スイス高級時計会社タグ・ホイヤーは、クロノグラフのスペシャリストです。同メーカーはすでに150年以上前から、高精度なタイムキーパーを製造しています。その特徴はモータースポーツに深く関わることで、映画『栄光のル・マン』にでも大振る舞いを見せました。
2012年に開催されたプロファイルズ・イン・ヒストリー社によるオークションにて、「これはマックイーンが『栄光のル・マン』で着用していた1本です。」と言い放たれました。競売に掛けられたこの時計は、スティーブ・マックイーンが出演した1971年のアメリカのアクション映画『栄光のル・マン』にて彼が腕にはめていたモナコでした。ブルーの文字盤を持つこの四角いクロノグラフは、オークションにて79万9500ドル (約8673万円) で落札され、歴史上最も高額な時計の1つです。
スイスの高級時計ブランドであるタグ・ホイヤーは、古い年代から現在に至るまでモータースポーツと深く関わりを持っており、数々のカーレースにおいて公式タイムキーパーとしても活躍しています。カレラとオータヴィアの両モデルの価格はマックイーン時計に比べて格段に安いですが、しかし大変人気の腕時計です。また、両モデルはスイスのラ・ショー・ド・フォンにある工房が生み出す最新のイノベーションでもあり、F1レーシングカーに使用されるカーボン素材が使用された時計や、伝統的なカレラのデザインを持ちつつモダンなテクニックを内蔵するスマートウォッチなどが提供されています。タグ・ホイヤーはスイス高級時計業界において、初めてスマートウォッチ分野に足を踏み入れたメーカーです。
モデル | 価格 (約) | 特徴 |
カレラ キャリバー ホイヤー 02T | 138万円 | トゥールビヨン |
モナコ キャリバー 11 | 48万円 | 四角いケースの人気時計 |
オータヴィア キャリバー 02 | 43万円 | 60年代のレトロデザイン、自社製キャリバー |
カレラ キャリバー 1887 | 37万円 | 自社製キャリバー |
カレラ キャリバー 16 | 37万円 | バルジュー7750搭載クロノグラフ |
アクアレーサー キャリバー 16 | 31万円 | 防水性300m (30気圧) |
アクアレーサー キャリバー 5 | 22万円 | 防水性300m (30気圧) |
コネクテッド | 18万円 | 高級スマートウォッチ |
タグ・ホイヤーが提供する時計の中で最も成功を収めた人気のコレクション、それがカレラです。「カレラ」という名前は、メキシコで開催されていた自動車レース カレラ・パンアメリカーナに因んで、創業者エドウアルト・ホイヤーの曾孫であるジャック・ホイヤーによって付けられました。手巻きのバルジュー72を搭載した初代モデルは、1963年に市場に送り出されました。このリファレンスナンバー2447の古いモデルは、現在では約97万円で販売されています。
1960年代には、インダイヤルが2つのみのリファレンスナンバー3647も提供されていました。このモデルではバルジュー92が時を刻んでおり、同じく手巻き式です。現在の価格は約93万円になります。
また、ホイヤーは1960年にブライトリング、ビューレン、デュボア・デプラと共同で、マイクロローターを搭載するキャリバー11を開発しました。この機械式ムーブメントは時計の左側9時位置に取り付けられていることが、多くの時計と異なる点です。日付は6時位置にあり、2つのインダイヤルは3時と6時の位置に配置されています。この古い自動巻きカレラは、約57万円でご購入いただけます。
ホイヤーはカレラ初の自動巻きモデルを70年代に発売しました。このモデルはゼニス エルプリメロ、またブライトリング クロノマティックと並び、世界初の自動巻きクロノグラフの1つとされています。
1963年に発売されたカレラは、タグ・ホイヤーが提供する最人気の時計モデルです。現在では様々な異なるタイプのカレラがあり、その種類にはクロノグラフ、オートマティック、3針デイト、また、トップモデルではトゥールビヨンを備えるクロノグラフまで多岐に渡ります。コレクション内でもトップとされるモデルには自社製キャリバー02Tが搭載去れており、60秒に360度一回転するフライングトゥールビヨンが6時位置に配置されています。このモデルにはスケルトンの文字盤が使用されているため、ケースの中身が透き通って見えます。また、サファイアクリスタルケースバックによって、この複雑時計を裏側からも眺めることができます。
タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02T の直径45mm、防水性100m (10気圧) のケースは、チタンもしくはセラミックを素材としています。ラグとベゼルにピンクゴールドが使用されているモデルは特に上品で、その価格は未使用品で約217万円~293万円になります。チタン製のモデルは未使用約118万円、セラミックモデルは約139万円にてご購入いただけます。
タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02T ナノグラフ は、スイスの時計メーカーであるタグ・ホイヤーが誇るトップモデルの1つです。トゥールビヨンとクロノグラフに並ぶこの時計の特徴には、ヒゲぜんまいの素材としてカーボンが使用されていることです。この素材はシリコンと同様完全な耐磁性を持ち、軽量で硬質、また温度差に強いという利点があります。ホワイトゴールドとスーパールミノバを使用したアルミニウム合金素材のテンプにおいても、タグ・ホイヤーは世界初の偉業を成し遂げています。2019年に導入されたこのカレラ モデルは、国内定価296万4600円にて販売されています。
カレラ キャリバー 16 は現行のコレクション内で定番とされるモデルです。この時計内で時を刻むのは、世界一多くのクロノグラフに搭載されてきた実績あるバルジュー7750です。この機構のパワーリザーブは42時間で、9時位置にスモールセコンド、6時位置に12時間積算計、6時位置に30分積算計が設置されています。このカレラには、スポーティーでモダンなデザインの時計からアリゲーターレザーストラップ付きのエレガントなタイプまで、数々の異なるモデルがが提供されています。このクロノグラフのご購入をお考えの方は、新品約37万円、中古約22万円のご予算をお立てください。
タグ・ホイヤー カレラ キャリバー5 はシリーズ内で最も低価格なモデルです。この自動巻きの3針時計には、日付表示付きモデルとデイデイトモデルの2タイプがあります。ケース素材にはステンレス、またステンレスとピンクゴールドのコンビモデルの2種類があります。サイズは直径39mm、もしくは41mmになります。キャリバー5は未使用約22万円、中古約17万円でご入手いただけます。
2010年以降、タグ・ホイヤー カレラには自社製キャリバーが使用されています。自社で独自に開発されたこの機構には キャリバー1887の名が付けられており、これはセイコーの6S78をベースとしています。これより後に作られた類似するキャリバーホイヤー01はスポーティーでモダンなクロノグラフに使用され、その多くにスケルトンの文字盤が使用されていたため未来的な趣を持ちます。カレラ キャリバー1887はより優雅でクラシックなデザインになります。この両時計は価格的にはほぼ同じで、未使用約37万円、中古約32万円で販売されています。
カレラ キャリバー ホイヤー02 モデルにも、クロノグラフを備えた自社製キャリバーが搭載されています。この機構のパワーリザーブは80時間と長持ちし、4時と5時位置の間に日付が表示されます。キャリバー16、1887、01と異なり、キャリバー02では12時積算計が9時位置に、30分積算計が3時位置に、スモールセコンドが6時位置に配置されています。ステンレス製モデルの定価は、69万1200円です。さらにGMT機能を搭載するモデルはこれよりたった数万円高いだけで、Chrono24では未使用品で約49万円ほどでご購入いただけます。
モナコはタグ・ホイヤーの定番デザインを装う時計です。映画『栄光のル・マン』 の中で スティーブ・マックイーンの腕に巻かれたことで、この四角いクロノグラフは世界的に有名になりました。ブルー、ホワイト、レッドの配色から成る現行モデルの文字盤は、当時映画に登場したオリジナルモデルと見間違えるほどよく似ています。
オリジナルモデルと同じくリューズが左側に設置されているキャリバー11においては、ベースとなるセリタSW300、もしくはETA2892機構にクロノグラフモジュールが追加されています。これを持ってメーカーは、1970年代に同様にモジュール構造で作られていたモナコ時計の伝統を受け継いでいます。過去数年のモデルは未使用で約48万円、中古時計は約47万円にて提供されています。つまり、モナコ キャリバー11の価格価値は安定していると言えます。
