2023年04月03日
 7 分

Watches and Wonders 2023:カルティエが多様性に富んだ新作を発表

Jorg Weppelink
Watches-and-Wonders-Cartier-2-1

Watches and Wonders 2023:カルティエが多様性に富んだ新作を発表 (画像:カルティエ)

カルティエは注目のブランドで、ここ数年何度も時計業界でその関連性を証明してきた。カルティエの豊かな歴史に名を連ねる数多くのアイコニックなモデルは、同ブランドのインスピレーションとなり、現代のターゲットに向けて再現されている。さらに、カルティエのスタイルは、ブランドのクラシックなデザイン原理に忠実でありながらも、時代に合った方法で新しくよりモダンな時計を作るのに最適であることを証明している。今回、カルティエはメンズ、レディース向けのさまざまな新しい時計を発表した。そのハイライトとなる作品をいくつか紹介したい。

カルティエ タンク ノルマル

間違いなく、最も注目すべき新作はカルティエ タンク ノルマルだ。新しいタンク ノルマルは、2016年に登場したプリヴェ コレクションの一部で、特にカルティエのコレクター向けに特別に作られた、ブランドのアーカイブから復刻されたクラシックなシリーズである。そのため、プリヴェ コレクションのタイムピースは限定生産で、わずかな人のみが購入できるものとなっている。それでもプリヴェの新作モデルが登場する度に、多くの注目を集め、カルティエによる時計デザインの伝統がいかに豊かなものであるかを年々証明している。

Cartier Tank Normale
カルティエ タンク ノルマル(画像:カルティエ)

今年、カルティエは初代カルティエ タンクの誕生年である1917年に時計の針を戻している。初代カルティエ タンクを復刻し、アイコンのオリジナルのサイズ、形状、クリスタルに沿ったバージョンを作り上げた。その結果は見事という一言に尽きるものだ。タンク ノルマルは、イエローゴールドとプラチナで展開されており、サイズは32.6 × 25.7 × 6.85mmとなっている。この時計には、ゴールドバージョンにはブラウン、ブプラチナバージョンにはブラックのレザーストラップ、またはケースに合わせてゴールドかプラチナブレスレットが付いている。新たな7連リンクのブレスレットは実に素晴らしい仕上がりだ。また、筆者が特に際立っていると思うのはプラチナのバージョンである。大部分がサテンブラッシュ仕上げで、とても控えめに見える。しかし、騙されてはならない。ケースとブレスレットの面取りはポリッシュ仕上げで、さらなる深みを感じさせるものとなっている。リューズに施されたカボションルビーは、プラチナ製の時計であることを示している。

タンク ノルマルは限定生産で、プラチナ、ゴールドブレスのバージョンは各100本、レザーストラップのバージョンは各200本の限定生産予定だ。また、さらに50本という少数限定で生産予定のスケルトンバージョンも展開している。最後に、ダイヤモンドを施したスケルトンバージョンはわずか20本限定となる。

カルティエ タンク アメリカン

2023年のカルティエによる新作第2弾は、タンク アメリカンの復活だ。タンクアメリカンは、当時大きめサイズの時計の需要が拡大したことから、1989年に初めて登場した。新作は、先代モデルに比べてよりスリムな外観となっている。新しいラインナップには、ステンレススチールとローズゴールド製の合計11種類のモデルがあり、ミニ、SM、LMの3サイズで展開している。ミニとSMサイズにはブレスレットが付属し、ダイヤモンドを施した特別エディションも発売される。

Cartier Tank Américaine
カルティエ タンク アメリカン(画像:カルティエ)

全体的に、新作のタンク アメリカンは先代モデルよりもスリムで曲線的なため、現代的なテイストにぴったりマッチしている。ミニとSMサイズのモデルは、サンレイダイヤルにローマ数字を配し、クォーツ式ムーブメントを搭載している。LMサイズのモデルには従来の自動巻きムーブメントよりも薄い新しい自動巻きキャリバー1899 MCが搭載されている。結果として、新作のタンク アメリカンの厚さはわずか8.6mmと、非常に装着しやすくなっている。さらに、新しい自動巻きムーブメントは、カルティエにとって時計はスタイルだけではないことを示している。その技術開発により、タンク アメリカンに新たなカリスマ性が生まれ、多くのファンを魅了することだろう。

