パテック フィリップ ノーチラス

「世界で最も高価な時計の一つは、スチール製である。」このスローガンを掲げて、1970年代に パテック フィリップはノーチラスを発表しました。今日、この高級スポーツウォッチは、世界で最も人気で有名な腕時計の一つです。ノーチラスの需要はとても高く、購入の際には数年待ちになることも珍しくありません。この待ち時間を節約したい方は、Chrono24でノーチラスの中古品や新品を手に入れることができますが、価格は割高になります。

パテック フィリップのノーチラスの価値は近年倍増しており、青文字盤の！{ref-patekphilippe-57111a010,Ref.5711/1A-010}が2015年の初めにまだ280万円程度だったのに比べて、未使用品の価格は今では1325万円を超えています。特にここ数ヶ月は、パテック フィリップがついにステンレス製のRef.5711の生産を中止したため、ステンレス時計の価値が非常に高まっています。定価も当初の357万5000円から最近では387万2000円まで上昇しています。パテック フィリップは、2021年4月にジュネーブで開催されたWatches and Wondersで、Ref.5711/1A-014の後継モデルを発表しました。この時計の最大の特徴は、これまでのノーチラスシリーズでは見られなかったサンバーストを施したオリーブグリーンの文字盤にあります。国内定価は401万5000円です。

2018年に発表されたこのシリーズのフラッグシップモデルは、ホワイトゴールド製で、永久カレンダーを備える自社製キャリバーを搭載しています。このゴールドウォッチの自動巻きムーブメントは3.88mmのフラットな形状で、全体の高さは8.42mmしかありません。そのため、ノーチラス5740は特に薄型で、ドレスウォッチとして理想的なモデルです。

ノーチラスの中でも特に人気が高いのは、リファレンスナンバー5711のスタンダードバージョンで、特にブルーの文字盤を持つモデルは憧れの的となっています。未使用の時計には、2021年の初めから約1325万円の価格が付けられています。その前年までは、このモデルはまだ835万円程度で購入できました。これは、約60％の価値増加に相当します。Ref.5711/1A-010のノーチラスにはブルーダイアルが備えられており、定価はわずか387万2000円です。パテック フィリップはこのリファレンスをすでに廃盤としているため、正規販売店で手に入れることは事実上不可能です。

ホワイトダイヤルと同系のモデルである！{ref-patekphilippe-57111a011,Ref.5711/1A-011}も同様に人気で、未使用品は約1140万円で販売されています。このリファレンスの価格も、2020年の初めには835万円前後でした。価値の上昇率は約35％です。パテックフィリップは、このモデルも廃止にしています。この時計を探す時間と運がある場合、グリーンの文字盤を持つ後継のリファレンス5711/1A-014を、正規販売店で定価401万5000円で手に入れることができます。また、ベゼルにダイヤモンドをセットしたモデルも提供されており、リファレンス番号5711/1300Aで見つけることができます。32個のバゲットカットの宝石を使用しているため、価格は1086万8000円になります。

ピンクゴールドのRef.5711/1Rモデルは、現在も販売されており、その素材の価値を考慮すると、ステンレスモデルよりもわずかに高い程度です。Chrono24では、未使用品が1695万円程度で手に入ります。2018年の初めには、その市場価格はまだ595万円程度でした。国内定価は611万6000円です。

中古の時計では、数十万円の節約ができます。例えば、青文字盤を備えたステンレス製のノーチラスは、中古で約1230万円です。ホワイトダイアルのモデルは約1110万円、ピンクゴールドのモデルは約1510万円となっています。

パテック フィリップのノーチラスは、常に最も高価なステンレス製スポーツウォッチのひとつです。定価でさえも、他のメーカーがゴールドウォッチや複雑なコンプリケーションモデルに付けている価格帯にあります。しかし、なぜ定価と市場価格の差がこんなにも大きいのでしょうか。

最近の5711の価格上昇は、パテック フィリップが2020年に白文字盤のモデルを、そして2021年初頭に青文モデルを廃盤にしたことが主な理由と考えられます。これにより、ノーチラスの需要と希少価値がさらに高まりました。このパテック フィリップの価格の動きは、他のメーカーのモデルにも影響を与えています。例えば、オーデマ・ピゲ ロイヤルオーク Ref.15202STも最近大幅に値上がりしており、約1190万円まで上昇しています。2020年の初めには、この時計はまだ555万円前後で推移していました。この大幅な価格上昇は、オーデマ・ピゲが最近15202STの生産を終了したことからも説明できます。

パテック フィリップ社長のティエリー・スターンがWatches and Wondersでノーチラス5711の後継リファレンスを発表したにもかかわらず、価格は上昇し続けています。正規販売店のキャンセル待ちを期待していた人たちは、何年も待った末に手ぶらのままになるか、より高い金額を払わなければ入手は難しいでしょう。