リューズをケースの右側に備える腕時計がお好みの方は、モナコ キャリバー12をご覧ください。このモデルに搭載されている機構も、セリタSW300もしくはETA2892をベースとした機構です。このモデルは新品約69万円、中古約40万円でお買い求めいただけます。
モナコが発売開始された年に製造された リファレンスナンバー1133Bのブルー、ホワイト、レッドの文字盤を備えるヴィンテージ時計は、現在約184万円で販売されています。これに対してグレーの文字盤を持つリファレンスナンバー1133Gは、約108万円で提供されています。
モナコ コレクション内でも最も注目を浴びるモデルは、500本に限定された バンフォード リミテッドエディション です。タグ・ホイヤーはこのカーボン時計を、バンフォード ウォッチ部門と共同開発しました。そのブラックの文字盤上には、ライトブルーミニッツトラックと、同じくライトブルーのカウンターが見られます。ケース内で時を刻むのは、標準モデルと同じキャリバー11です。この特別エディションモデルの未使用品は、約137万円にてご購入いただけます。
コネクテッドは、スイス高級時計メーカーが開発した初のスマートウォッチです。この腕時計のデザインはカレラとよく似ています。「ウォッチフェイス」と呼ばれる異なるデジタルの文字盤も、人気のカレラのデザインから想起されました。もちろん、基盤となったカレラと違い、コネクテッドには機械式機構でなく インテルプロセッサーとアンドロイド・ウェアをオペレーションシステムとしています。このシステムはアンドロイドや iOSのスマートフォンに使用されており、多数のアプリケーションのインストールが可能です。このスマートウォッチで、インターネットを使用したり、多くの国においてGoogle Payで支払いをすることが可能です。さらに音楽を聴いたり、翻訳機能を使用したりと、様々なアクティビティをトラッキングすることができます。
タグ・ホイヤー コネクテッド のケースは直径41mmもしくは45mmで、主に軽量のチタンを素材としています。しかし、モデルによってはベゼルとラグにセラミックやピンクゴールドのコーティングが施されたものもあります。ベゼルにダイヤモンド装飾が施されたモデルは特に高級感にあふれており、これらは女性向けの腕時計とされています。ブレスレットの素材としては、レザー、セラミック、ラバー、チタンが提供されています。
45mmサイズのチタン製、ブラックセラミックベゼル付きのコネクテッドモデルは、未使用品で約18万円にて、中古は約15万円にてご購入いただけます。セラミック素材のベゼルとブレスレットを備えるモデルは、未使用約33万円、中古約26万円でご購入いただけます。ピンクゴールドコーティングが施されたモデルは最も高価格で、新品約43万円、中古約34万円になります。チタン素材の41mmサイズのモデルがお好みの場合、未使用約16万円、中古約12万円でご入手いただけます。
タグ・ホイヤーの時計にはモータースポーツ以外の場所でも活躍するモデルがあります。例えばその1つにアクアレーサーがあります。その名前からも分かるように、このシリーズは ウォータースポーツを営む人や、ダイバーに着用されます。タグ・ホイヤーの時計師にとって、防水性は新しい分野ではありません。同社はすでに19世紀後半に、防水性を備える時計を開発していました。
アクアレーサーコレクションに提供されている時計は、典型的なダイバーズウォッチのデザインで設計されています。60分目盛りが刻まれた回転ベゼルと、明るく光る蓄光針とインデックスが特徴的な要素となっています。時計の種類には、クラシックな3針モデルや、ストップ機能を搭載するクロノグラフが提供されています。クロノグラフモデルのケース内で時を刻むのは、実績あるバルジュー7750や高精度のクォーツ機構です。クォーツ式のクロノグラフは43mmサイズで、その防水性は300m (30気圧) まで、ダイビングの際に着用するのに最適です。ステンレス製のリンクブレスレットが取り付けられたこの時計の価格は、未使用約17万円、中古約16万円です。同じくステンレスのブレスレットを備える自動巻きの機械式クロノグラフは、未使用約31万円、中古約24万円で販売されています。
3針日付表示付きのアクアレーサーには、自動巻き式とクォーツ式の2タイプがあります。クォーツ機構によって駆動されるモデルは、機械式のモデルより数十万円安い価格で提供されています。セラミックベゼルを備える43mmサイズの自動巻きアクアレーサーは、未使用品で約22万円でご購入いただけます。ステンレスベゼルのモデルをご希望の方は、新品約18万円、中古約12万円のご予算をお立てください。
