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Watches and Wonders 2024:パテック フィリップ、ユリスナルダンなど

Sebastian Swart 著
2024年4月15日
11 分
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Watches and Wonders 2024:パテック フィリップなどの新作

ジュネーブで4月9日〜12日に開催された国際的な時計見本市であるWatches and Wondersでは、合計54社の時計メーカーが2024年の新作を発表した。この記事では、パテック フィリップ、ヴァシュロン・コンスタンタン、IWC、グランドセイコー、ユリスナルダン、そしてピアジェの興味深い新作をご紹介していく。

パテック フィリップ ノーチラス 5980/60G

ジュネーブ発の高級時計ブランドであるパテック フィリップにとって、毎年の時計見本市、Watches und Wondersは地元で行われるイベントだ。今年もパテック フィリップはローズゴールドおよびホワイトゴールド製のアクアノート、コンプリケーションおよびグランドコンプリケーションのコレクションからもさまざまな新作を発表した。しかし、数十年前から多くの人々はパテック フィリップと聞くと伝説的なコレクションであるノーチラスを連想する。そのノーチラスも新しいリファレンス 5980/60Gが登場した。

パテック フィリップ ノーチラス 5980/60G
パテック フィリップ ノーチラス 5980/60G

新しいノーチラス 5980/60Gは、フライバック機能付きのクロノグラフとなっている。この機能は、自社製キャリバーのCH 28‑520 Cが実現しており、中央の時刻表示に加えて、6時位置には60分計、12時間計の一体型サブダイヤルがある。そして3時位置には日付表示もある。ムーブメントにはパテック フィリップ には期待通りのジャイロマックステンプとスピロマックスヒゲぜんまいを搭載。21Kゴールドローターを含む全体の芸術作品は、サファイアクリスタルのケースバックから垣間見ることができる。文字盤はブルーグレーでオパーリン仕上げとなっている。そしてノーチラスのコレクションに典型的なのは、文字盤に深みを与える水平エンボス加工だ。

時計は直径40.5mmのホワイトゴールド製ケースに収められており、厚さは12.2mmで、30m(3気圧)の防水性を備えている。装着されているストラップは、ブルーグレーのデニム柄とカジュアルなデザインで、レザー製だ。また、付属品には、ブルーグレーでファブリック柄の追加ストラップが含まれている。

定価は1190万円となっている。

グランドセイコー SBGJ277 “雪渓”

グランドセイコーは今年もその創造力を改めて示し、数々の新作モデルを発表した。中でもエキサイティングなモデルは、GMT機能を搭載したグランドセイコー SBGJ277 “雪渓” だ。グランドセイコーのGMT時計で、リファレンスがSBGから始まるモデルは、ブランドの伝統であり、さまざまなバリエーションが数年前からラインアップに含まれている。グランドセイコー SBGJ277 “雪渓” が、このデザイン的にも技術的にも魅力的なコレクションに加わった。

GMT機能を搭載したグランドセイコー SBGJ277 "雪渓"
GMT機能を搭載したグランドセイコー SBGJ277 “雪渓”

ステンレスケースのSBGJ277 “雪渓” は、直径44.2mm、厚さ14.8mmのため、しっかりとした手首によく似合う時計だ。これは、50mmを超えるラグトゥラグによっても強調されている。時計の全体的な色彩設計においては、グランドセイコーのデザイナーは雪渓からインスピレーションを得た。このモチーフは特に文字盤に生かされており、よく見ると雪面が表現されている。文字盤には、4時位置に日付が割り込む黒いアプライドのバーインデックスがある。サファイアクリスタル製の24時間表示付きベゼルは、グリーンとホワイトのデザインで冬らしいルックが際立っている。

時計内部では、自社製ハイビートキャリバー9S86が時を刻んでいる。このムーブメントのテンプは毎時振幅数が3万6000回、パワーリザーブは約55時間だ。時計には三連リンクのステンレスブレスが付属する。この美しいモデルの定価は94万6000円となっている。

ピアジェ アルティプラノ アルティメートコンセプト トゥールビヨン 150周年記念

2024年はジュネーブ発のメゾン、ピアジェの150周年をマークする年となっている。そのため、ピアジェにとってWatches and Wondersはトゥールビヨンを搭載した新作時計を発表するぴったりの機会なのだ。もちろん、ありきたりのトゥールビヨンウォッチではなく、アルティプラノ アルティメートコンセプト トゥールビヨン 150周年記念はこの種のモデルで最も薄型の時計となっている。この時計の裏に隠されたものは何なのだろうか?

