2023年03月30日
 9 分

Watches and Wonders 2023:パテック フィリップの新作コレクション

Jorg Weppelink
Watches-and-Wonders-Patek-Philippe-2-1

New Patek Philippe Releases From Watches & Wonders 2023

2023年の新作パテック フィリップについて、何から始めたらよいだろうか?人気のアクアノート、それとも特に印象的で複雑なタイムピースがいいだろうか?同ブランドが発表したモデルは合計17種類と、驚異的な数だ。ということで、今年最も注目すべきパテック フィリップを早速ピックアップして紹介しよう。

2023年の新作パテック フィリップ アクアノート

まずは有名なアクアノートシリーズから始めたい。Watches and Wonders 2023でパテック フィリップはローズゴールドのモデル3種類を発表し、そのうち2つはレディース用で、残り1つは男性をターゲットにしている。とはいっても、このシリーズのサイズに関して、男性用女性用の区別はハッキリとしていない。3種類のモデルのうち1つ目はアクアノート・ルーチェ アニュアルカレンダー ref. 5261Rだ。この新作は39.9mmのローズゴールドのケースを備え、厚さはわずか10.9mmとなっている。美しいブルーの文字盤にはローズゴールドのアラビアインデックスが施され、文字盤の下部には曜日、月の指針表示、上部にはムーンフェイズインジケーターを備えている。そして最後に、日付窓表示は6時位置にすっきりと収まっている。パテックはこの時計をブルーのラバーストラップとセットで組み合わせており、とても美しい新作モデルとなっている。定価は5万2000スイスフラン(国内参考定価:827万2000円)だ。

5261R “Aquanaut Luce” Annual Calendar
パテック フィリップ アクアノート・ルーチェ アニュアルカレンダー ref. 5261R(画像:パテック フィリップ)

2つ目の注目に値するアクアノートには、5968R-001のリファレンスが付いている。この自動巻きクロノグラフは、同ブランドで最も人気のリリースの1つになることは間違いない。この時計は42.2 × 11.9mm径のローズゴールド製ケースで、華々しいダークブラウンの文字盤と同色のブラウンラバーストラップを備えている。ローズゴールドのケース内には、自動巻きキャリバーCH 28-520 Cが搭載されている。このフライバッククロノグラフムーブメントは、既存のステンレス製モデルとホワイトゴールドの5968モデルにも使用されている。これはアクアノートのラインナップにぴったりな新作で、価格は国内参考定価で1017万5000円となっている。

3つ目の最後のアクアノートモデルは、5268/200Rのリファレンスが付いている。38.8 × 8.5mm径のローズゴールド製ケースを備え、ベゼルには最低でも48個のダイヤがあしらわれている。文字盤は愛らしいモカブラウンで、同色のラバーストラップが付属する。価格は4万5500スイスフラン(国内参考定価:723万8000円)だ。

Patek Philippe Aquanaut ref. 5268/200R (Image: Patek Philippe)
パテック フィリップ アクアノート ref. 5268/200R(画像:パテック フィリップ)
Patek Philippe Aquanaut ref. 5968R-001 (Image: Patek Philippe)
パテック フィリップ アクアノート ref. 5968R-001(画像:パテック フィリップ)

パテック フィリップの新作グランドコンプリケーション

次は、2023年の新作グランドコンプリケーションへと移りたい。このコレクションは、パテックの非常に複雑な時計を扱っている。最新のすばらしい技術を駆使した新作は、ホワイトゴールドとローズゴールドの組み合わせで仕上げられた新しいグランドマスター・チャイム 6300GRから始まる。このリファレンスは、既にブランドのポートフォリオに定着しているホワイトゴールドのモデルに新たに加わるモデルだ。ゴールドの組み合わせは、オパーリンブラウンの文字盤と相まって素晴らしい外観だが、このタイムピースはただ美しいだけではない。直径47.7mm、厚さ16.07mm のダブルフェースのリバーシブルケースを介して表示される20の異なるコンプリケーションを搭載しているのだ。そのうち5つはチャイム機能で、設定した時刻を知らせるアラームと、好きな時に日付を知らせるデイトリピーターという特許を取得した2つの世界初の機構を含む。これは、パテック フィリップの驚くべき職人技が光る荘厳な作品と言えるだろう。このユニークな作品の価格は、すべてのグランドコンプリケーションと同様に、「要問い合わせ」となっている。

Patek Philippe Grandmaster Chime 6300GR (Image: Patek Philippe)
パテック フィリップ グランドマスター・チャイム 6300GR(画像:パテック フィリップ)
Patek Philippe Grandmaster Chime 6300GR (Image: Patek Philippe)
パテック フィリップ グランドマスター・チャイム 6300GR(画像:パテック フィリップ)

2つ目の新たなグランドコンプリケーションは、印象的なref. 5316/50P-001だ。40.2mmのプラチナ製ケースには、ブラックグラデーションのメタリックブルーのサファイヤクリスタルが施され、内部の複雑なムーブメントを見ることができる。キャリバーR TO 27 PS QRには、ミニットリピーター、トゥールビヨン、永久カレンダー、レトログラード日付が搭載されている。レトログラード機構は文字盤の真ん中にあり、円形に広がる日付表示の両脇には、曜日と月の表示が並んでいる。サファイアダイヤルの魔法により、さまざまなディスクが回転する様子を垣間見れるので、心躍る複雑な動きをしっかりと目で確認できる。

