- 30
- 60
- 120
Chrono24マガジンの最新記事
IWC – スイス・シャフハウゼンの伝統ある時計ブランド
世界的時計ブランドであるIWCシャフハウゼン。特に高い人気を誇るのがパイロット・ウォッチですが、ポルトギーゼといったコレクションにおいてもIWCの高い時計製造技術を証明しています。
どんなシーンにも合う高級時計
スイスを拠点とするIWC(インターナショナル・ウォッチカンパニー)は、世界最大級の高級時計ブランドで、1930年代半ばから続くパイロット・ウォッチの製造で知られています。1936年に発売されたスペシャル・パイロット・ウォッチから伝説のIWC マーク11、また、スピットファイアやトップガンといった現行モデルまで、パイロット・ウォッチは、高い人気を誇っています。
また、ポルトギーゼやポートフィノ、ダヴィンチなどのドレスウォッチも現在ではブランドの絶対的な定番となり、世界中の時計ファンたちから愛されています。インヂュニアとアクアタイマーにも同様のことが言え、IWCブランドの名声をさらに高めています。
すべてのコレクションで、伝統的なデザインに現代的な要素を組み合わせているIWC。ケースには新素材であるセラミックやブロンズ、チタンといった素材が使用されています。また、ダイバーズウォッチであるアクアタイマーでは、回転式のインナー/アウターベゼルを採用し、技術革新にも力を入れています。ムーブメントも高い精度を誇り、ほとんどのモデルに自社製キャリバーを搭載しています。一方で、スイスのムーブメントメーカーであるETA社やセリタ社製のものを使用することもありますが、精緻な仕上げが施されています。
IWCの時計を買う5つの理由
- 1868年から続く、スイス出身の伝統ある時計ブランド
- パイロット、ポルトギーゼ、ダヴィンチなどの人気モデルを展開
- 最高級の品質を誇るムーブメントとケース
- ステンレス、ゴールド、チタン、セラミック、ブロンズなどの新素材を使用
- メンズ・レディース用のツールウォッチやドレスウォッチを展開
IWC時計の価格一覧
モデル / Ref. | 価格(約) | 特徴 |
ポルトギーゼ・グランド・コンプリケーション / IW377601 | 3000万円 | 20のコンプリケーション、プラチナケース |
ダヴィンチ・パーペチュアル・カレンダー・クロノグラフ / IW392101 | 650万円 | 永久カレンダー、クロノグラフ、ムーンフェイズ、ゴールド製ケース |
アクアタイマー・クロノグラフ・チャールズ・ダーウィン / IW379503 | 170万円 | クロノグラフ、ブロンズ製ケース |
ビッグ・パイロット・ウォッチ /IW500401 | 130万円 | パワーリザーブ表示、日付、ステンレススティール製ケース |
ポルトギーゼ クロノグラフ / IW371604 | 130万円 | クロノグラフ、ステンレススティール製ケース |
パイロットウォッチ・マーク36 / IW324001 | 55万円 | 日付、ステンレススティール製ケース |
IWC時計の価格
IWCの時計は、1960年代から70年代の数万円のヴィンテージウォッチから、精巧で希少性の高い3000万円以上のものまで、幅広い価格帯で販売されています。その例が、20の複雑機構を搭載したポルトギーゼ・グランド・コンプリケーションです。
パイロット・ウォッチコレクションやアクアタイマーコレクションのダイバーズウォッチといったツールウォッチの価格は平均で約50万円~170万円です。また、耐磁性を備えたインヂュニアもこの価格帯で販売されています。
ポルトギーゼ、ダ・ヴィンチ、ポートフィノといった定番ドレスウォッチは、ゴールドやプラチナ製が多く、約100万円~1000万円で購入可能です。
IWC パイロットウォッチの詳細
パイロット・ウォッチは、IWCの全コレクションの中でも圧倒的な規模を誇るコレクション。この時計は非常にすっきりしたデザインの文字盤を持ち、その文字盤は「Baumuster A」とも呼ばれています。主な特徴は、12時位置に配されたパイロット・トライアングル、装飾のないアラビア数字、細いバーインデックス、そして太いソード針です。
IWCでは、ビック・パイロット・ウォッチの43mmと46mmのモデルが1940年代の名作の後継モデルとして位置づけられています。 マークやスピットファイアシリーズでも同様ですが、ビッグ・パイロットとは違い、36mmから40mmという現代的なサイズとなっています。
サイズだけでなく、素材もステンレススチール、チタン、ブロンズ、ゴールドから選ぶことができ、3針モデル、クロノグラフ、第2タイムゾーン表示付き、永久カレンダー付きのモデルから選ぶことができます。現行モデルには自社製キャリバーが搭載されていますが、Chrono24ではETA社やセリタ社製ムーブメントを搭載した旧モデルも販売されています。
