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時を超える挑戦:真の高性能機械が刻んだ7つの世界記録の物語

Chrono24 著
2021年6月16日 | 更新日: 2025/04/20
8 分
World Record watches

7つの時計、7つの世界記録

ロレックスやパテック・フィリップなどの高級時計は、その美しさや人気だけでなく、驚異的な技術力で時計史に革命をもたらしてきた。時の限界に挑み、不可能を可能にした真の高性能機械たちである。ここでは、7つのモデルが記録を打ち破り、時計界の歴史に永遠に名を刻んだ伝説的な時計たちをご紹介する。

目次

第7位 ヴァシュロン・コンスタンタン: 世界一複雑な時計

複雑であるほど優れている―少なくとも多くの時計愛好家はそう考えている。大手ブランドはさらに多くの機能を搭載することで互いにしのぎを削っているが、コンプリケーションに関してスイス時計メーカーのヴァシュロン・コンスタンタンと張り合うことのできるブランドはほとんどいない。18Kホワイトゴールド製ダイバーズウォッチのRef.57260は、閏年表示、日の出・日没時刻表示、グレゴリオ暦とユダヤ暦の永久カレンダーを含む、57もの複雑機構を搭載。特に注目すべきは3軸トゥールビヨンで、これは1分間で3軸を1回転し、トゥールビヨンのキャリッジの中で回転するヴァシュロン・コンスタンタンのマルタ十字のロゴが15秒ごとに完全な姿を現す。この時計製造における芸術作品を手に入れるには、おそらく10億円ほどの資金を用意しなければいけないだろう。 

第6位 ピアジェ: 世界最薄の機械式時計

ピアジェは何十年にもわたって極薄ウォッチの分野を先導している。
ピアジェは何十年にもわたって極薄ウォッチの分野を先導している。

ピアジェのアルティプラノ アルティメート コンセプトを手にとった時計愛好家の何人かは、「これはコイン?それとも本物の時計?」と自問することだろう。この時計のケース厚はわずか2mmで、ムーブメントはケースと一体化している。そして、特別に設計されたリューズはケースに格納されており、それがアルティプラノ アルティメート コンセプトに非常に特別なデザインを与えている。この時計を身に着ければ、人々の羨望の眼差しを集めることは間違いない。しかし、それよりもわずかに厚みがあるピアジェ アルティプラノ ウルトラシンも素晴らしい時計である。 

第5位 パテック フィリップ: 世界で最も高価な高級時計

Chrono24でも、グランド・コンプリケーションを搭載するパテック フィリップの価格は1億円を超えている。
Chrono24でも、グランド・コンプリケーションを搭載するパテック フィリップの価格は1億円を超えている。

パテック フィリップ グランドマスター・チャイム Ref. 6300A-010は世界で最も高価な高級時計である。この貴重な時計は一点物で、2019年にクリスティーズにて3100万スイスフラン (約34億円) で落札され、匿名のオーナーの手に渡った。この時計と比べると、2017年にフィリップスにて約1750万ドル (約20億円) で落札されたポール・ニューマンが所有していた伝説的なデイトナでさえもが、ほとんど「お買い得品」であるかのように感じられてしまう。 

第4位 ロレックス: エベレストに初めて登った時計

ロレックス?それともスミス?エベレスト初登頂に成功した登山家のエドモンド・ヒラリー卿は、熱心に時計を宣伝した。
ロレックス?それともスミス?エベレスト初登頂に成功した登山家のエドモンド・ヒラリー卿は、熱心に時計を宣伝した。

いつになったらロレックスが登場するのか、と思われていたことだろう。ロレックスは何十年も前からアスリートや野心的な冒険家に同社の時計を提供しており、1953年についにエベレスト山頂、または少なくともその近くまで到達した。エドモンド・ヒラリー卿は「山頂まで着用していた」という宣伝文句でライバルブランドであるスミスの宣伝を行ったが、エドモンド・ヒラリーと同行していたシェルパのテンジン・ノルゲイが実際に着用していた時計は何だったのだろうか?それを知っているのは、おそらくこの2人の登山家だけ。しばらくしてスミスは姿を消したが、ロレックス オイスターパーペチュアルとその後継機であるエクスプローラーにとって、「世界の屋根」は間違いなく成功への扉となった。そして、今年のWatches & Wondersと新作エクスプローラーの発表はこの歴史を再び記憶に蘇らせてくれるものであった。エドモンド・ヒラリー卿が実際にロレックスを愛用していたのかどうかは、さして問題ではない。 

