2022年05月12日
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650万円でそろえられるお薦めのロレックスウォッチコレクション3本

Jorg Weppelink
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ここ数年を文明社会から離れて暮らしていた人でもないかぎり、ロレックスの時計の価格が高騰していることをご存知だろう。お気に入りのロレックスを1本購入するにも、投資目的でロレックスを買うにも、はたまたコレクションをそろえるためにも、相当な額の現金を用意する必要がある。昨年、Chrono24マガジンの記者、ドナート・アンドリオーリは400万円でそろえられるお薦めのロレックスウォッチコレクション3本についての記事を書いた。ロレックスウォッチの価格がさらに高くなってしまったことから、今年はその金額を1段階上げたいと思う。というわけで、650万円でそろえられるお薦めのロレックスウォッチコレクション3本を選んだ。確かに、これは大部分の人にとって時計に費やすことなどできない膨大な金額ではあるが、考えてみるのに害はない。また、これくらいの資金を実際に持っている人には、ぜひともこの記事をインスピレーションとして、このリストにさらに1、2本ロレックスモデルを加えていただきたい。このジュネーブ産ブランド有数の有名なタイムピースにも、あまり知られていないバージョンがあることに驚くかもしれない。

ロレックス1本目:モダンな普段使い用

ドナートと同じように、私もこの3本ウォッチコレクションについて一考したい。時計コレクションを選ぶということはしばしば個人的な好みの問題であるものだが、確かにテーマに注目したり、選択の中である程度のバランスをとることは間違いなく面白いことである。1本目の時計として、私はモダンな普段使い用の時計を選びたい。これは仕事から遊び、フォーマルからカジュアルまで、どんなシチュエーションも楽々とこなせるロレックスでなくてはならない。ステンレススチール製のロレックススポーツウォッチ、例えばロレックス GMTマスター Ⅱ “ペプシ” なら、ほぼどんな場面にもフィットするので完璧だろう。アイコニックなペプシベゼルを持つロレックス GMTマスター Ⅱを選ぶことのマイナス面は、Chrono24でのスタート価格がおよそ330万円と、予算の半分(あるいはそれ以上)が軽々となくなってしまうことである。現行のロレックス サブマリーナも素晴らしいチョイスとなるだろうが、こちらはむしろ明白すぎるとも言える。それに、ドナートがすでに彼の記事にこのモデルを入れているので、私としてはこれは避けざるを得ない。いや、ここ数年で私が本当に感動したモダンなロレックスは、シルバーダイヤルのロレックス オイスター パーペチュアル 41 Ref.124300だ。

過去数年間で最も人気の高いロレックス オイスター パーペチュアルは、もう生産が中止されてしまったカラフルな文字盤のものなのだが、こちらの方こそが私にぴったりの時計である。それは何にでも対応可能なルックスで、美しいトーンの文字盤はゴールドのアクセントと相まって、信じられないほどスタイリッシュだ。それがこの時計に、幅広いシチュエーションにおいて見事にふさわしい存在感を与えている。その一種の控えめと言っていいようなルックスは上品で、しかし普段使いとしては十分な万能性がある。よりカラフルなオイスター パーペチュアルに比べてこのモデルが持つもうひとつの強みは、ずっと手頃な価格で入手できるということである。Ref.124300のこのバージョンは、ボックスと書類付きの新品で、約130万円〜160万円ほどの間で購入できる。これなら、予算を大幅に費やすことなく、完璧な普段使い用の時計を手に入れられるのだ。

The Rolex Oyster Perpetual with a silver dial – the perfect daily wearer
完璧な普段使い用時計 – シルバーの文字盤付きロレックス オイスター パーペチュアル

ロレックス2本目:パーフェクトなアンティークアイコン

次のお薦めは、私の個人的なお気に入りであり、最近注目を再び浴びるようになったモデルだ。Watches & Wonders 2022において、チューダーは新しいスチール&ゴールド製のブラックベイ GMTを発表した。その時計は、過ぎ去りし日のアイコニックなロレックス GMTマスター “ルートビア” モデルによく似ていた。チューダーはアンティークなルックスと現代のテクノロジーを完璧に組み合わせてみせたが、この場合には、オリジナルに勝るものはない。ロレックス GMTマスター “ルートビア” モデルは複数の異なるリファレンスナンバーで製造された。言うまでもなく、優れた時計だがアンティークモデルの持つ魅力と存在感には欠ける、現行のGMTマスター Ⅱ Ref.126711CHNRがある。そのことを念頭に置いて、私は1970年代あるいは1980年代の初期のGMTマスター “ルートビア” を選びたい。それはロレックスがスチールとゴールド製のGMTマスター Ref.1675/3、“ルートビア” として知られるようになる初めてのモデルを発表したときである。時とともに、この時計は “タイガーアイ”、あるいは有名俳優が愛用しているのがしばしば見かけられたために “クリント・イーストウッド” としても知られるようになった。

