2018年08月17日
 11 分

TPOに合わせた時計選び

Jorg Weppelink
TPOに合わせた時計選び

ヘンリー王子とメーガン・マークルの結婚式に出席するとしたら、あなたはどの時計を付けて行くだろうか?もしくは、ベルリンのテクノパーティーに行くとしたら?新しい世代は今までになかったスタイルを生み出し、それとともに着こなしのルールも変化して行く。

あなたは保守的で状況に合わせた着こなしのルールを守るタイプだろうか?それとも自分自身のスタイルを持っていて独自のルールを作り出すタイプだろうか?時計に関して言えば、場面に応じてどのような時計を着用するべきかという多くのルールがある。もしあなたがフォーマルなイブニングパーティーに行くとしたら、時計は付けて行くべきではない。そこは心地よい時間を過ごし日々の喧騒は忘れる場所なのだ。ヘンリー王子とメーガンの結婚式に何を着用して行くべきではないか、これでもうお分かりだろう。

しかし、時計を付けないというのは私たちの流儀ではない。様々な場面において着用する時計の基本的なルールに焦点を当てて、それが現代においても当てはまるかどうか見てみよう。

場面に合わせた着こなし

時計選びを始める前に、まずは特定の場面に何を身に付けて行くべきか知る必要がある。もしかして、1本の時計でどのような場面にも対応できると思ってはいないだろうか?高級なヴィンテージのロレックス エクスプローラーは万能な時計だが、それでも全ての場面にふさわしい時計というわけではない。もしあなたのお気入りの1本がゴールドのカシオ カリキュレーターだとしたら、その時計を付けて行ける場面はあまり多くないかもしれない。西洋のドレスコードは6種類の場面によって定義されている。それは、フォーマルウェア、セミフォーマル、インフォーマル、ビジネスカジュアル、スマートカジュアル、カジュアルウェアだ。

厳格なドレスコードの意義は徐々に重要性を失っており、現代では自分独自のアイデンティティを特徴付けることや独特なスタイル感覚を見つけ出すことの方に関心が置かれている。しかし、それは機会や場面にまったくそぐわない着こなしをするべきだ、という意味ではない。良識を持つと言うことは、それがどのような場面であるか判断し、そのドレスコードの範囲内で状況に合わせた自分自身のスタイルを見つけるということだ。

<span>ジェームス・ボンド ロレックス・サブマリーナ</span>写真: Danjaq LLC, Sony Pictures Entertainment

ジェームス・ボンド ロレックス・サブマリーナ 写真: Danjaq LLC, Sony Pictures Entertainment

中にはドレスコードを厳しく守ることに重きを置く人もおり、それが自分のスタイルになっていることもある。しかし、ドレスコードの遵守を他人にも押し付けようとするのはいただけない。また、現代においてファッションリーダーと呼ばれる人々は、ルールの枠を出て独自のスタイルを示すことで有名になっている。ジャンニ・アニェッリがシャツの上から時計を付けていたことを批判したとしたら、彼は腕時計をちらっと見て「時間の無駄だ」と言っただろう。また、ショーン・コネリーはジェームス・ボンド役でタキシードを着ている時にサブマリーナを着用していた。ファッションリーダーたちの着こなしを観察することで、スタイルの作り方が見えて来ないだろうか。

一般的に、多くの男性は日常的仕事とプライベートという2つのドレスコードを使い分けている。しかし、カジュアルとビジネスの境目はどんどんと曖昧になってきており、全体的に見て仕事場におけるカジュアルな服装はますます普通になってきている。しかし、フォーマルな場面は日常的ではないため今でもドレスコードの境界がはっきりしている。そのため、フォーマルな場面になるほど場に適したドレスコードに気を使う必要がある。それでは、いくつかのドレスコードを見ながら、これを厳格に守りたい人もそうではない人も、その両者が着用できる時計を見てみよう。

