2022年07月29日
 6 分

【2022年7月】ノーチラス、ロイヤルオーク、デイトナの動向を分析

Thomas Hendricks
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高級時計に関するレビュー、チュートリアル、トーク、インタビューをもっと見たい場合は、Chrono24のYouTubeチャンネルをご覧ください。

パテック フィリップ ノーチラスPatek Philippe Nautilus)、オーデマ・ピゲ ロイヤルオークAudemars Piguet Royal Oak)、ロレックス デイトナRolex Daytona)など、ベストセラーモデルの価格が下がってきている。現在のこういった市場状況の原因はどこにあるのか、Chrono24では自社プラットフォームに掲載されている何十万点もの商品のデータを分析した。

そこから見えてきたのは、まず、これまで価格の上昇が著しかった一部のモデルの価格が徐々に落ち着いてきていること。実際にどのモデルが打撃を受けていて、影響はどこまで及んでいるのか、後ほど考察していきたい。

次に、ステンレススチール製スポーツウォッチの市場が引き続きメディアを賑わせているものの、ハイエンドなドレスウォッチ市場もひそかに盛り上がりを見せはじめている事実。ここでの主力モデルはどれなのか、そしてこういったフォーマルなタイムピースの人気が上昇している原因は何なのかも探っていこう。

そして最後はオメガ(OMEGA)。中間価格帯のマーケットシェアを拡大しつつあるその理由を見ていきたい。

高額時計の価格が落ち着きはじめる

ここ何年もの間高騰が続いたのち、最近になって初めて、ロレックス デイトナ、オーデマ・ピゲ ロイヤルオーク、パテック フィリップ ノーチラスなどの極めて人気の高いモデルのリセールバリューが下がりはじめた。この事実は時計業界になじみのないメディアでさえも報道され、腕時計投資家たちもこれが一体何を意味するのか考えあぐねている状況だ。

Chrono24上のおよそ50万点の商品から得たデータによると、勝者と敗者はブランドとモデルによって変わってくる。ロレックス デイトナ(Ref.116500LN)は4月のピーク時から約15%ほど、オーデマ・ピゲ ロイヤルオーク(Ref.15202ST)は3月のピーク時から約22%値下がり。ジェラルド・ジェンタがデザインした超人気モデル、ノーチラス 5711は、2月に最高価格の約2900万円を記録して以降およそ23%値を下げ、二次流通市場では約2300万円となっている。

要因として挙げられているのは、インフレ率の上昇、ウクライナ情勢、そして仮想通貨の暴落などを含む、グローバル経済の変移だ。

しかし前年比のデータを見てみると、時計の二次流通市場全体としては上昇を続けており、Chrono24での販売数を2021年のそれと比べてみると、4月は19.7%、5月24.2%、6月が26.5%の上昇を見せていた。

つまり、一部のメディアによってあたかも手に負えない状況かのような伝えられ方がされてはいるものの、実際にはコントロールが効いた状態だということをデータは示している。

質の良いドレスウォッチの市場価値が上昇中

それでは、次はドレスウォッチ部門を見てみよう。よりシンプルで小型、そしてより洗練された格調高い時計が、通常とはかなり異なる価格上昇率を見せている。以下にいくつか例をあげてみよう。

ヴァシュロン・コンスタンタン フィフティーシックスVacheron Constantin Fiftysix)の価格は、約100万円だった2019年半ばから見て約2倍の、240万円まで上昇。ステンレス製でブルーの文字盤を持つ4600Eが最も価格上昇率が高かったが、ローズゴールドバージョンもそれに近い上昇を見せている。

ヴァシュロン・コンスタンタン フィフティーシックス
ヴァシュロン・コンスタンタン フィフティーシックス

A.ランゲ&ゾーネ 1815 (A. Lange & Söhne 1815 、Ref.206.021)は、ケース径36mm、時刻表示のみの、イエローゴールドの時計である。中古の品は2019年7月の時点で平均119万円だったが、2年経った今では平均226万円ほどで販売されている。

A.ランゲ&ゾーネ 1815 
A.ランゲ&ゾーネ 1815

先述の通り、パテック フィリップ ノーチラス 5711(Patek Philippe Nautilus 5711)はそのピークから値下がりの傾向がみられるが、控えめな印象のパテック フィリップ カラトラバPatek Philippe Calatrava)はその価値を上げ続けている。例えばクラシックな佇まいの5196Rは、2019年7月には中古の品が平均200万円ほどだったところ、現在では約350万円であり、今もなお上昇中だ。

パテック フィリップ ノーチラス 5711
パテック フィリップ ノーチラス 5711

高級ドレスウォッチの価格変動が何によって引き起こされているのか、はっきりと述べるのは難しいが、それを説明する手助けとなる要因がいくつかある。

世界は依然としてコロナウイルスへの対処に追われてはいるものの、多くの都市においては、着飾って出かけるのが許される時期に来ている。オフィスにももうかなり前から人が戻り、レストランも満席だ。

ドレスウォッチは長きにわたり低価格で売買され過ぎてきたと主張する人もいる。つまり現在の価格上昇は、起こるべくして起こった注目度の高まりに起因するということだろう。

他にも、ステンレス製スポーツウォッチファンのコレクターたちが、そのコレクションをさらに多様化させようと他のカテゴリーにも手を広げはじめたのだという意見もあるが、そのあたりの真相は謎のままだ。

オメガが中間価格帯市場を席捲

ギリシャ文字と同じように、この記事もオメガ(OMEGA)で締めくくろう。史上最も有名な時計ののひとつに何が起こっているのかについての詳細は、Chrono24記者のドナート・アンドリオーリによる、オメガ スピードマスター(Omega Speedmaster)についての記事(『オメガ スピードマスター プロフェッショナルが2022年も安定した資産価値を維持している3つの理由

』)でご覧いただきたい。このモデルがいかにしてその価値を保ってきたかについて、ご理解いただけると思う。ただしこのスピードマスターの価格が上昇を続ける一方で、シーマスター(Seamaster)シリーズは現在の市場の変化にそれほど影響を受けていない。

というわけで、以上が20227月の時計の二次流通市場についての概略となる。今回を第1回としたTime Is Moneyの今後の記事は、Chrono24YouTubeチャンネルでご覧いただきたい。時間は一方向のみにしか進まないが、市場はそうではないのだ。来月もまたお楽しみに。どうぞ楽しい時計ライフを!


記者紹介

Thomas Hendricks

私はもともと時計を見て育ったわけではありません。しかし、大学を卒業してから数年後、私はオンラインポータル「Watchonista」でライター兼マーケターとして就職。同僚は私に向かって冗談半分で「誰も後戻りできない時計の世界へようこそ!」と言いました。現在はChrono24でプライベートクライアントアドバイザーとして、人生の大事な節目に完璧な時計を探す人々のお手伝いをしています。

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