ロレックスはすでにブラウンの文字盤を持つ金無垢のGMTマスターを生産していたが(この時計もまた素晴らしい)、Ref.1675/3こそがスチールとゴールド製でブラウンのダイヤルおよびブラウン&ゴールドのコンビベゼルを持つ最初のリファレンスだった。このモデルには際立ったゴールドのアワーマーカーが付いており、そのために文字盤にも “ニップルダイヤル” というニックネームが付いた。最後に、購入者はオイスターまたはジュビリーどちらかのブレスレットから選択できる。本当に豪華なものが好きで、最大限に輝かしい栄光のルートビアが欲しいのなら、ジュビリーブレスしかない。 “ルートビア” を探していると、1970年代の初代Ref. 1675/3か、その後継モデルである1980年代のRef.16753という選択肢が出てくる。アップデートされたムーブメントとその生産品質を考慮して、私なら後者を選ぶだろう。それは見事なアンティークロレックスで、典型的な80年代の優雅さとスタイルがにじみ出ている。チューダーとロレックスの現代バージョンはどちらも、オリジナルの持つスタイルと魅力にどうしても及ばない。Chrono24で探してみると、ロレックス GMTマスター Ref.16753を195万円前後で購入できるようである。一部の他のアンティークアイコンの価格を考えれば、これは非常にお手頃な価格だ。しかも、新しいコンビのチューダー ブラックベイ GMTがリリースされたおかげで、このモデルの価値は上昇する可能性が非常に高い。というわけで、これはどんな意味でも勝者である。

A 1980s Rolex GMT-Master "Root Beer" – the perfect vintage pick
パーフェクトなアンティークの選択肢、1980年代のロレックス GMTマスター “ルートビア”

ロレックス3本目:究極のワイルドカード

ロレックス オイスター パーペチュアルとロレックス GMTマスター “ルートビア” の金額を合計すると、最後の1本に費やせるのは約300万円ほど。そのお金でもって、私は究極のロレックス、あるいは究極のラグジュアリーステートメントとさえ言えるものを選びたい。それはロレックス デイデイト。なかなか信じがたいことではあるが、金無垢のロレックス デイデイトがステンレススチール製のロレックス デイトナやGMTマスターよりも安い金額で買えるのだ。この予算金額では、シャンパンダイヤルとバトンアワーマーカーが備わる18Kゴールド製のロレックス デイデイトを購入できる。確かに多くのダイヤルカラーに加えてダイヤ付きやローマ数字などのバリエーションがあるが、そういったものはやめて、ぜひオリジナルを選びたい。

では、なぜこのRef.18238はそんなに素晴らしいロレックス デイデイトのリファレンスなのだろうか?実は、このモデルは簡単に曜日と日付の表示を調整できるダブルクイックセット機能を持つ初めてのデイデイトなのだ。これは調整するときに際限なくリューズを回し続けなくてすむという非常に便利な機能である。これは1988年に、ロレックスの当時の新キャリバー3155によって可能となった。多くのロレックスファンが、ダブルクイックセット機能はデイデイトにとって必要不可欠と考えており、そのためにRef.18238はまさに素晴らしい買い物なのだ。しかし、ブレスレットのコンディションをチェックすることをお忘れなく。私としてはブレスレットが新品同様のものを探すことをお勧めする。そういうものは必ず存在するのだ。デイデイト Ref.18238は2000年まで生産されていて、約300万円あればたくさんの選択肢がある。それではその後継モデルであるデイデイト Ref.118238にしたらどうだろうと思っているかもしれない。その方がより新しいではないか?と。それは正しい。それはクラスプとブレスレットがアップグレードされているが同じムーブメントを使用する、もうひとつの素晴らしいチョイスだ。残念なことに、今回の予算額の中でおさめるにはかなり見つけるのが難しいのだ。反対にアイコニックなRef.118238は300万円前後で簡単に見つかり、実際に良い状態のものを入手してこの先何年も愛用することが可能なのだ。どのみちパーフェクトなデイデイトを一旦見つけたら、それを手放すことなどしないだろうが。それは究極のラグジュアリーステートメントたるロレックスである。

The Rolex Day-Date ref. 18238 – THE vintage luxury watch
ロレックス デイデイト Ref.18238 – 真のアンティークラグジュアリーウォッチ

というわけで、ロレックスの時計3本に650万円を費やす最高の方法をご紹介した。言うまでもなく、好みによって他にもたくさんの組み合わせが存在する。実際に650万円を費やせる人が、素敵な時計に巡り合えるよう願っている。


記者紹介

Jorg Weppelink

こんにちは、ヨルグです。2016年からChrono24で記者として執筆しています。しかし、Chrono24との関係はそれ以前からあって、時計好きになったのは2003年頃からです。私の友人 …

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