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2023年、投資対象になりそうなセイコーの腕時計5選 by RY

RY 著
2023年1月17日
8 分
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2023年に投資すべきセイコー(Seiko)とは?

一言に「時計好き」といっても、そこには人それぞれの“フェチ”が存在しています。デザインに惹かれる人、ムーブメントに惹かれる人、時計の物語に惹かれる人…十人十色です。

2020年の新型コロナ禍以降、特に増えたのは時計の資産価値に惹かれる人ではないでしょうか。ロレックスステンレス製プロフェッショナルモデルや、パテック・フィリップノーチラスオーデマ・ピゲロイヤルオークなどを筆頭に、超人気時計の二次流通市場価格はコロナ禍前に比べて大きく高騰しました。今となっては正規店で購入することが難しく、二次市場で手に入れるには定価の何倍もお金を払わなければならない時計も、少し前までは誰でも正規店で購入することができた事実に、「あの時買っておけば…」と、逃した魚の大きさを嘆く方もいることでしょう。

しかし時代が変わればトレンドが変わり、人気の時計も移り変わります。そこで今回の記事では、今後高騰しそうなセイコーの時計を5本ピックアップして紹介したいと思います。

着けて楽しめ、投資にもなる?セイコーの腕時計

安価ながら本格派の機能を備えたSKX007

Seiko International Edition Automatic Diver 200M Jubilee SKX007K2
Seiko International Edition Automatic Diver 200M Jubilee SKX007K2

SKX007は、数あるセイコーダイバーズウォッチの中でも最も安価に購入できる価格でありながら、200m防水や120クリックの逆回転防止ベゼルなど本格的な機能性を備えたダイバーズウォッチ。1996年に誕生し、”ブラックボーイ”の愛称で世界中で20年以上人気を博していた定番時計でしたが、惜しまれつつも2019年に廃盤となりました。私が2017年に購入した時は新品で16,000円程でしたが、現在Chrono24では中古品で35,000円〜、新品では67,000円〜と既に4倍以上の価格で取引されています。

SKXシリーズの廃盤後、事実上の後継機と言われているセイコー5スポーツSRPD55は文字盤にセイコー5のロゴが入るなどSKX007からはルックスが若干変わっており、スペックも100m防水とグレードダウンしています。ファンはこういった細部にこだわるので、今後もSKX007の人気は続くでしょう。20年以上販売されていたということから、市場の球数は多いものの徐々に新品や状態の良い個体の数は減り、今後も価格が上がっていくと思います。

SKXシリーズは他にも、009の”ネイビーボーイ”011の”オレンジボーイ”という兄弟機があるので、気になる方はそちらもぜひ調べてみてください。なお、SKXは日本で生産されたJ1モデルと、海外で生産されたK1モデルがあり、前者の方が高い価格で取引されている点も付け加えておきます。

スペックはプロ仕様。登山家のために生まれたSARB017

Seiko Alpinist
Seiko Alpinist SARB017

1961年、登山家のための腕時計として誕生して以来、絶大な人気を誇るセイコーの“アルピニスト”シリーズ。現在よく知られるデザインとなって誕生したのは1995年のこと。SARB017はその歴史の中で2006年〜2018年まで生産されており、歴代の中でも高い人気を誇る世代です。

ケース径39.5mm x 厚さ12.2mmというサイズ感でありながら、20気圧防水や簡易方位計を備えるなどそのスペックはまさにプロ仕様。精巧にプリントされた方位目盛りや、クラシカルなコブラ針、美しいサンレイ仕上げのグリーン文字盤など細部にまで隙がなく高いクオリティを持った名機です。

2018年、私は友人に緑色の時計が欲しいと相談されこのSARB017を勧めたところ、その友人は50,000円ほどで購入。現在Chrono24では中古で92,000円〜、新品で182,000円〜となっています。

アルピニストの最新機種であるSBDC091は、文字盤にプロスペックスのロゴであるXマークが入るなど、若干のデザイン変更があります。新品や状態の良いSARB017は減っていくことが考えられるので、今後も価格が上がっていくのではと考えています。

アイコニックな“ツナ缶”シリーズの原点、プロフェッショナルダイバー6159-7010

Seiko professional diver 6159-7010
Seiko professional diver 6159-7010

数あるセイコーダイバーズウォッチの中でも最もアイコニックな存在、唯一無二の存在と言えばこの外胴プロテクターを備えた通称”ツナ缶”シリーズではないでしょうか。このツナ缶シリーズの原点となった時計が、1975年に発売されたプロフェッショナルダイバー6159-7010です。