セラタニウム製のトップガンと特別モデル
IWCのパイロット・ウォッチの中でも特に現代的なモデルがトップガンシリーズです。文字盤のデザインはパイロット・ウォッチとほぼ同じですが、ケースには一貫してセラミックや、チタンとセラミックの特性を併せ持つ特殊なセラタニウム合金を使用しています。トップガンの時計は通常、マットなブラックですが、現行モデルには例外も存在し、例えば、モハーヴェ・デザートの場合はサンドベージュ、レイク・タホの場合はホワイト、ウッドランドの場合はダークグリーン、オセアナの場合はダークブルーです。
トップガンシリーズには、3針モデル、クロノグラフ、スプリットセコンド機能を備えたクロノグラフに加え、永久カレンダーやワールドタイム機能を備えたモデルもあります。
特別モデル
IWCは、パイロットであり作家でもあったアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリに敬意を表したパイロット・ウォッチの限定モデルを定期的に発表しています。「ル・プティ・プランス」はブルーの文字盤にサンバースト仕上げが施され、「サンテグジュペリ」はブラウンの文字盤にサンバースト仕上げが施されています。どちらのモデルも、精巧な仕上げが施され、多くの場合がゴールドまたはプラチナ製です。
また、メルセデスAMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チームのパートナーでもあり、こちらでもパイロット・ウォッチの特別モデルを定期的に発表しています。その多くはカーボンファイバー製ケースやレーシングチームのカラーをあしらったクロノグラフです。
ポルトギーゼ:コンプリケーションを搭載した美しい時計
IWCの中でも特にクラシカルでエレガントなコレクションであるポルトギーゼ。そのルーツは1930年代にさかのぼります。2人のポルトガル商人がIWCに非常に精度の高いポケットウォッチ・ムーブメントを搭載した腕時計の製作を依頼したことに端を発します。その歴史は、直径42mmから44mmという同コレクションの大型ケースに今日まで受け継がれています。
ポルトギーゼはパイロット・ウォッチと並んでIWCを代表するコレクションであり、繊細を極めた仕上げに加え、ゴールドやプラチナなどの貴金属を採用し、クロノグラフや永久カレンダー、ミニッツリピーターやトゥールビヨンまで、20もの機能を備えたグランド・コンプリケーションなど、洗練された複雑機構を搭載した自社製キャリバーを搭載しています。2024年、IWCはポルトギーゼ・エターナル・カレンダーを発表。このモデルは、カレンダー機能の修正は400年後という驚異的な長さを誇るだけでなく、その間に時計には定期的にエネルギーが供給され、停止することはないと言われています。
ポートフィノ:完璧なドレスウォッチ
IWCの中でも控えめなデザインのポートフィノ。シンプルエレガンスなこの時計は、どんなシーンにもマッチする完璧なドレスウォッチです。ポートフィノコレクションには、クラシックな3針モデル、クロノグラフ、ムーンフェイズ表示付きモデル、パワーリザーブ表示付きモデル、トゥールビヨン・ウォッチなどがあります。
IWCは、現行コレクションの大半に自社製キャリバーを搭載していますが、ETA社やセリタ社製のものをベースとしたムーブメントを搭載したものもあります。
ポートフィノでは、ステンレススティール製、またはゴールド製34mm~45mmサイズのものが展開され、ダイヤモンドがセッティングされたものもあり、男性にも女性にもぴったりなコレクションです。
インヂュニア:耐磁時計の定番
インヂュニアはIWCの歴史において、パイロットウォッチと同じくらい重要な意味を持つ時計です。1955年に軟鉄製のインナーケースを備えた耐磁性を持つ初の時計として登場しました。その人気が上昇し始めたのは、1970年代に有名なデザイナーであるジェラルド・ジェンタが新たにケースをデザインを手掛けてからでした。それ以来、同じくジェンタがデザインしたオーデマ ピゲのロイヤル オークなどと同様に、インヂュニアもトノー型ケースに舷窓をモチーフとしたベゼル、そして一体型ブレスレットが備わるデザインとなりました。現行モデルでは、それ以前のRef. 1970のデザインを再現したラウンド型ケースが採用されています。
インヂュニアでは長年にわたってさまざまなモデルが登場してきました。Chrono24では、ステンレススティール製の3針モデル、クロノグラフ、永久カレンダー搭載モデル、18Kゴールド製といったモデルが出品されています。古いモデルの場合、セリタ社またはETA社製のものをベースとしたムーブメントが搭載されていますが、最近のモデルの場合、自社製キャリバーが搭載されています。
