ドイツの伝統あるメーカー、ラコ – パイロットウォッチで有名
ラコは1940年代のデザインを持つパイロットウォッチで有名です。しかし、ドイツのバーデン=ヴュルテンベルク州にあるプフォルツハイムという町を拠点とする伝統あるメーカーは、それ以外にも多くの時計モデルを提供しています。そのプログラムには、モダンなスポーツウォッチやバウハウス調の上品なドレスウォッチもラインナップされています。
ラコの時計を買う5つの理由
- 最新のスポーツウォッチ・ツールウォッチ コレクション
- 有名なモデルAとBのスタイルのパイロットウォッチ
- コレクション エアブシュトゥック: エイジング加工によるヴィンテージルック
- 上品に仕上げられたETAエラボレート搭載のトップモデル
- 優雅なドレスウォッチを提供するクラシック コレクション
正真正銘のオブザベーションウォッチと優雅なドレスウォッチ
ドイツ南西に位置するプフォルツハイム出身の時計メーカー ラコは、1925年以降ドイツの時計業界においてその地位を確立してきました。ラコは特にパイロットウォッチの分野で名高く、今日に至るまでこの種の時計が同社のプログラムの大部分を占めています。ラコのパイロットウォッチは、オリジナル、ベイシス、特別モデルの3つのコレクションに分類されています。
その3シリーズに共通している特徴は、39mm~55mmの堅牢なステンレスケース、ステッチが施された耐久性の強いレザーストラップ、そして 1930年代~40年代のパイロットウォッチとオブザベーションウォッチをモチーフにした文字盤です。さらに、ラコが提供するパイロットウォッチの中には、スピリットオブセントルイスやJu52、ダグラスDC-3など、昔のアイコニックな航空機に使用されていた航空計器を思わせるデザインの文字盤のモデルもあります。
パイロットウォッチシリーズの中でも頂点を成すモデルには、スイスの時計ムーブメント製造会社ETAが提供するエラボレート品質の自動巻き、もしくは手巻きキャリバーが搭載されています。入門機のカテゴリーに分類される時計には、日本製ミヨタ社の自動巻きムーブメント、もしくはスイスのロンダ社が製造するクォーツ機構が使用されています。
また、ラコはパイロットウォッチ以外の時計もラインナップしています。その種類はヴィンテージルックのマリンウォッチ、多彩なクロノグラフ、最新のツールウォッチやスポーツウォッチなど、多岐にわたります。さらにラコは、バウハウス調の上品なドレスウォッチもそのプログラムに取り入れています。
ラコ時計の価格はいくら位ですか?
モデル | 価格 (約) | ムーブメント | 特徴 |
レプリカ 55 | 43万円 | ETA 6497-1 エラボレート | 手巻き、直径55mm |
ミュンスター エアブシュトゥック | 25万円 | ETA 2824-2 エラボレート | エイジング加工 |
セブンシーズ | 24万円 | ETA 2824-2 エラボレート | 100気圧まで耐圧、日付、へリウムエスケープバルブ |
クックスハーフェン | 12円 | ETA 6498-1 エラボレート | スモールセコンド、手巻き |
スピリットオブセントルイス | 7万円 | ミヨタ 821A | スモールセコンド |
アウグスブルグ 42 | 4万円 | ミヨタ 821A | モデルA |
チューリッヒ | 3万円 | ロンダ クォーツ機構 | 日付、曜日 |
ラコ パイロットウォッチのモデルと詳細
1940年代の元祖パイロットウォッチのデザインに近いモデルをお探しの方には、 オリジナル コレクション が最適です。このシリーズの時計のケースサイズは39mm~55mmで、特別に大型なリューズと文字盤を持ちます。これは、当時ドイツ航空省によって規定された 設計基準 A/B に準じる構造でした。タイプ Aには夜光の時・分バーインデックス、また同じく夜光のアラビア数字が使用されており、12時位置には三角マークが表示されています。タイプ Bではさらに、文字盤の中央に円形の12時間カウンターが設置されています。大型のロザンジュ針には夜光塗料が使用されており、暗い場所での視認性も確保されています。また、これもドイツ航空省が出した基準で定められていた設計のひとつでした。これらの時計ではオリジナルモデルと同様、分目盛り以外の文字や刻印などが文字盤上で省かれています。
