ベビーブーマー、ジェネレーションX、Y、Z。どの世代にもそれぞれを代表する人気の高級時計があることが、今年の初めに行われた2018年まで遡る広範なデータ分析によって明らかになった。すべての世代において等しく人気を得ている時計もあるが、人気のブランドに関しては各世代によって異なり、ロレックスを好む世代とオメガを好む世代に分かれている。
この少々変わった分析において、各世代の価値観、人格構造、消費者行動に関するその他多くの興味深い発見があった。そして、各世代の結果はそれぞれのステレオタイプを裏切らないものであった。そのため、この記事ではそれらを皮肉とユーモアを交えて紹介したい。
注意:この記事には皮肉な表現が含まれている可能性があります。
仕事人生、節約、遺贈のために生きるベビーブーマー
第二次世界大戦直後から1960年代中頃までに生まれた世代はベビーブーマーと呼ばれている。ベビーブーマーの現在の年齢は50代後半から70歳中頃の間にある。少年時代と青年時代は、キューバ危機やベトナム戦争に遭遇した。高度経済成長、バブル景気も経験した。とんでもなく昔の話である。父親は仕事第一で、家事と育児は母親が担っていた。そして、ベビーブーマーは今の豊かさを築き上げた功労者でもある。
この世代は会社に人生を捧げた代わりに、「終身雇用」と「年功序列」という人生設計を描くことができた。上司の指示は絶対である。与えられた仕事を忠実にこなし、休みなく働き続ける仕事の虫として出世の階段を登っていった。
Chrono24が収集したデータの分析によると、ベビーブーマーが所有している時計はロレックス GMTマスター II(Ref.16710)またはサブマリーナ デイト(Ref.16610)。もちろん、この両方の所有者であることもありえる。ベビーブーマー世代でこのロレックスモデルのどちらも持っていなければ、それは統計から大きく外れた存在である。この世代の消費者行動は、優れた品質、贅沢、地位の獲得を特徴としており、大手高級品企業グループの一部不誠実なマーケティング戦略に弱い。
これで、ベビーブーマーが高級車に乗り、少なくとも上に挙げたロレックスのどちらかを所有しており、もし所有していないとしたら、この記事を読んだ後すぐに探し始めるに違いない理由を理解していただけたと思う。だから、安心して約175万円で状態の良い中古のGMTマスター II、または約215万円でサブマリーナ デイトを購入してほしい。その時計を相続する世代があなたに感謝することは間違いない。
ジェネレーションX ひねくれたニヒリスト
1965年から1980年の間に生まれたひねくれたニヒリスト。それがジェネレーションXである。この言葉は1950年代初頭からあるのだが、この世代の性格的特徴を表す言葉としては1990年代に出版されたダグラス・クープランドの同名の小説によって初めて有名になった。
ベビーブーマーではまだ理想主義や豊かさなどの価値観が中心となっていたが、ジェネレーションXの価値観は第一に個人主義や快楽主義、そしてニヒリズムに影響を受けている。熱心に働き、険しい出世の道を進む代わりに、実用主義と高い生活の質を実現することが人生における重要な位置を占めている。新しいモットーは「生きるために働く」。この態度は仕事と生活のバランスをうまく取ることを目的とする「ワークライフバランス」という概念にも影響を与えた。ベビーブーマーからは怠惰であるとか、やる気がない世代と言われることもある。しかし、ジェネレーションXはすでに高度な技術を持っており、日々の仕事において後期工業化が終わる頃の機械のリズムに合わせて作業する必要はほとんどなくなったのである。
そんなジェネレーションXの愛用する時計はロレックス エクスプローラー II(Ref.16570) である。価値観や人格構造、日々の仕事がベビーブーマーと比較して大きく変わった一方で、この新世代の購買行動は旧世代と比べてほとんど変化していない。
この分析結果は正しいように思われる。なぜなら、筆者もこの時計を持っていたのだが、なぜこのようなシンプルな時計が数十万円もするのだろうかという疑問が湧き、数年前に手放してしまったのだ。現在、中古のロレックス エクスプローラー II Ref.16570の平均価格は120万円ほどで、5年前と比べて倍の価格が付けられている。ジェネレーションXが高い購買力とはっきりとしたブランド選好を持っていることを鑑みれば、この高い価格もうなずけるだろう。
ジェネレーションY–無計画で自分勝手な戦術家
