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ヴァシュロン・コンスタンタン:260年以上続く伝統
現存する世界最古の時計ブランドとして知られるヴァシュロン・コンスタンタン。スイスを本拠地とする同ブランドは時計界で最も精緻な時計を作るマニュファクチュールの一つであり、史上最も複雑な懐中時計も同ブランドから生まれました。
目次
スイス発の精緻な時計
完璧な仕上げ、完璧な形、そして最高の精度を誇る時計、それがヴァシュロン・コンスタンタンの時計です。その品質は世界最高峰レベルであり、パテック フィリップ、オーデマ ピゲとともに世界三大時計ブランドと呼ばれています。
懐中時計 Ref. 57260は、ヴァシュロン・コンスタンタンを代表するモデルの一つ。顧客のために一点ものとして製作されたもので、57の複雑機構を搭載し、世界で最も複雑な懐中時計とされています。その複雑機構には、ラトラパンテクロノグラフ、リピーター機能、アラーム機能、ムーンフェイズ、複数のカレンダー機能などがあり、カレンダー機能には、ビジネスカレンダーだけでなくユダヤ暦の永久カレンダーも含まれています。この特別な懐中時計は、推定約8億7000万円以上とされています。開発に要した期間はなんと8年で、2015年に発表されています。
パトリモニーコレクションは、ヴァシュロン・コンスタンタンで最も成功を収めている、人気の高いシリーズの一つ。クラシカルなドレスウォッチで構成され、2針や3針の薄型モデルから、ダイヤモンドをあしらった女性用モデル、永久カレンダーを搭載したコンプリケーションウォッチまで、さまざまなタイプの時計があります。最上位モデルには、プラチナ製の超薄型モデルやミニッツリピーターを搭載したモデルがあります。
また、パテック フィリップのノーチラスやオーデマ ピゲのロイヤルオークなどのアイコンを彷彿とさせるスポーティなデザインのオーヴァーシーズコレクションも人気です。オーヴァーシーズコレクションには、洗練されたステンレス製モデルと煌びやかなゴールド製モデルが用意されています。機能面では、パトリモニーシリーズのモデルに決して劣ることはありません。例えば、オーヴァーシーズには、永久カレンダー、トゥールビヨン、クロノグラフ、ワールドタイムウォッチなどがあります。
ヴァシュロン・コンスタンタンの時計を買う理由
- スイスで最も有名な時計マニュファクチュールの一つ
- トゥールビヨン、ミニッツリピーター、永久カレンダー搭載のトップモデル
- 品質保証のジュネーブシールが与えられた数多くのモデル
- 人気のパトリモニー、オーヴァーシーズシリーズ
ヴァシュロン・コンスタンタンの価格
2024年の春の時点で、Chrono24ではヴァシュロン・コンスタンタンの時計は約200万円から購入が可能です。この価格帯には、ステンレススティール製の3針モデル、フィフティーシックスがあり、同じ3針モデルであるレッドゴールドやホワイトゴールド製のパトリモニー コンテンポラリーの場合だと、価格は約380万円となります。また、オーヴァーシーズ クロノグラフも同じ価格帯です。
一方、永久カレンダー、ミニッツリピーター、トゥールビヨンなど、いわゆるグランドコンプリケーションを搭載したモデルの場合、価格は大幅に上昇します。レッドゴールド製のパトリモニー・パーペチュアル・カレンダーは約1200万円、オーヴァーシーズ トゥールビヨンは1850万円前後です。また、ミニッツリピーターを搭載した超薄型のプラチナ製パトリモニー・エクストラフラット・キャリバー1731は、約5300万円です。
ヴァシュロン・コンスタンタンで最も高価な時計
トラディショネルはヴァシュロン・コンスタンタンの中でも最上位のコレクション。例えば、トラディショナル グランド・コンプリケーションの価格は約1億500万円です。
ヴァシュロン・コンスタンタンで最も安価な時計
ヴィンテージのヴァシュロン・コンスタンタン場合、30万円前後から見つけることができます。例えば1940年代から50年代にかけて同社が製造したイエローゴールド製のスクエアウォッチなどが含まれています。
ヴァシュロン・コンスタンタンの価格一覧
モデル / Ref. | 価格(約) | 機能 / 素材 |
トラディショナル・グランド・コンプリケーション / 80172/000R-9300 | 1億500万円 | レッドゴールド / トゥールビヨン、永久カレンダー、ミニッツリピーター、パワーリザーブインジケーター |
パトリモニー・エクストラフラット・ミニットリピーター / 30110/000P-B089 | 5300万円 | プラチナ / ミニッツリピーター、スモールセコンド |