現行のシリーズで提供されているスタンダードモデルはマットブラックの文字盤を搭載し、サイズ39mm、42mm、45mmで提供されています。このモデルは価格約11万円~12万円でご購入いただけます。それに比べてケースサイズ55mmのレプリカ55は、定価3450ユーロ (約43万円) と高価格です。ヴィンテージ時計がお好みの方には、エアブシュトゥック モデルがおすすめです。この約25万円の時計には 化学的および機械的な工程によるエイジング加工が施されており、まるで古い時代にタイムスリップしたような印象を与えます。ブルーアワーシリーズに提供されている時計は、それと正反対になります。その文字盤は完全にダークブルーに統一されており、表面にはサンレイ仕上げが施されています。そして、グレーのナイロンストラップが、この時計のモダンなフィーリングを助長しています。そのような時計の価格は約12万円です。
ベイシス コレクションでは、オリジナル コレクションに比べて低価格な時計が提供されています。両シリーズの時計はほぼ同じデザインを持ちますが、ベイシスではケースサイズが42mmと39mmの2種類に限られています。ベーシックが約3万円~6万5000円の低価格で提供されている理由は、機構にミヨタ製 (自動巻き)、もしくはロンダ製 (クォーツ) のムーブメントが搭載されているためです。ベイシス時計の特徴は、やや小型なリューズと文字盤上に刻印された「Laco」のメーカー名です。
特別モデル コレクション に提供されている時計は、他と少々異なるデザインを持ちます。ラコはこのシリーズの時計の文字盤に、有名なオールドタイマー航空機の機器を思わせる装いを採用しています。また、いくつかのモデルにおいては、Ju52の機体の外装を連想させる模様が使用されています。機構は特別モデル コレクションでも、ミヨタ製の自動巻きキャリバーとロンダ製のクォーツキャリバーの2種類からお選びいただけます。これらのモデルは約3万5000円~7万円で販売されており、ベイシスシリーズとほぼ同じ価格帯になります。
1940年代に製造されたオリジナルのラコ パイロットウォッチやオブザベーションウォッチは、現在中古市場でも多く販売されています。これらの時計には、当時ラコと深い関係を持っていたドゥロヴェ社 (ドイツ時計ムーブメント社) の手巻き式キャリバーが搭載されています。これらヴィンテージ時計の中で保存状態の良いモデルは、約50万円~150万円の価格で販売されています。
マリンウォッチとクロノグラフの価格
ラコのマリンクロノメーター製造は、パイロットウォッチと同じく長い歴史を誇ります。 マリンウォッチ コレクション はこの長い歴史を体現しており、その時計には1930年代~1940年代にかけて製造されていたマリンクロノメーターのデザインが取り入れられています。時計の文字盤は、パイロットウォッチと同じくシンプルに仕上げられていますが、レイルウェイミニッツトラックと先の尖った時計針が使用されているのが特徴です。時計のステンレスケースは直径36mmもしくは42mmで、標準的なサイズです。
シリーズ内のトップモデルは約12万円で提供されており、上品に仕上げられたETA 6498-1手巻き式キャリバー (エラボレートクラス) が搭載されています。また、この機構では6時位置にスモールセコンドが配置されています。センター秒針を取り付けた、ETA 2824-2ベースの自動巻きキャリバーを搭載するモデルも、これと同価格帯で提供されています。ミヨタ製の自動巻きキャリバー搭載モデルはこれに比べて格段に安くなり、約4万円~6万円で販売されています。
このコレクションには腕時計のみでなく、マリンスタイルのポケットウォッチもラインナップされています。このサイズ58mmのステンレス時計は手巻きキャリバーETA 6497-1で駆動されており、夜光塗料が表面に塗られた文字盤とブラックの数字が特徴的です。つまりこのモデルでは暗闇において文字盤上の数字が光るのではなく、文字盤全体が明るく光るようになっています。このエレガントなオブザベーションウォッチの価格は、約12万円~14万円です。