ハリウッドスターで 環境保護活動を行っているレオナルド・ディカプリオと共同で、タグ・ホイヤーは2009年にアクアレーサーの特別限定版を発表しました。このモデルの売り上げの一部は、環境保護団体に寄付されます。このモデルの2009年当時の定価は約24万円でした。状態の非常に良い中古のモデルは、現在約18万円でご購入いただけます。
オータヴィアは、タグ・ホイヤーが提供する第3の伝説的なクロノグラフです。オータヴィアという名前は、「Automobil (自動車)」と「Aviatik (航空機)」のコンビネーションから生まれました。この時計は昔、モータースポーツカーや航空機内に取り付けられていましたが、1962年に初めて腕時計として市場に送られました。60年代のヴィンテージ オータヴィアは現在大変希少で、このモデルには約306万円の価格が付けられることがあります。しかし、時計のコンディションによっては122万円ほどでご購入いただける場合もあります。
1970年代から80年代に製造されていた ヴィンテージのオータヴィアは、最も低価格でお買い求めいただけます。その価格は約49万円からになりますが、12万円以上するモデルもあります。1969年以降のモデルには、自動巻きのクロノグラフキャリバー11を搭載するオータヴィアモデルが提供されています。このモデルは、ケースの左側9時位置に取り付けられたリューズによって見分けられます。ケースのシェイプは楕円形で、60年代の手巻き時計とは全く異なる様式です。
タグ・ホイヤーは2017年に 自社製キャリバーを搭載したオータヴィアを開発しました。 この機構は60年代に生み出された初期のクロノグラフを連想させます。このレトロ時計の特徴は両方向回転ベゼルと12時間表示、また逆パンダダイヤルと42mmサイズのケースです。3時、6時、9時位置には、ミニッツカウンター、スモールセコンド、12時間積算計の3つの白いインダイヤルが設置されています。6時位置のスモールセコンドのインダイヤル上には、控えめな日付の表示があります。自動巻きキャリバー ホイヤー02は80時間のパワーリザーブを保ち、秒針停止機能と日付のクイックチェンジ機能が備えられています。レザーストラップ付きのモデルは未使用約43万円でご購入いただけます。ステンレスブレスレット付きのモデルはそれより約12万円ほど高くなります。
タグ・ホイヤーは2017年にジャック・ホイヤーの85歳の誕生日を記念して、1932本限定の オータヴィアの特別エディションを発売しました。この限定本数は、ジャック・ホイヤーの誕生年を表しています。このタイムピースの特徴はシルバーの文字盤とブラックのカウンター、60分目盛りが刻まれた両方向回転ベゼルとジャック・ホイヤーのエングレービングが施されたポリッシュ加工のケースバックです。このリミテッドエディションの価格は,未使用約54万円、中古約48万円でご購入いただけます。
タグ・ホイヤーは、昔からスポーツと深い関わりを持つメーカーです。1882年の初のクロノグラフ開発から旅行用タイム計測時計、また最新のモダンなクロノグラフに至るまで、このスイスメーカーはストップウォッチ機能を搭載する時計作り分野のエキスパートです。
スティーブ・マックイーンは1971年に公開された映画『 ル・マン』に、タグ・ホイヤーのモナコを腕に巻いてスクリーンに登場しました。ダークブルーの文字盤を備えるこのモナコ モデルは、映画によって大人気の1本となりました。また、アイルトン・セナやブルース・マクラーレンなどの伝説的なカーレーサーたちも、カレラの精度を信頼していました。バラク・オバマもアメリカ合衆国大統領就任時に、タグ・ホイヤーのスポーツウォッチを着用していました。彼が着用していた1500シリーズのモデルは、アクアレーサーシリーズの時計によく似ています。日本では漫画『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する架空の人物、空条承太郎がタグ・ホイヤーの時計を付けていたことで有名です。
スイス時計作りの中心地であるラ・ショー=ド=フォンに工房を構えるタグ・ホイヤーは、今日まで高精度なタイムピースの製造でその名を誇っています。同社は2015年、 スイス高級時計業界における初のスマートウォッチ、コネクテッドを発売しました。