トラディショナル・クロノグラフ・パーペチュアルカレンダー / 47292/000R-9392 | 2300万円 | レッドゴールド / クロノグラフ、永久カレンダー、ムーンフェイズ |
オーヴァーシーズ トゥールビヨン / 6000V/110A-B544 | 1500万円 | ステンレス / トゥールビヨン |
オーヴァーシーズ・エクストラフラット・パーペチュアルカレンダー / 4300V/000R-B064 | 1250万円 | レッドゴールド / 永久カレンダー、ムーンフェイズ |
ヒストリーク・コルヌ・ドゥ・ヴァッシュ 1955 / 5000H/000P-B058 | 1000万円 | プラチナ / クロノグラフ |
ヒストリーク・アメリカン 1921 / 82035/000P-B168 | 580万円 | プラチナ / スモールセコンド |
オーヴァーシーズ / 4500V/110A-B483 | 380万円 | ステンレス / 日付表示 |
パトリモニー コンテンポラリー / 81180/000P-9539 | 300万円 | プラチナ / 非常に薄型な手巻きキャリバー1400 |
フィフティーシックス オートマティック / 4600E/000A-B442 | 180万円 | ステンレス / 日付表示 |
パトリモニー:薄型、シンプル、エレガント
シンプルエレガンスを特徴とするパトリモニーコレクション。ラウンドケースと控えめな文字盤のデザインは、1950年代のクラシックな同ブランドのモデルからインスピレーションを得たものです。細いバトン針と、精巧なアプライドのバーインデックス、3角形のインデックスが特徴です。また、薄さもこのコレクションの特徴です。永久カレンダーやミニッツリピーターを搭載したモデルでも、その厚みは9mmを下回ります。
手巻き式キャリバー1400を搭載した2針モデルのパトリモニーは特にシンプルで、厚み6.79mmとシリーズの中で最もフラットなモデルです。ホワイトゴールドやレッドゴールドのモデルは、約380万円で購入可能です。プラチナバージョンの場合、約90万円高くなります。
パトリモニーの3針モデルには、自動巻きキャリバー2450 Q6/3が搭載され、6時位置に日付表示を備えています。Chrono24では、運が良ければホワイトゴールド製のものを約380万円で購入することができます。レッドゴールドやイエローゴールド製のモデルを希望する場合は、約400万円です。
パトリモニーコレクションで最も人気のある複雑機構の一つが、レトログラード ポインターデイトです。9時から3時までの半円状の目盛りに31日分の日付が配置されており、針が目盛りの最後の位置に到達すると、自動的に最初の位置にジャンプして戻るという仕組みになっています。ヴァシュロン・コンスタンタンは、このコンプリケーションに2つのバリエーションを展開しています。一つは、同じくレトログラードの曜日表示と組み合わせたもので、もうひとつはムーンフェイズと組み合わせたもので、どちらも6時位置に配置されています。ムーンフェイズ表示とレトログラード日付表示を備えたパトリモニーモデルは、約600万円で購入できます。デイデイト付きのパトリモニーも同様の価格帯です。
永久カレンダーやミニッツリピーターを搭載したパトリモニーは、同コレクションでハイライトとなるモデル。新品同様のレッドゴールド製、永久カレンダー搭載モデルを希望する場合、850万円前後の予算が必要です。新品同様のレッドゴールド製、ミニッツリピーター搭載モデルの場合、その価格は約4500万円にも上ります。また、プラチナ製モデルはゴール製ドモデルよりもさらに高価で、永久カレンダー搭載モデルは約1700万円、ミニッツリピーター搭載モデルは約5200万円です。
オーヴァーシーズ:モダンでスポーティー
ヴァシュロン・コンスタンタンのスポーツウォッチであるオーヴァーシーズ コレクションのデザインは、パテックフィリップのノーチラスやオーデマ ピゲのロイヤル オークに影響を受けています。2つのアイコンウォッチのように、マルタ十字から着想を得た六角形のベゼルは舷窓を思わせます。一体型ブレスレットを備えたオーヴァーシーズですが、ステンレススティール、ゴールド、ラバー、アリゲーターレザーから選ぶことができます。メタルブレスレットでは、リンクの特殊な形が印象的で、ヴァシュロン・コンスタンタンのロゴマークであるマルタ十字がここでもインスピレーションとなっています。
オーヴァーシーズでは、Ref. 47040のようなステンレススティール製の古い3針モデルの場合、安価に購入が可能です。このバリエーションのモデルは、4時30分位置に日付表示があることで容易に見分けることができます。約250万円で購入可能となっています。現行モデルは、Ref. 4500V/110Aで、日付表示は3時位置に配置されています。文字盤の色によりますが、価格は350万円~500万円です。文字盤の色は白、青、黒からお選びいただけます。
