オメガは、1957年にCK2913のリファレンスナンバーで初めてシーマスター 300を発表した。これは、ブランパン フィフティ ファゾムスまたはロレックス サブマリーナのように、競合他社がすでに数年前から成功を収めていた時計に対する答えだった。そのため、オメガはモダンなダイバー向けツールウォッチというテーマでは比較的遅れを取っていたが、これはシーマスター 300の成功を決して損なうものではなかった。
ライバルと比べると明らかに際立っていた特徴的な文字盤のデザインは、おそらくここで重要な役割を果たした。そして現在まで夜光塗料を使用したくさび形のアワーマーカーが文字盤を飾っている。3時、6時、9時、および12時位置には数字があり、ブロードアローとして知られる幅広の矢先の付いた時針がある。
その名前にもかかわらず、この時計は当初公式には200m(20気圧)の防水性しかなかった。オメガのエンジニアは、当初は時計をより深い場所でテストすることが不可能であったという理由でこの不一致を正当化した。しかし、彼らはシーマスター 300が200m以上の水深に耐えられることは確信していた。その後のテストでもこれが確認されたため、現在この時計は公式に300m(30気圧)の防水性となっている。
シーマスター 300がオメガの製品カタログに掲載されてから今や65年の間に、オメガはダイバーズウォッチの多数のバリエーションをリリースしてきた。この記事では、最も人気のあるモデルバリエーションとその特別な機能を見ていきたい。
マスター クロノメーターとステンレス、Ref.233.30.41.21.01.001
Chrono24でずば抜けて人気のあるオメガ シーマスター 300は、リファレンスナンバー 233.30.41.21.01.001である。このステンレスモデルのデザインは、1957年のオリジナルモデルを強く意識したもので、マットブラックの文字盤に典型的な三角形のアワーマーカーを備えている。これらはわずかにくぼんでおり、ビンテージのスーパールミノバが充填されていて、暗闇で青く発光する。3時、6時、9時、12時位置には、歴史的なオリジナルモデルと同様に数字がホワイトでプリントされている。オメガはブロードアロー針もオリジナルモデルから採用。秒針については、例えば有名なオメガ スピードマスター ムーンウォッチに見られる、細い矢先の仕様をデザイナーは選択している。
そのレトロな外見にもかかわらず、233.30.41.21.01.001は現代的にアップグレードされた時計である。例えば、ベゼルインサートはアルミニウムではなく、傷に強いセラミックでできている。また、直径も現代的な41mmになった。しかし、最大の違いはマスター クロノメーター キャリバー 8400である。これには、コーアクシャル脱進機が搭載されており、シリコン製のヒゲゼンマイのおかげで、最大1万5000ガウスの磁場に耐えられる。2つの香箱は60時間のパワーリザーブも保証する。
ステンレス製またはレザーストラップのシーマスター 300は、Chrono24で約75万円から購入できる。ステンレスがお好みでない場合、オメガは技術的に同一のモデルをチタン、ローズゴールド、またはイエローゴールドのシリーズでも提供している。また、コンビモデルの時計も入手可能だ。仕様にもよるが、このような時計には約90~380万円を用意する必要がある。
オメガ シーマスター 300 Ref.233.30.41.21.01.001は、Chrono24で長年人気のあるモデルだ
シーマスター 300 スペクター – 『007 スペクター』の時計
シーマスター 300のバリエーションとして、有名なスパイであるジェームズ・ボンドのファンに特に人気があるのがシーマスター 300 スペクター(233.32.41.21.01.001)である。これは、2015年の映画『007 スペクター』と共に7007本限定で発売されたモデルで、技術的には前述の標準モデルと同様だ。
違いはそのディテールにある。人目を引くのは、例えば通常のダイバーズウォッチにあるマーキングの代わりに12時間目盛りを備えたベゼルのインレイだ。これにより、シーマスター 300 スペクターのベゼルを使用して第2タイムゾーンを表示できる。
また、文字盤に12時の数字はなく、そこには代わりにオメガのロゴとシーマスターの文字が配されており、秒針にはロリポップ型の先端が付いた。

シーマスター 300 スペクターの価格はおよそ147万円となっている。その希少性から、このモデルは投資品としても適している。過去12カ月間だけでも、この時計の価値はほぼ25%上昇している(2022年9月現在)。
オメガシーマスター 300のアンティークモデル
オメガシーマスター 300のアンティークモデルは、特にコレクターに人気がある。中でも熱烈な人気を誇っているのは、初代と第2世代、すなわちCK2913シリーズとその後継モデル、Ref.14755の時計だ。Ref.165.014の第3世代にもファンが多い。
シーマスター 300のこれら3つのバリエーションは、いわゆる薄型ベゼルモデルに属する。これは、ベゼルインサートが後の世代の時計よりも大幅に狭いためだ。これらのリファレンスは長年にわたってさまざまなバリエーションでリリースされたが、それでも同じデザイン言語を共有している。主な違いは、文字盤の刻印と数字のデザインにある。また、異なる針のセットも使用された。これは、165.014の新たなバージョンで最も明確になる。オメガは、これらの時計でこれまで使用されていた矢先の付いたドーフィン針からバー針に切り替えたのだ。
しかし、これらのリファレンスの最大の違いは、使用されているムーブメントである。CK2913ではキャリバー 500または501、14755ではキャリバー 550または552が時を刻んでいる。165.014ではキャリバー552だけが使用されている。
アンティークのシーマスター 300を最も安く入手する方法はリファレンス14755を探すことで、Chrono24では良好な状態の個体を約120万円から購入できる。保存状態の良いリファレンス165.014には、さらに14万円ほど多く見積もる必要がある。CK2913を希望する場合には、およそ210万円の資金が必要だ。
あるいは、オメガがシーマスター 300の60周年を記念して2017年に発売したシーマスター 300 1957 トリロジーを入手することも可能だ。外観は1957年のオリジナルとほぼ同じである。しかし、内部にはコーアクシャル脱進機とシリコン製ヒゲゼンマイを備えた最先端のマスター クロノメーター キャリバー 8806が搭載されている。この時計は3557本限定で、価格はChrono24でおよそ100万円となっている。