フォーマルまたはセミフォーマルな夜会

ランゲ&ゾーネ サクソニア 写真: Bert Buijsrogge

ランゲ&ゾーネ サクソニア 写真: Bert Buijsrogge – Chrono24で出品商品を見る

ドレスコードの厳守を好む人ならば、白いネクタイ、黒いネクタイもしくはセミフォーマルなイブニングウェアを着用し、もし時計も付けるならばドレスウォッチでなくてはいけないと言うだろう。大きすぎるものや目立つものは避け、できる限りシンプルでエレガントなものを選ぶ。ストラップと文字盤の色は服装に合わせたダークトーンが好ましい。この3つの場面ではブラックとミッドナイトブルーを選べば間違いない。白いタキシードの場合はどうすればいいのか、といった質問も時々ある。しかし白いタキシードは着て行かない方が良い。そうでないと、人々があなたにドリンクを注文することになるかもしれない。

素晴らしいドレスウォッチの選択肢は多岐にわたるが、現代の多くの人はスポーツウォッチやツールウォッチの方により関心を持っている。黒いネクタイやセミフォーマルなイブニングドレスを着用するならば、ロレックス チェリーニ タイムや美しいヴァシュロン・コンスタンタン パトリモニーまたはパテック・フィリップ カラトラバがとても似合う。もう少し手頃な選択肢としては、ゼニス エリート クラシックまたはボーム&メルシェ クラシマもある。

もう少し自由に時計を選びたいと言うのであれば、コンプリケーションを搭載した時計も選択肢に入るが、大きさには気を付けなくてはいけない。年次カレンダーとムーンフェイズを搭載したパテック・フィリップ 5146Pは素晴らしい選択肢だ。クロノグラフは技術的に見てスポーツウォッチであるため基本的に不適切であるが、美しく上品なクロノグラフもある。例えば、黒い文字盤とレザーストラップを持つ18Kピンクゴールド製のA.ランゲ&ゾーネ 1815 クロノグラフだ。その時計についてだれかが「不適切」であるとコメントしたならば、軽く笑顔で答えてそのままその場を離れればいい。

もう少し現代的な時計が好みの場合も多くの選択肢があるのだが、その中の1つはブルガリ オクト フィニッシモと黒のレザーストラップの組み合わせだ。チタンモデルと18Kローズゴールドのどちらを選ぶかはおまかせする。もう1つの選択肢は、黒の文字盤とレザーストラップを持つ18Kピンクゴールド製オーデマ・ピゲ ロイヤルオークだ。さらにオーデマ・ピゲはこの時計に合わせたカフスボタンも提供している。もしだれかがあなたのスタイルをチェックしに来たとしても、これで心配することはない。

オフィス

オフィスに付けて行く時計選びは、仕事の内容と仕事に日々着て行く服装にもちろん左右される。現代における職場のドレスコードはインフォーマルウェア、ビジネスカジュアル、スマートカジュアルそしてカジュアルウェアに分けられる。基本的にはスーツとネクタイ、ジーンズ、スニーカー、Tシャツなど何でも着て行ける。つまり時計の選択肢にも限りがない。そのため、これらの場面すべてに適切な時計を選び出した。

どのような場面にでも着用して行ける万能な時計、それはロレックス サブマリーナだ。サブマリーナはカジュアルな場面でもビジネスの場でも着用できる時計として広く受け入れられている。サブマリーナはダイビングウォッチであるためスーツとネクタイには適さない、という人もいるかもしれないが、全体的に見てロレックス サブマリーナはどのような場面でも着用できる時計の1つだ。ロレックス自身もこの時計があらゆる状況で使用できることを1965年の宣伝で主張した ― 私たちはこの時計を200mの深さの海中でも完璧に機能するように開発しました。そして、それはおそらくどのよう深度であっても完璧に時を刻むでしょう ― 私たちも同じ意見だ。

スーツに合わせることができ、さらにカジュアルな場面でも着用できる時計の選択肢は、他に何があるだろうか?大事なポイントは、時計には全体の服装に合った色のレザーストラップが必要であるということだ。1つ目のお勧めは非常に人気の高いIWC ポルトギーゼだ。その中でも特に人気なのがIWC ポルトギーゼ クロノグラフなのだが、クロノグラフはカーレース用であると感じるならばIWC ポルトギーゼ・オートマティックがいいだろう。しかしあまり神経質になる必要はないし、どちらのモデルも素晴らしい選択肢だ。

