2018年09月04日
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極度のダイバースウォッチ

Bert Buijsrogge
極度のダイバースウォッチ

極度のダイバースウォッチ

ダイバースウォッチは時計熱狂家の間で一番人気のある時計と言えるこれは私自身も賛成している。本数の多くない私の時計コレクションの中にも、称賛できるダイバースウォッチがいくつかある。不思議に思うのは、ほとんどのダイバースウォッチはその時計が意図する目的に一度も使用されないということだ。20年前に一度ダイビングを行ったきりなので、これは私の時計にも特に当てはまることだ。ほとんどのダイバースウォッチは、たまに時計を装着しながらシャワーを浴びるくらいの機会でしか水に接しない。

それにも関わらず、私はダイバースウォッチをこよなく好んでいる。この種類の時計は、どんな状況下でも相性良く扱えるので頻繁に着用する。どこで何をしようが、スポーティーで頑丈なダイバースウォッチはいつも素晴らしい見栄えを持つ。最近誰かが私に、そこまで潜るのはほぼ不可能なのに、なぜ200メートル(またはそれより深い)の耐水性を備えた時計が必要なのか、と訪ねてきた。まさにその通り!だが車に関しても同じことが言える。多くの国では時速120kmが最高速度と規制されている中、なぜ時速200kmも走行できる車が必要なのか?それはルックス、技術、ブランド、そしてブランドの歴史に関わっている

並みのダイバーたちが疑問に思い始める、普通の人々は極度のダイビングについてどう思うだろう?並みのダイバースウォッチは、平均的に200600メートルの耐水性を備えるが、特別な時計はもっと深く潜れるように作られている。これから極度のダイバースウォッチを紹介するが、その全ては2000メートル以上耐水できることが証明されている。

ウブロ オーシャノグラフィック 4000

2011年に発売されて以来、オーシャノグラフィックは極限に挑むことを象徴する時計となっている。この時計は水深4000メートルでの圧力にも耐えられ、48mmケースとグレード2のチタン、またはカーボンで製造されている。ケース右側には2つのリュウズが備えられており、2時位置のリュウズは、カバーによる意図しない変化から保護されている内側のベゼルを調整できる。その下のリュウズはオーシャノグラフィック4000を設定、そして巻くことができる。

IWC アクアタイマー オーシャン 2000エディション

IWC Aquatimer Ocean 2000 Edition
IWC アクアタイマー オーシャン 2000エディション写真: IWC

このモデルの成り立ちは、フェルディナンド・ポルシェが80年代初期に200気圧の深さまで潜る地雷除去ダイバーのために設計したプロトタイプまで遡る。この時計はオーシャン 2000として一般市民にも提供されることとなった。創立35周年を記念し、IWCは耐水力を維持しながらも小さめな時計を再設計した。改良されたチタンケースの形状は直径46mmから42mmへと縮小され、厚みは20.9mmから14.5mmへと薄型になった。

ロレックス ディープシー シードゥエラー

この時計のプロトタイプの生産は1950年まで遡る。いくつかの実験後、シードゥエラーは1960年にバチスカーフに搭載され1900メートルまで潜水し、作動状態で表面化に戻ってきた。当時、一般的に販売されていたダイバースウォッチは「たった」300メートルまで耐水可能であった。2008年にロレックスがディープシーを発表した際には、公式に水深3900メートルまで耐水可能な時計と表明した。44mmケースと5.5mmのドーム型サファイアガラスで施されたこの時計は大型だが、それでも着用できる範囲だ。ロレックス シードゥエラーの典型的なデザインを忠実に継承しつつ、ケースの右側にはセラミックベゼルとヘリウムエスケープバルブが備えられている。

UTS 4000M プロフェッショナル・ダイバー

UTS 4000M Professional Diver
UTS 4000M プロフェッショナル・ダイバー写真: UTS

有名ブランドだけが極度の時計を生産しているわけではない。UTS時計は小さな時計企業だが、100%ハンドメイドの時計をドイツ・ミュンヘンで製造している。4000M プロフェッショナル・ダイバーは、このブランドの時計の一つだ。45mmあるこの時計は、ドイツ産の頑丈なステンレスの塊から作り上げられている。特殊なセラミックボールが2時位置に備えられている、回転式ベゼルを特徴とする。6mmあるサファイアガラスは、接着されているだけではなく、7本のねじで固定されているステンレスリングで支えられている。

なぜ時計はそこまで極度な圧力にも耐える時計を生産する必要があるか疑問に思うかもしれない。今日に至るまで、人類は自身で水深534メートル以上深く潜れたことはない。これは単純に身体がこれ以上の水面下環境に耐えられないからだ。一回のダイブで水深600メートルまでたどり着いたことはあるが、これは特殊なダイビングスーツを装着しながらであった。また、陸上高圧室では模擬実験ではあったが水深701メートルまで潜ることができている。

ここまでの耐水性が必要かどうかに関わらず、これらのダイバースウォッチはとても印象的だ。過酷な環境でも耐えられる腕に装着可能な時計を創り出すには、優れた設計と技術が必要だ。そして壮大なものを作るのに理由はいらない。この世界には特定の目的を持たずして、ただ創れるという理由だけで存在するもので溢れている。どれほど実用的かどうかに関わらず、時計ブランドが限界を超えることにチャレンジしていることに、私は感銘を受けている。一つ確かなのは、これらの時計は長持ちすることだ。

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記者紹介

Bert Buijsrogge

"以前は15年間不動産に勤めていましたが、ここ数年間で趣味の時計が仕事になりました。時計には思春期の頃から興味を抱いていましたが、20代初期にヴィンテージのロ …

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