2024年06月28日
 9 分

2万4000ユーロの予算で作る時計コレクション2024 byパスカル

Pascal Gehrlein
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Chrono24がおすすめ!2万4000ユーロで作る時計コレクション

長い間、筆者は「ロレックス・オタク」と揶揄されてきたが、この3年間で好みが大きく変わり、時計のコレクションも以前よりバリエーションに富んだものになった。今回、2万4000ユーロで作るおすすめの時計コレクションを紹介することで、変化した自分を見ていただくとともに、皆さまにも何かヒントになればと思う。紹介する時計はすべて、筆者が過去にコレクションしていたものか、現在も所有しているものだ。実際の経験に基づいて自信を持っておすすめできる。

特別な日に、フランスの洗練されたデザインを:カルティエ サントス カレ Ref.2961

おすすめの時計コレクションにまず最初に加えたいのは「特別な日のための時計」だ。特別な日のための時計に必要なものは、プロポーションの良さとストラップの着け心地の良さ、そして歴史的な意味と一目でそれとわかるデザインによって「会話のきっかけ」となり得ること、そして、エレガントとスポーティーのバランスの良さだ。

今回選んだRef. 2961は、筆者が生まれた1993年のものだ。Chrono24での価格は現在、状態の良いもので約4000ユーロ(約70万円)だ。つまり、今回与えられた予算の約16%を「消費」することになる。

ここ数年を振り返ってみると、サントスは特に夏によく着けていると思う。とりわけ結婚式やイブニングイベント、オフィスで着けることが多い。というのも、薄型のためシャツやジャケットの下にすんなりなじむからだ。ケースサイズは29 x 41 mmだが、手首に着けると36 mmのロレックス デイトジャストと同じようなサイズに見え、そのカーブと繊細なブレスレットのおかげで、手首のサイズが17.5cm~18 cmの筆者にも、筆者のパートナーにもぴったりフィットする。特徴的なブレスレットとゴールドとシルバーの組み合わせが強い存在感を持つ。そのため、小さすぎず、それでいて控えめなアクセサリーと捉えることができる。

唯一、ベゼルのような傷つきやすいゴールド製のディテールだけが日常使いの適性をやや損なってはいるが、このディテールこそが時とともにこの時計に「個性」を与えている。デイト表示もまた、日常使いに適したプラスポイントである。リファレンス2961は90年代のものだが、技術的には最新かつ堅牢だ。キャリバー077は38時間のパワーリザーブを備えている。

時計のデザインとオーラに関しては、80年代のアイコニックな「ウォール街のスノッブ・シック」なデザイン、ステンレスとゴールドにブルーのカボション、ホワイトの文字盤、青焼きの針とローマ数字が筆者はどうしても欲しかった。時計がその時代全体の文化や時代精神を象徴し、それゆえに一種の「時代の証人」となっているのに魅力を感じるのだ。

筆者にとって、リファレンス2961はアンティークとモダンが理想的に混じり合った時計だ。今回のコレクションで、特別な日のための開放的でエレガントな時計として選ぶにふさわしい1本だと思う。

失敗のない賭け:オメガ スピードマスター Ref.310.30.42.50.01.002

特別な日のための時計から、日常生活のための時計に目を移そう。筆者が納得するのにこれほど長い時間がかかった時計は他にない。長い間、筆者にとってオメガ スピードマスターは、時計コレクターが「蜃気楼」と呼ぶ時計そのものだった。つまり、遠目に、他人が着けているのを見ると魅力的に見えて手にしたくなるが、実際に近くで見たり、腕に着けたりすると、なぜかがっかりしてしまう。インスタグラムの写真や友人が着けているスピードマスターは非常にセクシーだと感じるのだが、自分で着けると時計の大きさ、幅の広さ、そして太いベルトが気になってしまっていた。

ところが、新しいリファレンスでそれが一変した。テーパーの角度が深くなり、幅が細くなったステンレス製ブレスレットとクラスプ、少し小さめでスリムなプロポーション、そしてシースルーバックと、筆者にとっても納得の1本となった。アドバイスだが、スピードマスターはラバーストラップやテキスタイルストラップと組み合わせると特にスポーティーで快適になる。両方ともオメガに追加注文できる。こういったオプションを加えることで、ただでさえスポーティーなこの時計が、日常使いに最適なギアとなる。Tシャツ、ジーンズ、シャツとパンツ。オメガ スピードマスターはどんな格好にもフィットする。この時計の歴史と重要性については今さら語るまでもないだろう。冒険と技術の進歩をこれほど体現している時計は他にない。コーアクシャルムーブメント 3861は耐磁性、50時間パワーリザーブを備え、スイス連邦計量・認定局(METAS)のテストを通過済みという一級品であり、その上、シースルーバックがまたシックなのだ。手巻きに抵抗がなければ、この時計で間違いはない。まとめると、自然とヘビロテしたくなる時計であり、時計コレクターとして間違いのない、よい意味で絶対的に失敗のない選択なのである。

サファイヤガラス付きバージョンのメーカー希望小売価格が8700ユーロ(123万2000円)、Chrono24での中古価格が7000ユーロ(約117万円)で、今回の予算のうちここまでで約1万1000ユーロ(約188万円)を費やし、絶対的なデイリーウォッチを確保した。

