以前書かせていただいた記事「私の人生を変えた腕時計」でも紹介させて頂いた通り、私はロレックスのサブマリーナーRef. 114060とオメガのシーマスター ダイバー300M Ref. 210.22.42.20.01.002を所有し、前者は主に休日のカジュアル時計として、後者は海上勤務時の仕事時計として使い分けを楽しんでいます。
数あるダイバーズウォッチの中でも人気1位、2位を争うダイバーズウォッチの両雄。今回の記事では、私が実際に使用する中で感じた両者の違いを様々な角度から比較していこうと思います。
サブマリーナーか?シーマスターか?
ブランドと歴史の概要
まず両者のブランドや歴史の概要を簡単に振り返っておきましょう。時計自体の良し悪しはもちろん重要ですが、そのブランドの姿勢や歴史に共感できるかも、時計選びの大切な要素の1つになると思うので、ここから始めさせていただきます。
ロレックスの創業は1905年。ドイツ人実業家のハンス・ウィルスドルフによってイギリスのロンドンに創業されました。腕時計として初めてクロノメーターの公式証明書を獲得するなど、精度や堅牢性に優れた時計を次々と発表し、世界のパイオニアや挑戦者に愛される時計ブランドです。ホームページに書かれている「ロレックスを身につけることで無限の可能性への世界が広がる」という言葉は、ロレックスの信頼性の高さを物語っています。
一方、オメガの創業は1848年。時計師ルイ・ブランがスイスのラ・ショー・ド・フォンに時計工房を創設したのが始まりです。1894年、「究極」という意味を込めて「オメガ(Ω)」と命名したキャリバーを発表。1903年にはそのオメガという言葉が会社名として正式に採用され今に至ります。海底探索から月面探査まで帯同されるオメガの時計は、まさに究極の時計と言えるでしょう。
モルガン・スタンレーによる2021年のスイス時計の輸出シェア率(金額ベース)調査によると、ロレックスのシェア率は28.8%(1位)、オメガのシェア率は7.5%(2位)。また、とある日本の時計ブランドにおける認知度調査結果によると、ロレックスは82%(1位)、オメガは78%(2位)となっており、共に時計界を代表するブランドと言っても過言ではありません。
そんな両者の代表的なダイバーズウォッチが、サブマリーナーとシーマスターダイバー300Mです。
サブマリーナーの誕生は1953年。世界で初めてのダイバーズウォッチ(ブランパンのフィフティファゾムスという意見もあり)として知られており、ダイバーズウォッチといえばこのデザインを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
他方、シーマスターシリーズの誕生は1948年とサブマリーナーよりも早生まれなのですが、いわゆるダイバーズウォッチの形になったのは1957年のこと。文字盤に波模様を宿すなど現在のダイバー300Mに繋がるシリーズが誕生したのは1993年と、意外にも比較的最近となっています。
外装・質感
サブマリーナーの外装は、なんといってもキレッキレのエッジが特徴的。ベゼルの摘みも指紋が引っかかるほどにシャープに切り立っており、非常に回しやすくできています。ベゼルの回し心地はチチチチ…と、その堅牢的な作りとは裏腹に、非常にソフトで緻密なフィーリング。一方で、裏蓋やブレスレットはサラサラと肌触りの良い仕上げになっており、腕に巻くとしっとりと吸い付くような感覚に陥るほどです。この柔と剛を適材適所に使い分け、実用性を究極にまで高めているのがいかにもロレックスらしいなと思います。
対照的に、シーマスターダイバー300Mの外装は柔らかな曲線を特徴としており優雅な印象。そのデザイン上の特徴から、ベゼルは若干摘みにくく、回し心地もカチカチカチ…とサブマリーナーに比べると少し大味に感じます。文字盤の波模様はこの時計の大きな特徴で、とても豊かな表情を見せてくれます。晴れた日の朝8~9時ごろ、日陰でみる時計の美しさは格別で、私の最もお気に入りの瞬間です。
いつの時代も変わらないデザインと高い剛性感を持つサブマリーナーには「安心感」があり、優雅な雰囲気とドラマティックな表情を持つシーマスターダイバー300Mには「高揚感」がある。これが私の率直な感想です。
精度・スペック