この時計の物語は一枚の手紙から始まります。それは、1968年セイコーに宛てられた広島県の職業潜水士の方からの手紙でした。

「現在の市販ダイバーズには、ヘリウムガスを用いる飽和潜水に耐えられるモデルがない」こう書かれていた手紙を受け取ったセイコーは、その要望に応えるため試行錯誤を重ね、遂に完成されたのがこの独特の構造を備えた6159-7010だったのです。

セイコーといえば高品質な時計を安価に作ることに秀でていますが、こう言った採算度外視で技術の粋を結集させたゴリゴリのハイスペックモデルもいいですよね。何というかロマンの塊、当時の技術者の叡智の結晶だという感じがします。

現在Chrono24では、最も安価なものは290,000円ほどで取引されており、最高価格のものになると100万円を超えます。セイコーの価格レンジで考えれば既にかなりの高額です。現在でも人気を博すアイコニックな時計の初代のモデルというのは、歴史性・物語性があり、時がたっても色褪せることはなく、むしろ希少性を増していくことが多いです。つまり価値が上がる可能性が高く、投資的な観点からみても非常に魅力的な時計だと思います。

国産時計初のダイバーズウォッチ、ファーストダイバー6217-8001

Seiko 1st Diver 6217-8001
Seiko 1st Diver 6217-8001

セイコー初のダイバーズウォッチであると同時に国産時計初のダイバーズウォッチとなった時計が、1965年に発売されたこの6217-8001です。つまり、セイコーの全てのダイバーズウォッチを辿るとこの時計に行き着くという伝説的な時計。

先ほどのプロフェッショナルダイバー6159-7010と比べると、デザイン上のインパクトやアイコニックさに少し欠けるからか、現在の取引価格はChrono24上で372,000円〜795,000円と、まだそこまで高騰していないように感じます。しかしこの時計はセイコーのみならず、日本の時計史において非常に重要なタイムピースであり、4度の南極越冬観測隊に帯同され極寒の南極を乗り越えた実績もあるので今後高騰するポテンシャルは十分に備えていると思います。

2年間だけ製造された幻の名機、グランドセイコー4420-9000

Grand Seiko 4420-9000
Grand Seiko 4420-9000

この時計は1967年に誕生、“44GS”の名で知られ、グランドセイコー幻の名機と呼ばれることもある時計です。何がそこまで凄いのかというと大きく分けてデザインとムーブメントの2つに分けられます。

まずデザイン面では、「セイコースタイル」という現在まで使用されているセイコー独自のデザイン文法を初めて確立した時計だということ。

セイコースタイルとは、

  1. 平面と虹局面で造形し
  2. ダイヤル、針の平面部を広く取り
  3. 各面を歪みのない鏡面で仕上げる

というもの。いずれも光を最大限に意識したデザインのスタイルです。私も所有しているのですが、これが50年以上前のステンレス製の時計か?!と思うほど美しい光り方をします。

そしてムーブメントについては、当時世界最高峰の精度持った手巻き式のロービートと言われています。グランドセイコーはほぼ同時期に10振動のハイビートムーブメントの開発に成功し、以降ハイビート化を推し進めたため、実質44GSが最後のロービートとも言えます。

つまりデザイン面では新しい時代の出発点であり、ムーブメント面では一つの時代の終わりというまさに時代の過渡期に生まれた時計なのです。そのため、1967年と1968年のたった2年間しか製造されず短命に終わったという希少性も相まって、幻の名機と呼ばれています。

現在Chrono24では、320,000〜480,000円で取引されており、これだけの希少性と物語性がある時計としてはまだまだ割安だと個人的には考えています。グランドセイコーは近年世界的評価を高めているブランドですが、それに伴い44GSの評価も高まり価値が高まっていくと思います。

いかがだったでしょうか。今回は2023年、投資対象になりそうなセイコーの時計5選ということで書かせていただきました。セイコーは世界的に高い評価を得ており、手を出しやすい価格帯でありながら人気のブランドなので気軽に始めてみても良いかもしれません。

それでは、また!

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記者紹介

RY

RY

1990年生まれ。初めて購入した機械式時計をきっかけに腕時計の魅力に取り憑かれる。2019年にブログ『腕時計のある人生』を、2020年にYouTube『腕時計のある人生Channel』を開設するなど、多方面で活動中。

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