強大なスウォッチグループに属するブランドのラインアップを見てみると、たくさんの称賛すべき美しい時計が存在する。しかし最も注目を集めているのは、オメガ スピードマスターや同ブランドとスウォッチがコラボしたプラスチック製モデルであるようだ。しかし、ありがたいことに、スウォッチグループには新旧を問わず一見の価値ある素晴らしい時計が他にもたくさんあり、筆者が特に魅力的だと感じるモデルを5本紹介したい。
1. オメガ シーマスター ポラリス
1982年に発表された、ジェンタがデザインを手がけたオメガ シーマスター ポラリスはクオーツ式の3針時計で、日付表示機能を備えている。この亀のような形をした時計は、1972年のオーデマ ピゲ ロイヤル オークや、1976年のパテック フィリップ ノーチラスといった、有名なジェンタデザインの定番時計と同様に一体型ブレスレットを持つ。
この時計がユニークなのは、チタン製のコンビベゼルで、2mmのゴールドの層が金属に継ぎ目なくはめ込まれている。当時、このディテールは非常に斬新で、問題の多かった1980年代で最もエキサイティングな新作発表のひとつだった。
発売以来、ポラリスはいくつもの方向へと進化していった。特にチタンとパラジウムを使ったモデルが筆者の目を引いた。型破りな素材の融合は、それなりの価格を伴うが、このネオヴィンテージのタイムピースを際立たせている。32mmというやや小さめのサイズから世間の注目から逸れ、そのために驚くほど良心的な価格で入手することもできる。
2. ティソ バナナ
カルティエは最近非常に勢いに乗っており、人々はサントレを渇望しているようだ。しかし、カルティエだけが湾曲したケースを持つ美しい時計を作るメゾンではない。ティソはこのデザインを1916年に発表しており、ティソによると初代モデルを重要なロシア人外交官に売ったという。
この興味深い形の時計は2016年に復活し、バナナ センテナリーエディションと名付けられた。今回は金無垢でもなければ機械式ムーブメントを搭載してもいない。代わりに、この新バージョンはステンレス製あるいはイエロー/ローズゴールドのメッキに、クオーツ式ムーブメントを搭載している。幸いなことに、美しい文字盤と “バナナ型の” ケースはそのままである。
魅力的な文字盤とユニークな “バナナ型の” ケースを持つティソ バナナは、もっと注目され称賛されるべきだと筆者は思っている。
3. ブランパン フィフティ ファゾムス バチスカーフ アニュアルカレンダー
ブランパンのタフなダイバーズウォッチであるフィフティ ファゾムスコレクションは、最近確かな注目を集めている。それは、長年にわたるスキューバダイビングというスポーツや深海探索への貢献やブランドの歴史だけではなく、スウォッチとの有名なコラボレーションによるものでもある。
しかし、ブランパンにはフィフティ ファゾムスだけではなく、派生モデルであるバチスカーフも存在する。特に面白いのは、2018年に発表された43mmのバチスカーフ アニュアルカレンダーで、ブラックの文字盤の右側に配置された特徴的なカレンダー窓が筆者の目を引いた。
この複雑機構と、独特な窓の配置は、ブランパンのヴィルレコレクション、はっきり言うと2016年のヴィルレ クァンタム アニュアル GMTから着想を得たもので、そのモデルもまたこのあまり一般的ではないが魅力的な文字盤レイアウトを採用していた。
4. ブレゲ クラシック 5177
最も名高い時計ブランドのひとつであるブレゲが、それに見合った称賛を受けていないことは、非常に奇妙なことだ。スイスの時計製造業界において有数の素晴らしい製造史を持つにもかかわらず、多くの人は創設者アブラアム=ルイ・ブレゲの画期的な発明をきちんと評価できていない。その中には振動錘、トゥールビヨン、パラシュート機構など、現在の時計にとって欠かせない革新的な技術がいくつも含まれている。
クラシック 5177は明らかにそのクラフツマンシップの伝統を現在に蘇らせるものである。手彫りのシルバー仕上げのゴールドダイヤルと、このブランドの創設者の名前が付けられたセンターの針は、ブレゲを支える並外れた技術力と卓越性を証明している。
“Chrono24でブレゲの時計を探してみると、数多くのモデルが出てくる。傑出した技術を持つブランドの素晴らしい時計には、それぞれの芸術性を考慮に入れると、驚くほど良心的な価格がつけられている。
筆者は、今のうちに購入しておけば、後々恩恵を受けられるだろうと思っている。ブレゲは今後人気が上昇するブランドであり、今はただ、その身にふさわしいリスペクトを受けるのを待っているのだ。”
5. ロンジン マスターコレクション 190周年記念モデル サーモンダイヤル
近年、最も美しい時計のひとつとして称賛された、ロンジン マスターコレクション 190周年記念モデルのサーモンダイヤルだが、所有者の手首の上よりも、オンライン上で称賛されているように見受けられる。確かに、ロンジンは次々に美しいモデルを発表しているが、グループ内の情報源によると、新しいハイドロコンクエストあるいはモダンなスピリットラインのモデルでない限り、売れ行きはあまり良くないという。何ということだろう。
38.5mm径のロンジン マスターコレクション 190周年記念モデルは見事な時計だ。完璧なサイズに、アラビア数字が刻まれた最も壮観な文字盤のひとつを誇る。それはウルバン ヤーゲンセンあるいはブレゲなど、はるかに高い価格帯の時計に備わっているようなものである。