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2024年の時計トレンド

Donato Emilio Andrioli 著
2024年12月13日
7 分
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2024年の時計トレンド

新しい年を迎える前に、2024年を振り返り、時計業界のトレンドについてお伝えしておきたい。時計市場は全体的にどのような発展を見せたのだろうか。そして、Chrono24のデータは2024年のどのような傾向を示し、我々はどのような変化を感じただろうか。

2024年、時計市場全体の変化

まずは、2024年に筆者が個人的に気になった点について触れたい。これは、事実やデータに基づくものではない。近年、特にデザイン面においてヴィンテージブームが巻き起こったが、2024年は、このテーマからは少し離れていたように思う。ヴィンテージにインスパイアされた時計も依然として人気だが、多くの時計でモノトーンや明るい色合いの文字盤が採用され、ゴールドのインデックスや温かみのあるクリーム色といったヴィンテージ要素は採用されなくなった。この傾向は、ヴィンテージデザインで知られるチューダーでも顕著だった。ブラックベイ モノクローム、ぺラゴス FXD サイクリング、ブラックベイ クロノのピンクとブルーのカラーバリエーションなど、以前よりも少しモダンなビジュアルを打ち出している。もうひとつの傾向は、2024年の新作時計の発表方法に関するものだ。Watches & Wondersのような大きなイベントだけでなく、年間を通して多くの新作が発表された。この動きは2020年に始まったもので、コロナ禍において時計ブランド各社は新作発表の新たな方法を見つけなければならなかった。現在では、各社がこういった方法をうまく利用し、ファンやメディアを驚かせ、常に注目を集めるように工夫を凝らしているように思える。オメガは、この2024年末に新しいシーマスター ダイバー 300mを発表し、大きな反響を呼んだ。Chrono24のデータによると、最も人気のブランドはカルティエで、同ブランドのモデルだけでなく、カルティエルックを備えた時計全般が非常に人気を集めた。Chrono24では小型のレクタンギュラーケースの時計が人気を集め、特にホワイトの文字盤とローマ数字の組み合わせが好まれたようだった。カルティエは近年、ジュエリーだけでなく、時計も高く評価されるようになり、非常に人気のブランドへと成長した。そのため、伝統を持つ同ブランドが2024年に大きな発展を遂げたのは、驚くべきことではない。

カルティエ サントス 100 Ref. 2656
2024年のChrono24では、カルティやカルティエライクな時計が特に人気だった

時計トレンド2024:チタン

2024年、時計ファンが特に好んだ素材はチタンだった。ステンレスよりも軽量で耐食性に優れ、ツールウォッチのようなタフな外観が特徴で、スポーティなダイバーズウォッチで特に人気がある。今年の新作でも、チタンが話題になった。例えばアイコニックなブライトリング クロノマットの新作やチューダー ペラゴス FXDシリーズが挙げられ、ペラゴスにいたっては、数週間前に発表された新作のペラゴス FXD GMTで再び話題となった。ペラゴスコレクションは、チタン製時計の代表として知られている。特に注目すべきはぺラゴス 39だ。機能性とスタイルの融合は、他のチタン製時計ではほとんど見られない。さらに、ビーチや水中だけでなく、夜のフォーマルなシーンでもスタイリッシュに着用できる。

機能性とスタイルを兼ね備えたチューダー ぺラゴス 39
機能性とスタイルを兼ね備えたチューダー ぺラゴス 39

時計トレンド2024:ホワイトとゴールドの文字盤

2024年のもうひとつのトレンドは、ホワイトの文字盤だ。今年発表されたオメガ スピードマスター プロフェッショナル ホワイトの影響がないとは言い難い。この新作は2024年のハイライトの一つであり、アイコニックなムーンウォッチが新たな輝きをまとって登場した。しかし、ホワイトカラーはロレックス デイトナやオメガ スピードマスターのような伝説的なクロノグラフだけでなく、オールラウンダーの時計にもよく似合う。Chrono24を代表する人気モデル、グランドセイコー “スノーフレーク” は、その優れたスプリングドライブテクノロジーと品質だけでなく、雪景色を彷彿とさせる特別なテクスチャーの文字盤も印象的だ。

