2022年11月24日 | 更新日: 2024年03月21日
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Chrono24記者の考察!投資すべき高級時計ブランド TOP5【2023年版】

Jorg Weppelink
Vacheron-Constantin-2-1

時計は手首に着けて楽しむものだが、だが、この10年かそこらの間に、時計を投資対象としてみなし、そこで利益もあげたいという人が急速に増えてきている。高級機械式時計の世界は、どのモデルに投資すべきかを知っていれば、かなりの利益を得ることができるものではある。しかし、2022年に投資品として最も人気がある時計の一部の値段が下落し、良いリターンは期待できなくなった。一番大きな影響を受けたのは、オーデマ・ピゲ ロイヤルオーク、パテック フィリップ ノーチラスとアクアノートだ。  

これは、これらの時計がこれ以上優れた投資対象ではないことを意味するのだろうか?正直に言うと、特にそれなりに早いリターンを期待する場合には、個人的には当分の間これらのタイムピースに投資することを控えたい。時間が要因ではない場合には、それでも購入を検討してその後の価格推移を観察したい。しかし、このリストについては、価格の上昇が見られ、2023年以降も優れた投資品になると思われる5本の時計を選択した。オメガまたはロレックスから選択肢を探しているなら、これらのブランドについて別の記事を2つ執筆しているので、ぜひ参考にしてほしい。この記事では、その他の時計にフォーカスしている。 

1. IWC インヂュニア SL “ジャンボ” Ref.1832

The IWC Ingenieur SL "Jumbo"
IWC インヂュニア SL “ジャンボ”

このリストでご紹介する最初の時計は、有名なジェラルド・ジェンタによるスポーツウォッチのトリロジーを構成する3番目の時計だ。IWC インヂュニア SL “ジャンボ” Ref.1832は、パテック フィリップがノーチラスをリリースした同じ年の1976年に発表された。ジェンタのインヂュニアは、1950年代に初めて発売されたIWC のエンジニア向け時計を見事にモダンにアレンジしたもので、ジェンタは、エンジニアのプロフィールに完璧にマッチする時計のコンセプトを作り出した。この時計は、40mm径のラウンドケースに一体型のブレスレットを備えている。ジェンタはトリロジーの創作において、ロイヤルオークには八角形、ノーチラスには四角形、そしてインヂュニアには丸形と、その形を見事に探求した。基本的に、彼はこれらのモダンなスポーウォッチに論理的な左右対称の形状全てを使用したのである。 

IWC インヂュニアは、オーデマ・ピゲ ロイヤルオークやパテック フィリップ ノーチラスほど薄くはなかった。その理由は、エンジニアたちの仕事が行われる強い磁場から時計を守るために、ケースに耐磁構造を採用しているためだ。この時計のケースの内側に、IWCは作業のお供に完璧な耐磁性を持つ自動巻きムーブメント、キャリバー8541ESを搭載した。時計の表面のブラックまたはグレーの文字盤には、どちらも方眼紙から着想を得た模様が施され、さらなるエンジニアの魔法が見られる。このデザインが文字盤に素晴らしい質感と奥行きを与え、インヂュニアのストーリーを見事に伝えている。もしあなたがIWC インヂュニア SL “ジャンボ” Ref.1832を購入するのであれば、ユニークな時計の歴史の一部を購入するのだと言える。ロイヤルオークやノーチラスの人気にはまだまだ及ばないかもしれないが、同じジェンタによるレガシーの一部なのだ。ジェンタによるインヂュニアの価格はおよそ400万円から始まり、500万円まで上昇する。その歴史とレガシーを考慮すると、これらの価格が時間ともにさらに上昇することは論理的であるように思える。 