現在24歳から42歳の間にある人々はミレニアル世代で、ジェネレーションYとも呼ばれている。ジェネレーションYは絶えず行動の意味を探し求め、あらゆることに問いを投げかけるため、皮肉屋のジェネレーションXはこの新しい世代を「Generation Why?」とも呼んでいる。それと同時に、安全・安心への強い欲求も持っている。この世代の高い教育を受けた人々は、前の世代に比べて楽に大学を卒業している。これが教育レベルの低下によるものなのかどうか、ここではなんとも言えない。危険を恐れないジェネレーションXとは対照的に、ジェネレーションYはベビーブーマーと同じくリスク回避、俗物根性、完璧主義、固定されたルールへの志向を特徴としている。
この世代は安定を求めているため、チームワークと特定のグループへの所属に主眼を置いている。また、これは前の世代よりも、さまざまなSNSを通じたネットワーキングを重視している理由でもある。ジェネレーションYはいつでもオンラインであるため、時計探しも正規販売店のショーウィンドウではなく、インスタグラムやその他の有名なオンラインプラットフォームで行い、そこで発信されている情報を盲目に信じていることが多い。
この世代のモットーは「仕事と生活を結びつける」。これを実践しようと試みる一方で、楽しみ、柔軟性、フラットなヒエラルキーも非常に重視している。しかし、この生活態度はかなりのアドリブも要求し、ちゃらんぽらんな印象も与える。自由と独立、そして不確かな未来への道を目指す努力は、自分勝手な戦術家として知られているジェネレーションYの副作用である。重要な決定は、自分自身にとっての利点と欠点のみを考慮して下される。
Chrono24のデータによると、ジェネレーションYの愛用している時計はオメガ スピードマスター プロフェッショナル ムーンウォッチ(Ref.311.30.42.01.005)。ジェネレーションYでこの時計を持っている方は、上記のすべてのステレオタイプに当てはまっているはずだ。ともかく、ムーンウォッチは純粋に技術的に見て61万円の価格に見合う、数少ない象徴的なカルトウォッチの1つである。
高級時計で世の中をより良くするジェネレーションZ
今回の最後の世代はジェネレーションZ。この世代の人々は1997年から2012年の間に生まれた。ユーチューバーやインフルエンサーになるためのコースを修了し、SNSで「いいね」の数を追い求めている。ジェネレーションZはデジタルネイティブとしてデジタルツールに囲まれて育ち、物心ついた時からスマートフォンに慣れ親しんできた。
この世代が世の中をよくする主な方法はWhatsAppグループやハッシュタグ。もしこの方法がうまくいかなかったら、友人たちと一緒に道路に座り込み、すでに免許を持っている前の世代の人々を怒らせる。この悪い人たちは40歳以上で大抵の場合は高齢の白人男性。彼らが若い世代の正義への飽くなき渇望を妨げるのだ。「WOKE」運動の支持者として独断的で政治的に正しい行動を取り、ユーモアに乏しく、とりわけジェネレーションXの皮肉な性格に対しては強い嫌悪感を持っている。
ジェネレーションXが作った「ワークライフバランス」や「ホームオフィス」という言葉は、この世代にとって搾取と同義語である。デジタルノマドにとって、仕事場は今いる場所なのである。労働時間規制など、まったく無縁の世界の話なのだ。
ジェネレーションZにとって物質的な豊かさや所有は大事ではない。物質によって人生が豊かにならないことは、ジェネレーションXとYから学んだ。ベビーブーマーという世代があることは、せいぜい祖父母の話で聞いたか、本で読んだことがあるだけだ。
この世代のステレオタイプをすべて挙げたところで、今度はジェネレーションZの愛用している時計について見ていきたい。Chrono24のデータによると、この世代はスピードマスター リデュースド Ref.3510.50.00に身に着けて自由と正義を求めることを好むようだ。
なぜこの時計なのか?その理由はおそらく、この世代は素晴らしい趣味を持っているが、まだ若く財力に乏しいということにあるだろう。オメガ スピードマスター リデュースドの平均価格は約37万円で、ジェネレーションYが好きなムーンウォッチよりも27万円ほど安い。ジェネレーションZもベビーブーマーたちの「ロレックス」世代からは外れているのだ。
世代を越えて人気の時計
ロレックス サブマリーナほどに定番ダイバーズウォッチのデザインに影響を与えた時計は存在しない。そして、何世代も前からピザ職人にも企業の役員にも選ばれる時計であり続けている。Chrono24のデータ分析によると、サブマリーナは本記事で挙げたどの世代にも人気が高く、異なる世代間の架け橋となっている。具体的なモデルを挙げると、それはベビーブーマーを魅了してきたサブマリーナ デイト Ref.16610である。
サブマリーナ Ref.16610によって失敗することはない。不快な印象を与えることはなく、目立たず、センスの良さも悪さも感じさせない。また、サブマリーナは後世に譲る時計としても適している。ジェネレーションαはすでにスタートラインに立っており、走り出す時を心待ちにしている。