今年も残すところあとわずかとなり、時計業界の2024年という1年を振り返る時期となった。しかし今回は、大勢に人気のあった時計ではなく、もっと注目されたであろう新作について紹介したい。 皆さんは今から紹介する時計を知っていただろうか。
華やかすぎる?オメガ スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル コンビモデル ムーンシャインゴールド/セドナゴールド
2024年、オメガは伝説的なムーンウォッチに新しいバリエーションを発表し、私たちを驚かせた。スピードマスター プロフェッショナルのホワイトバージョンとファースト オメガ イン スペースの新作は、2024年のオメガの2大ヒット作として話題を集め、時計ファンの間で熱狂の嵐を巻き起こした。一方、伝説的なムーンウォッチのムーンシャインゴールドとセドナゴールドのコンビモデルはほとんど注目されなかった。基本的に大きな変更はなく、アイコニックなケースや素晴らしいブレスレットはそのままに、文字盤やベゼル、ブレスレットの中央部分に使用されたムーンシャインゴールドとセドナゴールドがまったく新しい輝きを放っている。もしかしたら、ここが根強いムーンウォッチファンにとっては受け入れがたい部分だったのかもしれない。筆者の個人的な意見だが、スピードマスター プロフェッショナルのような伝説的なツールウォッチは、ゴールドやコンビモデルよりもステンレス製の方がはるかに魅力的だ。皆さんは、 ムーンウォッチのステンレスとゴールド、どちらの輝きが好みだろうか?
2024年、オメガの新作、スピードマスター プロフェッショナル コンビモデル ムーンシャインゴールド/セドナゴールドの輝きは、時計愛好家の目に届かなかったのかもしれない。
真新しさが足りない?ロレックス GMTマスター II Ref. 126710 GRNR「ブルース・ウェイン」
人気のロレックス GMTマスター IIのブラックベゼルモデルが生産終了となってから数年が経過した。2024年に発表された新作は、このブラックモデルのささやかなカムバック版のような印象だった。新しいRef. 126710GRNRは、文字盤の刻印がブラックモデルを彷彿とさせるが、違いがいくつかある。最も明確なのは、従来のブラックベゼルに代わり、ブラックとグレーのベゼルが採用されたことだ。部分的にポリッシュ仕上げが施されたオイスターブレスレットは、この新作でも採用されているが、新たにジュビリーブレスレットも加わった。ほんの少しの違いだが、定番モデルに新しい独特な雰囲気を与えている。「ブルース・ウェイン」の愛称が付けられたこの新しいGMTマスター IIは、発表当初こそ、多くの時計ファンを魅了したが、次第に話題にされることは少なくなっていった。筆者も、他のカラフルなバージョンの方が、この新作よりもよっぽど魅力的だと思っている。しかし、だからと言ってこのモデルは人気がないというわけではない。現在の市場価格は約270万円で、このGMTマスター IIは時計愛好家の間でも非常に人気がある。
カラフルなブライトリング ナビタイマー オートマチック 41
ナビタイマー、アベンジャー、またはクロノマットなど、ここ数年でブライトリングはかつてないほどカラフルになっている。鮮やかな文字盤カラーが主流な中、伝統的あるブライトリングもアイコンモデルに大胆に色を使っている。新しいナビタイマー オートマチック 41にはクロノグラフ機能は搭載されていないが、計算尺ベゼルのおかげで、一目でナビタイマーとわかる。そしてやはり、大胆な色を採用している。2024年の新作のステンレス製モデルでは、文字盤にグリーン、ブルー、アイスブルーのカラーバリエーションが用意されている。ブレスレットは、よりフォーマルなナビタイマーに合うよう、7連リンクのものが組み合わされている。しかし、その評判とは対照的に、時計ファンやメディアにほとんど注目されなかった。アイコニックなナビタイマーの弟分と言えるこのモデルは、市場価格は約60万円からで、ナビタイマーのデザインを持つオールラウンダーを、70万円前後の予算で探している人にとって素晴らしい選択肢と言える。
カラーバリエーション豊富なノモス タンジェント 38 デイト 175周年記念限定モデル
タンジェントは、1990年代にノモスが発表した最初のモデルのひとつで、同ブランドのアイコンモデルとされている。ドイツ、グラスヒュッテにおける時計製造175周年の記念として、ミニマルなデザインのタンジェントは31の新しい色の組み合わせで発表された。中にはかなり奇抜な色のものもある。各175本の限定生産で、すっきりとしたデザインのケースと、6時位置にスモールセコンドや日付表示がある文字盤というタンジェントらしいデザインはそのままだ。カラフルな文字盤カラーに加え、フランスで特注した新しいグレーのテキスタイルストラップも注目を集めている。新しいタンジェントは付けるのが楽しくなるような、遊び心のあるアクセサリーと言えるだろう。時計の裏側も見どころで、美しい手巻き式ムーブメントDUW4101を眺めて楽しむことができる。唯一の欠点としては、日付のクイック調整機能が搭載されていないことだろうか。派手なデザインにもかかわらず、このタンジェントは時計ファンやメディアの目に触れることはあまりなかった。しかし、限定モデルであるため、コレクターにとっては興味深いものとなるだろう。一部のモデルは、すでに一般市場で定価38万5000円よりも高くなっている。
特許を取得した世界初の機構を搭載したパテック フィリップ ワールドタイム5330G
つい最近、世界三大ブランドの一つであるパテック フィリップは新コレクション、キュビタスを発表し、時計ファンの間で大きな反響を呼んだ。この新作スポーツモデルは、時計愛好家たちの間でかつてにないほど賛否両論を巻き起こした。そのため、パテック フィリップのもうひとつの新作、ワールドタイム5330がメディアや時計ファンから遠ざかってしまっているのも不思議ではない。当初限定モデルだったこのモデルは、現在では現行コレクションの一部となっており、特許を取得した世界初の機構を搭載している。その機構とは、日付表示が都市表示リングの12時位置に表示されているタイムゾーンの時刻と同期されるというものだ。この新作があまり注目されなかったのは、1213万円という希望小売価格とも関係があるかもしれない。