ノーチラスの市場価格は、何年も前から定価を大幅に上回っています。これは、この時計の人気と膨大な需要によるものです。パテック フィリップは、ステンレスモデルがコレクション全体を支配することがないように、生産数を抑えてきました。ジュネーブを拠点とするマニュファクチュールは伝統を重視しているため、ステンレスモデルではなく、エレガントで複雑な腕時計に重点を置いています。需要に合わせてノーチラスの生産量を増やすことは、同社の方針とは異なります。

ノーチラス Ref.5712 もまた、非常に人気の高いモデルです。5711とは異なり、5712はスモールセコンド、ムーンフェイズ、ポインターデイト、パワーリザーブインジケーターを備えています。パワーリザーブは、10時と11時の間に表示されます。ポインターデイトを含むムーンフェイズ表示は6時と8時の間に、スモールセコンドは4時と5時の間に配置されています。

ケースの内部では、自社製ムーブメント 240 PS IRM C LUが時を刻んでいます。このキャリバーは、平均48時間のパワーリザーブを備えています。

リファレンス5712には、ステンレススチール、ピンクゴールド、ホワイトゴールドの3種類があります。ゴールドバージョンは、レザーストラップで手首に固定されます。ピンクゴールドのモデルは、未使用約1060万円で購入できます。ホワイトゴールドバージョンは多少安く、約875万円となっています。最も高価なのはステンレス製の時計で、未使用価格は約1245万円です。定価に比べて、これら3つのバリエーションのそれぞれの市場価値は格段に高くなっています。その差が最も大きいのはステンレスモデルで、定価は444万9600円です。

クロノグラフ機能を搭載したノーチラスをお探しの方は、Ref.5980をご覧ください。現在パテック フィリップは、このモデルの18Kピンクゴールドと、ピンクゴールドとステンレススチールのコンビモデルのみを販売しています。ステンレス製のモデルは、リファレンスナンバー5980/1A-001で、Chrono24での未使用価格は1590万円以上となっており、3針モデルの5711よりもわずかに高い程度です。ピンクゴールド製で金無垢のブレスレットを備えたモデルは、約2485万円です。ブラウンのアリゲーターストラップを使用した5980/Rの価格は約1310万円です。ステンレスとピンクゴールドのリンクブレスレットが付いたコンビバージョンは、約1325万円で購入できます。

コレクションの最高級モデルのひとつは、タイムストップ機能と第2タイムゾーンを備えたパテック フィリップ ノーチラス トラベルタイム クロノグラフです。スイスのジュネーブを拠点とするマニュファクチュールは、2014年のバーゼルワールドでこの複雑な時計を発表しました。時刻表示には、自動巻きキャリバーCH 28-520 C FUSを搭載。また、ポインターデイトに加えて、トラベルタイム・クロノグラフには両タイムゾーンのデイナイト表示が搭載されています。ノーチラス トラベルタイム　クロノグラフ Ref.5990は、このシリーズの中でも最も複雑な時計のひとつですが、未使用品の価格は約1390万円と、3針のノーチラスよりも安くなっています。また、ノーチラス・クロノグラフはトラベルタイム クロノグラフよりも高価です。2021年に発表されたピンクゴールドバージョンは、ブルーのダイアルを備えるリファレンスナンバー5990/1R-001で、公式価格は1644万9900円です。

このシリーズのトップモデルは、ノーチラス 永久カレンダー Ref.5740です。自社製キャリバー240Qのマイクロローターのおかげで、ホワイトゴールド製のこの時計の厚みはわずか8.42mmで、オーデマ・ピゲのロイヤルオーク パーペチュアルカレンダーよりも1mmほど薄くなっています。このパテックフィリップの時計は、3時位置に月と閏年、6時位置に日付とムーンフェイズ、9時位置に曜日を表示します。また、9時位置のサブダイヤルには24時間表示が備えられています。ノーチラス 永久カレンダーの定価は1548万8000円です。Chrono24では、この複雑でフラットな高級時計を未使用の状態で約2550万円で購入することができます。前述のロイヤルオーク パーペチュアルカレンダーの18Kピンクゴールドモデルは約1615万円です。

パテック フィリップは2016年、ノーチラスの40周年を記念して2作の特別限定モデルを発表しました。この2作では両方とも、文字盤、またバゲットカットのダイヤモンドインデックスに記念の刻印が施されています。