また、ラコは多数の 興味深いクロノグラフも提供しています。それらのデザインは主にパイロットウォッチが中心ですが、中にはクラシックな計器クロノグラフのデザインを持つモデルもあります。クロノグラフモデルの心臓となり時計を駆動しているのは、主にバルジュー7750ベースの機構です。この機構の3時と9時位置には日付表示とスモールセコンドが配置されており、6時位置にはミニッツカウンター、12時位日にはアワーカウンターが備えられています。これらクロノグラフのモデルは約23万円~43万円でご購入いただけます。
これらに比べて、ミヨタ製のクォーツ機構で駆動されるクロノグラフは、やや低価格になります。これは約4万円にてご入手いただけます。
スポーティーでモダン – ツールウォッチとスポーツウォッチ
スポーツやアウトドアがお好きな方は、ツールウォッチとスポーツウォッチ コレクションをご覧ください。このコレクションで提供されている時計はその名の通り、あらゆる種類のスポーツにおいて着用するために考案されています。ねじ込みリューズと 水深300m (30気圧)、500m (50気圧) 、もしくは1000m (100気圧) までの高い耐水性を備えるモデルは、特に水上、水中で着用するのに最適です。また、いくつかのモデルにはヘリウムエスケープバルブが搭載されており、飽和潜水においても着用できます。
時計は非常に堅牢で、デザインはモダンで機能的です。針、インデックス、数字、回転ベゼルには夜光塗料が使用されており、暗い場所でも確実な視認性が保たれます。分針に色付きのスーパールミノヴバを使用し、それ以外の箇所に白の夜光塗料を塗装することで、時計の視認性をさらに高めています。ETA 2824-2 エラボレートタイプのムーブメントが高精度を実現し、さらに日付表示も搭載されています。
このコレクション内の時計は約11万円からの価格で提供されており、トップモデルの価格は約25万円です。
クラシック コレクション – シンプルで上品
クラシック コレクションの時計は、まさに バウハウス スタイル で仕上げられています。その文字盤はシンプルで、本質のみにこだわる明瞭さを持ち、かつ優雅でバランスの取れたイメージを与えます。文字盤の色の種類にはブラック、ホワイト、グレーと、さらにサーキュラーグレイン仕上げが施されたブルー、ブラウン、グリーンのタイプが提供されています。
ミヨタ製の自動巻きキャリバー9015を搭載するモデルは、約5万5000円でご購入いただけます。ETA 2892-A2キャリバー搭載で、青く発色した針を備えるモデルの価格は、約15万円になります。
ラコ社の歴史
ラコは1925年に、フリーダ・ラッハーとルードヴィッヒ・フンメルによって、ドイツ南西のプフォルツハイムという町で「LACHER & CO」の名で創業されました。同社は当初、スイス製のムーブメントを購入し、それを自社の工房で組み立て、ケースに収めることに専念していました。しかし、1933年にルードヴィッヒ・フンメルがラコ社を去り、ドゥロヴェ社 (ドイツムーブメント製造会社) を創業したのを機に、この体制が変わっていきます。ラコとドゥロヴェ両社の絆が深まり、ドイツ産のドゥロヴェ製キャリバーがラコの時計に搭載されるようになったのです。
第2次世界大戦中、ラコはドイツ空軍のために時計を供給する時計メーカー5社に仲間入りしました。ラコ社の拠点であるプフォルツハイムは、連合軍の空爆によってほぼ全域破壊され、時計生産の大部分を中止せざるを得ませんでした。しかしすでに1949年、ラコとドロヴェの両社は時計製造を再開しました。その10年後、ラコ-ドロヴェ社はアメリカの時計メーカーである U.S. Time Corporation (タイメックス) に買収されました。その後1965年には、スイスのエボーシュ社の傘下に入りました。
1980年代後期まで続いたクォーツショックは、ラコにとっても厳しい時期でした。その当時株主であったホルスト・ギュンターが商標権を所有しており、ラコのブランド名の下で高級時計の製造が行われるようになりました。2009年にラコ社は経営破綻し、別の時計メーカーであるキンツレ社に買収されました。しかし2010年、ホルスト・ギュンターの息子、アンドレアスにより、再びラコ社として復興することになりました。