セイコー アルピニスト

セイコー アルピニストのルーツは1959年までさかのぼります。当時、日本の伝統ブランドが、登山家のニーズに合わせた腕時計、ローレル アルピニストを発表したのが始まりです。このモデルには、見やすい夜光インデックスと針、水気や埃から保護するケース、そしてブンドストラップが採用されています。ムーブメントには、セイコー850などの堅牢な手巻きキャリバーが搭載されています。

セイコーは、1965年頃まで初代アルピニストのさまざまな種類のモデルを製作していました。その後、“レッドアルピニスト” と呼ばれるSCVFのモデルが登場するまで、30年の月日が流れました。この新モデルは、セイコーファンの多くが「アルピニスト」と聞いて連想するデザインに一新され、カテドラル針、サイクロップレンズ付き日付表示、4時位置の追加リューズで操作できる回転式インナーベゼルを備えています。さらに、自動巻きキャリバー4S15が時計の心臓部として時を刻んでいます。セイコーはこの “レッドアルピニスト” をわずか2年で生産中止しており、コレクターにとっては特に興味深い存在となっています。

2006年に、セイコーはアルピニストをSARBシリーズとして復刻しました。デザインは、 "レッドアルピニスト" のデザインを継承していますが、例外として日付拡大レンズがなくなっています。また、プロスペックス コレクションの一部として、SARBアルピニストは50時間のパワーリザーブを持つ高品質のキャリバー6R15を搭載しています。セイコーはこの時計の様々なモデルを提供しましたが、その多くはアジア市場向けでした。

2020年に、セイコーはアルピニストの改良版を発表しました。キャリバー6R35により、70時間のパワーリザーブを実現し、文字盤には初めてプロスペックスのロゴが配されました。さらに、日付表示の上にある拡大レンズが再び採用されました。同年に、セイコーはいわゆる “ベビーアルピニスト” も発表しています。文字盤のデザインや針は姉妹モデルと同じですが、セイコーはこのモデルから回転式インナーベゼルと追加のリューズを廃止しています。

セイコーは創業140周年を記念して、1959年のアルピニストを現代風にアレンジした新モデルを2021年に発売しました。このモデルは、1959本の限定生産で、Cal.6L35を搭載しています。同時に、オリジナルモデルのデザインをベースにした再解釈モデルも次々と登場しました。

セイコー アルピニストの価格は約7万5000円～35万円です。いわゆる “ベビーアルピニスト” と呼ばれるモデルは、価格帯の下位に位置するものです。約8万円～11万円の価格帯には、SBDC091のようなプロスペックスの現行モデルや、SBDC147のような現代デザインモデルなどがあります。運が良ければ、この価格帯では例えば1960年代後半のアンティーク時計、アルピニスト チャンピオン J13043にも出会えるかもしれません。

1990年代の “レッドアルピニスト” を手に入れたいのであれば、13万円前後を想定しておくとよいでしょう。特にグレイシャーブルーの文字盤を持つSPB089のような希少な特別エディションは、約24万円とかなり高価になります。Ref.14041のアルピニストの初代モデルの一つに目を付けているのであれば、同様の金額を考慮する必要があります。

一番高額なのは、2021年に発表された1959年製アルピニスト 復刻デザイン SBEN001です。この時計は1959個しか生産されておらず、34万円弱で取引されています。

セイコー アルピニストの初代モデルは1959年に発売されており、品番はRef.14041です。ステンレスケース径は35mmで、現在の基準からするとかなり小さく感じるかもしれませんが、当時はこれが標準サイズだったのです。内部では、ディアショック・ショックアブゾーバを備えた17石の精工舎製の手巻きキャリバーが時を刻んでいます。

主に登山家やアウトドアのために開発された時計なので、構造は非常に堅牢です。背面はネジ式で、丸みを帯びたアクリルガラスがディスプレイを保護します。文字盤は、ブラックとシルバーの2色からお選びいただけます。インデックスや針が暗闇で光るので、視認性が悪い場所でも見やすくなっています。3時、6時、9時および12時位置は、複数のパーツで構成される三角形でマークされています。また、ドーフィン針や残りのバーインデックスとの組み合わせにより、さりげなくアールデコ調を演出しています。

