伝説的時計が時代と共に慎重に変更および改良されているとしても、カリスマ性は常に変わらないままであるため、この点に関しては心配することなくアンティークモデルを購入できる。フルーテッドベゼルやサイクロップレンズなどのアイコニックな特徴は非常に高い認知度を誇り、時計ファンの胸を高鳴らせる。ロレックス デイトジャスト 36を手に入れることによって、とりわけ36mmモデルとして有名になった、時代を超えたアイコニックな人気時計をコレクションに加えることができるのだ。
