フォルティスの腕時計: 宇宙を手首へ
スイスの時計ブランド フォルティスは、宇宙飛行士のためのツールウォッチとして有名で、高いクオリティの腕時計を良心的な価格で提供しています。最高級のモデルは、ロシア連邦宇宙局の公式タイムキーパーとなった、オフィシャル・コスモノート・クロノグラフです。
地球から火星まで
フォルティス ― 1912年にスイスのグレンヒェンで創業した腕時計メーカーは、1962年以来、宇宙飛行分野と深い関係を築いています。フォルティスによって開発されたばかりのスペースマティックが、同年、ジェミニ計画に参加したNASAの宇宙飛行士の手首に装着されたのです。その後も宇宙飛行分野との絆をさらに深めてきたフォルティスは、1992年にさらなるマイルストーンを成し遂げました。たばこメーカーのウエストと共同で、フォルティスはマーケティングキャンペーン「West in Space (ウエストインスペース)」を始めました。
今日フォルティスは、ロシア連邦宇宙局 (ROSCOSMOS) と密接にコラボレーションしており、この繋がりからオフィシャル・コスモノートシリーズが生み出されました。同シリーズの時計はガガーリン宇宙飛行士訓練センターによる厳しい試験に合格し、その証としてモデル名に「ROSCOSMOS」が付けられています。コスモノーティス・コレクションでは、さらにクラシック・コスモノート、ストラトライナー、スペースマティックシリーズも提供されています。
しかし、フォルティスは宇宙関連の腕時計以外のモデルも製造しています。同メーカーは1952年にパイロットをインスピレーションの源として設計され、フォルティス初のパイロットウォッチとなったモデル、ジュビレーを発表しています。現在アビアティス・コレクションに属するエアロマスターとパイロット・クラシックは大変高く評価されています。
フォルティスの腕時計には、スイスの時計機構メーカーであるETAのムーブメントを自社内で組み立て直した時計機構が搭載されています。これらのムーブメントには、フォルティス独自の品番が付けられています。その内F-2012などのいくつかのムーブメントは、スイスクロノメーター検定協会 (COSC) によるクロノメーター認定を受けています。
フォルティスの腕時計を買う理由
- 1912年からの伝統あるスイス時計ブランド
- 高品質で良心価格
- 宇宙飛行士のROCOSMOSモデル
- 機能的なツールウォッチ
フォルティス時計の価格一覧
モデル / Ref. | 価格 (約) | 特徴 |
B-42 オフィシャル・コスモノート クロノグラフ 638.10.11 | 35万円 | 黒文字盤、曜日と日付表示 |
クラシック・クロノグラフ 401.26.11 | 32万円 | セラミックベゼル、曜日と日付表示 |
B-42 ブラック・クロノグラフ 638.28.71 | 28万円 | ブラックPVDコーティングのケースとチタンブレスレット |
フリーガークロノグラフ 597.11.11 | 22万円 | 黒文字盤、ステンレスブレスレット、曜日と日付表示 |
B-42 オフィシャル・コスモノート 647.10.11 | 20万円 | ダイビングベゼル、ステンレスブレスレット、曜日と日付表示 |
B-42 ブラックマーズ 500、647.28.13 l.13 | 20万円 | ブラックPVDコーティングのチタンケース、オレンジ色の数字と針 |
マリンマスター 670.10.41 | 14万円 | ダイバーズウォッチ、ラバーストラップ、曜日と日付表示 |
フォルティス・オフィシャル・コスモノート ― 宇宙飛行費の腕時計
フォルティスの商品カタログにおいて最も有名なモデルは、おそらくオフィシャル・コスモノート・クロノグラフでしょう。1994年に初めて発表されたモデルRef. 630.22.141はガガーリン宇宙飛行士訓練センターにおける厳しいテストを通り抜け、2003年までミール宇宙ステーション並びに国際宇宙ステーションISSのミッションにおいて、宇宙飛行士の手首に装着されていました。この腕時計に信頼を置いていたのは、ロシアの宇宙飛行士のみではありませんでした。ドイツの宇宙飛行士であったウルフ・メルボルトも、スイスのグレンヒェン出身の同ブランドの腕時計を愛用していました。フォルティスはこのモデルの製造を2003年に終了しました。