ビジネスの場で日々着用できるもう1つの人気時計と言えばオメガ スピードマスター プロフェッショナルである。この時計に黒のレザーストラップを組み合わせれば、カジュアルな服装にもスーツにも上手く合わせることができる。もしより現代的なセラミック製のスピードマスターを購入するだけの予算的余裕があるならば、スピードマスター ダーク・サイド・オブ・ムーン ブラック・ブラックまたはダーク・サイド・オブ・ムーン セドナブラックをお勧めしたい。

ここで世界中の腕時計の中でも最も定番である3本が紹介されているのは偶然ではない。この3つの時計は、一般的に言ってあらゆるシーンで着用できる時計として広く受け入れられている。それは、これと同じような時計が他にない、という意味ではない。あなたがロレックス サブマリーナよりロレックス デイジャストの方を好むかどうかは、個人的な好みの問題だ。自分の仕事に最も適していると思う時計、それが一番の決め手だろう。

週末

週末はのんびりとくつろぎ楽しい時間を過ごすためにある。そして、週末のリラックスした時間を過ごしている間、時計はいつでもあなたの手首で時を刻んでいる。そのため、それは日中外出する時も、友人と一緒に夕食を楽しむ時でも着用できる時計でなくてはいけない。もしヴィンテージ時計に興味があるならば、プレジデントブレスレットを使用したイエローゴールド製のロレックス デイデイトをお勧めしたい。エレガントな黒のレザーストラップも購入すれば、状況に合わせて使い分けることもできる。後はすてきな週末が訪れるのを待つだけだ。

ロレックス デイデイトの購入はまだ早いと思うならば、ロレックス エクスプローラー I はどうだろうか?エクスプローラーはステンレス製のブレスレットで販売されているが、レザーストラップを合わせることもできる。また、予算に関することだけではなく、この時計はデイデイトより若干スポーティーで若く見える。

休暇

休暇中は楽に身に付けられて、ダイビング、セーリングまたはハイキングなど様々なアクティビティーに対応できる時計が必要になる。素晴らしい休暇はダイバーズウォッチとスポーツウォッチを身に付ける最高の機会だと言っているように聞こえるかもしれないが、一度の休暇でそこまで多くの異なるアクティビティーに参加する機会は実際のところあまりないだろう。しかし、次の休暇で何が起こるかはだれも分からない。

休暇に最適な1つ目の時計はジン U1 S Eだ。ジンは高性能のツールウォッチを製造することで知られており、休暇中に最適な時計であるかもしれない。ジン U1 S Eはレトロなデザインのダイバーズウォッチで、シリコンストラップ付きで販売されている。ダイビングや水泳の際には頼れる時計であり、友人や家族と素敵な夕食を共にする際には皆の注目を集めるだろう。

休暇に最適な1つ目の時計はジン U1 S Eだ。ジンは高性能のツールウォッチを製造することで知られており、休暇中に最適な時計であるかもしれない。ジン U1 S Eはレトロなデザインのダイバーズウォッチで、シリコンストラップ付きで販売されている。ダイビングや水泳の際には頼れる時計であり、友人や家族と素敵な夕食を共にする際には皆の注目を集めるだろう。

バーゼルワールド2018でオメガは新型オメガ シーマスター 300Mを発表し、多くの批評家から称賛を浴びた。この新モデルはステンレス製ブレスレットもしくはラバーストラップから選ぶことができるが、コレクションの中でも特に注目を集めたのは黒いラバーストラップを持つスチールとセドナゴールドのモデルだ。スチール、ゴールドそしてブラックのカラーコンビネーションは美しいハーモニーを奏で、シーマスターをダイビングにも夕食にも着用できる時計にしている。もしかしたら、ジェームス・ボンドが次にタキシードと合わせるのはこの時計かもしれない。

そして、それこそがこの記事で伝えたかったことだ。常にルールを気にするのではなく、自分自身のスタイルで場に合わせた着こなしをすること。もしあなたが自分自身のスタイルを見つけたならば、もう他人に何を着用して行くべきか尋ねる必要はないだろう。後はあなたの感性を信じるだけだ。


記者紹介

Jorg Weppelink

こんにちは、ヨルグです。2016年からChrono24で記者として執筆しています。しかし、Chrono24との関係はそれ以前からあって、時計好きになったのは2003年頃からです。私の友人 …

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