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ロレックス – 世界一有名な高級時計ブランドと投資としての価値
高級時計ブランドとして不動の地位を確立しているロレックス。ブランドの伝統的なスタイルに忠実に作り出された時計は世界中で愛されています。また、多くのモデルでは価格の上昇が見られ、時に信じられないような価格となることから、投資対象として注目されています。
時代を超えるデザインと投資としての可能性
高級時計の代名詞とされることが多いロレックス。あらゆる時計において、目指すべき理想の設計図とされてきたモデルは、時計業界のアイコンとなっています。サブマリーナーについて言えば、時計界初のダイバーズウォッチではありませんが、このカテゴリーで絶対的な存在とされています。また、GMTマスターについても、2色使いの24時間表記のベゼルがGMT時計のスタンダードになっています。
確かな品質や時代を問わないデザインから高い知名度を誇り、ここ数十年で人気が上昇し続けているロレックス。そのため入手困難とされ、価格も常に上昇しています。このようにロレックスの時計は、価格上昇の可能性が高いことから投資としても注目されています。
しかしながら、ロレックスの人気の理由は卓越した美しさや安定した価値だけではありません。オメガがスウォッチグループの傘下にあるように、他の有名ブランドの多くが大規模なグループに所属するなか、ロレックスは数少ない独立系ブランドの1つであり、すべての時計を自社で生産しています。また、成功の別の理由として、企業の経営方針があり、生産工場はほぼ非公開で、経営陣のインタビューなどもなく、また年間利益も公開されていません。
ロレックスの人気モデル一覧
- サブマリーナー – ダイバーズウォッチのレジェンド、デイト/ノンデイトの2種類あり
- GMTマスター/GMTマスター II – 2タイムゾーン表示のスタンダード
- デイトナ – トリコンパックスデザインのレース仕様クロノグラフ
- デイデイト – 日付/曜日表示付き、ステータスシンボル
- デイトジャスト – ラグジュアリースポーツウォッチの絶対的存在
- エクスプローラー/エクスプローラー II – タフでエレガントなツールウォッチ
- オイスターパーペチュアル – ロレックスのエントリーモデル
サブマリーナー – ダイバーズウォッチのパイオニア
ロレックスのコレクションの中でも最も定番とされているサブマリーナー。1953年にダイバーズウォッチとして発売されて以来、そのデザインは最低限の変更が加えられただけで、ほとんど変わっていません。潜水時間を計測するための目盛り付き回転ベゼル、夜光塗料が施されたドットインデックスや12時位置の三角マーク、メルセデス針を備えたシンプルな文字盤は、今日も変わらないサブマリーナーの特徴です。
ステンレス製サブマリーナーの現行モデルには、Ref. 124060(ノンデイト)とRef. 126610LN(デイト)の2種類があり、ともにケースサイズは41mm、300m防水(30気圧)、黒文字盤、黒のベゼルインサートを備えています。ステンレス製のモデルの他にも、ホワイトゴールドやイエローゴールド製、ステンレスとのコンビモデルが展開されています。
またサブマリーナーには、人気のコレクターズモデルもあり、なかでもグリーンのサブマリーナーは、「ハルク」や「カーミット」という別名で呼ばれています。ブルーのサブマリーナーは「スマーフ」の愛称で呼ばれ、多くのファンを魅了しています。その他にも、フランスの潜水作業専門会COMEXのダイバーのために制作されたサブマリーナー COMEXなどの希少なモデルも存在します。
サブマリーナー現行モデルの特徴
- ケース径 41mm
- ステンレススチール、ゴールド、コンビモデル
- デイト、ノンデイトの2タイプ
- 300m (30気圧) 防水
デイトナ – クロノグラフの定番
ロレックスの中でも、最も高い人気を誇るのがコスモグラフ デイトナです。1963年に初めて発表されたクロノグラフは 、伝説的なサーキットがあるフロリダ州のデイトナビーチをその名の由来としています。他のロレックス時計と同様にデイトナにおいても、現在までデザインはほとんど変わっていません。文字盤には、発売以来変わらず3時、6時、9時位置にインダイヤルが配置されています。アワーマーカーは、数年前から先端が尖ったバーインデックスに、時分針にはバー針が採用されています。どちらも夜光塗料が施されており、暗い場所や夜間でも視認性に優れています。
