ジェームズ・ボンド サブマリーナ: 人気の芸術時計
ロレックス サブマリーナのジェームズ・ボンド モデルは、ファンとコレクターの間の人気時計です。伝説のスパイ 007によって、このダイバーズウォッチは格好いい時計として代表されるようになり、現在では非常に高価格が付けられる芸術作品的モデルとなっています。
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女王陛下の指令の腕時計
「ボンド。ジェームズ・ボンド。」1962年に公開された『007 ドクター・ノオ』はこのセリフで開幕され、有名なイギリスのスパイとしてショーン・コネリーが初めてこの映画シリーズに登場しました。オーダーメイドのスーツ姿のキザでスタイルの良いボンドは、立ち振る舞いの良さと完璧な身だしなみ、そして言うまでもなくセンスの良い腕時計で観衆を納得させます。彼が腕に着用しているのは、1959年のロレックス サブマリーナ Ref.6538です。ロレックスは、初のサブマリーナモデルをプロのダイバー用のツールウォッチとして1954年に始めてローンチしましたが、この時計が世の中で知られるようになったのは、これが魅惑的なスクリーンに登場してからです。
コネリーは、この時計を『007 ロシアより愛をこめて』(1963年)、ドイツの俳優ゲルト・フレーベが悪役として登場する『007 ゴールドフィンガー』、そして最後に『007 サンダーボール作戦』(1965年) においても着用しました。ここで注目すべきなのは、『007 ゴールドフィンガー』でコネリーの腕に巻かれていたブラックとグリーンのNATOストラップが、多くのメーカーによって今日までジェームズボンドNATOストラップの名前で製造されていることです。
シリーズ第1作目以降、ボンド・ウォッチは飛びぬけた命知らずの腕に常に装着されています。1988年まで、ボンド役を演じる俳優はロレックスのサブマリーナモデルを着用するのが伝統でした。その1つであるRef.5513は、1969年公開の『007 女王陛下の指令』でジョージ・レーゼンビーによって、また『007 死ぬのは奴らだ』(1973年) と『007 黄金銃を持つ男』(1974年) でロジャー・ムーアによって着用されました。ティモシー・ダルトンは1989年の『007 消されたライセンス』で救世者を演じた際に、Ref.16610を腕に着けていました。それに続く007シリーズの作品ではピアース・ブロスナンとダニエル・クレイグがボンド役を演じ、オメガ シーマスターの異なるモデルが使用されてきました。
ジェームズ・ボンド サブマリーナの要点
- ダイバーズウォッチの代名詞
- 知名度の高い人気のクラシック時計
- ファンやコレクターの間で人気
- 非常に安定した資産価値
- 着用するライセンスは消されていない
ジェームズ・ボンド サブマリーナの価格は?
リファレンスナンバー | 価格 (約) | 特徴 |
6538 | 中古1345万円 | ビッグクラウン、37.5mm、Cal.1030 |
5512 | 中古340万円 | リューズガード、40mm、Cal.1530 |
5513 | 中古180万円 | リューズガード、40mm、Cal.1520 / 1530 |
16610 | 未使用170万円 | 日付表示、40mm、パラクロムひげゼンマイを備えるCal.3115 |
サブマリーナ 6538 コネリーの価格
ロレックスが1954年に、逆方向回転防止ベゼルを搭載する初めてのサブマリーナモデルを発表した際、この時計がこれほどまでの名声を浴びるようになろうとは誰も思っていませんでした。プロのダイバー用の水中計器にしては比較的シンプルなこの時計は、当時の貨幣価値を考慮したとしても、現在の相場とは比べられないほど安く販売されていました。特にRef. 6538は、時計コレクターの間で大変な人気を誇るモデルとなりました。
ジェームズ・ボンド Ref.6538は、そのニックネーム ”ビッグクラウン” でも有名です。その名からも分かるように、このモデルのリューズは直径8mmと非常に大型です。このため、ダイバーはグローブをはめた手でもリューズを操作することができます。さらに、このモデルの明らかな特徴は、これに続く新しいモデルと異なりリューズガードが搭載されてないことです。このモデル以降のすべてのサブマリーナには、オイスターケースとオイスターブレスレットが備えられています。
自社製ムーブメントとメルセデス針
Ref.6538には、自動巻きのロレックス自社製ムーブメント1030が搭載されています。この機構には25粒の受け石が使用されており、毎時1万8000回という快適なリズムで振幅します。ロレックスは当時すでに、この時計において200m (20気圧) の防水性を確保し、インデックスと針には蓄光塗料を塗布しました。スタイルの決め手として際立つのは、サブマリーナ、シードゥエラー、ヨットマスターのすべての現行モデルにも使用されている、メルセデス針です。ボンドモデルの特徴は、金色のミニッツトラックと針を備えるミラーダイヤルです。
このような長い歴史を持ち、セレブによって賑わわれる時計には、それ相応の価格が付けられます。アメリカのオークションハウス フィリップスにて、このモデルの状態の良い時計が驚異の56万7000ドル (約6000万円) で落札されました。着用できるサブマリーナ Ref.6538モデルは非常に珍しく、大変人気です。熱心に探しても、未使用品が見つかる可能性は恐らくありません。このモデルにご興味がある場合、多少の専門知識と注意が必要です。なぜなら、ロレックスのアンティーク市場にはコピー品の偽物時計が山ほど提供されているからです。Chrono24では、中古のサブマリーナは約1825万円で提供されています。ご購入をお考えの際には、販売者の信憑性をご確認されることをお勧めします。
