ジン 144

ドイツ・フランクフルトを拠点とする時計メーカーの ジン特殊時計が提供するスポーツクロノグラフ144は、同社創業初期から続くモデルです。144モデルは、同じく多大な人気を誇るジン 103と似ていますが、2つの点で大きく異なっています。そのひとつはケースと繋がったラグによって時計にモダンな印象が与えられていることで、もうひとつは回転ベゼルの代わりにタキメーターとパルスメーター表示が備えられていることです。これらのスケールは、サファイアガラス内に収められたマットな黒い文字盤の縁に刻まれています。

機構には、多くのモデル内でその実力を証明してきた バルジュー7750が使用されています。ジンはこのベース機構に独自の仕上げを施し、また自社製のローターを搭載しています。ねじ込み式のケースに固定されたサファイアクリスタルケースバックを通して、この機構の動きを外から眺めることができます。時計にはセンタークロノグラフ針が取り付けられており、6時と12時位置には30分積算計と12時間積算計が設置されています。また、9時位置にはスモールセコンドが見られます。モデル144.ST.SAではこれに加えて、日付と曜日表示が3時位置に配置されています。これに対し同シリーズに属する144.ST.DIAPALは、日付表示とGMT機能を備えています。

ジン144は非常に堅牢な時計で、4800A/mの磁界強度までの耐磁性、耐負圧性、水深200m (20気圧) までの防水性、DIN ISO1413に準拠した耐衝撃性を持ち合わせています。ジンが独自開発したArドライテクノロジーでは、ドライカプセルとEDRパッキンの使用、またプロテクトガスの充墳という3つの技術的要素により、時計内部の劣化プロセスを大幅に軽減します。ジンはダイアパル モデルでさらに一歩先を行き、 潤滑油を使用しない自社製の脱進機を実現しています。

現行の41mmサイズモデルのケースはビーズブラスト仕上げが施されたステンレス素材ですが、以前のモデルにはチタン素材のケースが使用されていたものもあります。ジン144は、レザーストラップ、シリコンベルト、またはステンレスブレスレットにて腕に巻かれます。

モデル 144.ST.SAは、このシリーズの時計の原点となっています。時計はデイデイト表示が備えられているのですぐに見分けが付き、またアワーマーカーに幅の広いバーインデックスのみが使用されていることも特徴です。時針と分針には夜光塗料が十分に使用されており、このため時計は暗い場所でも高い視認性を誇ります。ストップウォッチ機能を実現するクロノグラフ秒針、30分積算計、12時間積算計は、黒白に統一された文字盤上に対照的な、赤色になっています。この配色により、普通の時刻の読み取りと、クロノグラフ機能を使って計るタイムの読み取りの区別が一目で付くようになっています。

レザーストラップ、もしくはシリコンベルト付きの144.ST.SAの未着用品は約23万円にて、状態の良い中古品は約16万円にて提供されています。ステンレスブレスレット使用の144.ST.SAモデルは、新品も中古もそれより2万5000円ほど高くなります。

ジンは特別な記念日などに144の限定モデル 144.ST.Sを発表してきました。モデル名の最後に付く「S」はSchwarz (ドイツ語で「黒」の意味) の略で、時計のステンレス製ケースとブレスレットは マットなブラックで統一されています。最新版はこのモデルの40周年を記念して、2014年に限定300本で発売された144.ST.S.Jubileeです。この希少なコレクター時計の価格は新品同様品で約37万円、中古モデルは約20万円です。

144.ST.Diapalモデルには、シリーズ内の他のモデルにはない機能が備えられています。それは 第2タイムゾーン表示機能で、また、この時計にはジンによって独自開発されたダイアパルテクノロジーが搭載されています。この技術を用いることによって、 脱進機に潤滑油を使用する必要がなく、従来の時計に比べ長期間にわたって時計の高い精度が保たれます。また、コレクション内の他の時計とは一味違ったデザインになっています。その文字盤上にはGMT針が追加されており、暗い場所で蓄光する大きなアラビア数字が見られます。

レザーストラップもしくはシリコンベルト付きの新品同様144.ST.DIAPALモデルは、約35万円の価格で販売されています。中古モデルの価格は約30万円強になります。ステンレスブレスレット付きモデルの価格はそれより少々高く、新品同様の時計で約37万円、中古品は約33万円です。