フォルティスはこの宇宙飛行用クロノグラフの駆動に、今日まで非常に人気の自動巻きクロノグラフ機構であるレマニア5100を使用しました。このムーブメントでは、時針・分針・クロノグラフ秒針でがセンター針として設置されています。6時と12時位置には12時間積算計と30分積算計のインダイヤルのがあり、9時位置にはスモールセコンドが配置されています。宇宙飛行士たちは、この腕時計の3時位置で日付と曜日も確認できます。文字盤の色はブラックで、トリチウムのアラビアインデックスが見られます。
このステンレス時計のケース径は、標準的な38mmです。固定式ベゼルにはタキメータースケールが刻まれており、これを用いて速度と距離を計算することができます。このモデルの特徴のひとつは、クロノグラフを水中でも操作できるように設計された、ねじ込み式プッシュボタンです。このクロノグラフは時としてChrono24にも出品されることがあり、時計の状態によって約14万円~23万円の価格で提供されます。
その後継モデル ― B-42 オフィシャル・コスモノート・クロノグラフ
フォルティスは2003年に、1994年の初代モデルの直接の後継であるRef. 638.10.11を発表しました。新型モデルには、レマニア5100の代わりに、ETA7750ベースのフォルティスUW-50が搭載されました。この腕時計は今日まで国際宇宙ステーションISSにおいて使用されています。ナビゲーションウォッチである「B-42」のケース径は42mmです。この大型なケース径により、クロノグラフがより操作し易く設計されています。また、文字盤のサイズも初期モデルに比べて大型になり、これによってより良い視認性が確保されています。
フォルティスはこの腕時計において、タキメータースケールの代わりに60分目盛り付きのカウントダウンベゼルを搭載しました。このベゼルは、宇宙飛行士たちはが指定された時間を設定し、これを簡単に読み取ることを可能にしています。さらなる改良点は、スーパールミノバが塗布されたクロノグラフ秒針の先端のドットによって、暗い場所でも高い視認性が保たれる点です。このクロノグラフは200m (20気圧) までの防水性を備え、ステンレスブレスレットによって手首に着用されます。
未使用品はChrono24において、約34万円でご購入いただけます。中古品のB-42は、それより格段に安い価格で提供されており、約23万円でご入手いただけます。
オフィシャル・コスモノート・アマディ18
フォルティスはオーストリア宇宙フォーラムオフィシャルとのコラボレーションによって、コスモノート・アマディ18 Ref. 638.18.91をリリースしました。オーストリア宇宙フォーラムの活動課題は、人類による火星への旅課題を実現させることです。このミッションの一環として地球上で行われるシミュレーション実験に参加する宇宙飛行士のために、フォルティスの腕時計が使用されています。2018年に行われたオマーン砂漠における実験で、この腕時計が初めて使用されました。
アマディと標準モデルには、ほとんど相違点がありません。デザイン面での顕著な特徴は、ブラックPVDコーティングされたケースとブラックのナイロンストラップです。また、9時位置に設置されたスモールセコンドが目を引きます。このインダイヤル内に見られる黄色~オレンジ~赤までの色調はによて、火星と地球における日の出と日の入りが表されています。このモデルはまだ市場ではほとんど見かけられません。定価は37万円です。
3針腕時計をご希望の方には、オフィシャル・コスモノート・デイデイトがおすすめです。Ref. 647.10.11の素材は、クロノグラフモデルのそれと同じです。駆動にはETA 2836-2ベースのCal. UW-31が使用されており、センターの時針・分針・秒針のに加え、3時位置には日付が表示されます。このモデルの未使用品は約14万円で、中古品はChrono24にて約9万円にてご購入いただけます。
クラシック・コスモノート ― エレガントなツールウォッチ