この素晴らしい時計で、ピアジェは技術的に可能な限界に再び挑戦している。アルティプラノ アルティメートコンセプト トゥールビヨン 150周年記念は厚みがサファイアガラスの風防込みでわずか2mmとなっており、驚くほど薄い。これを可能にしているのは、非常に薄型な自社製キャリバー970P-UCだ。トゥールビヨンを搭載した手巻きムーブメントは、直径41.5mmのブルーPVD加工されたコバルト合金製のケースに収められている。毎時2万8800回振動のテンプにより、ムーブメントのパワーリザーブは40時間となっている。時刻表示は12時と1時位置の間のオフセンターにある一方で、トゥールビヨンは10時位置に配置されている。アルティプラノ アルティメートコンセプト トゥールビヨン 150周年記念は、20m(2気圧)の防水性を備えている。

この華々しい時計の生産本数は明確に定義されていないが、ピアジェは1本の個体の生産に1年かかると述べている。また、価格は公開されておらず、要問い合わせとなっている。

ヴァシュロン・コンスタンタン パトリモニー・ムーンフェイズ・レトログラード・デイト

パトリモニーは20周年を迎え、ヴァシュロン・コンスタンタン、そしてこのコレクションのファンにとって記念すべき年となった。ヴァシュロン・コンスタンタンは国際的な時計見本市であるWatches and Wondersで新しい3本のバリエーションを発表。そのうちの一つ、パトリモニー・ムーンフェイズ・レトログラード・デイトを詳しく見ていこう。

Patrimony Mondphase mit retrograder Datumsanzeige
レトログラード・デイト表示付きのパトリモニー・ムーンフェイズ

新作のパトリモニーで、ヴァシュロン・コンスタンタンは控えめでタイムレスなデザインを採用。また、文字盤にはオールドシルバーでサンバースト仕上げの文字盤を選択している。これは、ヴァシュロン・コンスタンタンで初めて使用されるカラーだ。インデックスと針はローズゴールド製で、文字盤との絶妙なコントラストを生み出している。時刻表示は文字盤の上半分にレトログラード式で表示され、6時位置にはムーンフェイズ表示がある。

時計のケースは30m(3気圧)の防水性を備えており、ホワイトゴールド製で、直径は42.5mmだ。心臓部には自動巻きの自社製キャリバー、2460 R31Lが搭載されており、ムーンフェイズは、29日12時間45分の月の周期に対応している。誤差修正が必要なのは122年毎に一度だけだ。キャリバーのテンプは毎時2万8800回振動で、48時間のパワーリザーブを提供している。サファイアガラスの裏蓋から、着用者は22Kゴールドでマルタ十字のローターが備わったムーブメントを垣間見ることができる。バックルがホワイトゴールド、ミシシッピアリゲーターレザー製でオリーブグリーンのストラップが、この時計の全体像を完璧なものに仕上げている。

ユリス・ナルダン フリーク [S Nomad]

針、文字盤、リューズもない。代わりに半金属のシリコン製の部品が特徴で、2001年以来、たとえばフリークのひげゼンマイに使用している。ユリス・ナルダンは、 Watches and Wondersにちょうど合わせて、このようなスタイルを継承するまったく新しいフリーク S ノマドを発表した。99本限定のこのモデルについて、早速見ていこう。

フリーク S ノマドは45mm径のチタンケースを備え、ダークグレーのPVDコーティングが施されている。ケース側面はカーボン仕上げだ。フリークのその他すべてのバリエーションと同様に、分表示にはフライング60分カルーセルが組み込まれた大きな矢形の針を使用。時間にはさらに別の矢印を使用し、ムーブメントの下方にある回転ディスク上に表示される。機構はフリーク S ノマドのベゼルにあるロックを解除してセットする。

ユリス・ナルダン フリーク S ノマド
ユリス・ナルダン フリーク S ノマド

この洗練された技術はすべて、自動巻きの自社製キャリバーUN-251が可能にしている。この先進的なキャリバーには、シリコン製のダブルオシレーター、そしてDiamonSil(ダイヤモンシル)という材料から作られた脱進機が備わっている。この材料は、ダイヤモンドコーティングされた最先端のシリコンだ。グラインダーと呼ばれる自動巻き機構はユリス・ナルダンによって特許が取得されており、従来の自動巻き機構よりもエネルギーを2倍効率的に生成する。その結果、72時間のパワーリザーブを実現している。ただし、フリークの防水性はわずか30m(3気圧)となっている。

