2024年01月31日
 9 分

2万4000ユーロの予算で作る時計コレクション2024 byセバスチャン

Sebastian Swart
Chrono24のおすすめ!2万4000ユーロで作る時計コレクション

Chrono24のおすすめ!2万4000ユーロで作る時計コレクション

1月の初め、Chrono24のコンテンツマネージャーから「2万4000ユーロで作る時計コレクション」と題したシリーズ連載の第一回を書かないかと依頼を受けた。他のライターたちもこの後に続くとのことだ。もちろん、断ることのできない依頼だ。2万4000ユーロ(約400万円)というお題の理由はまさに、今年が2024年だからだ。

筆者の記事を読んだことのある方ならお気づきかもしれないが、筆者は典型的な時計コレクターではない。卵を抱える母鶏のように宝物を後生大事にしまい込むのではなく、気に入った時計を買い、飽きたら売る。また、いずれは誰かに何かを遺そうなどということも考えていないのであっさりと手放す。

筆者が重視しているのは、まず機械式時計であり、そして自分の好みに合うこと、仕上げの品質が高いこと、コストパフォーマンスが良いことだ。ビッグブランドの名声も悪くないが、そこにこだわりはない。最終的に重要なのは製品そのものなのだ。一部の例外を除いて、無謀な投機や人為的に膨らませたバブルな人気には関わらないようにしている。世の中には魅力的なストーリーや歴史のある「アイコニック」と称される時計が多すぎる。ここで紹介する時計のうち4本は実際に所有しており、1本は今後追加するかもしれないモデルだ。では、はじめよう。

1. ハミルトン カーキ パイロット パイオニア メカ クロノグラフ

まずはハミルトン カーキ パイロット パイオニア メカ クロノグラフRef.H76409530。2023年の初めに発表されたこのパイロットウォッチのことは、様々なオンラインレビューで知っていたが、手に取ったことはなかった。そして2023年11月、ドイツの有名な時計フォーラムのマーケットプレイスでよく吟味もせずに購入したのだが、それ以来、メーカー希望小売価格2295ユーロ(日本では31万1300円)のこの時計に惚れ込んでいる。

このレトロな外観のクロノグラフは、ハミルトンが1970年代に英国空軍のために製作した時計の機能とデザインを受け継いだものだ。オリジナルはアクリル製の風防を採用していたが、復刻版の風防はサファイアガラス製だ。ケースバックは新旧モデルともにねじ込み式。特に気に入っているのは、アラビア数字、ドットインデックス、バイコンパックスデザインなど、文字盤デザインがすっきりしているところだ。40mmのアシンメトリーなビッグケースはすべてサテン仕上げで、時計全体と同様、極めてツール感のあるキャラクターだ。防水性:100m(10気圧)

Hamilton Pioneer Mechanical Chrono Khaki – bestes Preis-Leistungs-Verhältnis
ハミルトン カーキ パイロット パイオニア メカ クロノグラフ。最高のコストパフォーマンス

時計内部に搭載されているのはハミルトンの手巻きキャリバーH-51-Si。このムーブメントは、ETA社のバルジュー7753をベースにさらに改良を加えたものだ。ETA社はハミルトンと同様スウォッチグループに属し、スウォッチブランド専用にエボーシュムーブメントを製造している。シリコン製ヒゲゼンマイを備え、パワーリザーブは60時間。大型のリューズを使ってスムーズかつ正確に巻き上げることができる。オリジナルのレザーベルトはベルト付け幅が22mmで広すぎると感じたため、ガニーストラップ社のArilloシリーズに付け替えた。

ハミルトン カーキ パイロット パイオニア メカ クロノグラフのコストパフォーマンスは、未使用品で市場価格およそ1600ユーロ(約26万円)と、ほぼ無敵だ。

2. ニバダ グレンヒェン クロノマスター

ニバダ グレンヒェン クロノマスター アビエーター シーダイバーの復刻版は2年以上前から手放さずに所有しており、ほぼ「Keeper」(コレクションの中で一定の地位を保ち、所有者が手放さない時計を意味する用語)となっている。ニバダ グレンヒェンはこのバイコンタックス・クロノグラフのオリジナルモデルを1960年代初頭に発表し、1970年代半ばまで数え切れないほどのバリエーションを製造していた。当時、一部に高品質のバルジュー製ムーブメントを搭載していたクロノマスターは、ホイヤーやブライトリングの時計と張り合っており、合計9つの機能を備えたニバダはライバル機の先を行っていた。

クォーツ危機の影響で何十年もの間忘れ去られていたニバダは、2020年にカムバックを果たした。同社の新作にはクロノマスター アビエーター シーダイバーを再解釈したモデルがある。筆者が選んだのは手巻きキャリバーとラバーストラップを備えたRef. 86012M03、別名「オレンジボーイ」だ。38.5mm径というサイズは前身モデルから受け継いだもので、100m(10気圧)防水、サファイアガラスを装備している。時計内部にはエボーシュムーブメントメーカー、セリタのキャリバーSW510 M BH Bが搭載されており、60時間以上のパワーリザーブを実現している。

Dem Vintage-Original zum Verwechseln ähnlich – Nivada Chronomaster Orange Boy
アンティークのオリジナルと見間違うほど似ている。ニバダ クロノマスター オレンジボーイ

ニバダ クロノマスターは仕上げも素晴らしいがコストパフォーマンスにも優れている。Chrono24では、新品・未使用モデルが1800ユーロ(約25万円)前後で購入できる。