セイコー ローレル アルピニスト 14041はChrono24でも珍しいモデルです。仕様や状態にもよりますが、価格は20万円～24万円ほどを想定してください。

アルピニスト チャンピオン

セイコーは1963年にアルピニストのデザインを一新し、当時の新コレクション、チャンピオンの一部として発表しました。アルピニスト チャンピオン 850の直径は、同じ35mmです。しかし、これらの時計では、Cal.850が時を刻んでいます。

また、文字盤のデザインも変更されています。J130xxシリーズでは、バトン型のアプライドインデックスが付いたダークリングが明るい中央を取り囲むようになりました。さらに、文字盤は細かい線で5分刻みのセクターに分けられています。一方、Ref.85899の時計は、クラシックで非常にシンプルなデザインの文字盤にバトンインデックスを備えています。色は、ブラックとホワイトの2色からお選びいただけます。また、クロムメッキや金メッキのステンレスケースを採用したモデルもあります。

保存状態の良好なアルピニスト チャンピオンの価格は、モデルによって約8万円～13万円と幅があります。

1995年、セイコーは日本および東南アジア市場向けにアルピニストのデザインを一新したモデルを発表しました。6時位置の上に赤いアルピニストの文字があることから、セイコーファンは "レッドアルピニスト" とも呼んでいます。デザインは、セイコーで長年活躍してきたインハウスデザイナーの坂井重雄が担当しています。彼はこの時計に夜光のカテドラル針、新しいダイヤルデザイン、4時位置の追加リューズで操作する内転ベゼルを装備しています。ベゼルにはコンパスマークがあり、アウトドアでの方位確認に役立ちます。さらに、3時位置のサイクロップレンズの下に日付表示を新たに搭載しています。

ステンレス製のケースは直径38mmで、200m（20気圧）までの防水性を備えています。また、時計ガラスには、サファイアの層から成るミネラルガラス、サフレックスを採用しています。時計を駆動しているCal.4S15は、毎時2万8800振動で動き、秒針停止機能を備え、必要に応じて手巻きすることも可能です。

レッドアルピニストは、ブラック、ホワイト、グリーンの3色の文字盤からお選びいただけます。特に、Ref.SCVF009の最後のバージョンは、ファンやコレクターの間で高い人気を博しています。ホワイトのモデル（SCVF007）と同様に、グリーンの文字盤では、アラビア数字と先の尖った細いインデックスが交互に配置されたアワーマーカーとなっています。ブラックの文字盤（SCVF005）では、小さな三角形だけがインデックスとして機能します。

レッドアルピニストの価格は、選択したバージョンによって異なりますが、およそ13万円～17万円となっています。

SARB アルピニストは、2006年に発売されたモデルで、レッドアルピニストのデザインをほぼ正確に受け継いでいます。アルピニストの赤い文字に代わり、"Automatic" の文字が白でプリントされ、日付の上のサイクロップレンズがなくなっています。時計ガラスもサファイア製で、50時間のパワーリザーブを備えたCal.6R15を搭載しています。

カラーバリエーションはレッド アルピニストと同様で、グリーンの文字盤のモデルがRef.SARB017、ホワイトのモデルがRef.SARB013、そしてブラックの文字盤のSARB アルピニストがRef.SARB015となります。後者は、姉妹モデルと外観が多少異なり、細いドーフィン針と先の尖った細いインデックスを装備しています。また、日付表示は4時位置に移動しています。

SARB アルピニストは、Chrono24で約12万円～15万円で購入することができます。

セイコーは、レッドアルピニストの登場以来、プロスペックス コレクションの一部としてアルピニストを扱ってきました。2020年に登場したSPBシリーズでは、文字盤にプロスペックスのロゴを配したことで見分けられます。時計のデザイン自体はほとんど変わっていません。新しくなったのは、39.5mmの直径と、完全に巻き上げた状態で70時間のパワーリザーブを備えたCal.6R35のみです。また、サイクロップレンズも復活しています。