このモデルは99本限定で、グレーのラバーストラップ、そして同色のアリゲーターレザーストラップが付属する。定価15万ユーロ。日本価格は要問い合わせ。

IWC ポルトギーゼ

IWCシャフハウゼンは、Watches and Wonders 2024において人気モデル、ポルトギーゼに17本の新作を追加して驚かせた。

パーペチュアルカレンダー 44からは、合計4つのモデルが登場。文字盤のカラーはシルバー、ブルー、シャンパン、ブラックで入手可能だ。代表的なモデルはシルバーメッキの文字盤にローズゴールドのケースを備えたリファレンスIW503701で、定価は660万円となっている。

IWC ポルトギーゼ
IWC ポルトギーゼ

ポルトギーゼ・オートマティック 42からは、6本の新作モデルが登場。これらの時計は、バイコンパックススタイルのクラシックな文字盤に、3時および9時位置にインダイヤルを備えている。前者は曜日を表示する一方で、後者は秒を表示している。シルバーメッキの文字盤を持つリファレンスIW501702のようなステンレス製バリエーションの価格は約180〜200万円となっている。ローズゴールドまたはホワイトゴールドのモデルはおよそ350〜370万円となっている。

3本の新作ポルトギーゼ・クロノグラフには2つのインダイヤルがある。6時位置のインダイヤルはストップウォッチ機能を備えたスモールセコンドの機能を提供し、12時位置のインダイヤルは30分を表示している。ステンレス製モデルでシャンパンカラーの文字盤を備えた “デューン” は、定価117万7000円、ブラックの文字盤を備えたレッドゴールドのバリエーションは267万3000円となっている。

ポルトギーゼ・オートマティック 40についても、2本の新作が追加されている。シンプルなデザインのこれらの時計には、6時位置にスモールセコンドがある。このモデルはホワイトゴールドまたはローズゴールドで入手可能だ。前者のブルーの文字盤のモデルは、275万円、ブラックの文字盤でレッドゴールドのモデルはこれよりもおよそ15万円安くなっている。

ポルトギーゼ・ハンドワインド・トゥールビヨン・デイ&ナイト(Ref. IW545901)の定価は1155万円となっている。42.4mm径のケースはローズゴールド製で時計の心臓部には手巻きの自社製キャリバー81925を搭載。パワーリザーブは84時間となっている。トゥールビヨンは6時位置にある一方で、デイデイト表示は9時位置に配置されている。

チャペック アンタークティック グリーン メテオ

スイス・ジュネーブ発の高級時計ブランド、チャペックもWatches and Wonders 2024で新作をいくつか発表している。なかでも、最も会場を沸かせたのが、ブルーの文字盤を備えたプロムナード・グット・ドーだ。また、アンタークティックにイエローゴールドとローズゴールド製モデルが登場し、こちらもまた熱い視線を浴びた。そしてChrono24が特に注目したのは、アンタークティック グリーン メテオである。

Czapek Antarctique Green Meteor, Bild: Czapek
チャペック アンタークティック グリーン メテオ、画像:チャペック

文字盤にはギベオン隕石が使用され、ウィドマンシュテッテン構造と呼ばれる模様が特徴だ。自然にできた模様のため、一つひとつの文字盤、すなわちすべてのアンタークティック グリーン メテオが1点ものとなる。文字盤の深みのあるグリーンは、ラッカーの塗布によるもので、チャペックが丁寧にポリッシュ仕上げを行なっている。また、ポリッシュ仕上げのアプライドインデックスで、暗闇でも最適な視認性が確保されている。

直径40.5mm、厚さはたった10.6mmのステンレス時計の内部には、サンドブラスト仕上げでブラックの地板にチャペックの自動巻き自社製キャリバーSXH5.01がセッティングされている。クロノメーター認定のムーブメントには、リサイクルして作られたプラチナ製のマイクロローターがあり、パワーリザーブは60時間。また、サファイアクリスタルケースバックを通してムーブメントの動きを眺めることができる。

アンタークティック グリーン メテオは100本限定で、定価は約420万円だ。この記事の執筆時点では、チャペックの公式サイトで23本がまだ購入可能となっている。

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Sebastian Swart

Sebastian Swart

すでに数年前からChrono24のサイトを時計の買取と販売、そして時計について調べるのに使っていました。私は子どもの頃から時計に興味を持っており…

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