3つ目のグランドコンプリケーションは筆者のお気に入り、ref. 5178G-012である。この自動巻きミニットリピーターは、40 × 10.53mm径のホワイトゴールド製ケースを備え、これまでで最も美しい文字盤の1つを搭載している。文字盤のギヨシェ装飾は透明なブルーのフランケ七宝で仕上げ、個性的なカラーとデザインとなっている。その並外れたブルーの文字盤はブレゲ数字でエレガントに飾られ、一見 “普通の” 時計のように見える。しかし、キャリバーR 27 PSは美しいミニットリピータームーブメントで、間違いなく見事な音色を奏でることだろう。

Patek-Philippe-Grande Complication ref. 5178G-012
パテック フィリップ グランドコンプリケーション ref. 5178G-012(画像:パテック フィリップ)

4番目で最後のグランドコンプリケーションは、ref. 5531G-001である。この特有の40.2mm径ワールドタイムミニットリピーターには、物語を伝える文字盤が与えられた。クロワゾネ本七宝のエナメルダイヤルは、レマン湖に浮かぶベルエポック時代の蒸気船を表している。まさに特別な文字盤である。時計を駆動するキャリバーR 27 HUは、ミニットリピーターとワールドタイム両方の機能を提供している。なかなか見られない組み合わせとユニークな文字盤で、グランドコンプリケーションのコレクションに追加された素晴らしい最後の新作モデルとなっている。

Patek Philippe Grande Complication 5531G-001 (Image: Patek Philippe)
パテック フィリップ グランドコンプリケーション 5531G-001(画像:パテック フィリップ)

コンプリケーション コレクション

ここで、グランドコンプリケーションほどではないが、同様に印象的で複雑な時計を展開するコンプリケーション コレクションに移りたい。パテック フィリップは2023年に新たに2つの複雑機構を備えた時計をこのコレクションに追加することを発表した。1つ目は、リファレンス 5224R-001のカラトラバ トラベルタイム。このまったく新しい非常にスタイリッシュな作品は、42 × 9.85mm径のローズゴールドのケースを備えている。ブルーの文字盤とレザーストラップにはアクセントを効かせたステッチが施され、薄型で着け心地も抜群だ。自動巻きキャリバー31-260 PS FUS 24Hは全てリューズで操作される。つまり、第2タイムゾーンの24時間針はプッシュボタンではなく、リューズを使用して調整される。ユニークな24時間表示の文字盤レイアウトと相まり、同ブランドの中で今年最も興味深い作品の1つとなるだろう。

Patek Philippe Calatrava Travel Time (Image: Patek Philippe)
パテック フィリップ カラトラバ トラベルタイム(画像:パテック フィリップ)

2つ目のコンプリケーションモデルは、ref. 5905R-010で、ローズゴールド製だ。年次カレンダーを備えたこの自動フライバッククロノグラフは、キャリバーCH 28-520 QA 24Hを搭載したローズゴールドの42 × 14.2mm径ケースに収められている。サンバースト仕上げのブルーの文字盤とレザーストラップを採用し、鮮やかな存在感を放っている。文字盤には、上半分に曜日、日付、月の表示窓を備えている。下半分には60分計があり、ハイエンドなクロノグラフには30分計が搭載されることが多いので、良いとこ取りだ。センターにあるホワイトのクロノグラフ針はとても美しく、活気に満ちた印象の文字盤と絶妙に調和している。国内参考定価は1009万8000円となっている。

Patek Philippe ref. 5905R-010 (Image: Patek Philippe)
パテック フィリップ ref. 5905R-010(画像:パテック フィリップ)

カラトラバ コレクション

カラトラバのクラシックスタイルのコレクションには、スポーティな40 × 9.17mm径のホワイトゴールド製モデルが3本追加された。これらのモデルは伝統的なスタイルからは離れ、私たちが慣れ親しんでいるカラトラバシリーズよりもはるかにスポーティな雰囲気だが、2020年に同ブランドが新工房の落成を記念して同様のブルーのモデルを発表した際、このような外観の時計を目にしている。これらの時計は、自動巻きタイム&デイト付きキャリバー26-330 S Cを搭載している。全ての時計はカーボンファイバー模様のブラックの文字盤を備えており、レッド(ref. 6007G-010)、ブルー(ref. 6007G-011)またはイエロー(ref. 6007G-001)のアクセントカラーを取り入れて展開している。3本すべてのモデルの価格は3万7850ドル(国内参考定価:509万3000円)となっている。

Patek Philippe Calatrava 6007G-001 (Image: Patek Philippe)
パテック フィリップ カラトラバ 6007G-001(画像:パテック フィリップ)

パイロットスタイルの時計シリーズ

最後に紹介したいコレクションはパテック フィリップのパイロットスタイルのシリーズだ。同ブランドは42 × 13.5mm径でホワイトゴールドのコンプリケーション コレクション ref. 5924Gを2つの新色とともに発表した。ポインターデイト、トラベルタイムコンプリケーション、フライバッククロノグラフという組み合わせ、サンバースト仕上げのブルーまたはカーキグリーンの文字盤、それぞれにマッチするレザーストラップで入手できる。また、大型のプッシュボタンと大きな数字を備え、目を引く特徴的なデザインになっている。若干慣れが必要なデザインかもしれないが、クラシックなパイロットウォッチのスタイルが感じられるモデルである。価格は、6万4000スイスフラン(国内参考定価:1017万5000円)となっている。

Patek Philippe Pilot (Image: Patek Philippe)
パテック フィリップ パイロット(画像:パテック フィリップ)

2023年のパテック フィリップ新作の概要はこれで以上だ。パテック フィリップが最高の、最も多作の時計ブランドの1つであることを実感できる幅広い新作ラインアップとなっている。


記者紹介

Jorg Weppelink

こんにちは、ヨルグです。2016年からChrono24で記者として執筆しています。しかし、Chrono24との関係はそれ以前からあって、時計好きになったのは2003年頃からです。私の友人 …

記者紹介