2022年12月22日
 5 分

2023年は、GMTマスター IIを買うべき時なのか?

Donato Emilio Andrioli
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ロレックス GMTマスター IIは史上最も高い人気を誇るロレックス時計の1つ。この人気は現在の市場価格にも見て取ることができる。2022年中盤に大きな価格下落があったが、それでもこのアイコニックなパイロットウォッチをコレクションに加えたいのであれば、まだまだ相当の出費を覚悟しなければいけない。今でも現在の定価よりも2倍ほど高い市場価格が付けられていることは日常茶飯事だ。しかし、来年はどうなるのだろうか?2023年はGMTマスター IIを買うべき時なのだろうか?

1. ロレックス GMTマスター IIは唯一本物のGMT時計?

時計業界はご存じのように狭い世界で、カラフルなベゼルを搭載したGMT時計が時計愛好家の人気を集めていることは、ここ数年においてすぐに広まった。現在、市場には非常に多くのGMT時計が存在しており、技術的に遜色のないモデルが一部大幅に安い価格で提供されている。

多様で素晴らしいライバル機が多くあるとしても、ロレックス GMTマスター IIが「オリジナル」であることは変わらない。2色に色分けされたベゼルを搭載した初のGMT時計の存在感は、約70年たった今でも全く色褪せていない。ロレックスは、本質を損なうことなく伝説的モデルをアップデートし、モダンに仕立て上げる術をどの時計ブランドよりもよく心得ている。伝説的なGMTマスターのアンティークリファレンスを選ぶ場合、現代的なリファレンスとの大きな違いに気づくだろう。ケース、ブレスレット、クラスプの完成度は現在のロレックスモデルの水準に遠く及ばないが、古いアンティークモデルはアルミベゼルによって独特な魅力を放っている。素晴らしい技術と完璧な手ざわり感を持っていながらも、現行のGMTマスター IIは昔と変わらずアイコニックなパイロットウォッチのままであり、ただより美しく、堅牢で、かつてないほどに素晴らしくアップデートされているだけなのである。ロレックス GMTマスター IIはロレックス サブマリーナほどタイムレスでアイコニックではないかもしれないが、それでも史上最高のロレックス時計の1つであり、とりわけ最新モデルは名機である。今後どれだけライバルが現れようとも、この事実は変わらない。

ロレックス GMTマスターは史上最高のロレックス時計の1つ。

2. GMT:最も便利なコンプリケーション?

コンプリケーションに関して、時計愛好家はいつでも全身を耳にして聞いている。結局、私たちは自分が払った金額に対してできるだけ多くの機能を手に入れたいと思っているのだ。違うだろうか?筆者もしばしば同じ様に感じているので、この気持ちは非常によく理解できる。しかし、これらの素晴らしいコンプリケーションのどれが本当に日常で必要となるのだろうか?スマートフォンの時代においては、時計そのものが不要になっているといっても過言ではないのではないだろうか?お使いのダイバーズウォッチのダイビングベゼルは確かに毎日触っているが、オーブンに入れたピザの焼き時間を確認すること以外、実際に使ったことなど一度もないのではないだろうか?オメガ スピードマスター プロフェッショナルのクロノグラフ機能を、本来の目的のために使用したことが一度でもあるだろうか?

これらのコンプリケーションはスペック上では確かに魅力的であり、購入決定に影響を与えることも間違いないが、本当に必要なわけではない。現代では高級時計はロマンティックで感情的なものなのである。しかし、ロレックス GMTマスター IIでは(少なくとも世界中を頻繁に旅する人にとっては)少々事情が異なる。GMT機能とツートーンベゼルのおかげで、常に3つのタイムゾーンを把握することができるからだ。スマートフォンでも、別のタイムゾーンの現在時刻をこれほど素早く確認することはできない。ロレックス GMTマスター IIは他の多くの時計と異なり、現在でも有益で快適に使用できる、本当に素晴らしくて役に立つコンプリケーションを備えているのだ。ほとんど旅行をしないとしても、飛行機で長旅する可能性は深い海に潜るよりも高いだろう。

世界を飛び回るのであれば、GMT機能は非常に役に立つ。

3. ロレックス GMTマスター IIの価格推移

客観的に見て、ロレックス GMTマスター IIを定価の約2倍の価格で買うことは賢明なのだろか?その答えは間違いなく「ノー」だ。しかし、すでに述べた通り、スマートフォンとノートパソコンの時代において、高級時計はこの上なく感情的でロマンティックなものなのである。ロレックス GMTマスター IIがずっと夢に見てきた時計なのであれば、客観的にどうであろうと、このアイコニックなパイロットウォッチを手に入れたいという気持ちが変わることはないだろう。現在が投機的な価格帯にあることは間違いないが、もし未来を予知できたとしたら、2012年にロレックスのありとあらゆるスポーツモデルを買い漁っていたに違いない。

このパイロットウォッチの価格は2022年に大きく下落したが、ロレックス GMTマスター IIがさらに大幅に価値を下げなければいけない理由は見当たらない。ここ数カ月の推移は市場の修正であると筆者は見ている。そのため、ロレックス GMTマスター IIがずっと夢に見ていた時計で、十分な資金があるのであれば、購入をためらう必要はなく、2023年にこのパイロットウォッチをコレクションに加えるべきなのである。それに、もしかしたら今こそが買い時であるかもしれない。今ほど市場価格が下がっているのはかなり久しぶりであり、同時に定価は大幅に値上げされているのだ。もし価格がさらに少々下がったとしても、気にすることはない。史上最もアイコニックなロレックス時計の1つを手に入れ、ずっと夢にみてきた時計を手首に巻くことができるのだから。


記者紹介

Donato Emilio Andrioli

チューダー ブラックベイ41という機械式時計を始めて買って以来、機械式時計の虜になってしましました。特に、古くて感動的な歴史を持つアイコン時計が大好きです。

記者紹介

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