最初のスペシャルエディションは、700本の限定生産であり、非常に希少です。このモデルRef.5711/1Pはプラチナ製のクラシックな3針のノーチラスです。このプラチナウォッチの2016年の定価は1274万0000円でした。現在、未使用の時計を手に入れるには、約5500万円を用意する必要があります。すでに着用されている時計は大幅に安くなりますが、それでも4495万円近くします。

2つ目のモデルは、1300本しか存在しないパテック フィリップ ノーチラス クロノグラフです。このクロノグラフのケースは、ホワイトゴールド製で、サイズは44mmです。国内価格は520万5600円でした。現在、ゴールドのクロノグラフの未使用品は4495万円以上となっています。中古時計はそれより265万円ほど安くなっています。

1970年代から1980年代のパテック フィリップのノーチラスは、多くのヴィンテージ ウォッチ コレクターにとって「聖杯」のような存在です。初期のモデルは、1976年から1990年の間に発売された Ref.3700です。42mmというケースサイズから、「ジャンボ」という愛称で呼ばれていました。このノーチラスの原点となるモデルに興味を持たれた方は、1585万円程度の予算をご用意ください。このモデルの価格は近年2倍ほど上昇してきました。

37.5mmと明らかに小さいノーチラスRef.3800は1980年代初頭に登場し、かなり安い価格で提供されています。このモデルは、約450万円という低価格で手に入れることができます。しかし、2018年の初めには、まだ240万円程度で購入できたことを考えると、その価値も年々上昇しています。とはいえ、市場に出回っているノーチラスのモデルの中では最も手頃な価格です。

37.5mmでは小さすぎるという方は、ノーチラスRef.3710をご覧ください。この時計は、標準的な42mmサイズで、ローマインデックスとパワーリザーブインジケーターを備えています。パテック フィリップはこのリファレンスを1998年に発表しました。現在の価格は約830万円です。

リファレンス3711は、特に希少性が高いため、多くのコレクターにとって興味深いものです。このノーチラスは、パテック フィリップが2005年に発表したもので、1年間しか製造されませんでした。一方、ホワイトゴールドの時計の市場相場は約1980万円です。

パテック フィリップは2019年にノーチラスのレディースシリーズ 7118を発表しました。35.2mmの小型なウォッチは、メンズモデルに比べてより繊細でフェミニンな印象を与えます。例えば、ベゼルの幅が大幅に狭くなっています。パテック フィリップは7118を、ステンレスまたはピンクゴールドにダイヤモンドをセットした使用で提供しています。文字盤の色は、ゴールデンブラウン、ブルー、シルバー、グレーの4色があります。ムーブメントには、センター秒針と日付表示を備えた自動巻きキャリバー324 S Cを採用しています。

ステンレス製でブルーの文字盤の未使用のモデルは、約475万円で購入できます。ベゼルにダイヤモンドを使用した場合、価格は約740万円になります。18Kピンクゴールドのレディースモデルのノーチラスは、約780万円で入手できます。ベゼルにダイヤモンドをセットしたモデルは、それより130万円以上高くなります。

2021年以降、パテックフィリップは、7118にブリリアントカット ダイヤモンドを全面的にセッティングしたハイジュエリー バージョンも提供しています。ピンクゴールドのケースには518個のブリリアントカットダイヤモンドがあしらわれ、さらに文字盤に286個、リューズに20個、ブレスレットに1729個のダイヤモンドがセッティングされています。レディースノーチラスには、合計で12.69カラットの2553個のダイヤモンドが使用されています。パテックフィリップは、この時計を国内定価4211万9000円で販売しています。

1976年にパテック フィリップがノーチラスを発表したとき、それまで伝統を重んじるブランドとして名の知られていたパテックフィリップは既存の常識を覆しました。ステンレス製のスポーティーなデザインの時計は、このマニュファクチュールにとって全く新しいものでした。ノーチラスは、初期にはまだ世間を騒がせましたが、長い年月を経て時計業界のアイコン的存在となり、世界で最も人気のある時計の一つとなりました。その外観は当時から現在までほとんど変わっていません。最も印象的なのは、角を丸くした八角形のベゼルです。さらに、サテン仕上げとポリッシュ仕上げのリンクで構成された典型的なステンレス製のブレスレットを採用しています。このルックは、ジュール・ヴェルヌの小説『海底二万哩』に登場する潜水艦の舷窓からインスピレーションを得て完成されました。

パテック フィリップはノーチラスの文字盤に水平エンボス加工を施しています。このデザインはマリン風で、クラシックなギョーシェ彫刻に比べてスポーティーな印象を与えます。また、夜光の棒状インデックスがスポーティー感をさらに助長しています。同様に、時針と分針にも夜光塗料が使用されています。