2. パテック フィリップ Ref.5172G クロノグラフ

The Patek Philippe ref. 5172G chronograph
パテック フィリップ Ref.5172G クロノグラフ

パテック フィリップ ノーチラスとアクアノートの驚異的な価格が少しずつ下落していることから、今のところこれらは不確実な投資品であると思われる。しかし、パテック フィリップには同様に素晴らしいだけでなく、バイヤーに人気が高い他のモデルもある。その良い例がパテック フィリップ Ref.5172G クロノグラフだ。5172Gはパテックのよりクラシックなサイドを好む愛好家の間で人気を集めている。このモデルは、2019年に発売されたダークブルーの文字盤とストラップを備えたホワイトゴールドのクロノグラフだ。今年の初め、同ブランドは同じくホワイトゴールドのケースだが、サーモンピンクダイアルとブラウンのストラップを備えた 2番目のバージョンを発売した。この記事では、2019年に登場し、価格推移が良好なモデルにフォーカスしていく。 

この時計の41mm径のホワイトゴールド製ケースは厚さ11.45mmと、かなりスリムなクロノグラフであり、非常に装着しやすい。ケースのフロントにはボックス型のサファイアクリスタル、ケースバックにはサファイアクリスタルを採用し、見事な手巻きキャリバー、パテック フィリップ キャリバーCH 29-535 PSを眺めることができる。そのムーブメントは芸術品で、時計のフロントと同じくらい魅了される。文字盤についていえば、この時計は、ホワイトゴールドにアラビア数字を適用したブルーのニス仕上げの文字盤を備えている。著者が気に入っているディテールは、1950年代の伝説的なパテック フィリップ 1463 “タスティ・トンディ” にインスパイアされたクロノグラフのプッシュボタンのスタイルだ。この時計には、その色のおかげでモダンな雰囲気でありながら過去にしっかりと根付いた美しい時計を作り出す、おそろいのブルーのレザーストラップが付属している。5172Gの価格は時間とともに段々と上昇しており、およそ1000万円~1200万円になるのが想定される。特にこのレンジの下限が時間をかけて徐々に上昇しても驚きではないと思う。 

3. ブライトリング ナビタイマー 806 1959 リ・エディション

The Breitling Navitimer 806 1959 Re-Edition
ブライトリング ナビタイマー 806 1959 リ・エディション

このリストにある次の時計はブライトリング ナビタイマー 806 1959 リ・エディションだ。この定番ナビタイマー 806の現代的なリメイクは、2019年にリリースされた際に多くの称賛を受けた素晴らしい時計である。ほとんどの方が、回転計算尺と逆パンダダイヤルを備えた時計としてご存知だろう。しかし、最初の10年間、この時計は完全な黒文字盤に黒のサブダイヤルと、周囲に白いリングのみを備えていた。これが、これらのタイムピースが “オールブラック” モデルとして知られている理由だ。ブライトリングは1959年に発表されたこの名作を、オリジナルとほぼ同じスペックで復刻することを決定した。 

この時計は、厚さ12.86mm、ラグ幅22mmで40mm径のステンレス製ケースを備えており、1959年のアンティークの定番モデルと同じ寸法である。その上に、ブライトリングのデザイナーは、時計のベゼルがオリジナルと同じく94個のベゼルビーズがあることを確認した。最大の違いは、モダンなブライトリングのB09ムーブメントの使用にある。これはオリジナルの時計を駆動した、アイコニックなヴィーナス178に代わる歓迎すべきモダンな代替品だ。ブライトリングはこの見事なリメイク版を1959本限定で生産した。もちろん、すぐに完売となったのは言うまでもない。これらの時計のうち1本の価格は2021年後半に急上昇し、2022年中にわずかに下落しただけである。限定版の素晴らしいタイムピースであることから、さらに価格が上昇することを期待している。  

4. ジラール・ペルゴ ロレアート 42 インフィニティ エディション

The Girard-Perregaux Laureato
ジラール・ペルゴ ロレアート

一体型のブレスレット付きのモダンなスポーツウォッチの歴史についてご存知であれば、おそらくジラール・ペルゴ ロレアートについて聞いたことがあることだろう。ロレアートの名前が初めて登場したのは、ジェンタのノーチラスとインヂュニアが発売される1年前である1975年のことだ。ロレアートは非常にスリムなケース、盛り上がった八角形のベゼル、そして一体型ブレスレットを備えたモダンなスポーツウォッチであった。ジェンタのトリロジーと最も異なるのは、クォーツ式ムーブメントを搭載しており、当時の時計ファンの間で非常に人気があった点だ。1970年代、クォーツ式時計は大流行し、ロレアートはすぐに名声を博した。現行のロレアートコレクションは2016年に発売されたもので、明らかに初代モデルからインスピレーションを受けている。 