タグ・ホイヤーの歴史は1860年に、20歳のエドワード・ホイヤーがスイスのサン=ティミエに小さな時計会社を創業したことから始まりました。彼はたったの4年間で会社の経営を大きく発展させ、時計作りの町、ビールにおいて大きな建物を借りてそこに移転するほどになりました。1882年にホイヤーは、彼が生み出した初のストップウォッチに対する特許を取得しました。その5年後、彼はクロノグラフ製造における大革命となった 振動ピニオン機構を開発しました。このメカニズムにおいては、2つの小歯車を持つ可動シャフトが秒クロノグラフ車と連結しています。
1902年に、息子のチャールズとジュール・ホイヤーが家族経営の会社の跡継ぎとなりました。彼らの指揮の下で、同社は特殊時計の製造のみに力が注がれました。1911年には、その1つである航空機用の時計、 タイム・オブ・トリップが発表されました。直径11cmのこの計器時計は、車や飛行機のダッシュボードに設置するのに最適です。大きなセンター針は時刻の表示に使用され、12時位置に見られる小さめのダイヤル内の2本の針によって、12時間までのタイムが表示されるようになっています。
1916年にさらなるマイルストーンが築かれました。ホイヤーは 1/100秒の正確さでタイムを計測するストップウォッチ、マイクログラフを発表したのです。繊細な秒針が時計を1周するのにはたったの3秒しかかかりません。時計に内蔵されたテンプの振動数は大変高く、毎時36万回、つまり50Hzです。ホイヤーが「長短時間計測器」と呼んだこのタイムピースは、大砲の発射からの飛行時間の計測に使用されました。
1930年代にはタイム・オブ・トリップの跡を継ぐ時計が発表されました。それが オータヴィアです。車や飛行機のために作られたこの時計にはセンター針が設置されており、60分と12時間カウンターの2つのインダイヤルが配置されています。このストップウォッチは、金のダッシュボード「 Hervue」に取り付けられた状態でよく見られました。この計器において時刻の表示を実現していたのは、レビュートーメン社の8日間ムーブメントです。現在では多くの時計ファンたちがオータヴィアと聞いて思い浮かべるのが、1962年に初めて発表されたクロノグラフ腕時計です。
1964年1月に、家族経営会社であったEd. Heuer & Co. SAとLeonidas Watch Factory Ltd.が合併しました。合併後も同社の経営は、合併後もホイヤー家によって続けられました。クォーツ危機に伴い、機械式時計の生産はほぼ完全に停止され、クロノスプリットなどのクォーツ式時計がそのプログラムに採り入れられるようになりました。
1982年当時社長を務めていたジャック・ホイヤーが同社の一部を売りに出し、1982年~1985年に時計メーカー ピアジェを所有していた人物がそれに目を付けました。1985年に テクニーク・ダバンギャルド (Techniques d'Avant Garde - TAG) が同社を買収しました。そしてその直後、会社名がTAG Heuer S.A (タグ・ホイヤーSA)に変更され、1996年に株式公開しました。1999年以降、ゼニスやウブロなども属するフランスのファッション業界大手企業体 LVMH (Moët Hennessy Louis Vuitton SA) が同社を所有しています。
タグ・ホイヤーが2006年に発表した カレラ キャリバー360 は、1916年のミクログラフに似た時計でした。カレラ キャリバー360には、時刻表示用とクロノグラフ機能用の2つの機構が搭載されています。フライバック機能付きのクロノグラフモジュールと30分積算計を備えるこの懐中時計ミクログラフは、毎時36満開という非常に高い振幅数で時を刻みます。2012年まで、これは機械式の腕時計において最高の数値でした。メインの機構はETA2892で、クロノメーター認定を受けています。
その6年後、タグ・ホイヤーは自社の記録を更新しました。 マイクロタイマー フライング 1000 において、1/1000秒の正確さでタイムを計測することを可能にしました。これに対し、カレラ キャリバー360の精度は1/100秒です。マイクロタイマーに使用されている自動巻きキャリバーには2つの分割された駆動装置が備えられており、その各1つがそれぞれ振幅と脱進システムを持ちます。時刻表示に用いられるテンプは通常の2万8800回/時 (4Hz) で振幅し、クロノグラフシステムは驚異の360万回/時 (500Hz) で動きます。これを上回る振動数を誇る時計は、5/1万秒という物凄い高精度でタイムを計る、カレラの マイクロガーダーのみです。