セイコーは、既に人気のカラーバリエーションに加え、ブラウンのサンバースト仕上げの文字盤を備えたモデル（SBDC135）を用意しています。また、グレイシャーブルーの文字盤を使用した限定モデル、アルピニスト ブルー SPB199J1もあります。

グリーンのサンバースト仕上げの文字盤を持つSBDC091のようなスタンダードモデルの価格は、平均で約9万円前後です。限定モデルであれば、簡単に13万円を超える価格となります。

ベビーアルピニスト

2020年には、"ベビーアルピニスト" とも呼ばれるSBDCモデルがデビューしました。姉妹モデルとは異なり、回転式インナーベゼルを廃止しています。そのため、ベビー アルピニストには、4時位置の追加のリューズがないものもあります。サイズは38mmと、やや小さめです。一方で、文字盤のデザインはアルピニストの大型モデルと完全に一致しています。ブルー、グリーン、ブラック、ブラウンの4色で展開される文字盤は、微細な構造と絶妙な色のグラデーションを備えています。

"ベビーアルピニスト" には、8万円ほどをご用意ください。

セイコーは2021年に創業140周年を迎え、数々の特別エディションでその節目を飾りました。その記念モデルの一つが1959 アルピニスト復刻デザイン SBEN001で、1959年に発売された初代アルピニストの現代版モデルです。デザインはセイコー ローレル アルピニストとほぼ同じですが、サイズは36.6mmとやや大きめで、4時位置に日付表示、ドーム型サファイアガラスを備えています。さらに、最新の自動巻きのCal.6L35が、高精度を保証。追加のウォッチパッド付きのブラウンのレザーストラップは、時計を腕にしっかりと固定します。

セイコーは1959 アルピニスト 復刻デザインを1959個しか製造していないため、コレクターズアイテムとして人気があります。Chrono24での価格は34万円前後です。

現代デザイン

セイコーは復刻デザインと同時に、1959 アルピニスト 現代デザインという名前でモダンな再解釈シリーズも発表しています。直径は38mm、サファイアガラスは薄型で、機構にはCal.6R35を搭載しています。

文字盤のデザインは、復刻デザインと非常によく似ています。しかし、わずかに内側にオフセットされた分目盛には、サンバースト仕上げが施され、文字盤の他のパーツとのコントラストを際立たせています。日付表示は3時位置にあります。

クリーム（SBDC145）、グリーン（SBDC149）、ダークグレー（SBDC147）の文字盤を持つ1959 アルピニスト 現代デザインは、約9万円前後で購入できます。

アルピニスト シリーズには、あまり知られていないモデルもあります。例えば、2003年に発表されたアルピニスト GMTは、クォーツムーブメントを搭載しているため、アルピニスト 8F56とも呼ばれています。38mmのチタン製で、GMT機能と"永久カレンダーを備え、アルピニストらしいコンパスベゼルを内蔵しています。このモデルのリューズは、2時と4時の間に2つあります。針はパイロットウォッチによく見られるアルファ針です。

SBCJ019のようなブラック文字盤のアルピニスト GMTの価格は、時計の状態によって約11万円～13万円となります。

SKXデザインのアルピニスト

セイコーは、2009年に日本で他のアルピニスト シリーズとは明らかに異なるアルピニストのバリエーションを発売しました。SKXダイバーズウォッチの42mmケースを使用しているため、4時位置にはリューズガードで囲まれたリューズと回転ベゼルを装備しています。60分スケールとコンパスの両方を搭載しています。ここでもアルファ針が針として機能します。

種類は、グリーンの文字盤とステンレスベゼルのRef.SARB059と、ブラックの文字盤とベゼルのRef.SARB061があります。価格は約9万円前後です。