ここ数年、時計愛好家たちの間で話題の中心になることが多いのが、時計の価格。長期にわたる価格高騰を経て、多くの時計で価格面におけるパフォーマンスが大幅に変化した。これは、市場価格が定価よりも下がったということではない。人気のモデルはいまだに、定価よりもずっと高い価格で取引されている。
この記事では、2023年の第4四半期の時計の価格推移のうち、高い上昇率を見せた5つのモデルを取り上げたい。2023年10月1日から2023年12月31日までのウォッチコレクションのデータから割り出した価格上昇率の高い時計で、その中には定番モデルもあれば、やや意外なモデルもある。
グランドセイコー ヘリテージコレクション スプリングドライブ SBGA301
グランドセイコー ヘリテージコレクション スプリングドライブ SBGA301は、2023年第4四半期にすべての時計をしのぐ大幅な価格推移を見せた。この時計は、日本国内市場向け(JDM)モデルであり、2023年最後の3カ月間で約36万円から約43万円へと価格を上昇させた。約20%という価格上昇率を記録した。
この時計は、アイコニックな44GSや62GSなどの過去の定番モデルにインスパイアされたモデルを含むグランドセイコーのヘリテージコレクションのひとつである。SBGA301は40.5mm径のステンレススチール製ケース、100mの防水性を備え、グランドセイコーのスプリングドライブ キャリバー 9R65を搭載している。スプリングドライブムーブメントはセイコーとグランドセイコー独自のもので、その精度の高さで知られている。また、このムーブメントを搭載した時計は、文字盤に目印とも言えるパワーリザーブインジケーターがあり、SBGA301の場合、深いブラックの文字盤を完璧に引き立てている。
ロレックス デイトジャスト Ref. 16203
2024年はコンビ時計の年になるだろうか。コンビスタイルを完璧に体現する時計と言えば、ロレックス デイトジャストだろう。ステンレススチール製も素晴らしいが、ゴールドとステンレススチールの組み合わせが、このデイトジャストを時計界のアイコンにしている(ちなみに、ロレックスではコンビモデルのデザインをロレゾールと呼んでいる)。このステンレススチールとゴールドのコンビモデルであるロレックス デイトジャスト Ref. 16203のグレーダイヤルの価格は、2023年最後の3カ月間で約96万円から約106万円へと上昇し、約10%の価格上昇率を記録した。
また、デイトジャスト Ref. 16203は、熱烈なロレックスファンの間で人気のネオヴィンテージと言われる5桁ロレックスのひとつであり、1980年代後半から2000年代半ばにかけて生産されたものに当たる。36mm径のステンレススチール製ケースにイエローゴールド製のスムースベゼルとリューズ、サファイアクリスタル製の風防を備えている。ケース内部にはそのスペックの高さで知られるロレックスの自動巻きキャリバー3135が搭載されている。この時計にはコンビカラーのオイスターまたはジュビリーブレスレットが付き、文字盤カラーも何色かある。なかでもグレー文字盤は高額で、インデックスにローマ数字あるいはアラビア数字が使用されたものも多く、異彩を放っている。
オメガ シーマスター 300 Ref. 233.90.41.21.03.001
3つ目に紹介する時計は、オメガ シーマスター 300 Ref. 233.90.41.21.03.001。価格はおよそ74万円から83万円にアップし、価格上昇率は約12%を記録した。このシーマスター 300は、1957年にスピードマスターとレイルマスターと合わせて発表された初代シーマスター 300をインスピレーションとしている。このモデルが属していたシーマスター 300コレクションは、2014年に発表され、現行世代のシーマスター 300に変更された2021年まで生産されていたものだ。
サイズは41mm径で、チタン製ケースにブルーの文字盤とブルーのセラミック製ベゼルインサートが備わっている。さらに、美しいチタン製のブレスレットが付属している。搭載されているのは60時間のパワーリザーブを誇る自動巻きコーアクシャル マスタークロノメーター キャリバー6400で、ヴィンテージの魅力に溢れた軽量で現代的な機能を備えたダイバーズウォッチだ。
ブライトリング ナビタイマー 01 Ref. AB012721/BD09
2000年初期、大型の時計は大人気だった。そして20年後、大型の時計が再び注目を集め始めている。46mm径のブライトリング ナビタイマー 01 Ref. AB012721/BD09は最高の例と言えるかもしれない。このブライトリングのアイコニックなパイロットウォッチは、2023年の第4四半期に約87万円から約96万円へと価格が推移し、約10%の価格上昇率を見せた。
このナビタイマーは、46mmのステンレススチール製ケースにナビタイマーのアイコニックなブラック&ホワイトのパンダダイヤルが組み合わされている。内部には70時間のパワーリザーブを備え、COSC認定を受けた自社製のB01自動巻きクロノグラフムーブメントが搭載されている。この時計でナビタイマーファンたちが愛するのは、現行のブライトリングの “B” の代わりに、ブライトリングの “ウィング” ロゴがあるという点で、ファンたちから非常に人気のモデルとなっている。
オメガ シーマスター プラネットオーシャン Ref. 215.30.44.21.01.001
今回最後に紹介する時計は、もうひとつのシーマスターである、シーマスター プラネットオーシャン Ref. 215.30.44.21.01.001だ。2016年の発表以来、今でも現行モデルとして販売されている。価格は、約72万円から約78万円へと上昇し、価格上昇率は約8%だった。
シーマスター プラネットオーシャンは、ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じた映画の何作かに登場している。直径43.5mm、どっしりとした厚み16.1mmのステンレススチール製ケースに、600mという防水性を誇り、頑丈なステンレススチール製ブレスレットがかなりの存在感を主張する。また、60時間のパワーリザーブを持つ自動巻きコーアクシャル マスタークロノメーター オメガ キャリバー8900が搭載され、現代的なダイバーズウォッチとしてその地位を確立している。