決められた金額内でコレクションを作り上げる、という企画は筆者にとって常にチャレンジであり、面白いものだ。筆者には、ぜひ手に入れたいと思っている時計のリストがあり、総額はかなりの額になっている。欲しいと思い時計が見つかることはいいことだが、すべてを手に入れようと思うとすぐに予算オーバーになってしまう。けれども、予算を気にして妥協した時計では時間が経つにつれて納得できなくなることも分かっている。そのため、本当に気に入っていて、この先の人生を共にしたいと思う時計だけを集めた筆者の「予算2万4000ユーロ(約400万円)の時計コレクション」を紹介したい。
ロレックス シードゥエラー Ref. 16600 – 8500ユーロ(約140万円)
ロレックス シードゥエラー Ref. 16600は、20年以上前、筆者が機械式時計に本格的に興味を持つようになった頃に、初めて腕に着けてみた時計のひとつだ。この時計は1988年から2009年にかけて生産され、現代的なスペックと独特なヴィンテージロレックスの雰囲気を合わせ持つ5桁ロレックスのひとつである。そのシードゥエラー Ref. 16600を手首に巻いた瞬間、筆者はそのルックスに惚れ込んでしまったのだ。クラシックなシードゥエラーは手首にぴったりで、その時まさにロレックスの魔法を体験したのだ。筆者はそのシードゥエラーを数週間使うことができたのだが、身に着ける度に、毎回これは自分のための時計だと感じた。
筆者はこのシードゥエラーRef. 16600に、他の時計には感じない特別なつながりを感じた。この時計を所有している友人が何人かいたおかげで、筆者はこの特別な感覚が一時のものなのか、そうでないのか確認することができた。幸運にも、その感情が薄れることはなく、それこそが、筆者が喜んで8500ユーロ(約140万円)の金額を払って、状態の良いものを購入したいと思う理由である。20年以上たった今、そろそろ購入すべき時が来たように思える。
チューダー ブラックベイ プロ – 3500ユーロ(約57万円)
筆者のお気に入りのスタイルは、GMT時計だ。第2タイムゾーンの時刻が把握できる最高のスタイルと機能性を兼ね備えた時計だ。筆者が憧れるヴィンテージのロレックスGMTは、初代のエクスプローラー II Ref. 1655である。この定番モデルは良い状態のものだと簡単に2万4000ユーロを超えるので、このリストに入れることはできない。しかし、2022年にチューダーが発表したブラックベイ プロは、まさにこのモデルを彷彿とさせるものだ。
当初筆者は、ブラックベイ プロにそれほど感動していなかった。というのも、単純にエクスプローラーII Ref. 1655のスタイルを真似しているように見えたからである。しかし初めて実際にこの時計を着けた時、その意見は完全に変わった。チューダーのデザイナー陣によって、典型的なチューダースタイルであるあのスノーフレーク針が使われていることに気づいたのだ。さらに、見慣れたシルエットにモダンなチューダースタイルがプラスされ、より一層チューダーらしく見える。何度か着用した後、ブラックベイ プロは今では筆者のお気に入りで、現在入手可能なGMT時計のひとつである。分厚いケースにもかかわらず、筆者はブラックベイ プロのスタイルが大好きだし、非常に着けやすい時計だと思っている。だからこそ、筆者はChrono24で3500〜4000ユーロ(約57万円〜65万円)を支払いたいと思う。
ゼニス クロノマスター リバイバル エル・プリメロ A384 – 6500ユーロ(約105万円)
次に選んだのは、ゼニス クロノマスター リバイバル エル・プリメロ A384だ。これは1969年に発表されたクラシックなゼニス エル・プリメロ A384の現代版である。オリジナルのA384は、世界初の自動巻クロノグラフのひとつであるアイコニックなエル・プリメロトリオのひとつだった。3本の中ではエル・プリメロ A386が常に最も人気の時計であったが、筆者はA386の一般的なラウンドケースよりもA384の角ばったボックス型ケースの方が気に入っている。
クロノマスター リバイバル エル・プリメロ A384は、37mmのトノー型ケースとパンダ文字盤の組合せが完璧なモデルで、そのコントラストが効いたスタイリッシュなデザインは即座に見分けがつく。加えて、センターの赤いクロノグラフ針がデザインアクセントとして効いている。A384の美しいルックスを仕上げるのは、付属するアイコニックなゲイ・フレアー社製のラダーブレスレットだ。ゼニス A384は初めて発表された55年前と同じように並外れた時計であり、筆者は6500ユーロ(約105万円)のこの時計を自身のコレクションにぜひ加えたいと思っている。
ロレックス デイトジャスト Ref. 1601 – 4500ユーロ(約75万円)
これまでスポーティな時計をリストアップしてきたが、カジュアルからフォーマルまでどんなシチュエーションにも使える万能なデイリーウォッチも今回の2万4000ユーロコレクションに加えたいと思う。そのぴったりな時計が定番のロレックス デイトジャストだ。筆者はデイトジャストのさまざまなバリエーションや世代が好きだが、ここではクラシックなシルバーのパイパンダイヤルとホワイトゴールドのフルーテッドベゼルを備えたデイトジャスト Ref. 1601をリストアップした。ブレスレットにはジュビリーブレスを選びたい。
この36mm径のデイトジャストは、1960年から1981年まで製造されたもので、そのクラシックなデザインに勝るものはない。デイトジャストはどんな場面においても間違いがない1本だ。より古いリファレンスを選べば、あふれるヴィンテージの魅力も得られる。製造期間が長かったことから、筆者にぴったりのデイトジャスト Ref. 1601の良いコンディションのものが、Chrono24で4500ユーロ(約75万円)でたくさん見つかる。2024年は筆者自身のために実際に購入する時なのかもしれない。
これで、筆者の2万4000ユーロ(約400万円)で作る時計コレクションが完成した。価格に少し余裕があるのは、より状態がいいものを見つけた時のためだ。見た目も、着け心地も、そのストーリーも大好きなこの4本を実際に手に入れたいと思っている。