ジラール・ペルゴ ロレアート 42 インフィニティ エディションは188本限定で、ドイツの宝飾店ヴェンペのために作られた。この時計は、わずか10.7mmの厚さで42mmのケースを備えており、すっきりとした印象に仕上がっている。ケース内部には自社製の自動巻きムーブメント、GP01800-1404を搭載。 ロレアートが他のモデルと比べて際立っているのは、見事なブラックオニキスダイヤルを備えていることだ。レギュラーモデルには “クルー・ド・パリ” の装飾が施された文字盤が採用されているが、このディープブラックの文字盤は、まさに見事である。ジラール・ペルゴはこれらのタイムピースを188本のみ生産しており、すべて完売している。2020年の販売時の小売価格は約200万円で、現在の価格は約240万円~280万円となっている。その限定版のステータスと美しい外観を考えると、これは時間とともに徐々に価格が上昇すると著者は思う。  

5. ヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズ 4500V ブラウンダイヤル

The Vacheron Constantin Overseas 4500V
ヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズ 4500V

これまでに、皆さんはおそらくヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズに出くわしたことがあるだろう。著者はこの時計を去年の投資すべき時計のリストで紹介している。オーヴァーシーズ 4500Vはかなり長い間その価格が上昇していたが、下落も見られている。このブランドと時計をよくご存じない方のためにここで簡単に説明するが、ヴァシュロン・コンスタンタンはパテック フィリップ、オーデマ・ピゲとともに、スイスの時計作りの「雲上御三家」を形成している。というわけで、モダンなステンレス製のラグスポウォッチを求めるなら、これ以上ふさわしい優れたブランドはないのだ。同ブランドのオーヴァーシーズは、1970年代のヴァシュロン コンスタンタン 222にインスパイアされており、今年初めにモダンなフルゴールドのバージョンで輝かしい復活を遂げた。もちろんこちらも注目すべき時計だが、オーヴァーシーズは同ブランドがスポーツウォッチをモダンにアレンジしたものだ。 

ヴァシュロン・コンスタンタン オーヴァーシーズ 4500Vは、ノーチラスとロイヤルオークの直接的なライバルであり、過去数年でその人気は上昇してきている。この時計の価格は、伝説的なライバルモデルのレベルにはほど遠い。とは言っても、現在販売されているオーヴァーシーズは、偉大なライバルたちと同じように価格が下がっている。しかしまだまだ高価で、生産が終了しているためにおそらくこのままの状態が維持されると思われる特別なバージョンが1つだけある。それは2016年から2017年までの1年間のみ生産された、オーヴァーシーズ 4500Vのブラウンダイヤルバージョンだ。そのダークブラウンの文字盤は、時計にまた新たな次元を追加し、まったく別の大物を作り出している。この時計は、著者の基準では、一体型のブレスレットを備えた現代のステンレス製のスポーツウォッチのカテゴリー内で比類のない上品な魅力を誇る。このブラウンダイヤルバージョンの価格は約570万円からはじまり、約920万円まで上昇する。販売本数がそれほど多くないうえに、ブラウンの文字盤は廃盤となっているため、美しいオーバーシーズ 4500Vのこのバージョンは大幅に価格が上昇する可能性がある。 

というわけで、これが私たちが選んだ2023年以降に投資対象になりそうな高級時計5本である。それでは、あとはクレジットカードを手元に、良い時計に出会えることを願っている。 


記者紹介

Jorg Weppelink

こんにちは、ヨルグです。2016年からChrono24で記者として執筆しています。しかし、Chrono24との関係はそれ以前からあって、時計好きになったのは2003年頃からです。私の友人 …

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