2019年12月20日
 7 分

私たちのお気に入り時計 2019

Chrono24
Chrono24のライターが2019年に最も気に入った時計

2019年は時計ファンにとって間違いなく波瀾に富む年であった。時計見本市の変化、月面着陸50周年やバウハウス100周年などの大きなイベント、それに伴う限定スペシャルエディションの発表。今年特に印象的であった時計は何だろうか?そして、どの時計が時代を超えて残っていくのだろうか?ここでは、Chrono24のライターが2019年に最も気に入った時計について紹介していく。

パスカル・ゲーライン

私の時計コレクションに関する今年の動向を言葉にするならば、変わりやすく予想外。今年の初め、私はロレックス エクスプローラーによって完璧な万能時計を持っていると確信しており、この1本があれば他の時計は必要ないと考えていた。しかし、自分が素早く直感的な購入者であることを自覚しておくべきであった、と今では思う。そのため、いつかエクスプローラーを見ながら新しい時計が必要であると心変わりすることは、ほとんど予測できる結末であった。

Rolex Submariner 14060

夏のバケーションを目の前にして、私はビーチ、プール、海辺のレストランでスポーティーなダイバーズウォッチを着用している自分を思い描いた。幸いにも、エクスプローラーは私のコレクションにある2年間の間に結構な価値上昇を見せたため、時計の売却後に予想したよりも少々多い予算を手にすることができた。ロレックス サブマリーナの購入を真剣に考えたことはそれまでなかった。114060などの新しい6桁のリファレンスは、私のような生粋のヴィンテージファンにとってまったく対象とならなかったのだ。しかし、いろいろと調べていく内にRef.14060の存在を知り、ご多分に漏れず、その日の内にさまざまなフォーラム、マガジン、YouTubeビデオを見て回り、このリファレンスの虜となっていった。

私はこの時計にとても満足しており、これまで夏のバケーションだけではなく、どのような服装にもフィットしてきた。このリファレンスは5513と瓜二つであるが、それでもまだ比較的手頃な価格で見つけることができる。時計は非常にフラットで着け心地がよく、新しいモデルよりも控えめな印象を与える。サブマリーナは非常に多くのキャラクターを持っており、8月以降頻繁に着用している。そのため、2020年に夢の1803を手に入れられるように、最近デイトジャストを手放したほどだ。しかし、来年までにまた心変わりする可能性も大いにあるのだが

セバスティアン・スヴァート

クラシックなダイバーズウォッチが好きな方であれば、イエマ スーパーマンを気に入るに違いない。この時計は1970年に製造された同名の成功モデルを忠実に復刻したモデルである。そして、東フランスのモルトに拠点を置く1948年に創業された時計メーカーのコレクションに、少し前から再び加えられた。私は今年の夏、元々フランス空軍のパイロットのために開発されたこの美しいフランス時計を、時計フォーラムのマーケットプレイスで発見したのだった。

1970年代からの回帰

Yema Superman

39mmのケース径を持つイエマは比較的細い私の腕にとても似合う。インデックスがプリントされた高光沢の文字盤と、この時計にしかないケース構造が特に気に入っている。非常にフラットなブレスレットと共に、スーパーマンはその見た目だけでなく、手触りも1970年のオリジナルそのままである。これは、実際のところハイテクな計測機器である、市場にある多くの復刻時計との根本的な違いだ。

私が外観的にも機能的にも引き付けられるディテールは、リューズ位置のベゼルロック・メカニズム。シンプルなメカニズムがリューズのロック・ロック解除を可能にしており、それによってリューズが誤って回転しないようになっている。私のような「デスクダイバー」にとっては欠かせない機能である。

遺産と今の邂逅

この時計がヴィンテージの印象を与えるとしても、最新のコンポーネントを諦める必要はない。イエマはオリジナルモデルと異なり、現行のスーパーマンに視角に応じて文字盤に異なる表情を与える、非常に美しいドーム型のサファイアクリスタルを使用している。ラグとクラスプは、2019年において高品質な時計に期待できる通りの堅牢性を備えている。そして、ムーブメントには多くの高級ブランド時計で使用されているスイス製のETA2893-2が採用されている。

スーパーマンは約12万円で手に入れることができるダイバーズウォッチで、興味深い歴史を物語り、さらには唯一無二のヴィンテージ感も備えているのだ。

バート・バウスロッヘ

今年発表された多くの新作を振り返ってみると、他より突出しているいくつかのモデルがある。その中の1つが上海で発表されたオリス ビッグクラウン プロパイロット X。この時計はオリスがとりわけデザインに関して、刺激的で新しい方向に向かっていることを明確に示している。別のスイス大手ブランドであるブライトリングは、ナビタイマー Ref.806 1959 リ・エディションによって素晴らしい仕事を成し遂げた。これは、ヴィンテージの復刻版がどのようなルックスであるべきかを示している。また、A.ランゲ&ゾーネはまったく新しいモデル、オデュッセウスを市場に送り出した。これは同ブランド初の本格的なスポーツウォッチである。発表当初はさまざまな評価があったが、私はこの時計を初めて直接目にした人々の1人で、これは私にとって2019年のトップモデルの1つであると言っても過言ではない。しかし、最も興味深い時計は、スピードマスター アポロ11 50周年記念 ムーンシャイン ゴールドであった。

Omega Special Edition

これが間違いなく2019年のマイベストウォッチである。オメガは月面着陸と同じ年である1969年のゴールド製スピードマスターのデザインを、このモデルのベースとしている。その類似性は非常に高く、ワインレッドのセラミックベゼル、ファセット加工が施されたオニキス アワーマーカー、そしてたくさんのゴールドが使用されている。使用されている合金は「ムーンシャイン ゴールド」と呼ばれ、従来の18Kゴールドよりイエローの色合いが淡く、驚くほど美しい。マスタークロノメーター ムーブメントはサファイアクリスタルのケースバックを通して眺めることができ、裏蓋には地球と月が正確な比率であしらわれている。さらに、オメガはすべての月を実際の月隕石から作り出している。簡単に言って、これは素晴らしい時計なのだ。この金無垢時計は安くないが、この時計が与える感情に値段は付けられない。人生に少々の輝きを必要としない人などいないのである。

バラシュ・フェレンツィ

私は2019年のマイベストウォッチについてずいぶんと考えた。それは、新型ロレックス バッドマン、ドクサ サブ 200、ブライトリングの806 リ・エディションなど、バーゼルワールドで発表された時計だろうか?それとも、SIHHなどで今年の始めに発表された時計?エルメス アルソー ルゥール ドゥ ラ リュンヌや、ものすごく美しいジャガー・ルクルト マスター グランド トラディション ジャイロトゥールビヨン ウエストミンスター パーペチュアル?私はこれらの時計すべてが大好きであるが、2019年のマイベストウォッチはこの中のどれでもない。

Vintage Omega 1968

独立ブランドに目を向けてみると、スイスの小さなブランドであるアーミン・シュトロームは、美しく斬新な新作時計グラヴィティ・イコール・フォースを市場に送り出した。また、モーザーのエンデバー・センターセコンド コンセプト ブルーラグーンも非常に素晴らしい時計である。しかし、両時計共にマイベストウォッチにはなりえない。なぜなら、それはとても手の届く価格ではないからだ。そして、私は何を着用すべきか迷った時にいつも手にする時計を最終的に選び出した。それはスイス製で、クロノグラフ機能を持っており、素晴らしい着け心地を提供してくれる月へと携行された時計。そう、私の2019年のマイベストウォッチは、1968年製のヴィンテージ オメガ スピードマスター。私にとってなくてはならない時計である。


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