第3位 ブライトリング: 熱気球で世界一周

ピカールとジョーンズは1999年にブライトリングを身に着けて熱気球で世界を一周した。
ピカールとジョーンズは1999年にブライトリングを身に着けて熱気球で世界を一周した。

スイスの老舗時計ブランドであるブライトリングは、1999年に精神科医師であるベルトラン・ピカールとブライアン・ジョーンズと共に史上最長飛行記録を作り、そして何よりも世界初の熱気球による世界一周を成し遂げた。ケロシンと熱気よる複合型の「ブライトリング オービター 3」に乗った2人の冒険家は、約20日間かけて4万814kmもの距離を飛行した。ピカールとジョーンズは腕に巻かれたブライトリング ナビタイマーによって、上空55mにおいても現在飛行している場所のタイムゾーンを正確に知ることができた。2019年、ブライトリングはこの世界一周飛行20周年を記念して、コックピット B50のスペシャルエディションを発表。この時計は現在の冒険家や時計の着用者に、20世紀最後の大冒険を思い出させてくれる。 

第2位 ロレックス VS オメガ: 地球で最も深い場所への潜水

トリエステ号に取り付けられたディープシーは、水深約1万1000メートルまで潜水した。
トリエステ号に取り付けられたディープシーは、水深約1万1000メートルまで潜水した。

スイス最大の時計ブランドは世界で最も高い場所だけでなく、深い海底にも到達した。ロレックスとオメガは世界最深の潜水記録を巡る競争において絶えず接戦を繰り広げているが、最初に記録を打ち立てたのはロレックスであった。1960年1月23日、トリエステ号は米国海軍大尉のドン・ウォルシュとスイス人海洋学者のジャック・ピカールを乗せて、水深1万916mのマリアナ海溝の海底まで到達。この記録はその後約60年間も破られることはなかった。そして、この潜水艇の外側に取り付けられた、特徴的なプレキシガラスを搭載したロレックス ディープシー スペシャルはこの潜水に耐え抜いた。その後、ロレックスのダイバーズウォッチシリーズ、シードゥエラーとサブマリーナは時計業界で大きな成功を収めることとなった。 

オメガは2019年になってようやくトリエステ号とロレックス ディープシー スペシャルの記録を破ることに成功した。アメリカ人冒険家ヴィクター・ヴェスコヴォのチームは最新の技術を用いて1万928mのマリアナ海溝の最深部を探り当て、潜水艇に乗り込み、深海潜水用のオメガ シーマスターと共に西太平洋の深海へと潜った。そして、この時計も潜水に無事耐え抜いた。それによって、このおそらく世界で最も有名な2本のダイバーズウォッチはその性能と品質を証明してみせたのだ。 

しかし、実のところ技術的に最も高い防水性能を持っているのはあまり有名でない時計、H2O ウォッチ カルマー 2 オーシャンタイムなのである。この北ドイツの小さな時計メーカーはラボでの試験において水深2万5000mにおける水圧に持ちこたえた、極めて高い耐圧性を持つ時計を作り出した。残念なことに、地球上にこのような水深を持つ場所は存在しないため、この世界記録を持つ時計はラボでの実験で満足しなければいけないのである。 

第1位 オメガ: 初めて月に行った時計

オメガ スピードマスターは今でもスペースウォッチとして見なされている。
オメガ スピードマスターは今でもスペースウォッチとして見なされている。

1969年の月面着陸を抜きにして、時計の歴史も人類の歴史も語ることはできない。人類が史上初めて月面に降り立った時、ニール・アームストロングがオメガ スピードマスターを宇宙船内に残していたのだとしても、43のエングレービングが施された「ムーンウォッチ」は、その少し後にバズ・オルドリンの腕に巻かれて史上初めて月面に降り立った腕時計となった。この歴史的出来事はオメガによってこれまで無数の広告キャンペーンに利用されてきた。しかし、宇宙への有人飛行ミッションのために、NASAによって白羽の矢が立てられたと主張できるブランドが他にいるだろうか?また、スピードマスターは史上初めて月に行った時計というだけではなく、最も多くテストされている時計でもある。 

オメガほどの宣伝効果があるわけではないが、宇宙を旅した時計は他にも存在する。例えばドイツの物理学者であるラインハルト・フラーのジン 140.A LE、有名なセイコーファンであり米国の宇宙飛行士でもあるウィリアム・ポーグのセイコー “ポーグ” Ref. 6139、フォルティス B-42 コスモノート、およびブローバ ムーンウォッチである。しかし、どのモデルも現在新型キャリバーを搭載して提供されている「ムーンウォッチ」ほどの成功を収めることはできていない。 

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