プッシュボタンには、リューズガードに取り囲まれたリューズと同様にねじ込み式が採用され、オイスターケースとともに100mの防水性を実現しています。素材はステンレス、ゴールド、ステンレスとゴールドのコンビ、プラチナ製のバリエーションで展開されています。
また、ベゼルはタキメータースケールを備えており、デイトナの特徴の1つでもあります。ベゼルインサートに使用されている素材は、ステンレス、プレキシガラス、アルミニウム、ブランド独自のセラクロムなど、製造年によりさまざまです。
60周年を記念した新しいモデル
2023年、ロレックスはデイトナ誕生60周年を記念したモデルを発表。新モデルRef. 126500と旧モデルRef. 116500には、ほとんど違いは見られませんが、文字盤のインデックスが細めのデザインに変更されています。またケースについては、40mm径というサイズは変わらないものの、全体のラインがわずかに整えられ、よりコンパクトな見た目になっています。
外観とは反対に、デイトナ内部には大きな変更がなされています。ムーブメントには、72時間のパワーリザーブや高い精度や耐磁性を誇るクロナジーエスケープメントを備えた自社製キャリバー4131が搭載されています。
また、もう1つのモデルであるプラチナ製Ref. 126506には、サファイアクリスタルのシースルーバックが採用されています。シースルー仕様のケースバックからは、精緻に仕上げられたイエローゴールド製のローターを備えたムーブメントを見ることができ、ロレックスの中でも、希少なモデルとなっています。
ベゼルにダイヤモンドを敷き詰めたデイトナ
2024年、ロレックスはWatches and Wonders 2024で、ベゼルに36個のダイヤモンドを敷き詰めた新しいデイトナを発表。使用されているダイヤモンドは、トラペーズカットとブリリアントカットの2種類があり、トラペーズカットのダイヤモンドがあしらわれたモデルの場合、ラグとリューズガードにもダイヤモンドがセッティングされています。
ケース素材はローズゴールド、イエローゴールド、ホワイトゴールドから選べ、文字盤の色はブラック、ゴールド、シルバーから、サンダスト加工が施されたシックなピンクカラーや様々な色合いのマザーオブパールまで豊富にそろっています。
ブレスレットは、ケース素材と合ったオイスターブレスレット、スポーティなオイスターフレックスブレスレットの2種類展開です。
デイトナの特徴
- トリコンパックスデザイン
- タキメータースケール付きベゼル
- ねじ込み式プッシャーとリューズ
- 最大100m (10気圧) の防水性
- ステンレス、ゴールド、コンビモデル、プラチナ
GMTマスターとGMTマスター II
ロレックス GMTマスターは当初、パンナム航空のパイロットのために開発されたものでした。しかし現在では、GMTマスターや後継機であるGMTマスター IIのデザインは、2タイムゾーン表示機能を備えた時計のスタンダードとなっています。
GMTマスターは一見するとサブナリーナーと似ていますが、よく見ると基本的な部分に違いがあることがわかります。最も大きな違いはベゼルにあり、GMTマスターでは24時間目盛りが記されています。また色はツートンカラーがほとんどで、色で昼夜を区別することができるようになっています。カラーコンビネーションは、レッド/ブルー(ペプシ)、レッド/ブラック(コーク)、ブルー/ブラック(バットマン)、ブラウン/ブラック(ルートビア)があり、2022年からはグリーン/ブラック(スプライト)の組合せが加わっています。
その他の違いとしては、GMT針がベゼルと対応してホームタイム(自国時間)を表示します。
GMTマスター IIの2023年モデル – 新しいカラーコンビネーションと素材
2023年、ロレックスはGMTマスター IIに2モデルを新たに追加。イエローゴールド製 Ref. 126718GRNRとコンビカラーRef. 126713GRNRの2モデルには、他のステンレスモデルと同様に、キャリバー3285が搭載され、ケースサイズは40mm径、最大100m(10気圧)の防水性を備えています。また、両モデルにはブラック/グレーのセラミック製ベゼルが採用されています。