この時計のデザインを考案したのはジェラルド・ジェンタです。元オメガのデザイナーであったジェンタは、1972年に市場に送られたオーデマ・ピゲ ロイヤルオークのデザインも手掛けています。1974年に彼はパテック フィリップに、ステンレス製の時計を作るというアイデアを提示しました。初代のノーチラスモデル、リファレンスナンバー3700のデザイン考案にジェンタとパテックが同意するまでに2年の歳月がかかりました。1976年以前には、パテック フィリップは貴金属製のクラシックな時計を提供してきました。デザイナーのジェンタはロイヤルオークとノーチラスの他にも1970年後期、IWC インジュニア Ref.1832のデザインを行いました。

ケースの技術とムーブメント

42mmのケース径は、1970年代半ばには革命に匹敵するものでした。ノーチラスには、その大きさから「ジャンボ」というニックネームが付けられました。当時は、36mm前後のケースサイズが主流でした。ケースの構造も斬新で、モノコックとベゼルの2つのパーツだけで構成されています。通常、時計メーカーは裏蓋、中間部、ベゼルの3つのパーツからなるケース構造を採用します。ノーチラスのモノコックには、巻真のための穴が1つしかありません。そして、ベゼルはプレス加工で取り付けられています。また、モノコックとベゼルの間にはシーリングがあり、これによって密封されています。モノコック、ベゼル、シーリングの組み合わせにより、120m (12気圧)の防水性が確保されています。

初代ノーチラスの機構としては、ジェガー・ルクルトベースのキャリバー28-255 Cが搭載されていました。このムーブメントは、当時自動巻きキャリバーの中で最も薄型の機構の一つに数えられていました。同キャリバーの3時位置には日付表示が付いており、厚さは3.15mmと薄型です。

1980年代以降、パテック フィリップ ノーチラスでは様々なモデルが提供されています。例えばケース直径37.5mmの標準サイズのリファレンスナンバー3800があります。このモデルの素材の種類にはゴールド、プラチナ、またゴールドとステンレスから成るコンビモデルが提供されています。パテック社が1990年代に「大型」なノーチラスの製造を一時中止した際、モデル3800はこのメーカーが販売する唯一のスポーツウォッチでした。

1990年代中盤に、パテック フィリップはリファレンスナンバー5060をデビューさせました。この時腕時計はゴールド製で、ノーチラスで初めてレザーストラップが使用されました。また、新型のラグが時計にエレガントさを与えました。パテック ブランドの2作目のスポーツウォッチ アクアノートは、このモデルを基本として作られました。

1998年、パテック フィリップは「大型」のノーチラスをリニューアルしました。リファレンスナンバー3710/1Aのこの時計は、12時位置の下にパワーリザーブインジケーターがあり、アワーマーカーにはローマインデックスが使われています。2000年代半ばには、18Kホワイトゴールド製でサファイアクリスタルのケースバックを持つモデルも発売されました。

また、ポインターデイト、パワーリザーブ表示、ムーンフェイズ表示を備えた、これまでで最も複雑なノーチラスも登場しました。このモデルには、キャリバー240PS IRM C LUが搭載されています。現在、これらの時計はコレクターズアイテムとして高い人気を誇っています。リファレンスナンバーは3712/1Aです。

2006年、パテック フィリップ ノーチラスは発売30周年を迎えました。これを機に、高級時計マニュファクチュールであるパテック社は、ノーチラスの改訂版を発表しました。リファレンスナンバー5711/1Aではケースの側面に少し膨らみが加えられ、ケース径は少し大きめの直径43mmになりました。フライバック クロノグラフ機能を持つリファレンスナンバー5980は新しい注目商品になりました。

2014年には、リファレンスナンバー5990のノーチラス トラベルタイム クロノグラフが追加されました。このモデルには、クロノグラフ機能、ポインターデイト、ローカルタイムとホームタイムの2つのタイムゾーン機能が搭載されています。

パテック フィリップは、キャリバーCH 28-520 C FUSのために新しいケースをデザインしました。今後は、ケース右側のヒンジ部分がリューズガードの役割を果たします。パテックはオリジナルのデザインを変えることなく、左ヒンジをタイムゾーン用の2つのプッシャーに変更しました。さらに、クロノグラフに必要な2つのプッシュボタンは、右側の1時と2時の間と、4時と5時の間に設置されました。

現在のステンレス製のスタンダードバージョンはリファレンスナンバー5711で、「ジャンボ」と同様に3時位置に日付表示を備えた3針モデルです。文字盤の色は、ブラック・ブルー、ホワイト、オリーブグリーンからお選びいただけます。比較的新しいモデルでは、キャリバー26-330 S Cが時を刻んでいます。このムーブメントは自動巻き機構を持ち、3.3mmという非常に薄いサイズで、212個の部品から構成されています。