クラシック・コスモノートでは、機能性とエレガンスがひとつになっています。この腕時計は3種類のモデルで提供されています。ご入手ごいただけるのは、スチール A.M.モデル、スチール LEモデル、スチール P.M.モデルです。すべてのモデルの共通している点は、直径42mmのステンレスケース、ポリッシュ仕上げのミドルリンク使用ステンレスブレスレット、タキメータースケール付きベゼル、そしてETA 7750ベースのCal. UW-50です。この機構では、時針・分針・クロノグラフ秒針がセンター針として文字盤の中央に取り付けられており、3時位置には日付表示が設置されています。
また3つのモデルのすべてにおいて文字盤上にアラビアインデックスが見られ、クロノグラフ プッシュボタンはねじ込み式で設置されています。防水性は200m (20気圧) です。大きな相違点は文字盤とインダイヤルの色にあり、シルバー (A.M.)、ブラック (P.M.)、ホワイトとブラック (LE) モデルが提供されています。
Ref. 401.21.72は100本に限定されており、ホワイトの文字盤とブラックのインダイヤルのデザインになっています。未使用品はChrono24で約34万円で、中古時計は約27万円でご購入いただけます。本数が限定されていないRef. 401.21.12 (シルバー) とRef. 401.21.11 (ブラック) も、同価格帯でご入手いただけます。定価はレザーストラップ付きで27万円、ステンレスブレスレット付きで30万円です。
ストラトライナー セラミック ― 成層圏のための腕時計
ストラトライナーシリーズには、機能は同一で外見のデザインのみが異なる3つのモデルがあります。すべてのモデルにおける共通点は、直径42mmのステンレスケース、固定式のタキメータースケール付きセラミックベゼル、100m (10気圧) 、までの防水性、サファイアクリスタルケースバックです。また、これらの腕時計を駆動しているのはCal. UW-50です。ブラックのナイロンストラップが、時計を手首に安全に装着します。
外見のデザインにおいては文字盤の色に相違点があり、ホワイト、グレー、ブラックの3種類が提供されています。また、四角いインデックスと針に塗布されたスーパールミノバの色も、それぞれのモデルで異なります。ホワイトとブラックのモデルにはベージュ色の蓄光塗料が使用されており、グレーの文字盤を持つモデルはグレーの塗料になっています。これら3種類のモデルすべてにおいて、クロノグラフ秒針は赤で統一されています。Ref. 401.26.31はブラックの文字盤を備えています。このモデルの未使用品は約34万円です。Ref. 781.26.32 (ホワイト) とRef. 401.26.37 (グレー) のモデルも、約34万円でお買い求めいただけます。
エアロマスター ― 空の巨匠
エアロマスターシリーズには、クロノグラフと3針モデルがラインナップされています。3針モデルの代表は、エアロマスター ステルス デイデイト Ref. 655.18.18です。この腕時計のステンレスケースとナイロンストラップは完全にブラックで統一されています。文字盤の色も黒ですが、インデックスと針にはベージュ色のスーパールミノバが塗布されています。PVDコーティングされたケースの直径は42mmで、防水性は200m (20気圧) です。
この腕時計にはETA2824-2ベースの自動巻きのCal. UW-31が搭載されています。この機構では、3時位置に曜日と日付の表示が設置されています。時針・分針・秒針はセンター針として時計の中央に取り付けられています。パワーリザーブは42時間です。このモデルの未使用品はChrono24にて約12万円で販売されています。フォルティスによる定価は22万円です。
その他のエアロマスター腕時計には、クロノグラフ機能搭載モデルやブルーの文字盤を持つモデルがあります。300本に限定されたエアロマスター スチール アラーム クロノグラフ ”ポール・ガーバー” には、さらにアラーム機能が追加されており、定価87万円で提供されています。Chrono24ではこのモデルはまだほとんど見つかりませんが、頻繁に覗いていただければ今後出品される可能性もございます。これは、機能的には同一で、同じく本数限定のブラックPVD-コーティングされた Ref. 657.18.11モデルにも当てはまります。このモデルは500本に限定されており、定価は92万円です。
