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ETAのムーブメント: 素晴らしく信頼おけるムーブメント?または心ない大量生産?

Robert-Jan Broer
2018年08月17日
Tutima Grand-Flieger Chronograph movement JP
写真: Bert Buijsrogge

 

エテルナ社によって創立されたETAは数十年にわたりスウォッチ・グループの傘下にあった。ETAの目標は、様々な時計マニュファクチュールのために比較的安価のクォーツ ムーブメントから始まり、カレンダー機能やクロノグラフ機能を搭載した複雑ムーブメントまで、広範囲な時計機構を開発、製造することだった。

 

ETAと自社ムーブメント

ETAが開発した多くのムーブメントは、スウォッチ時計、サーチナやティソなど、スウォッチ・グループに属するブランドで活躍している。開発されているほとんどは凡用ムーブメントで、同じものがいくつかのブランドで採用されている。ロンジンなど、ある特定のブランドに対しては、独自のムーブメントを開発している。スウォッチ・グループだけではなく、他の多くの時計メーカーもETAのムーブメントを採用している。多くのメーカーは、独自のムーブメントを開発できない、または開発し製造する予算がないためである。これは小規模なブランド(独立ブランドや極小ブランド)だけではなく、有名なビッグブランドにも該当する。

例えばオメガは、外部委託(ETAなど)のムーブメントを取り下げ、自社で製造するムーブメントに専念することを始めた。オメガは、クロノグラフ キャリバー9300の自社ムーブメントのコーアクシャルに約1億スイスフラン(100億円以上)を投資したとのこと。これはオメガのようなビッグブランドにとってもものすごく大きな額である。

 

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タグ・ホイヤーキャリバー 7 ETAベース ムーブメント

タグ・ホイヤーキャリバー 7 ETAベース ムーブメント 写真: Bert Buijsrogge

 

自社ムーブメントは、ETAなどの外部委託のムーブメントより優れているのか、と疑問に思うだろう。ETAキャリバー2892-A2を例に取ると、これは多くのビッグブランド(ブライトリングIWCオメガ等)によって長く採用されていて、信頼のおけるムーブメントである。それは世界中で長い間使用されている何百何千もの時計を通し、ムーブメント機構の弱点が最適化され、または取り除かれる作業が行われているからだ。豊富な経験と巨大な時計数により、ETAは常に動き機能するムーブメントを開発することできるのだ。

時計マニュファクチュールによって新たに自社製造された「フライング・アワー」がないムーブメントの方がいいのか?新たに開発された主な自社ムーブメントは、その機構の精度や信頼性が証明されるまで、幾度の繰り返し作業が必要で、とても時間がかかる (時計メーカーを悩ませたり、変更記録を残したり) 。

 

長所

IWC シャフハウゼン 自社ムーブメント

IWC シャフハウゼン 自社ムーブメント 写真: Bert Buijsrogge

 

自社ムーブメントが搭載されているタイムピースは魅力的であり、時計により高級感を与えるため、それを購入したいと考えるのは理解できる。パーツを「組み立てた」だけではなく、時計メーカーによって真の時計として開発されたものを手に取るのは魅力的だ。しかし「自社」という用語は、この言葉に目がない時計愛好家や、コレクターに対するマーケティング戦略だということを頭に入れておいてもらいたい。

自社ムーブメントという機構はあなたにとって時計の価値を上げているのか、または単に高品質という「資格」が与えられていることだけなのか、再度確認してもらいたい。自社ムーブメントはいつもETAが製造する外部委託のムーブメントより優れているとは限らない。よく論より証拠と言うし、ムーブメントに関しては何年も試してみないとわからない。

ETAによるムーブメントを使用することにはもちろん長所もある。特に小規模のブランドによる自社ムーブメントを搭載した時計を購入する際には、いずれ修理などのメンテナンスが必要となってくるので、ブランドの継続性、容量の良さや技術はどうかなど注意を払う必要がある。ETAによるムーブメントに関しては問題ない。多くの時計メーカーはETAの技術を扱えるし(ほとんどの技術者は専門学校や職業訓練で学んでいる)、ETAの部品は特別な許可など必要なく受け取ることができ、大量生産されているため価格も低い。

 

自社製を称賛する

ノモス 自社ムーブメント

ノモス 自社ムーブメント 写真: Bert Buijsrogge

 

ここまでの記事を読むと、自社製のムーブメントが使用されている時計には長所がないように受け取られるかもしれない。だがもちろん自社ムーブメントを搭載している時計を選ぶ利点も多くある。まず、それは時計マニュファクチュールの職人的技量を示し、時計マニュファクチュール自ら望むムーブメントを考案でき、機構の「一般的な懸念」要素を取り払いやすくなる (時計メーカーにとって楽になるような寸法、モジュラー構造など) 。

時計マニュファクチュールがクロノグラフ ムーブメント、例えばETA/バルジュー キャリバー7750などを採用したい場合、ムーブメントがぴったりはまりケースの厚みがある特定の文字盤レイアウトが必要となる。文字盤を新たにレイアウトするための微調整はできるが、信頼性に関する懸念が増える可能性もある。自社でムーブメントを開発して製造することは、自らが考案する時計にジャストフィットするものを仕立てることを意味する。それだけではなく、一般的な解決策を選ぶのではなく、自らが好む機能的解決策を選ぶことができる。エスケープメント、ワインディング構造、時計の心臓である内部構造。自社ムーブメントには様々な理由で敬意が払われており、最重要事項として取り組まれる。これに対して外部委託(ETAなど)で製造されたムーブメントは、時計ブランドからは「一時的なもの」として扱われることが多い。