夏、太陽、ポジティブ、リラックス:チューダー ブラックベイ 54 Ref.M79000N-0001

次の時計はサントスにもスピードマスターにもないものを持っている。それはダイバーズウォッチとしてのクオリティーである。コレクションの次のテーマは「夏の時計」だ。夏の時計に必要なものは、頑丈さ、防水性、ラバーストラップ、そして主観的な特性であるところの「ご機嫌なディテール」だ。

今回この役目を担うのはチューダー ブラックベイ 54だ。2023年に発表されたこの時計は、37mmのステンレス製ケース、クイックアジャストクラスプ付きステンレスブレスレットまたはラバーストラップ、マットブラックの逆回転防止ベゼル、COSC認定の自社製キャリバーMT5400(70時間パワーリザーブ)、ねじ込み式リューズ、200m防水を備えている。同じくマットブラックの文字盤には、クリームホワイトのインデックスやローズゴールドの縁取りが採用され、チューダーが愛してやまないアンティークルックとなり、1954年に発表された初代「54」のチューダー オイスター プリンス サブマリーナー(Ref.7922)に通じるものである。

このスペックだけを見ても、ブラックベイが旅行に最適であることが分かる。スイムウエアにはもちろん、ビーチバーでのカジュアルなイブニングウェアやスポーティーな行楽にも最適だ。特にラバーストラップは暑さや湿気にも快適に着用できる。

また、非常にトレンディで人気のあるチューダーがコレクションに加わることになる。この時計をしていて変な目で見られることはまずないだろう。むしろ、特に若くてオープンマインドな時計ファンとの会話のきっかけになるはずだ。チューダーが現代的でコスパに優れ、少なくともロレックスなどと比べると、挑戦的なところも若干あると考えられているからである。

したがって、チューダー ブラックベイ 54は、今回のコレクションの3番目の時計にふさわしい。ステンレスバージョンが約4000ユーロ(約70万円)なため、ここまでで約1万5000ユーロ(約260万円)を費やしたことになる。

コレクションにおけるアカデミックな1本: グランドセイコー エレガンス Ref.SBGW283

次は皆さまが成熟した大人の時計コレクターであることを示す時計だ。グランドセイコーは時計通のためのブランドである。職人技の質の高さで知られるこのブランドは、どちらかといえば保守的とされ、エレガンスコレクションでは技術的に優れている上に、視覚的にも気品の高いモデルシリーズを展開している。SBGW283は薄型の手巻きムーブメント、キャリバー9S64を搭載している。繊細なライトブルーの文字盤は、グランドセイコーお得意の、自然からインスピレーションを受けている。詳しく言えば、岩手山の上に広がる、春から夏にかけて移ろう季節「季春」特有の青空を表現しているのである。サファイアガラスのケースバックからは、美しい仕上がりの手巻きムーブメントを眺めることができる。37mm径のケースはエレガントなクロコダイルレザーストラップと組み合わせると、ただシックな時計というだけでなく、大いに自慢したい1本になる。グランドセイコーを身につけるということは、マーケティングに重きを置かず、職人技と洗練された技術を重視していることを意味する。

Chrono24では約4000ユーロ(約70万円)で良い状態のものを見つけることができる。そして、この4本目の時計でこれまでの合計は1万9000ユーロ(約325万円)となり、残りの予算は5000ユーロ(約85万円)だ。

とにかく楽しむ:ヴァシュロン・コンスタンタン パトリモニー 6675 18K サブセコンド

グランドセイコーですでにドレスウォッチの方向へ進んだ今、次も当然この道をさらに極めることになる。今回のコレクションでは、1970年代のヴァシュロン・コンスタンタン パトリモニー 6675を、もちろん18Kゴールドバージョンで選びたい。34mm径のこの時計はレザーストラップ付きで、手巻きムーブメントは46時間のパワーリザーブを備え、文字盤は純粋なエレガンスが魅力だ。シルバーの色調は光の加減で独特の輝きを放ち、ゴールドのインデックスとスモールサブセコンドがこの時計を上品でスタイリッシュ、そして控えめなものにしている。最高の「クワイエット・ラグジュアリー」である。もちろん、1970年代に製造されたこの時計は、メンテナンスや修理に関わるある程度のリスクを抱えてはいる。とはいえ、この時計を身につけるのが楽しいことは間違いない。

ヴァシュロン・コンスタンタンは雲上御三家(パテック フィリップ、オーデマ ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタン)の一つであり、その名声には疑う余地がない。このアンティークウォッチがChrono24で4000ユーロ~5000ユーロ(約70万円〜85万円)で手に入るのは、まさに幸運としか言いようがない。

ヴァシュロン パトリモニーを最後の1本として、筆者の選ぶ2万4000ユーロの時計コレクションは完成である。


記者紹介

Pascal Gehrlein

こんにちは、パスカルです。初めての「高級時計」を探してChrono24のサイトを何時間も見ていた際に、Chrono24の本社が自分の家のすぐ近くにあることを発見しました。…

記者紹介

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