ステンレス製ブラック/グレーのGMTマスター II
2024年、ロレックスはWatches and Wonders 2024で、ブラックとグレーのベゼルを持つステンレス製のGMTマスターII Ref. 126710GRNRを発表。技術的には他のシリーズと同じものとなります。
新作では、ベゼルだけでなく、GMT針と文字盤のGMTマスターのロゴの色も新しくなり、深いグリーンが採用されています。
ブレスレットは、スポーティなオイスターブレスレットと、エレガントなジュビリーブレスレットの2種類から選ぶことができます。
GMTマスターの特徴
- 2つのタイムゾーンを持つ最高級時計
- 24時間表示付きツートンカラーベゼル
- 最大100m (10気圧) の防水性
- ステンレス、ゴールド、コンビモデル
デイトジャスト – ドレスウォッチの定番
1945年の誕生以来絶えずロレックスのコレクションを飾り続けているデイトジャスト。もともと、ロレックスの創業40周年を記念して作られたモデルでしたが、すぐさまラグジュアリースポーツウォッチの代名詞となったのでした。スリムなべセルやシャープなバー針、拡大レンズ付きの3時位置の日付表示というシンプルなデザインは今日までほとんど変わっていません。日付表示にいたっては、登場当初のモデルRef. 4467から採用されているものです。また、この時導入されたジュビリーブレスも、現在までロレックスで使用され続けています。
初代デイトジャストはケースサイズが36mm径ですが、それ以降はさまざまなサイズが発売され、現在では26mm、31mm、34mm、36mm、41mmで展開されています。また、ケース素材はステンレス、ホワイトゴールド、イエローゴールド、ピンクゴールド、ゴールドとステンレスのコンビがあり、文字盤に至っては数えきれないほどのバリエーションがあります。2021年には、パームモチーフのダイヤルや同ブランドのフルーテッドベゼルにインスピレーションを得たフルーテッドモチーフのダイヤルを持つデイトジャスト36が発売されました。
デイトジャストの価格は、他の定番モデルより比較的安価と言えます。41mm径、サンレイ仕上げのブルー文字盤、スムースベゼル仕様の現行モデルRef. 126300の場合、Chrono24で160万円前後から見るけることができます。ブルー文字盤、ダイヤインデックス、フルーテッドベゼル仕様のRef. 126334の場合では、約220万円に上昇します。一方で、1960年代や70年代のヴィンテージモデルでは、価格は大幅に下がり、70万円代から見つけることができます。しかし、初代モデルRef. 4467となると、状態の良いもので約300万円に達します。
デイトジャストの特徴
- 人気のラグジュアリースポーツウォッチ
- サイクロップレンズ付き日付表示
- レディース用・メンズ用サイズ
- 種類豊富な文字盤
- ステンレス、ゴールド、コンビモデル
- ジュビリーブレスレット
デイデイト – 大統領の腕時計
1956年に発表されたオイスターパーペチュアル デイデイトは、ロレックスの歴史に新たな1ページを刻んだモデルであり、「大統領のロレックス」としても有名です。このモデルは、日付とフルスペルの曜日表示の同時表示を世界で初めて可能にしたモデルで、日付はデイトジャストと同様に拡大レンズのある3時位置に、曜日はロレックスの王冠ロゴがある12時位置にそれぞれ設置された窓に表示されます。またブレスレットには、特別に作られた3連のプレジデントブレスレットが備えられています。
デイデイトにゴールドとプラチナのみの展開で、サイズも36mmと40mmのみ。
2024年、ロレックスは、36mm、40mmサイズに新しい文字盤バリエーションを多数追加しています。なかでも、グラデーションが美しいオンブレダイヤルが特徴で、中央から端に向かって色合いが変化します。また、インデックスにはアプライドのローマ数字が使用されています。
デイデイトの特徴
- 日付表示とフルスペルの曜日表示
- サイクロップレンズ
- 36mm、40mmのサイズ展開
- ゴールド、プラチナ
- プレジデントブレス
Watches and Wonders 2024で発表された新作
