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Watches and Wonders 2025、今年はどんなイベントに?注目ブランドは?

Kristian Haagen 著
2025年3月14日
6 分
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Watches and Wonders 2025振り返り:見たもの、気に入ったもの

今年もWatches and Wondersがやってくる。ジュネーブにある見本市会場「パレクスポ」で、4月1日(火)〜4月7日(月)の日程で開催され、最後の2日間は一般公開される。出展ブランドは60を超え、最新のイノベーションや魅力的な新作時計、最新のトレンドなどが披露される。スイスの時計業界は昨年、様々な課題に直面してきたからこそ、世界中の時計ファンたちは、今年発表される新作に大いなる期待を寄せている。経験豊富なコレクター、熱心な愛好家、あるいは純粋に高級時計に興味がある方も、Watches and Wondersはまさに訪れるべき場所だ。早速、今年何が注目を集めるのか、詳しく見ていきたい。

LVMHグループの動き

LVMHグループはWatches and Wonders期間中に新作の一部を展示予定となっている。同グループは時計部門に注力し、伝統的な時計製造に積極的に投資を行っていることから、ルイ・ヴィトンの時計やダニエル・ロートの動向も注目したいところだ。筆者は最近、LVMHのアトリエ、ラ・ファブリク・デュ・タンを訪問し、そのタイムピースに息づく卓越したクラフツマンシップを再確認したところだ。その時計は、アイコニックなモノグラム柄のハンドバッグとは一線を画しながらも、LVMHのより幅広いビジョンが反映されたものだった。今日の不安定な市場において、時計はファッションよりも間違いなく持続可能性が高いと言える。これが、アルノー家がブルガリ、ウブロ、タグ・ホイヤー、ゼニスといった既存ブランドとともに時計業界へのさらなる進出を行っている主な理由であると思う。これらのブランドはWatches and Wondersで新作を展示予定だ。

パテック フィリップ キュビタスの本格的な展開

パテック フィリップ キュビタスについて皆さんはどう思われるだろうか。2024年にミュンヘンで発表された際に大きな話題を呼んだ時計だ。ファンでないなら、今後さらに多くのキュビタスを見ることに慣れたほうがよいかもしれない。ティエリー・スターン社長は、キュビタスは2039年までに筆者の手首にフィットするように設計されていると語っていた。言い換えれば、どんなに否定的な意見があっても、キュビタスは今後も長く存在し続けるということだ。

インディーズブランド

独立系ブランドに関しては(実際、パテック フィリップは独立ブランドと呼ぶにふさわしい)、特に以下のブランドがどのような新作を用意しているのか注目している。

ローラン・フェリエ

ローラン・フェリエは成功の波に乗っているようだ。年間約400本の時計を生産しており、ウィンドウショッピングの対象としてはあまり向かないブランドだ。というのも、ほとんどの時計がすぐに売れてしまい、長い予約待ちリストができてしまうからである。実際に筆者は、昨年スポーツ オートを注文したが、いまだに入荷待ちとなっている。スポーツシリーズは個人的なお気に入りだが、ローラン・フェリエはクラシックシリーズにこだわり、さらに複雑な機能を導入することを予想している。昨年は、年次カレンダーとムーンフェイズが注目を集めた。今年はトゥールビヨンが追加される可能性がある。ただし、トゥールビヨンは裏側からしか見ることはできない。

H.モーザー

筆者はH.モーザーへの関心が着実に高まっているのを、長年にわたり観察してきた。しかし、2019年にドバイで行われたインタビューで、CEOのエドワード・メイラン氏がストリームライナーをさりげなく着用していたのを見て、このインディーズブランドへの関心はさらに深まった。H.モーザーはストリームライナーの発売で一気にブレイクしたと言える。ストリームライナーは、もはや新参者ではなく、成熟したコレクションであり、ベテランのコレクターだけでなく若いファンにも魅力的な非常に興味深い新作を数多く発表している。

創造性は停滞中なのか、それとも新たな展開に向かうのか?

創造性に関して市場で際立っているブランドが1つある。それはウブロだ。創業者のカルロ・クロッコが1980年にラバーストラップのゴールドウォッチを発表して以来、ウブロは常に異素材との融合を追求してきた。ウブロはセラミックの革新においても先駆者であり、今年初めには「マジックセラミック」と呼ばれる多色セラミックを発表している。しかし、現在ほとんどのブランドが市場をより慎重に舵取りしているため、2025年にこの素材について多くを耳にすることはないだろう。

トレンディなのはどのブランドなのか?

1960年代や70年代にインスパイアされたストーンダイヤルを提供する新参ブランド(デニソン、ブローバ、バルチックなどを思い浮かべてみてほしい)をすでに数多く見てきたが、Watches and Wonders 2025では、さらに多くのブランドがこのような時計を披露すると予想している。もちろん、ピアジェやロレックスのような定評あるブランドには、ストーンダイヤルに関する豊かな歴史がある。筆者は、ピアジェがストーンダイヤルの印象的な新作を発表すると確信している。しかし、ロレックスは過去のトレンドを再訪するのではなく、新作を導入することで知られているため、他のブランドほど積極的にストーンダイヤルを採用するとは予想していない。

Watches and Wondersの必要性

ロレックス、パテック フィリップ、ショパールは、ショーを牽引する、いわば「大御所」ブランドであり続けている。しかし、強力なLVMHグループの支援を受けたブルガリが今年はこのショーに参加し、Watches and Wondersを業界最高のイベントとして定着させることは間違いないだろう。Watches and Wondersは必要なのかと聞かれたら、答えは「イエス」だ。Watches and Wondersは、世界中のメディアだけでなく、世界中の小売業者からも注目を集める重要なイベントだ。そうは言っても、60のブランドが出展し、さらにパレクスポ以外でもブランドが出展しているため、かなりボリュームのあるイベントだ。Watches and WondersがSIHHと呼ばれ、16~18のブランドによる発表に限定されていた初期の頃は、すべてを見て回る時間が十分にあったが、今はそうではない。すべてのブランドを訪問する時間が足りないのなら、これほど多くの出展者がいる意味は何なのだろうか?ジャーナリストがショー全体を体験できるのはたった4日間であり、1日に8~10件のプレゼンテーションが行われるため、単純計算でみると、然るべき注目を集められない企業がかなりあることがわかる。そのため、どのブランドのブースを訪れるかは毎年慎重に選択しなければならない。

Watches and Wondersの楽しみ

時計業界のベテランとして、一か所で多くの時計仲間に会えるのはいつも嬉しいことだ。世界中から人々が集まるイベントで、長年の友人と再会したり、お酒を飲みながら人生について語り合ったりするのは、誰だって楽しいことだろう。世界各地の友人と会う以外にも、4月2日にライカ社と共同で時計やカメラについて語る写真展を主催したり、4月5日に友人であり同僚でもあるロビン・スウィザンバンク氏とパネルトークに参加したりすることを特に楽しみにしている。

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Kristian Haagen

Kristian Haagen

私は20歳の頃から時計を収集しています。一番好きなのはヴィンテージの時計です。ヴィンテージの時計には魅力的な歴史やクールな由来があることが多く、このような由来のある時計は新品の時計よりもずっと興味深いものです。

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