上品なドレスウォッチから贅を尽くした時計まで、過去5年間の間にChrono24で販売された時計の中で超高額な時計5本に注目したい。思わず目が飛び出るような価格の時計の中で、みなさんはどれがお気に入りだろうか。
- リシャール・ミル RM 052
- ジェイコブ アストロノミア トゥールビヨン スカイ プラチナエディション
- パテック フィリップ グランドコンプリケーション ミニッツリピーター トゥールビヨン 5016P
- オーデマ ピゲ ロイヤルオーク クロノグラフ
- ヴァシュロン・コンスタンタン オーバーシーズ パーペチュアルカレンダー Ref. 4300V/120G-B946
リシャール・ミル RM 052
珍しい素材や独特な外観のため、すぐにはわからないとしても、リシャール・ミルは最も高価な時計ブランドの一つとして知られている。RM 052は、その奇抜さや大胆さ、そして桁違いの価格から、賛否両論ある同ブランドを完璧に表現した時計と言える。定番のリシャール・ミルのトノー型ケースは、42 x 50mmの大きな時計に必須のラバーストラップと同じように、なくてはならない要素だ。RM 052は、人から注目を集めるための時計だ。ゴールド、セラミック、カーボンといった厳選された素材だけでなく、スケルトン文字盤の中央に施されたスカルモチーフがそのことを物語っている。これは単なる装飾ではなく、手巻き式ムーブメントを搭載したトゥールビヨンが収納されている。この時計を着けるにはかなりの個性も必要だが、同時にかなりの予算も必要となる。1億円を超えるという驚くような価格のRM 052は、Chrono24で販売された高価な時計の1つである。リシャール・ミルのブランド名や使用されている素材だけでなく、わずかな数だけしか生産されていないという時計の希少性も相まって、ここまで非常に高価な価格がついている。
ジェイコブ アストロノミア トゥールビヨン スカイ プラチナエディション
大きさに関しては、ジェイコブ アストロノミアは先ほど紹介したリシャール・ミルに引けを取らない。この並外れたタイムピースの直径は47mm、ブランドの希望小売価格は1億1000万円。Chrono24で販売された最も高価な時計の1つである。筆者がこの時計をリサーチして見つけた時、ジェイコブの時計であることに驚いた。ジェイコブはニューヨークのメーカーで、ダイヤモンドをあしらったジュエリーウォッチで知られているからだ。宇宙ファンとして、この時計にはシンプルながら息を吞むのような美しさがあると思う。デザインも素材も最高級でケースはプラチナ製、側面はサファイアガラスだ。3軸トゥールビヨンを内蔵する手巻き式の自社製ムーブメントには、395の部品からなり、着けた時にその景色に目を見張ることだろう。文字盤についても、限界なき創造性が遺憾なく発揮されている。グレード5のチタン製のブルーの文字盤には、18Kゴールド製の星と星座が散りばめられている。細部にいたるまで施された職人技、使用されている素材は時計業界の中でも最高級レベル。この時計がなぜこんなにも高価なのか驚くことはないだろう。さらに、わずか18本の限定数ということで、人々から切望されるアート作品となっている。
パテック フィリップ グランドコンプリケーション ミニッツリピーター トゥールビヨン 5016P
上記の2つの時計は大胆すぎるだろうか。それなら、リファレンス5016Pのパテック フィリップ グランドコンプリケーションをおすすめしたい。普段使いの上品でエレガントな時計であり、リシャール・ミルやジェイコブのように必要以上に人目を引くことはない。直径は37mmで、ドレスウォッチに最適な時計だ。この比較的小さなケースに、パーペチュアルカレンダー付きのミニッツリピータートゥールビヨン(ミニッツリピーターについて、詳しくはこちら)が搭載されているのは、本当に驚くべきことだ。ケースは上質なプラチナ製でありながら、デザインは見事に引き算されたシンプルなものであり、ブラックのレザーストラップがとても合っている。裏蓋からは手巻き式ムーブメントを垣間見ることができ、その素晴らしさを存分に実感できる。控えめな時計のデザインは魅力に欠けるように感じるかもしれない。しかし、価格は約7400万円で、実際にChrono24で販売された非常に高価な時計のうちの1つだ。パテック フィリップが超高級時計メーカーであることは知られているが、あまり目立たないドレスウォッチにこれほど高い値段がつくと思っていただろうか。
オーデマ・ピゲ ロイヤルオーク クロノグラフ
パテック フィリップのようなシンプルな時計が好きではなく、もう少し派手なものを希望する場合は、オーデマ・ピゲ ロイヤルオーク クロノグラフRef. 26333.OR.ZZ.1222OR.01がいいのではないか。これ以上煌びやかなものはなかなか見つからないだろうし、どこに行っても注目を浴びることは間違いない。ジェンタデザインのアイコニックなケースと非常に精巧なブレスは、すべて18Kローズゴールドで作られているが、ケース、ブレス、文字盤のすべてにダイヤモンドが施された非常に派手な外観になっている。とはいえ、インダイヤルと日付の小窓表示が省略されているため、読みやすさは保証されている。また、華やかさとは対照的に、スチール製41mm径のケースには定番のビスがある。時計の歴史を称える、珍しくもとても美しいディテールだ。1972年にの発売時、ロイヤルオークは初のスチール製の高級時計だった。さらに、ジャガー・ルクルト製の日付表示がついた当時最薄のセンターローター式の自動巻きムーブメントを備えたものだった。金色でダイヤモンドが輝くこのロイヤルオークの価格はおよそ5400万円で、Chrono24の中でも最高峰レベルの時計の1つだ。
ヴァシュロン・コンスタンタン オーバーシーズ パーペチュアルカレンダー Ref. 4300V/120G-B946
スケルトン仕様のヴァシュロン・コンスタンタン オーバーシーズは、同ブランドが誇る職人の伝統技術とモダンなデザインが融合したものだ。41.5mmのホワイトゴールドのこの時計は、完全スケルトン仕様で、2100年まで調整が不要という薄型の永久カレンダーや、星空と2つの金色の月が描かれたムーンフェイズを搭載している。サファイアクリスタルケースバックのおかげで、時計の息を呑むような内部機構は文字盤だけでなく、裏側からも眺めることができる。またブレスには、購入者にとって嬉しいクイック調整機能が使用されている。この機能は高級時計業界ではまだあまり使用されておらず、同ブランドが伝統技術とモダンデザインの融合を細部にいたるまで一貫させていることがわかる。このスケルトン仕様のヴァシュロン コンスタンタン オーバーシーズ(オーバーシーズについて詳しくはこちらから)には、ホワイトゴールド、ラバー、レザーの3種類のストラップが付属し、好みで簡単に外観の変化を楽しむことができる。価格は約3700万円で、こちらもChrono24で販売された非常に高価な時計の1つである。
目が飛び出るような価格の高級時計
この記事で紹介した5本の時計は、これ以上ないほど他とは異なるものとなっている。特に驚きだったのは、控えめなパテック フィリップ グランドコンプリケーションが、オールゴールドでダイヤモンドで覆われた煌びやかなオーデマ・ピゲ ロイヤルオークよりもはるかに高価であり、芸術的なジェイコブ アストロノミアと同様の価格帯だということではないだろうか。見た目からは見当もつかないほど高価になる時計もあるということを印象付けるいい例だと言える。時計の世界はとても奥深く、こうして時計ファンはおのおののとっておきの1本を見つけていくのだろう。