過去数年間、グランドセイコー(Grand Seiko)はそのラインナップに極めて感動的な素晴らしい新作を加え続けてきた。それぞれのリリースは新しいケースデザイン、完全に新しいムーブメントと同時に、複雑なことで知られる文字盤に新しい配色やテクスチャーをもたらした。エボリューション9コレクションとその主力モデルである白樺の誕生、そしてその後すぐに発表された、四季をテーマにしたGMTシリーズの発表などを考えると、グランドセイコーが今年のショーを楽々と進んでいるかのように思えるのは無理もない。しかし実際にはそうでもないのだ。
グランドセイコー エボリューション9 スポーツウォッチ
ダイナミックなカットが施されたケースとコントラストの強い仕上げを誇るエボリューション9コレクションは、これまでのグランドセイコーの中で、恐らく最も先進的なシリーズである。グランドセイコーの今年の新作は、このラインナップに2つの新しいGMT、2つの新しいGMTクロノグラフ、そしてスプリングドライブを搭載した全く新しいダイバーズウォッチを含む、5つの新しいスポーツモデルを加えることとなった。全ての時計にはブライトチタン製ケースとブレスレットが備わり、価格は96万8000円〜143万円となっている。
グランドセイコー マスターピースコレクション ホワイトライオン
グランドセイコー ホワイトライオン(SBGD209)は恐らく、グランドセイコーのジュエリーウォッチと聞いて連想するものとは違うかもしれない。しかし、この267個ものダイヤとキャリバー9R01が搭載された、ホワイトゴールドとプラチナ製の角ばったケースを持つ大胆な時計は、今現在においての完璧なジュエリーウォッチなのだ。そのサイズと存在感は強烈で断固としていながら、贅沢さの中にも優雅さを失わない。価格は2,970万円で、わずか5本限定生産だ。
グランドセイコー Kodo コンスタントフォース・トゥールビヨン
また、グランドセイコーはKodo コンスタントフォース・トゥールビヨンの発表をもって、ついにワールドクラスのグランドコンプリケーションを作る時計メーカーの競争に参戦した。それ自体が驚きの功績であるのだが、これが実際にグランドセイコーの初めてのグランドコンプリケーションであることを考えると、それはさらに驚異的だ。チタンとプラチナを合わせたケースに壮麗なスケルトン化されたムーブメントが収められたSLGT003 Kodoは、間違いなくワールドクラスのタイムピースである。この時計の価格は4,400万円で、20本限定で生産される。
Chrono24によるグランドセイコーのWatches & Wonders 2022でのリリースについての見解
ここ何年もグランドセイコーは、市場でのポジションとそのカタログラインナップ両方の点において、素晴らしい成長と革新の道を歩み続けてきている。時計業界には、いまだに日本の時計メーカーによるキャリバーをスイスの時計メーカーによるものと同等としない意見があることも知られてはいるが、毎回新作が発表されるごとに、そういった意見はどんどんと支持されにくく、はっきり言えば、取るに足らない意見と捉えられるようになってきている。
細心の注意を払って詳細に作りこまれた美しい時計を生み出し続けるグランドセイコーにおいて、きらびやかな文字盤のリリースは誰もが毎度期待してしまうほど、ほとんどお決まりのパターンにさえなってきていた。しかしKodoのような、機械的にもデザイン的にも最高のものを生み出すことで、グランドセイコーは瞬く間に時計業界での地位を全く新しいレベルへと引き上げた。正確性、構造、審美性という点においてこれほどまでに複雑かつ真に革新的なものを作り上げた時計製造技術は、グランドセイコーがこの先何年も、正当に賞賛を受けるべき偉業だと言っていいだろう。