マリンマスター― 機能に重点を置くダイバーズウォッチ
フォルティスのマリンマスターシリーズには、水中での使用を目的として設計された3針時計とクロノグラフがラインナップされています。これらの腕時計はステンレスを素材としており、ケース径は42mmです。ベゼルも含めたケース径は46mmで、防水性は200m (20気圧) になります。
Ref. 671.24.14と670.24.14の特徴は、ブラックとイエローの文字盤およびベゼルの際立つ配色です。文字盤上のアラビアインデックス、またダイビングベゼルのグラデーションはイエローで統一されています。同じく、クロノグラフ秒針とクロノグラフカウンター内の針もイエローです。
マリンマスターを駆動しているのはCal. UW-50です。未使用のステンレスモデルは、約34万円でご購入いただけます。デイデイト表示付きの3針腕時計をお探しの方には、Ref. 670.24.14がおすすめです。3針モデルの配色、素材、サイズはクロノグラフとモデルと同じです。このモデルの未使用品は、約19万円でご購入いただけます。また、ブラックとグレーのモデルも提供されています。クロノグラフモデルは約38万円で販売されており、3針モデルは約16万円でご入手いただけます。3針モデルには、ブルーとレッドの配色のモデルも提供されています。
マリンマスター シルバー クロノグラフ アラーム
フォルティスは1997年に、スイスの時計師ポール・ゲルバー共に自社製ムーブメントF-2001を開発しました。このムーブメントの特徴は、アラーム機能が搭載されている点です。この機能を実現しているのは2つ目の香箱と、鐘を打つハンマーのメカニズムです。このアラーム機能は、8時位置のプッシュボタンによって停止できます。この機構が搭載されている腕時計は、マリンマスター シルバー クロノグラフ アラーム Ref. 639.10.41です。
その他のマリンマスターシリーズのモデルと同様、ケースはステンレス製で42mmです。Cal. F-2001の使用以外の相違点は、時計の配色とストラップ素材にあります。フォルティスはこのモデルの文字盤の色にオレンジ色を起用しており、ストラップはラバー素材です。60分目盛りが刻まれたベゼルは、ブラックとシルバーでクラシックに仕上げられています。このモデルは300本に限定されており、時計愛好家やコレクターの間で人気です。定価は6840ユーロ (約79万円) で、市場では未使用・中古品はまだほとんど見られません。
フォルティス ― 1912年から続くスイスの品質
伝統のフォルティス ブランドは、1912年にヴァルター・フォグトによってスイスのグレンヒェンで創業しました。1926年、世界初の自動巻き時計機構を発明したジョン・ハーウッドとの共同開発の末に、フォルティスは自動巻き腕時計ハーウッド オートマティックのシリーズの生産しました。フォルティスは、防水性を備える腕時計の製造においても先駆的なメーカーでした。マリンスポーツ選手にも着用されたフォルティッシモは、1940年に発売されました。
1950年代にリリースされたマリンマスターは、今日まで同社のダイバーズウォッチシリーズで提供されています。どこか聞き覚えのあるモデル名だと思われるかもしれません。これは、フォルティスとセイコーの両社が同時にこのモデル名に対する権利を有しているからです。また、両社がマリンマスター (あるいはマリーンマスター) がを製造していた時期も重なっています。この両社のうちどちらが先にこのモデル名を採用したのかは、現在まで定かではありません。
1960年代の初期に、世界初の宇宙へ飛び立つ腕時計のの競争が始まりました。これを機に、創業者の息子のロルフ・フォグトは、フォルティスが初めて宇宙飛行用に開発した腕時計をNASAに贈呈しました。これは、スペースマティック AR (All Risks) でした。
2003年に、今日まで同社の商品カタログに載っているオフィシャル・コスモノート・クロノグラフ B-42が、1994年以降製造されていたモデルの後継となりました。このモデルは、今日に至るまでロシアの宇宙飛行士の手首に公式に装着されています。2018年9月以降、ジュップ・フィリップが同社のオーナー兼CEOとして活躍しています。