ムーンスウォッチか、それともムーンウォッチか?スウォッチとオメガのコラボが話題になっている中、オリジナルのオメガに戻る時計ファンも少なくない。Chrono24では3月26日のムーンスウォッチ・コレクション発売により、オメガのアイコンウォッチの問い合わせ件数が最高値に達した。前の週の土曜日と比較して、オメガのクラシックなムーンウォッチに興味を示す時計愛好家が80%増えたのだ。実際の購入規模の増加はさらに顕著であり、Chrono24ではオメガ スピードマスターの売上がムーンスウォッチの発売日に、その1週間前と比べて2倍以上になった。しかし、Chrono24のWatch Collectionによると、価格水準は大きく変わっていない。
オメガのスピードマスターはやはり気になる時計だろうか。注目すべきスピードマスターの特別なリファレンスを5本ご紹介しよう。
アイコニックな時計といっても、オメガ スピードマスターと張り合えるものはそうそうない。1957年にデビューし、いまだにオリジナルに忠実なオメガ スピードマスターのバージョンが存在するのである。初期のモデルはストレートなラグ付きのケースを持ち、数年間のみ生産された。しかしオメガは最近になって、伝説のキャリバー 321を使ったスチール製スピードマスターの復刻版を含め、いくつかのモデルにこのデザインを採用した。
オメガ スピードマスター CK2998
オリジナルのスピードマスター、リファレンスCK2915は1957年にデビューしたが、初めて宇宙へと飛び立ったスピードマスターは1959年発表のCK2998だった。この時計はアメリカ人宇宙飛行士、ウォリー・シラーの私物として宇宙へ行った。しかし、NASAがスピードマスターを有人宇宙飛行計画の公式時計として採用するのは1965年からだった。CK2998には複数の少々異なるバージョンがあった。それぞれに1から6まで、または61/62の数字で終わるサブリファレンスがついている。
これらの全てのモデルは “プロフェッショナル” の文字が入れられる以前のもので、文字盤のアプライドロゴのすぐ下にはオメガのブランド名、その下にスピードマスターの名前が入っている。全てがアルファ針で、最も人気のバージョンはレアな “ロリポップ” スタイルのクロノグラフセコンド針を採用している。2998のケースは幅19mmで、ストレートなラグが付いている。このエディションにはリューズガードはなく、ケースバックはダブルステップでシーホースの浮き彫りと、 “Speedmaster” の文字がある。内部では象徴的なキャリバー321が機動し、そして最後に、ベゼルには “dot over ninety” を意味するDONの文字がある。
オメガ スピードマスター 105.003 “エド・ホワイト“
これはヴィンテージ スピードマスターで最後にストレートのラグを備えたモデルだった。リファレンス105.003は1963年から1965年にかけて生産されたが、いくつかの個別のモデルは1969年まで届けられていたということである。ロゴはまだアプライドであるものの、このリファレンスは文字盤の “Professional” という文字がなくなっている。
オメガ スピードマスター 145.022
予算に限りがあるが、ヴィンテージスピードマスターをコレクションに加えたいと願う人には、スピードマスター145.022がおそらく最適なチョイスだろう。このモデルは、キャリバー321を搭載した最後のモデルである145.012の後に発表された。145.022は新しいキャリバー 861を採用しているものの、特にステップダイヤル付きの初期モデルというヴィンテージ スピードマスターのルックスと感触という点に関して、全ての項目をクリアしている。それこそ、私がヴィンテージのスピードマスターが真に素晴らしいと感じられるディテールのひとつであり、だんだんと後期モデルでは失われてしまっているものである。
オメガ スピードマスター スヌーピー (3578.5100)
スピードマスター スヌーピーについては詳細を知らない人もいるかもしれない。そこで簡単に説明しよう。1968年、NASAはアニメキャラクターの犬であるスヌーピーを宇宙飛行の安全性、クルー、ミッションについての認知度を上げるためのプロモーションのシンボルに起用した。1970年、スピードマスターはアポロ13号の生還に重要な役割を果たしたとして、シルバー・スヌーピー・アワードを受賞した。この功績を称えるため、オメガは2003年にスピードマスター スヌーピーをリリース。このモデルはミッションの活動時間の分、秒 (142時間54分41秒) に由来して、5441本限定で生産された。
スピードマスター スヌーピーは基本的に、スタンダードなスピーディにスヌーピーのイラストと “Eyes on the Stars” のテキストが9時位置のサブダイヤルとケースバックに描かれたものである。発売当初はあまり売れなかったが、スヌーピーは今では非常に人気のモデルとなっている。
スピーディ チューズデー ウルトラマン Ref. 311.12.42.30.01.001
2018年にリリースされたスピーディ チューズデー ウルトラマンは、この記事で取り上げる中で最も新しい時計である。スヌーピーと同じように、これも限定版だ。このスピードマスターは、フラテロウォッチズの創設者が初めて“Speedy Tuesday (スピーディチューズデー)” のハッシュタグを使った年にちなんで、2012本限定で生産された。オレンジのクロノグラフ秒針を持つこの時計は、1967年に放送された<i>ウルトラマン<i>テレビシリーズで使われたスピードマスター ウルトラマンにインスパイアされたものだ。
これはモダンなスピードマスターであるものの、リューズとバックルに刻まれた昔のスタイルのオメガロゴや、ベゼルの “DON” という文字など、いくつかの素晴らしいディテールが備わっている。これにはオレンジのクロノグラフ針、アワーマーカーの上の小さなスクエアなどヴィンテージのウルトラマンに直接関連する要素がいくつもある。テレビシリーズでウルトラマンは地球上で3分間だけしか変身していられないことから、クロノグラフのミニッツサブダイヤルの最初のマーカー3つがオレンジになっている。また、UVライトをかざすとオレンジのウルトラマンのシルエットが、サブダイアルのひとつに浮かび上がる仕掛けになっている。
まとめ
最初に述べたように、スピードマスターは時計業界全体においても最も長い豊かな歴史を持つもののひとつである。長年の間に、このタイムピースは非常に多くのバリエーションを生み出したため、どのスタイル、予算にも合うものが必ずあるはず。ヴィンテージウォッチを探しているにしろ、より最近の時計を求めているにしろ、スピードマスターを着用することで、あなたは時計史の一片を手首にまとうことができるのだ。ただヴィンテージウォッチを買う場合、特に正確なタイムキーパーが欲しいという場合は、念入りな下調べをしておくことをおすすめする。多くの情報が溢れていて、知識を集めることは楽しみの一部でもある。時がたつにつれ、時計の部品は交換しなければならないし、そのことが時計の価値に影響を与えることもあるのだ。より古い時計については、なおさらである。