グランドセイコー スプリングドライブ スノーフレーク
雪景色を思わせる白い文字盤のグランドセイコー

しかし、2024年に時計ファンの間で話題となった色はホワイトだけではない。少なくともヴィンテージウォッチに関しては、ゴールドも非常に人気があった。ゴールドは、古いロレックス デイデイトにおいて、最も人気のある文字盤カラーの一つだった。特にイエローゴールドのデイデイトでは、このカラーバリエーションは完璧に調和し、プレジデントモデルをより高級でラグジュアリーな印象に見せてくれる。

ロレックス デイデイト
2024年にロレックス デイデイトのヴィンテージモデルで特に人気があったゴールドカラー

時計トレンド2024:レクタンギュラーケース

カルティエのレクタンギュラーウォッチは、長きに渡り高い人気を誇る時計であり続けてきた。そして、今年はレクタンギュラー型やトノー型の時計が特に人気だった。その代表的なモデルの一つが、カルティエ サントスだが、この時計がどのカテゴリーの時計なのかについては、ファンの間でも意見が分かれるところだ。パイロットウォッチ、オールラウンダー、または、ドレスウォッチとも言われる。このことから、このモデルの汎用性の高さや、時計業界にとっていかに重要なモデルなのかが分かる。サントスは、世界初のパイロットウォッチとして、非常に魅力的な歴史を持ち、普段使いに最適なだけでなく、その上品なルックスから、フォーマルな服装にも合わせやすい万能な時計だ。特に筆者がおすすめするのは、伝統的なデザインと使い勝手のバランスが絶妙な、ローマ数字を備えたホワイトのミディアムバージョンである。

カルティエ サントス
パイロットウォッチ、ドレスウォッチ、デイリーウォッチがひとつになったカルティエ サントス

時計トレンド2024:ムーンフェイズ

最後に紹介する2024年のトレンドはちょっと驚きかもしれない。ムーンフェイズは、時計ファンから高く評価されている機構ではあるが、2024年の時計トレンドに入るとは予想していなかった。ムーンフェイズ表示の実用性については、特に現代においては議論の余地があるが、そのデザインそのものが、どんなドレスウォッチにとってもアップグレードとなる。その一例がジャガー・ルクルト マスター・ウルトラスリムコレクションだ。現在の時計市場の中で、最も美しいドレスウォッチの一つに数えられる。特に注目すべきは、文字盤のシルクのような質感だ。特にダークカラーの文字盤モデルでは、その美しさが特に際立つ。また、サファイアクリスタルのシースルーバックから見える美しいムーブメントが、この時計の美しさをさらに際立たせている。ジャガー・ルクルト マスター・ウルトラスリム ムーンは、機会があればぜひ見てほしい特別なモデルだ。

ジャガー・ルクルト マスター・ウルトラスリム ムーンは、200万円以下で手に入る最も美しいドレスウォッチの一つ
ジャガー・ルクルト マスター・ウルトラスリム ムーンは、200万円以下で手に入る最も美しいドレスウォッチの一つ

まとめ

2024年は、時計ファンに数々のサプライズをもたらした。時計に関わる仕事をしている者として、ブランド各社が年間を通して新作をファンに提供してくれるようになったことは喜ばしいことだ。そのため、Watches & Wondersが開催される4月だけではなく、年間を通して新作発表を楽しむことができる。2024年のトレンドで個人的に気に入っているのは、ホワイトの文字盤が例年よりも注目されていることだ。ホワイトの文字盤ファンとして、この動きは特に嬉しい。ホワイトの文字盤は少なくともブラックの文字盤と同様に時代を超越し、どんな時計コレクションにも変化をもたらしてくれる。この時計のトレンドが2025年も続くのかどうか、興味深いところだ。

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Donato Emilio Andrioli

Donato Emilio Andrioli

チューダー ブラックベイ41という機械式時計を始めて買って以来、機械式時計の虜になってしましました。特に、古くて感動的な歴史を持つアイコン時計が大好きです。

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