タンク ルイ カルティエ

過去2年間で、カルティエは特にルイ カルティエのシリーズにフォーカスしており、私たちは毎年素晴らしい外観の新作を目の当たりにしてきた。2022年に、カルティエはイエローゴールドのタンクの文字盤とストラップをブラック一色にすることで、見事なまでにスタイリッシュな外観を実現したモデルをリリースした。今回、同ブランドはイエローゴールドのケースに新たにレッドとグリーンのバージョンを追加している。両方ともラージモデルでサイズが33.7 × 25.5mm、ラッカー仕上げの文字盤はカルティエのロゴと “Swiss Made” の文字のみで装飾され、文字盤と同色のレザーストラップが付属する。

Cartier Tank Louis Cartier
タンク ルイ カルティエ(画像:カルティエ)

また、金のモチーフをあしらった文字盤を備えた “トリゴールド” モデルも2種類発売される。これらは70年代へのオマージュで、他の2本の新作モデルに比べて遊び心がある。いずれの時計もラージモデルであり、新作の4本全てに手巻きキャリバー1917 MCを搭載している。筆者は単色使いのルイ カルティエモデルの大ファンなので、新たにレッドとグリーンのバージョンがコレクションに加わるのはとても嬉しく思う。

Tank Louis Cartier
タンク ルイ カルティエ(画像:カルティエ)

サントス デュモン

カルティエは貴金属を使用し、華やかな文字盤を採用した3本の新作XLモデルをサントス デュモンコレクションに加えた。新作の時計はイエローゴールド、ローズゴールド、またはプラチナから選択できる。また、イエローゴールド、イエローゴールドとスチールの2種類のラージモデルもある。サントス デュモン XL エディションのサイズは43.5 × 31.4mmとなっている。

驚くべきは、文字盤のインデックスにレッドジャスパー、グリーンジェイド、ブルーデュモルチェライトといったハードストーンから直接彫られたローマ数字が配置されていることだ。また、ローズゴールドはグリーン、イエローゴールドはブルー、プラチナではレッドといったローマ数字のカラーがカボションともマッチしている。XLサイズのケース内には、自社製の手巻き機械式キャリバー430 MCが搭載されている。3本すべてのモデルが各200本の限定生産で、お揃いの色のレザーストラップが付属し、より洗練された素晴らしいデザインとなっている。

Cartier Santos Dumont Collection (Image: Cartier)
サントス デュモン コレクション(画像:カルティエ)

3本のXLモデルに加えて、カルティエはイエローゴールドのローマ数字を配したイエローゴールド製ラージモデルも発表した。文字盤とレザーストラップはブルーで、とてもスタイリッシュに仕上がっている。また、ステンレススチール製ケースとイエローゴールドベゼルのコンビモデルもある。このバージョンは、グレーの文字盤と同色のレザーストラップを備えている。

そして、これだけではない。カルティエは新ムーブメントを搭載した3種類のスケルトン仕様のサントス デュモンを発表した。3本のうち絶対的な中心モデルは、ブルーラッカー仕上げのケースとベゼル、ブルーのレザーストラップを備えたイエローゴールドのバージョンだ。モダンとクラシックの完璧な組み合わせで、真っ先に人目を引く。ローズゴールドとステンレススチール製の他2つのモデルは、よりトーンダウンされてるが、依然として印象的なスケルトンムーブメントを搭載している。新たな自社製キャリバー9629 MCは、8時位置にマイクロローターを備え、カルティエがスケルトンウォッチを得意とすることを改めて証明している。

2023年のカルティエによる新作はこれで以上だ。これらの時計は、年間を通じてさまざまな時期に入手可能となるため、お気に入りのモデルのリリース日と希望小売価格に注目したい。今回の新作で、同ブランドが業界で最も注目され、最も尊敬されるブランドの1つである理由をまたしても明らかになった。その多様性と無限のクリエイティブなデザインに関して言えば、カルティエは真に偉大なる存在である。


記者紹介

Jorg Weppelink

こんにちは、ヨルグです。2016年からChrono24で記者として執筆しています。しかし、Chrono24との関係はそれ以前からあって、時計好きになったのは2003年頃からです。私の友人 …

記者紹介