400万円の資金で、ロレックスのウォッチコレクションを3本揃えてみよう。あなたならどのモデルやリファレンスを選ぶだろうか。筆者はモダンなロレックス2本とアンティークモデル1本を選んだ。これ以上互いに違うものはないだろうという3本で、変化に富んだ組み合わせだが、互いのバランスがいい。さまざまなものを手に入れたがるコレクターのニーズにも応えてくれる。つまり、日常生活用のスポーティーな定番、特別な日のための上品な定番、そして、過小評価されているノーマークのロレックスだ。
デイリーユース向きのロレックス
他の人のことはわからないが、もし筆者がコレクションを組み合わせるとしたら、絶対に外せないモデルがある。ロレックス サブマリーナだ。400万円以下のロレックスウォッチコレクションに3本選ぶ今回は特に、これは絶対外せない。この定番デザインの時計は、どのバリエーションも素晴らしい出来栄えだが、個人的にはノンデイトのバージョンに魅力を感じる。理由のひとつは、ノンデイトがサブマリーナの真の意味でのオリジナルバージョンだからだ。ロレックスはこのダイバーズウォッチを最初から日付コンプリケーションを搭載せずに設計していた。もうひとつの理由は、初心者の時計コレクターでも、この時計なら毎日身につけることができて、何にでも合い、1954年に発売されて以来、流行から外れたことのないデザインを手に入れることができるからだ。これほどクラシックなデザインなのだから、これから先の67年間もそれは変わらないだろう。
日付表示という実用的な機能はないが、その代わりに何度も手首を見たくなるような完璧なシンメトリーの文字盤が手に入る。これは先に言っておくが、コレクションの2つ目の時計はノンデイトのサブマリーナとはまったく対照的に、象徴的な日付拡大レンズを搭載したモデルだ。さて、筆者があなたのために選んだのは、サブマリーナのどのリファレンスだろうか。筆者はRef.14060のいわゆる「ツー・ライナー」もとても好きなのだが、結局、モダンなRef.114060にした。まず第一に、この6桁リファレンスはしっかりとしたケースとブレスレットを備えた、現代にふさわしい時計であり、第二に、コレクターの目から見ても、非常に興味深い時計だからだ。このリファレンスは8年しか生産されなかったが、日付入りのバージョンはそのあとも2年長く生産された。また、妥協のないケースデザインは、すべての時計コレクターから支持されているわけではなく、そこがこのバージョンにある種の希少価値を与えている。しかし、まさにそれが理由で、ロレックスは最新のバージョンで妥協のないデザインから一歩後退した。筆者自身はサブマリーナのこのリファレンスは、将来的にロレックスのコレクターの間で人気が高くなると確信している。とても保存状態の良い114060のフルセットは170万円前後で購入できる。運がよければ、あるいはボックスや書類がなくてもよければ、もう少し手頃な値段で手に入るだろう。
特別な日のための、洗練されたロレックス
2つ目の時計は、サブマリーナに負けず劣らずアイコニックで、ロレックスコレクションには外せないもの。もちろん、デイトジャストのことだ。中でも今回はクラシックなサイズの36mm径を選びたい。洗練された外観とスモールサイズが、1本目に選んだサブマリーナとはまったく対照的だ。また、今ではロレックスのトレードマークとなっている、人気の日付拡大鏡が我々のコレクションに加わることになる。ロレックスウォッチコレクション3本の価値がこれで一気にあがり、変化に富んだ顔ぶれになる。
筆者はデイトジャストを、コレクションの中の特別な日のための少し洗練された時計と位置付けているが、その気なら特別なときが来るのを待たずに、毎日この時計を身につけることもできる。これこそが、筆者の目にはデイトジャストが特別な存在に映る理由だ。つまり、「ドレスウォッチ」と普段使いの間でバランスがとれていて、コレクターが他を探してもなかなかこういう時計は見つからない。技術的な改良はあるが、デイトジャストはこの数十年間ほとんどその外観を変えていないアイコニックな時計であり、それは変わることがないだろう。だからこそ、安心してアンティークモデルにも手を伸ばすことができるのだ。選択肢が非常に多いので、ここでは特定のリファレンスを提案するつもりはない。年代もので手頃な値段のプレキシガラス付き1601から、新しいモデルの16234まで選択肢は本当に幅広いのだ。また、16234はサファイアガラスを採用し、全体的な品質が上がっているため、デイトジャストのエキゾチック・バージョンであるオイスタークォーツや、映画『アメリカン・サイコ』にも登場した伝説的なコンビカラーの16013などの新しいモデルに驚くほど近い。90万円以下の予算でも、デイトジャスト36の中から自分の好みのモデルが見つけられるし、文字盤カラーの選択肢は無限のようにあるのだから、自分のライフスタイルや生活習慣に一番合うデイトジャストを選べば良いだろう。
ノーマークだったロレックス
3本目の時計は控えめなキャラクターで、だからこそ我々のロレックスウォッチコレクションに必要なものだ。ここまでで選んだ2つの定番は、時計の知識がなくても、誰が見てもすぐにそれとわかるほど再認知度の高いモデルだ。これから時計のコレクターになろうというあなたなら、おそらくなおのことだろう。筆者の個人的な経験では、日常生活の中でどの時計を身につけているかは、幸いなことにあまり重要ではないのだが、それでも、時計を身につける者にとっては、自分が確実に目立たないとわかっている方が安心できるシチュエーションがしばしばある。オイスター パーペチュアル 39 Ref.114300を購入すれば、特にその控えめさが魅力の新しい6桁リファレンスを、400万円以下で揃える我々のコレクションに加えることができる。新しく登場した文字盤色のうちのいくつかのカラーの後継モデルが今話題になってはいるが、通常オイスター パーペチュアルは、ロレックスの他のもっと人気のあるモデルの影に隠れてむしろ目立たない時計だ。
しかし、本当はそんな役割に甘んじている必要はないのだ。有名なモデルと同様に素晴らしい歴史があり、むしろもっと重要だと言えるかもしれない。オイスターパー ペチュアルは、ロレックス社が「オイスターの真髄」と表現しているように、ロレックスの時計の基本的特徴を備えたモデルなのだ。同社のほとんどの時計がこの名を冠しているのにも意味がある。「オイスター」は防水性ケースを、「パーペチュアル」は自動巻きムーブメントのローターを意味し、1932年に発売された初代オイスター パーペチュアルからずっと搭載されている。技術的には常に進歩していても、全体のデザインはまったく変わらないことがロレックスの魅力なのであり、控えめでどんなシーンにもマッチする。オイスター パーペチュアル 39 Ref.114300の非常に保存状態の良いモデルは、90万円前後から120万円前後で取引されており、文字盤の色も複数の選択肢から選ぶことができる。もしクラシックな文字盤が好みなら、ブラックかブルーを選ぶといいだろう。斬新なものが好みなら、人気の高いロジウムの文字盤に明るいブルーのアクセントが入ったモデルをお薦めしたい。もっと洗練された上品なデザインが好みの方には、かなり珍しい白文字盤を探してみるか、あるいは奇抜な「レッドグレープ」の文字盤など、これまでにないまったく新しいものに挑戦してみるのをお薦めする。これは時代を超越した普遍的な時計であり、どの色を選んでも目立ちたくない時には最適なパートナーだ。そして、サブマリーナ、デイトジャストと組み合わせれば完璧なトリオができあがり、我々のロレックスコレクションが完成する。