GMT 時計

GMTは多くの時計のモデル名に使用されている略語です。ロレックスのGMTマスター IIはこのタイプの時計の中で最も有名です。その前駆のモデルGMTマスター IIも ヴィンテージ時計市場では大きな役割を果たしています。ロレックスはこのシリーズの初代モデルを1955年に発表しています。これらの時計は当時、パイロットウォッチとして製造されていました。パンナム (パンアメリカン) 航空が自社のパイロット用の時計の製造において様々な時計製造業者に問い合わせ、最終的にロレックスを正式に採用することにしました。こうしてGMTマスターはこの国際航空会社の公式なクロノメーターとなりました。

GMTマスターは秒針、分針、時針のほか24時間で文字盤を一周するもう一本の針を備えています。1983年のGMTマスター II (キャリバー3085) 以降のモデルではこの24時間針をリュウズで単独で調節することができ、表示させたいタイムゾーンを簡単に設定することができるようになりました。24時間針が表示する時間は文字盤のインデックスではなくベゼルを参照しています。このベゼルは24時間を表示するインデックスで、24時間針とベゼルの組み合わせで様々なタイムゾーンを読み取ることが可能です。

新品のステンレス製のGMTマスター IIの価格は約93万円で、自動巻き自社ムーブメント 3186が搭載されています。中古品で状態良好の時計は約79万円でご購入いただけます。このモデルの中で最高価格が付けられるのはゴールドケース仕立てのダイアモンド装飾が施されたもので、価格約1000万円でご提供されています。またそれと同じような価格帯で販売されているのが、1955年から1959年に製造されたリファレンスナンバー 6542の付く初版のモデルGMTマスターなどのヴィンテージ・コレクションです。中でも特に希少な時計には130万円以上の価格が付けられるものもあります。ロレックス製の比較的安価な時計にはエクスプローラー IIがあり、状態良好の中古品は約73万円でお求めいただけます。

ブライトリング・ナビタイマーはGMTマスターに似た経歴を持っており、航空計算尺付きパイロット腕時計として1950年代に誕生しました。新品のGMTモデルが約93万円で販売されている中、それと機能的に大きな違いのないナビタイマー・ワールドの新品は約59万円でご購入できます。シースルーバックや46 mmではなく48 mmのケースをお好みの方にはGMTの時計をお薦めします。ワールドには世界主要都市のタイムゾーンが 刻印された ステンレスバックが採用されており、重要な情報がすぐに読める便利な時計です。

新品のオメガ・シーマスター・プラネット・オーシャンは約66万円でお求めいただけます。このダイバーズウォッチは水深600 m (60気圧) まで耐久し、お求めの時計の 防水機能を重視される方に最適です。シーマスター・アクアテラは水深150 m (15気圧) まで耐久の防水機能があるため海水浴や水上スキー等のマリンスポーツに適しており、またプラネット・オーシャンに比べてより優雅なスタイリングが施されています。

その他のGMTダイバーズウォッチでは、スイスの ジャガー・ルクルト製マスター・コンプレッサー・ダイビング GMT (リファレンスナンバー Q187T770) があります。このモデルは新品で約79万円ロからご購入いただけます。チタンケースが特徴的なこの時計は、軽量な上に水深1000 m (100気圧) までの防水機能を備えています。

イタリア産のメーカー、パネライによるルミノールGMTも2つのタイムゾーンを表示できるダイバーズウォッチの代表的な時計です。新品で約86万円からご購入いただけます。

GMT時計のベゼルには24時間を表示するインデックスが搭載されているため、何千キロも離れている場所が今朝4時なのか夕方4時なのか一目瞭然です。ロレックスは昼夜の区別のために多くのGMTマスターモデルのベゼルを2色にしています。その代表的な商品は「 ペプシ」の愛称をもつ時計です。この時計では6時から18時の昼間を赤で表示しており、18時から6時の夜間を青で表示しています。またGMTマスターのベゼルは両方向に回転することができます。この点において ロレックス・エクスプローラー II との違いが見られます。エクスプローラー IIにも24時間を表示するインデックスが刻まれていますが、ベゼルは回転しません。

GMTマスター及びGMTマスター IIのベゼル二使用される素材は、何十年に渡り変わっていきました。最新のモデルではロレックスが独自に開発したセラミック素材の ロレックス・セラクロムを採用しており、それ以前に採用されていたアルミ素材に比べると耐傷性に優れています。1952年代の初期のGMTマスターのベゼルには、電話機、ラジオ、電源スイッチなどに使用されていたプラスチック素材であるベークライトが採用されていました。ベークライトを使用していた当時のGMTマスターは現在では高価なコレクターズ時計として人気です。

ブライトリングの人気高いパイロットウォッチ・コレクションの中には24時間表示機能が搭載されている時計が2つあります。ナビタイマー・ワールドとナビタイマーGMTです。両タイプの時計とも24時間表示が搭載されています。この表示はベゼルではなく文字盤に刻まれています。ナビタイマーGMTのケースは直径49 mmでナビタイマー・ワールドより2 mm大きく、自社ムーブメント (ブライトリング B04) の他に シースルーバックを採用しています。ナビタイマー・ワールドでは世界主要都市名とタイムゾーンがステンレスバックに刻印されています。

一部のブランドはダイバーズウォッチに2つのタイムゾーンを搭載しています。例えばジャガー・ルクルトの マスター・コンプレッサー・ダイビングGMTがあり、この時計の9時の位置に24時間を表示するサブダイアルが加えられています。

オメガのシーマスター・プラネット・オーシャン及びシーマスター・ダイバー 300 Mには24時間表示用の針がオプションとして装備されています。そしてシーマスター・アクアテラにもこれと同じコンプリケーションが搭載されています。

GMTはグリニッジ標準時 (Greenwich Mean Time) の略称で1884年に導入された世界各地域の標準時間の基準を指します。このグリニッジ標準時は世界各地の現地時間や夏時時間・冬時間に関係なく存在します。現在の正式名称は1972年に協定世界時 (UTC) へ変更されており、原子時系に由来する時刻です。GMT時計は他の種類の時計とは明確に区分されていません。

とりわけデュアルタイム時計と重複があり、その多くは基本的にGMT時計であるとも言えます。IWCエンジニア・デュアルタイムを例に取ると、24時間針がある故にGMT時計としても販売されています。GMT時計とデュアルタイム時計に密接に関連があるのが世界時計です。狭義では パテック・フィリップのワールドタイムのような時計で、24のタイムゾーンを同時に表示しています。お持ちの時計の文字盤にいくつかの都市名が記載されている場合、それが世界時計である可能性が高いです。広義ではブライトリング・ナビタイマー・ワールドのような時計は世界時計として区分されます。

GMT時計はその名称のみの機能を果たすものではありません。GMT時計の2つ目の針はグリニッジ標準時に合わせられるだけではなく、その他お好みのタイムゾーンにも設定することができるからです。