3. スクワーレ Sub-39 GMT ヴィンテージ

総額2万4000ユーロの時計コレクションを完成させるにはまだ道のりは遠い。だが、次は2000ユーロ(約33万円)以下で買える素晴らしい時計をもうひとつご紹介したい。スクワーレSub-39 GMTヴィンテージだ。

スクワーレの歴史は1959年にさかのぼり、ダイバーズウォッチ用ケースの製造に関する特許を初めて取得した会社だ。1960年代、スクワーレはブランパン(フィフティ ファゾムス)、ホイヤーなどの有名メーカーのケースを製造していた。

スクワーレ Sub-39 GMTヴィンテージ(Ref. SUB-39GMTV.PN)は、1950年代から60年代のダイバーズウォッチやGMTウォッチへのオマージュだ。具体的に見本としているモデルはなく、この時代のクラシックなデザイン要素を取り入れ、魅力的な再解釈を加えており、出来栄えは傑出して素晴らしい。40.5mmケースはすべてポリッシュ仕上げで、時計にきらびやかな輝きを与えている。ケースの形状は、スリムなサイドとゆるかな曲線を描くラグが特徴的だ。

Squale Sub-39 GMT Vintage
スクワーレ Sub-39 GMT ヴィンテージ

ムーブメントには「エラボレ」品質レベルのセリタSW 330-1が採用sれており、パワーリザーブは38時間。サファイアガラスの風防とねじ込み式ケースバックにより、200m(20気圧)防水を実現している。

コマーシャルな知名度や自社製ムーブメントにこだわらなければ、新品同様で1550ユーロ(約25万円)前後で入手可能だ。GMT機能付きのこの時計の品質の高さには驚嘆すべきものがある。

4.ロレックス エクスプローラー II 16570

ロレックス エクスプローラー II 16570に関しては、「値段の割に良いものを」という筆者の信条を少々破ることになる。もちろん、素晴らしいツールウォッチであり、おそらくロレックス最後のひとつだろう。よく見ればGMT機能と日付表示を備えたシンプルな3針のステンレス製時計であり、それにしては値段はかなり高い。しかし、その見返りとして、神通力のある名前の時計を腕につけ、賞賛や羨望のコメントがもらえることは間違いない。

2003年製のこの時計を新品同様のコンディションで購入したのは2021年の春だった。ちょっとした計算ができ、市場を注視している人なら、価格のピーク時に購入したことがわかるだろう(「The Love We Share」でこの購入について、その理由も含めて詳しく書いている)。エクスプローラー II 16570はお買い得品ではないが、ため息が出るほど美しくデザインされた機能的かつ高品質な時計だ。自社製キャリバー3185はクロノメーター認定を受け、50時間のパワーリザーブを備えている。

Rolex Explorer II 16570
ロレックス エクスプローラー II 16570

その気取らない外観と40mmという適度なサイズは、普段使いにもあらゆるシーンにも最適だ。新品同様のロレックス エクスプローラー II 16570の平均購入価格は2024年1月時点で約9300ユーロ(約150万円)だ。

5.ホイヤー オータビア GMT Ref.2446C

2万4000ユーロの予算で作る時計コレクションでご紹介する最後の時計は、ホイヤー オータビア GMT Ref.2446Cだ。この記事に登場した他の時計を見てお分かりのように、筆者はクロノグラフとGMT機能を備えた時計が好きだ。ホイヤー オータビアGMTはこの2つの機能を視覚的に見事に融合させており、筆者にとってはこれ以上ないパーフェクトな時計だ。この美しいヴィンテージ・オータヴィアをまだ所有してはいないが、アンテナは常にこのモデルに向けて張っている。いつか、必要な条件がすべて揃ったら必ず購入するつもりだ。

ホイヤー オータヴィアには非常に魅力的な歴史がある。時計界の象徴的存在であり、アマチュア・レーサーでもあったジャック・ホイヤーが、1960年代初頭にオータビアの初代モデルを開発した。1970年代まで、オータヴィアはレーシングウォッチの代表格として、多くの著名なレーシングドライバーに愛用された。

機能的で美しくマニアックな人気のホイヤー オータヴィア2446C GMT
機能的で美しくマニアックな人気のホイヤー オータヴィア2446C GMT

オータヴィア2446 C は1968年に登場し、バルジュー72をベースとしたバルジュー724を搭載していた。当時、このムーブメントは最高級のスイス製量産ムーブメントのひとつとされ、ロレックス、ブライトリング、ジャガー・ルクルトなど多くの高級時計ブランドが採用していた。

オータヴィア2446Cは、2万4000ユーロの予算で作るおすすめの時計コレクションを締めくくる唯一のアンティークウォッチだ。このモデルの平均価格は約10500ユーロ(約170万円)だが、特に保存状態の良いものはかなり高価になることもある。もちろん、これは純粋なコレクターズ価格であり、かなり前から元の価格から乖離しているのは周知のことだ。

以上が筆者が選んだ、2万4000ユーロの予算で作る2024年版時計コレクションだ。もしかしたら、中には皆様に気に入って頂けるものがあるかもしれない。楽しんで頂けたら幸いだ。


記者紹介

Sebastian Swart

すでに数年前からChrono24のサイトを時計の買取と販売、そして時計について調べるのに使っていました。私は子どもの頃から時計に興味を持っており…

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