 

概要

タグ・ホイヤー カレラ ETAベース ムーブメント

タグ・ホイヤー カレラ ETAベース ムーブメント 写真: Bert Buijsrogge

 

ETAが時計マニュファクチュールに提供する最も注目するべきムーブメントに焦点を当ててみよう。場合によっては、時計マニュファクチュールがキャリバーのナンバーを自らのナンバリングに還元しているため、ETAベースのムーブメントを採用しているか不明瞭なことがあるので注意が必要だ。チュードル キャリバー2824(ETA キャリバー2824-2に相当)のように明白な場合もあれば、IWCのキャリバー79320(ETA キャリバー7750)のようにわかりづらいこともある。多くの場合、IWCやチュードルなどのブランドは採用しているETAのムーブメントを大きく改造し、独自の (高い) 基準で完成させている。

大要に入る前に最後の注記を述べると、ETAによるムーブメントは様々な品等で提供されている。この品等の種類は、ETAが保証できる制度の様々なレベルを参照できるようになっている。ETAはスタンダード、エラボレーテッド、トップ、クロノメーター、といったような用語を使い、ムーブメントの精度がどのように調整されているか示している。全てのバージョンが全てのETAキャリバーで使用できるわけではない。品等は精度に関係するだけではなく、ムーブメントの装飾 (視覚的な仕上げ) の程度も示している。

 

ETA2824-2

ティソ ヘリテージ ヴィソデイト ETAベース ムーブメント

ティソ ヘリテージ ヴィソデイト ETAベース ムーブメント 写真: Bert Buijsrogge

 

チュードルの時計に採用されているキャリバーの基本としてある一例を簡単に紹介したが、これは多くのブランドによって頻繁に採用されているETAムーブメントの中の一つだ。この自動巻きムーブメントには21個受け石が使用されており、毎時2万8800回で振動する。このムーブメントは様々のブランドのいくつもの時計で使用されていて、信頼できるムーブメントが必要な場合によく採用されている。そしてETA2824-2もクロノメーター級のムーブメントだ。

 

ETA2893-A2

チュードル ヘリテージ クロノグラフ ETA2892ベース ムーブメント

チュードル ヘリテージ クロノグラフ ETA2892ベース ムーブメント

 

ETAキャリバー2892-A2は数十年前から市場に出回っており、一般的には高級時計 (ビッグブランドの) に採用されている。IWC、オメガ、ブライトリングや他多数の有名ブランドは、長年このムーブメントを扱っている、または扱っていた。そして1999年の初代オメガ コーアクシャル シリーズとそれ以降のムーブメントの基本として扱われていた (オメガ キャリバー2500) 。この自動巻きムーブメントは毎時2万8800回で振動し、21個の受け石が使用されており、パワーリザーブは42日間だ。チュードルはこのETAキャリバー2892-A2を、クロノグラフであるヘリテージ・クロノのモデルなどのムーブメントの基本として採用している。この機構ではETA2892-A2の上にクロノグラフ モジュールが取り付けられている。これはプッシュボタンとリューズのラインナップで見分けがつく。プッシュボタンがリューズより高い位置にある場合、「ピギーバック」ムーブメントとなる。

 

ETA7750

ロンジーン コンクエスト ETA 7750ベース ムーブメント

ロンジーン コンクエスト ETA 7750ベース ムーブメント 写真: Bert Buijsrogge

 

ETAキャリバー7750は、クロノグラフのムーブメント専用に作られており、クロノグラフのために設計と構成が施されていることとなるが、上で述べた「ピギーバック」ではない。バルジュー社がその後ETA社の一部になったため、ETAキャリバー7750は1973年以降、バルジュー7750という別名を持っている。これは、1970年に開発され発表された(伝説的な)バルジュー7733の手巻きクロノグラフムーブメントを基本として設計されている。ETA7750は自動巻き版で、いくつかの異なる装いで提供されている。

ETA7750にはクロノグラフ機能の他に、曜日と日付表示が搭載されている。ETA7751では、それに加え月表示とムーンフェイズが搭載されている。他の有名なバリエーションはETA7754で、EA7750とほぼ同じだが追加で他のタイムゾーンが表示されている(24時間)。ETAキャリバー7750は市場では最も信頼できるクロノグラフ ムーブメントとして認められており、多くのクロノグラフで見受けることができる。13万円以下の時計から高級時計まで、ETA7750が採用されている時計の多くは美しく装飾されているか、スケルトンケースバックで眺められるようになっている。

IWCのキャリバー79320はETA7750のバリエーションの一つで、IWCパイロット クロノグラフで使用されている。他にETAキャリバー7750を採用している(またはしていた)メーカーには、パネライ、ブライトリング、オメガ、ジン、ポルシェ デザイン、タグ・ホイヤー、ロンジン、オリス、ティソ、ハミルトン、ラドー、ショパールなどがある。ピーター・スピーク・マリンやアラン・シルベスタインなどもっと小規模なブランド(またはあまり知られていないブランド)の時計にも使用されている。

ETA社のキャリバー7750(及びそのバリエーション)は、このクロノグラフ ムーブメントを採用したい時計マニュファクチュールの希望と仕様に応じて、他の品等でも製造されている。


Robert-Jan Broer
記者 Robert-Jan Broer
2018年08月17日
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