ロレックスは“高精度クロノメーター”を独自に定義しており、日差+/-2秒以内という時計界最高クラスの高精度を誇っています(“クロノメーター”の詳細はこちらの記事でも)。私がサブマリーナーを購入した当初、日差は常に1秒以内に収まっており、1週間を通して使用しても誤差が+2秒という驚異的な実精度でした。防水性は300m防水と、高級ダイバーズウォッチとしては平均的。しかし、ケース径40mm、厚さ12.5mm、ラグ長さ48mmと比較的小さめにパッケージングされている点が素晴らしく、腕周り15.5cmの私でも快適に着けることができます。
オメガは“マスタークロノメーター”認定を取得しており、日差0~+5秒以内とこちらも屈指の精度の高さを誇っています。私がシーマスターダイバー300Mを購入した当初、日差は大体+2秒程度でしたが、6週間経過しても+8秒という素晴らしい結果でした。防水性は300mとサブマリーナーと同じですが、耐磁性が15,000ガウスと圧倒的な耐磁性を誇り、この点はサブマリーナーを圧倒的に凌駕しています。
正直、どちらも非常に高い精度とスペックを持っているので、日常生活ではどちらも安心して使えるでしょう。しかし耐磁性はシーマスターダイバー300Mの方が圧倒的に高いので、耐磁性にこだわる方であれば、オメガを選ぶ理由になりそうです。
汎用性
どちらの時計も007シリーズのジェームズ・ボンドの愛用の時計として、劇中ではタキシードからカジュアルスタイルまで幅広いスタイルで着用されています。しかし実際のところ、私が使っているシーマスターダイバー300Mはセドナゴールドのコンビモデルですので、アウトドアには若干気を使いますし、ラバーベルト故にスーツには少し合わせにくいと感じています。その点、サブマリーナーはシンプルな黒文字盤でステンレス製ですので、かなり汎用性が高く様々な服装やシーンで使いやすいです(アウトドアで使う勇気があるかどうかは別として)。
もしも両者同じフルステンレス製で、ブレスレットタイプだったとしたらほぼほぼ互角の汎用性だと思います。
定価・二次市場価格
ここは比較しやすいように、私の所有モデルからは一旦離れて、両者最新バージョンのフルステンレス、ブレスレットモデルで比較してみたいと思います。
サブマリーナー Ref. 124060の定価は106万400円、Chrono24で見る未使用品二次市場価格の平均値は180万8,000円。高騰率は+70%。
シーマスターダイバー300M Ref.210.30.42.20.01.001の定価は74万8,000円で、Chrono24で見る未使用品二次市場価格の平均値は65万1,800円。高騰率は-12.9%。
両者ともにスペック面ではほとんど差がないので、定価で比較すればシーマスターダイバー300Mの方が明らかに価格に対して得られるスペックは大きいでしょう。一方で、資産としての見方をするのであれば、やはりロレックスに軍配が上がります。
まとめると、どちらも歴史に名を残す最高のダイバーズウォッチであることに間違いありませんし、持っていて喜びを感じられる時計です。
特に際立った点をキーワードとして挙げるとするならば、
- サブマリーナー:安心感、剛性、シンプル、資産価値
- シーマスター:高揚感、耐磁性、華やか、コストパフォーマンス
でしょうか。これらのキーワードが刺さった方は、購入を検討してみても良いかもしれません。
今回の記事が皆さんの時計選びの参考になれば幸いです。それでは、また!
ロレックス サブマリーナ― Ref. 124060 |
オメガ シーマスターダイバー300M Ref. 210.22.42.20.01.002 |
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ブランド創業 | 1905年 | 1848年 |
日本における認知度 | No. 1 | No. 2 |
モデル誕生 | 1953年 | 1948年(初代) |
精度 | 高精度クロノメーター(日差+/-2秒以内) | マスタークロノメーター(日差0~+5秒以内) |
防水性 | 300M | 300M |
耐磁性 | —— | 15,000ガウス |
ケース怪 | 40㎜ | 42㎜ |
厚さ | 12.5㎜ | 13.6㎜ |
ラグ上下幅 | 48㎜ | 49.5mm |
定価 | 106万400円 | 74万8,000円 |
Chrono24平均価格 | 180万8,000円 | 65万1800円 |
特徴 | 堅牢でシャープな外装 しっとりと肌触りの良い着け心地 資産価値 |
柔らかく優雅な曲線を描くデザイン 豊かな表情を持つ文字盤 15,000ガウスの高い耐磁性 |