3針モデルのオーヴァーシーズには、レッドゴールド製ケースも用意されています。Ref. 4500V/000Rはレザーストラップ付きで、価格は約570万円です。2020年から追加されたゴールド製リンクブレスレットのバージョン(Ref. 4500/110R)の価格は約850万円です。
オーヴァーシーズ・クロノグラフは、人気のストップウォッチ機能を搭載し、素材はステンレススティールまたはローズゴールドの2種類で展開されています。数年前までは、ステンレススティールとゴールドのバイカラーモデルもあり、現行モデルとは対照的に、12時位置に大きな日付表示があるのが特徴です。2016年以降、日付表示は4時位置と5時位置の中間に配置され、文字盤はブルー、ホワイト、ブラック、ブラウンのカラー展開があり、いずれもサンバースト仕上げが施されています。価格はステンレススティール製の場合、約390万円、レッドゴールド製の場合、約650万円です。付属のブラウンのアリゲーターストラップが手首にしっかりとしたフィット感をもたらします。
オーヴァーシーズ・ワールドタイムは、海外へ出かけることが多く、複数のタイムゾーンを把握したい場合におすすめの時計。オーヴァーシーズ・ワールドタイムでは、文字盤上に記された世界各地の都市名と世界地図から37都市の時刻を確認することができます。価格はステンレススティール製の場合、約420万円です。
2つのタイムゾーン表示で十分という場合は、オーヴァーシーズ・デュアルタイムがおすすめで、GMT表示、デイ/ナイト表示、6時位置にポインターデイト備えています。価格はステンレススティール製モデルの場合、約600万円です。レッドゴールド製の場合は、約700万円に上昇します。
オーヴァーシーズ・パーペチュアル・カレンダーとオーヴァーシーズ・トゥールビヨンは、コレクションのハイライトとなるモデル。オーヴァーシーズ・パーペチュアル・カレンダーは、レッドゴールドまたはホワイトゴールド製で展開されており、2021年からは、精緻なスケルトン仕様の文字盤を備えたモデルも登場しています。価格は約1700万円です。また、ホワイトゴールド製のスケルトン仕様のモデルの場合、約3100万円です。ローズゴールド製のスケルトン仕様のクロノグラフの場合、約2900万円です。
オーヴァーシーズ・トゥールビヨンは2019年からコレクションに加わったモデルで、キャリバー2160の厚さはわずか5.65mm。文字盤の6時位置のからトゥールビヨンを見ることができます。価格はホワイトゴールド製のモデルが約18000万円、ローズゴールド製モデルが約2400万円で、チタン製となると希少価値が高く、3100万円以上の価格が付けられています。
ヒストリーク:クラシックなデザインを再解釈
ヴァシュロン・コンスタンタンの歴史的なモデルへのオマージュであるヒストリークコレクション。現行モデルのデザインは伝統を受け継いでおり、クッション型のヒストリーク・アメリカン1921は、文字盤を右に45度回転させ、リューズをケースの右上に配置することで、独特な見た目になっています。このモデルではスモールセコンドは、文字盤の右下3分の1の位置に配置されています。その表示は、時刻表示のように回転はしておらず、時計にユニークな外観を与えています。このヒストリーク・アメリカン 1921にはメンズ用の40mmサイズとレディース用の36.5mmがあります。ケースの素材は、レッドゴールド、ホワイトゴールド、プラチナから選ぶことができます。レッドゴールド製の場合、価格は約420万円、ホワイトゴールド製の場合、数十万円高くなります。さらにプラチナ製の場合は、800万円前後です。
伝統的なクロノグラフ、ヒストリーク・コルヌ・ドゥ・ヴァッシュ 1955も同コレクションの注目モデル。文字盤は、目盛りや数字によってテクニカルで機能的な印象を与えると同時に、クラシカルでエレガントな雰囲気を醸し出しています。また、3時と9時の位置にある2つのインダイヤルですっきりと見やすいデザインを実現。ラグも特徴の一つであり、その形状が牛の角を連想させることから、この時計の名前の由来となっています。このモデルの最も安価なものは、ステンレス製で価格は約650万円です。一方、レッドゴールド製の場合は、約580万円で、プラチナ製の場合、約700万円です。
このコレクションのもうひとつの注目モデルは、月表示だけでなく、日付と曜日も表示するヒストリーク・トリプル・カレンダー 1942です。ステンレス製で40mmサイズのこの時計は、Chrono24では約280万円で販売されています。先代モデルのRef. 37150を選択すると、価格は数十万円ほど下回ります。このモデルの場合、サイズは小さめの36mmで、18Kイエローゴールド製、カレンダーに加えてムーンフェイズ表示機能を搭載しています。価格は約180万円です。