アクアタイマー:2000m防水
IWCのダイバーズウォッチであるアクアタイマー。1960年代半ばの発売当初、ダイビング用のインナールベゼルと2時位置の第2リューズという一風変わったデザインで、他のダイバーズウォッチとは一線を画していました。潜水時間を設定するための回転ベゼルも、現行モデルでは風防の内側に配置されています。しかし、初代モデルとは異なり、これはベゼルで操作可能です。
アクアタイマーの防水性は現行モデルの場合、通常300m(30気圧)ですが、例外として2019年まで発売されたオートマティック 2000では、2.000m(200気圧)までの浸水を防ぐ防水性を備えています。一方で、フライバック・クロノグラフに加えて永久カレンダーを搭載したアクアタイマー・パーペチュアル・カレンダー・デジタル・デイト/マンスの防水性は、100m(10気圧)までとなっています。
アクアタイマーは、ステンレススティール、チタン、セラタニウム、ブロンズ製のものがあり、一部の特別モデルではレッドゴールド製のものもあります。
ダ・ヴィンチ:様々な装いのドレスウォッチ
2017年から独立したコレクションとして存在するダ・ヴィンチ。しかし、IWCでは1969年以降、不定期ではありますが、万能の天才と呼ばれたダ・ヴィンチの名を冠したモデルを発表してきました。その特徴の一つは、ある時は丸みを帯び、ある時は角ばった形、ある時はトノー型といったように、常に変化するスタイルにありました。 また、手の込んだ複雑機構を搭載したモデルも何度も登場しています。
現行のダ・ヴィンチ・コレクションには、18Kレッドゴールド製またはステンレススティール製のラウンドケースとトノー型ケースがあり、ダイヤモンドがあしらわれたものもあります。ポートフィノと同様、ダ・ヴィンチも36mmから44mmまでのサイズ展開で、男性にも女性にもおすすめです。コンプリケーションは、永久カレンダー、クロノグラフ、トゥールビヨン、ムーンフェイズ表示から選ぶことがでいます。
IWCの歴史
IWC シャフハウゼンの歴史は決して平たんなものではありませんでした。創業したのは、1841年から1916年までボストンに居住し、E. ハワードウォッチ&クロック・カンパニーのマネージメントを手掛けていたアメリカ人のエンジニア兼時計技師のフロレンタイン・アリオスト・ジョーンズでした。
ジョーンズの目的は、アメリカの近代的な生産技術をスイスの時計技術と融合することでした。彼はスイスにてヨハン・ハインリッヒ・モーザーと会合しましたが、モーザーはライン川の上流に位置するシャフハウゼンに当時時計工場と水力発電所を所有していました。
そして1868年にジョーンズはモーザーが所有する工場の一部を借りてインターナショナル・ウォッチ・カンパニーを創業。その数年後に、独自の工場を設立します。当時スイスの人件費は比較的安かったにもかかわらず、IWCはほとんど収益を得ることができませんでした。注文数がわずかであったことに加え、アメリカへの輸入関税が高額であったことが理由でした。やがて倒産したIWCはシャフハウゼンのハンデルスバンク銀行に買収され、1874年に株式会社となりました。
その後同社は再び倒産しますが、1880年にスイスの実業家であったヨハネス・ラウシェンバッハ・シェンクによって買収され、安定した時代を迎えました。その間、ラウシェンバッハの家族や親族が何世代にわたりIWCの経営を担っていました。また、時にはスイスの心理学者カール・グスタフ・ユングが、IWCの共同経営者であった時期もありました。1929年、ユングの義理の兄弟であったエルンスト・ヤコブ・ホムバーガーが会社の一部を買収し、IWCを経営することになります。その後1955年に、IWCの経営に携わったラウシェンバッハ家最後の一人となる息子のハンス・エルンスト・ホムバーガーに会社を譲りました。
ホムバーガーは1978年に、クォーツ危機、金相場の上昇、米ドルの下落により打撃を受けたIWCを手放す決意をしました。ここから、再び怒涛の時代が始まります。IWCはまず、自動車タコメーターの製造で有名なドイツのVDOアドルフ・シンドリング株式会社に買収されました。同年、VDOはもう1社のスイス時計メーカーであるジャガー・ルクルトを買収しています。1991年、VDOがマンネスマン・グループへ所属したことにより、両ブランドも同じ傘下に入ることになりました。2000年に、携帯電話事業会社ボーダフォンがマンネスマン・グループを買収しました。ボーダフォンは、IWCとジェガー・ルクルト、また、ドイツ・グラスヒュッテ発のランゲ ウーレンGmbH (A.ランゲ&ゾーネ) を、スイスの高級ファッション兼ジュエリー企業グループであるリシュモンに売却し、それ以来IWCは現在までその傘下にあります。リシュモンにはまた、パネライやボーム&メルシエなどのブランドも属しています。