ロレックスは、Watches and Wonders 2024で前述のモデルの他にも新作を発表しています。
イエローゴールド製のディープシー
ディープシーに18Kイエローゴールドのバージョン Ref.136668LBが登場。文字盤とベゼルのセラミックインレイの鮮やかなブルーとのコントラストが特徴です。
技術的には旧モデルと変わりなく、防水は最大で3900m(390気圧)、ヘリウムエスケープバルブ、自社製キャリバー3235が搭載されています。
ブレスレットに新しいバリエーションが登場したスカイドゥエラー
スカイドゥエラーもアップデートされ、ロレックスで最も複雑な時計と言われる金無垢のこの時計にジュビリーブレスレットを合わせたモデルが登場しました。
プラチナ製の1908
1908にも今回新作のRef. 52506が登場。 プラチナ製のケースに、アイスブルーの文字盤を持ち、文字盤には繊細なギョーシェ模様が施されています。また内部には、66時間のパワーリザーブを備える「高精度クロノメーター」である自社製キャリバー7140が搭載されています。
ブレスレットは、ブラウンまたはブラックのアリゲーターストラップで、二重折り畳み式デュアルクラスプが付いています。
2024年ロレックスの新作モデル一覧
- デイトナ – ダイヤモンドベゼル、ローズゴールド、イエローゴールド、ホワイトゴールドの3種類展開
- GMTマスター II – ブラック/グレーのツートンカラーベゼル、ステンレス製
- 1908 – ギョーシェ模様が施されたアイスブルーの文字盤、プラチナ製
- スカイドゥエラー – ジュビリーブレスレット付き、ゴールド製
- デイデイト – 新しい文字盤バリエーション
ロレックスの王冠
始まりは1905年。ドイツ人実業家のハンス・ウイルスドルフはアルフレッド・デイビスと共にロンドンで時計専門商社ウイルスドルフ&デイビスを創業しました。デイビスは時計ケースの製造を、ウイルスドルフはスイス、ビエンヌのエグラー社から時計のムーブメントの仕入れを担当していました。1908年には「ロレックス」という名前が商標登録され、その名は「rolling export」に由来するとも言われていますが、実際のところは明らかになっていません。
そして、1925年にロレックスは現在も知られる王冠のロゴを導入。なぜ王冠マークのロゴを使用するかについては、こちらも明らかにされていませんが、専門家の間では王冠の5本の突起は優れた時計職人の5本の指を表している、または「ROLEX」というアルファベットの5文字を表している、などと言われています。1939年以降、この王冠ロゴやブランド名は、すべての時計の文字盤、リューズ、バックルに施されるようになりました。
1950年代の終わりになると、ロレックスの時計の品質は革命家のチェ・ゲバラやフィデル・カストロにも知られるように。同ブランドの堅牢な腕時計が1959年のキューバ革命において活躍したかどうかは定かではありませんが、チェ・ゲバラとカストロの2人がロレックスを好んでいたことは確かです。このように、権力者から、ダライ・ラマ、トップモデルのエル・マクファーソンにいたるまで、さまざまな分野の著名人から愛れているブランドは、ロレックスの他にはありません。
1910年から続くクロノメーターの品質
自社製キャリバーを搭載するロレックスの時計は、精度の高さでも知られ、すべての時計はスイスクロノメーター認定協会COSCによるクロノメーター認定を受けています。また、ロレックスではムーブメントを時計のケース内に収めた後に、社内で独自の検査も行っており精度のズレを日差-2秒~+2秒内と定めています。
20世紀初頭の時点で時計の精度の高さに価値を見出していた創業者のウィルスドルフ。1910年には、自社で開発した時計をスイスのビエンヌにある時計師訓練学校へ検査に送り出しています。その時計は、14日間の公式な検査の後、世界初のクロノメーター認定を受けた時計として、認定書とともにウイルスドルフのいるロンドンへ戻って来たのでした。
社会貢献とロレックスの財団
ロレックスの腕時計を買うことは、社会に貢献することにもなります。子供がいなかった創業者ウィルスドルフは、妻の死後、自身の株の所有分を「ハンス・ウィルスドルフ財団」に移管。この財団がロレックスを所有し、売上から得る利益をもとに、民間公益活動や環境運動、学術、また芸術・文化分野を支援しています。