トラディショナル:時計作りの伝統を表現
トラディショナルは、ジュネーブの時計製造技術への敬意を表したコレクション。精巧に作られたクラシックなデザインの時計が多く、中には芸術的なスケルトン加工が施されているものもあります。トラディショナル・ツインビート・パーペチュアルカレンダーは中でも最も重要なモデルであり、プラチナ製のこのモデルには、キャリバー3610QPが搭載されています。永久カレンダーを搭載し、テンプの振動数は2種類から選ぶことができます。日常的に使用する場合は、5Hzに設定すると、より高い精度が得られます。時計を着用していないときは、周波数を1.2Hzに下げることで、最長65日間のパワーリザーブを確保することができます。この時計の価格は約3400万円。
トラディショナル・グランドコンプリケーションは、キャリバー2755を搭載し、トゥールビヨン、ミニッツリピーター、永久カレンダー、パワーリザーブインジケーターを備えたさらに複雑なモデル。ケースサイズは44mm径で、1億500万円から購入可能です。プラチナ製の場合、価格は少し下がり約8800万円です。
また、トラディショナルコレクションにはシンプルなモデルもあり、トラディショナル・オートマティック・エクストラフラットは、控えめな2針タイプです。レッドゴールド製のエレガントなタイプの場合、価格は約710万円です。また、6時位置にスモールセコンドを配置したプラチナ製2針モデルの場合、未使用品が約270万円です。コレクションの中で最も魅力的な価格のモデルは、ベゼルにダイヤモンドがセッティングされたクォーツ式のレディースウォッチで、約220万円で購入可能となっています。
フィフティーシックス:1950年代を思わせるレトロなデザイン
ヴァシュロン・コンスタンタンは2018年、フィフティーシックスコレクションを発売。1956年に発表された同ブランドの時計へのオマージュであり、レトロな雰囲気を持ちながらも、現代的な要素を持ち合わせています。現在では、3針モデルや日付表示付きのモデルから、コンプリートカレンダーやトゥールビヨンを搭載したものまで、さまざまなモデルが展開されています。
フィフティーシックス コンプリートカレンダーのステンレスモデルは約340万円、ピンクゴールド製の場合は約520万円です。また、3時位置に日付表示のある3針モデルとなると価格は大きく下がり、ステンレス製のものが約180万円、レッドゴールド製のものが約330万円です。フィフティーシックス デイ/デイトのステンレスモデルは約270万円、レッドゴールド製の場合は560万円です。
高い品質を保証するジュネーブ・シール
ジュネーブ・シールは、スイスのジュネーブ市が定めた厳格な品質基準を満たした時計にだけ与えられる称号です。1886年に導入されたもので、時計製造の品質と起源を証明する最も古い規格の一つです。認定の基準は定期的に更新され、その内容は時計全体、防水性、機能、精度、パワーリザーブに関するものです。2010年からは、TIMELAB財団 (ジュネーブ時計マイクロ技術研究所) が、ジュネーブ・シールの付与を担当しています。
ヴァシュロン・コンスタンタンの大半の時計には、このジュネーブ・シールが付いています。1901年からその認定を受けており、100年以上にわたり優れた時計を作り続けています。さらに、時計職人の訓練と時計製造は、ジュネーブ・シールの厳格な基準に基づいて行われています。
豊かな歴史
ジャン=マルク・ヴァシュロンが時計工房を設立したのは1755年のことで、ヴァシュロンの孫であるジャック・バルテルミーは、1819年にフランソワ・コンスタンタンを工房に迎え入れました。彼らは共に、ヴァシュロン・コンスタンタンの成功の礎を築き、今日に至っています。現在、ヴァシュロン・コンスタンタンはリシュモン・グループに属しています。
1839年、ジョルジュ=オーギュスト・レショーがテクニカル・ディレクターとしてヴァシュロン・コンスタンタンに入社。この頃、初めて時計部品の大量生産を開始し、懐中時計の品質と精度を飛躍的に向上させることに成功しました。
1889年には初の腕時計が発売されていますが、その9年前にブランドロゴとして導入されたマルタ十字は、現在もすべての時計のリューズにあしらわれています。
ヴァシュロン・コンスタンタンは、何世代にもわたり顧客の希望に応じた一点物の時計を製造してきました。そのタイムピースは、常に完璧を追求し、最高のラグジュアリーウォッチを製造するというマニュファクチュールの哲学を表しています。