ロレックス サブマリーナ 6538の特徴
- 自動巻きのロレックス Cal.1030
- スタイルの決め手となるメルセデス針
- 金色のアクセントが輝くミラーダイヤル
- ケース径 37.5mm
Ref.5513 ムーア & レーゼンビーモデルの価格
ロレックス サブマリーナのRef.5513は、ボンド役を演じたロジャー・ムーアとジョージ・レーゼンビーの腕に着用されました。スイスのジュネーブに拠地を置くロレックスは、このモデルを1962年~1989年に製造していました。1962年に製造されたモデルには自動巻きのCal.1530が搭載されていましたが、その翌年の1963年からは、細部に変更が加えられたCal.1520が使用されるようになりました。両ムーブメントの違いはごく細部に限られており、クロノメーターの認定はありません。この時計には1980年代に、ホワイトゴールドのインデックス、ブラックのミラーダイヤルの使用など、いくつかの変更が加えられました。ジェームズ・ボンドのファンで映画に出ていたれっきとしたボンド・ウォッチをお探しの方は、1980年以前のモデルをご覧ください。
ロレックスはRef.5513にて、サブマリーナに初めてリューズガードを搭載しました。このモデルの特徴は、メルセデス針、逆方向回転のダイビングベゼル、並びにオイスターケースとブレスレットです。その前のモデルに比べて、ケース径は37.5mmから40mmとより大型になりました。1962年から1980年代の間に製造された状態の良い中古のサブマリーナ 5513は、Chrono24で約180万円~650万円でご購入いただけます。
コレクターの間では、トロピカルダイヤルを備えるモデルなど、珍しい時計が人気です。この文字盤は、経年変化や外的な環境の影響によって、ブラウンの色が変色したダイヤルのことを言います。文字盤全体はブラウンですが、変色によって個性的なカラートーンが表れているのが大変魅力的で、光の加減によって文字盤に深さが見られます。また、変色はひとつひとつの文字盤における独自のプロセスなので、各時計が1点ものとなります。このようなモデルは大変高価で、ボックスや書類無しでも650万円以上の価格が付けられます。
Ref.5513が入手できなかった場合には、Ref.5512を購入するというのもひとつの手です。このモデルは正真正銘のボンド・ウォッチではありませんが、見た目はほとんど変わりません。1958年~1978年のにの短期間のみに製造されていたこのモデルは市場にそれほど多く出回っておらず、その希少性のために高い価格で販売されます。Ref.5513の機構とは異なり、Ref.5512に搭載されているムーブメントはクロノメーターとして認定されています。4ライナーとも呼ばれる、文字盤上の「Superlative Chronometer」と「Officially Certified」の銘刻がこの証明となっています。このモデルのご購入をお考えの場合、約325万円の予算が必要です。
ジェームズ・ボンド サブマリーナの要点
- 自動巻きのロレックス Cal.1520 / 1530
- 初のリューズガード搭載
- ケース径 40mm
- 非常に高価値なトロピカルダイヤル
ティモシー・ダルトン Ref.16610
ティモシー・ダルトンは007ジェームズ・ボンドを2度演じました。ロレックス サブマリーナを着用したのはその内1回で、1989年公開の『殺しのライセンス』においてでした。この作品で主役を演じる俳優が新しくなったのと同時に時計も更新され、1987年に発表されたサブマリーナ Ref.16610がスクリーンに登場しました。日付と拡大ルーペを搭載するモデルは2010年に製造されたもので、全般的に格段にモダンなサブマリーナモデルです。ロレックスはRef.16610において、プレキシガラスの代わりに初めてサファイアガラスを使用し、防水性は100m伸びて300m (30m) となりました。今日まで続く直径40mmサイズのケース内には、ロレックスムーブメントであるクロノメーター認定済みのCal.3135が搭載されており、そのパワーリザーブは48時間です。
ロレックスはこのムーブメントに、パラクロムと呼ばれる素材で作られたヒゲぜんまいを使用しています。この特殊合金素材は、従来のニヴァロックス性のヒゲぜんまいに比べて、磁気と衝撃により強いという性質を備えています。このモデルにおいて注目すべきディテールは、ロレックスがトリチウムに代わって21世紀の始め頃から使用を始めたスーパールミノバで、これは針やインデックスの蓄光塗料として塗布されています。時計にその塗料が使用されているかを確認するには、文字盤の下半部6時位置にある「SWISS」のプリントをご覧ください。この文字列の右側に「<25」のプリントがある場合、時計にはとリチウムが使用されています。このプリントがない場合は、スーパールミノバになります。
このモデルはその製造年のため、未使用品を見つけるのは容易ではありません。そのため、未使用品は非常に高価格で販売されます。中古の16610モデルの価格が約120万円であるのに対し、未使用品には約170万円の価格が付けられます。
ロレックス サブマリーナ 16610の特徴
- 自動巻きのロレックス Cal.3135
- 300m (30気圧) 防水
- トリチウムかスーパールミノバを塗布
- 堅牢なパラクロムヒゲぜんまい