カルティエ サントスは世界有数の歴史を持つアイコニックな時計である。ソーシャルメディアでの高い認知度と安定した価格のおかげで近年特に人気が高い。この記事ではサントスの最近の大型モデルをデザイン、サイズ、品質から技術的特徴、長所・短所、価格など、あらゆる観点から詳しくご紹介し、最終的には「カルティエ サントスは今でも購入する価値があるのか、それとももはや時代遅れなのか?」という問いに答えを出そうと思う。
カルティエ サントス:デザインとその歴史
カルティエ サントスはその独創的なデザインと、1904年にまで遡る長い歴史が特徴だ。発明家であり航空分野のパイオニアでもあったアルベルト・サントス=デュモンは、飛行船での航行中、当時一般的だった懐中時計の読み取りが難しいと感じていた。そこで、友人のルイス・カルティエは彼のために飛行中の使用に適した、手首に着ける時計を開発し、「サントス」を完成させた。これがその後デュモンと飛行の冒険をともにする世界初のパイロット用腕時計となったのである。1911年にカルティエ サントスの量産がスタートし、一般販売が始まった。その後の歴史は改めてここで語るまでもない。大型モデルはオリジナルの本質を失うことなく、デザインを現代的にアレンジしている。シンプルな白文字盤のモデル、カラーバリエーション、そしてアンスラサイト(グレー)ダイヤルのモデルも展開され、クラシックなデザインにモダンな要素が加えられている。角を丸めた長方形のケースやローマ数字が特徴的な文字盤は、オリジナルのデザインを忠実に再現している。ADLC(非晶質ダイヤモンド風カーボン)コーティングが施されたベゼル付きモデルについて少し詳しく見てみたい。このモデルではサンバースト効果が伝統的なデザインに現代的なアクセントを加えている。また、リューズには通常のロイヤルブルーのスピネルに代わってブラック シンセティックスピネルが使われており、このバージョンの特別感を際立たせている。

サイズ
独特なケース形状にもかかわらず、ドレスウォッチとしても日常使いとしても着けられる、モダンなオールラウンダーである。ケースの長さは47.5mm、幅は39.8mm、厚さは9.38mmだ。非常にスリムで、ロレックス デイトジャストやパテック フィリップ ノーチラスなどのモダンなオールラウンダーと同様に手首に着けた装着感も申し分ない。腕周りのサイズが17cmの人が着用すると大きめに見えるが、バランスの取れた印象を与える。ケースの形状が手首に馴染みやすく、存在感がありながらもどっしりしすぎることはない。ただし、17cm未満の細い手首にはやや大きく感じられる可能性がある。16.5cm以下の細い手首には、オリジナルデザインに近いミディアムモデルを選ぶと良いだろう。

カルティエ サントス:技術
ケース、文字盤、ベルトのデザインはユニークで認知度が高く、手首に着けると非常に魅力的に映るが、技術面はどうだろうか?カルティエは時計よりも高級ジュエリーのブランドとしてよく知られているが、それに騙されてはいけない。内蔵の自動巻きキャリバー 1847 MCは自社製で、日付表示機能と最高1200ガウスの耐磁性を備えている。40時間のパワーリザーブは現代の基準からすると短いように思えるかもしれないが、防水性能が100mというのは大きな特徴だ。サントスは丈夫で日常使いに適しているため、さまざまなシーンで使用できる。もちろんサファイアガラス風防も装備している。カルティエが伝統的な外観と現代のテクノロジーをいかに巧みに融合させているかは、ブレスレットを見ると特に良く分かる。ロレックスやパテック フィリップなどの伝統的な時計メーカーはデイリーな快適さを求める機能に抵抗しがちだが、カルティエは違う。たとえば、ツールなしでブレスレットを交換できる「クイックスイッチ」システムや、やはりツールなしでブレスレットの長さを調整できる「スマートリンク」システムといったさまざまな革新技術を提供し、伝統と革新が必ずしも相反するものではないことを見事に示している。このようにカルティエが購入者に提供する快適性は他社も手本とすべきだ。おかげで付属のラバーストラップも手軽に試すことができる。

カルティエ サントス:品質
カルティエ サントスのような時計を購入する際、品質は重要なポイントとなる。頑張って働いて稼いだお金を使うのだから当然だろう。カルティエ サントスの品質は卓越しており、この価格帯の他の有名な時計ブランドに匹敵する。着用時だけでなく、手に持った際の感触も心地よい。ポリッシュ仕上げやサテン仕上げのパーツや、モデルによってはADLCコーティングが施されたスチール素材の組み合わせは、あらゆる点で満足度が高い。ケースとブレスレットの仕上げは見事で、高級腕時計に時計愛好家が期待する通りの優れた装着感を提供し、見た目も美しい。傷がつきやすいかどうかといえば、答えはイエスだが、それはロレックス デイトジャストや、それ以外のポリッシュ仕上げのベゼルを持つすべての時計に当てはまることだ。それで時計の価値が損なわれるわけではなく、均一に生じる経年変化(パティーナ)はカルティエ サントスのような高級時計にも個性を与える。一方で、ADLCコーティングが施されたベゼルのバージョンは比較的傷がつきにくい。
カルティエ サントス:価格推移
伝説的なパイロットウォッチであるカルティエ サントスの価格推移はどうなっているだろうか?カルティエは近年、時計メーカーとしての人気が急上昇しており、現在は時計愛好家の間で注目されている。特に人気なのがカルティエ サントスだ。このエレガントなオールラウンダーは2024年に約5%の価格上昇を記録し、2020年から現在までの期間で見れば実に33%も価格が上昇している。最近の中古モデルでも約100万円という価格のため、予算が限られている時計趣味初心者にも適したモデルと言える。

カルティエ サントス:まとめ
メーカー希望小売価格約130万円のカルティエ サントスは、他の多くの高級時計ブランドのアイコニックなモデルと同程度の価格設定となっている。ADLCコーティングのベゼルではない大型モデルや、日付表示のないミディアムモデルならば125万円未満で購入可能であり、やや手頃な価格帯に収まる。また、市場では最近の中古モデルが100万円以下で入手可能だ。ここで重要なのは「伝説的なカルティエの時計は今でも価値があり、購入するに値するのか?」という点だが、筆者の答えは明確だ。カルティエ サントスは世界初のパイロットウォッチとして、驚くほど長くエキサイティングな歴史を持ち、独特なデザインが現代にも見事に受け継がれる唯一無二の時計である。優れた品質に加え、多くの高級時計ブランドが避ける傾向にある実用的な革新を敢えて取り入れ、装着感をさらに向上させている。カルティエ サントスは2025年になった今もその魅力を失っておらず、今後もそれは変わらないだろう。