タグ・ホイヤー

タグ・ホイヤー: これほどまでにモータースポーツと結びついた時計ブランドは他にありません。1860年にエドワード・ホイヤーが創業して以来、ストップウォッチやクロノグラフの開発で名を馳せてきたマニュファクチュールです。20世紀初頭からは、自動車や航空機の車載用計器も手がけています。

エドワードの曾孫であるジャックによって、1960年代にホイヤーの時計が世界中のレース場で見られるようになりました。オータビア、カレラ、モナコなどのモデルシリーズは、瞬く間にカルト的な人気を博し、現在でもタグ・ホイヤーにおいて欠かすことのできない商品となっています。しかし、フォーミュラ1やダイビングウォッチ アクアレーサーのような若いコレクションも、ブランドのファンの間で大変な人気を誇っています。

タグ・ホイヤーは、その歴史の中で、常に時計業界の革新者としての地位を確立してきました。ラ・ショー＝ド＝フォンのマニュファクチュールは、現在も変わらずその基準を追求しています。そのため、タグ・ホイヤーの時計技師は、レースや航空宇宙分野の素材を好んで使用します。コネクテッドで、高級時計メーカーとして初めてスマートウォッチ市場に参入したのも同社です。

タグ・ホイヤーの時計の価格は幅広く、モデルや製造年に大きく左右されます。タグ・ホイヤーで最も安く購入できるのは、1980年代後半から90年代前半のフォーミュラ1のようなクォーツ式モデルで、約25000円～4万円の間で見つけることができます。

ダイバーズウォッチ アクアレーサーのクォーツ時計並びに3針モデルも、約5万5000円～8万円というとても安い価格で手に入ります。自動巻きキャリバーを搭載した時計は、約12万5000円で提供されています。コレクションのトップエンドを飾るのは、若い世代のアクアレーサー クロノグラフで、10万円以下の価格で購入できます。

カレラの価格は、キャリバー5を搭載した3針モデルの15万円から始まり、ホイヤー02Tトゥールビヨンキャリバーとダイヤモンドセットベゼルを搭載したクロノグラフモデルは800万円以上を超える価格で売買されます。

オータビアに興味をお持ちの場合、最低でも25万円のご予算をお見積りください。この価格で入手できるのは、2019年にタグ・ホイヤーのラインナップに加わったモダンな3針のバリエーションのひとつです。この時代のヴィンテージ風クロノグラフは、55万円～65万円程度の価格で購入できます。1960年代や70年代の真のヴィンテージ・タイムピースの場合、価格は一気に265万円以上になります。

四角いモナコの3針バージョンは、20万円弱からの価格で購入できます。クロノグラフ機能を搭載したモナコモデルの価格は、約30万円からになります。特にコレクターに人気のあるスペシャルエディションやヴィンテージモデルになるとかなり高額で、120万円～200万円のご予算が必要となります。最高価格のモデルはモナコV4で、プラチナバージョンには約800万円の価格が付けられます。

カレラは、1963年に発表されて以来、タグ・ホイヤーで最も有名で最も売れ筋の良いコレクションの一つとなっています。ジャック・ホイヤーがデザインしたこのモデルシリーズは、1950年代に最も危険なラリーイベントとして有名であった「カレラ・パンアメリカーナ・ラリー」にちなんで名付けられました。

カレラの初代モデルは、可能な限り読みやすいように設計されたクロノグラフでした。文字盤には細いバトン針、アプライドのバーインデックスが見られ、チェック柄の文字盤上に細かく刻まれた分目盛が特徴的です。積算表示部を少し凹ませることにより、文字盤に奥行きが出ています。また、このタイプの時計にはタキメーターベゼルがよく見られますが、この時計には使用されていません。これが、カレラがエレガントな印象を与える理由です。

このヴィンテージ・カレラの代表的なモデルは、例えば、Ref.2447やRef.3647です。前者には3つのインダイヤルが搭載されており、手巻きのバルジュー72キャリバーで駆動されています。このような時計は、モデルや状態にもよりますが、95万円～125万円程で購入できます。カレラ 3647では、キャリバーバルジュー92が、2つのインダイヤルを備えた時計を動かす手巻きムーブメントとして活躍しています。70万円～115万円を目安にお考えください。

現代のカレラ: 最新のキャリバーとスポーティーなデザイン

数十年の間に、コレクションは印象的なモデルに成長し、ヴィンテージ風の時計や、タキメーターベゼルを備えた現代的な時計も数多く提供されています。様々なクロノグラフキャリバーを搭載したモデルや、3針と日付表示を備えた自動巻きモデル、スケルトンの文字盤を備えたモデルなどがあります。

カレラ キャリバー16は、コレクションのモダンな定番モデルです。このシリーズでは、世界で最も使用されているクロノグラフムーブメントと言われているバルジュー7750を採用しています。このカレラには、スポーティーでモダンなものからアリゲーターストラップを使用したエレガントなものまで、さまざまなデザインのバージョンが用意されています。このクロノグラフに興味をお持ちの方は、40万円～50万円前後の金額をご用意ください。

タグ・ホイヤーのカレラ キャリバー5は、シリーズの中で最もお手頃な価格のモデルです。3針の自動巻き時計は、日付表示とデイデイト表示があります。ケースは、ステンレススまたはステンレスとピンクゴールドの組み合わせです。価格は25万円～30万円で、ご希望のバージョンによって異なります。

自社製キャリバー3135搭載カレラの価格

2010年以降、自社製キャリバー使用のタグ・ホイヤー カレラが提供されるようになりました。初めて自社で独自に開発された機構はキャリバー1887で、セイコーの6S78をベースとしています。やや新しいキャリバーホイヤー01も1887とよく似ており、スポーティーでモダンなクロノグラフに使用されています。これら多くのクロノグラフの文字盤はスケルトン仕様で、未来的な趣を持ちます。これに対し、カレラ キャリバー1887はより優雅でクラシックなデザインになります。この両時計は価格的にはほぼ同じで、約35万円～50万円でご購入いただけます。

カレラ キャリバー ホイヤー02には、クロノグラフ機能を備えた最新世代の自社製キャリバーが搭載されています。このムーブメントは、80時間のパワーリザーブを持ち、4時と5時の間に日付を表示します。キャリバー16、1887、01とは異なり、キャリバー02では12時間積算計が9時位置、30分積算計が3時位置、スモールセコンドが6時位置に配置されています。2020年に発表されたスポーツモデルの価格は約55万円、スケルトンダイアルのバージョンは約55万円となっています。GMT機能を追加したバージョンは、65万円と若干高くなります。

キャリバーホイヤー02は、カレラの数多くの特別エディションにも採用されています。例えば、創立160周年を記念したエディションや、2021年に発表された ポルシェ・エディションなどがそれにあたります。ポルシェ・エディションは、スポーツカーメーカーとの緊密な協働制作のもと完成され、そのデザインはポルシェ911カレラのダッシュボードを強く意識したものとなっています。例えば、数字はスポーツカーのスピードメーターを模したもので、ブラックセラミックベゼルの0時と2時の間には、「Porsche」の文字が赤く光ります。ダークグレーの文字盤には、アスファルトをイメージした模様が施されています。カレラポルシェ・スペシャルエディションは、ステンレスブレスレット付きが約65万円、ブラックレザーストラップ付きが約70万円で販売されています。

トゥールビヨン搭載の最高級モデル

このシリーズの最上位モデルには、6時位置のフライングトゥールビヨンが60秒に1回360度回転する自社製キャリバーホイヤー02Tが搭載されています。チタン製のケースとダイヤモンドをセットしたベゼルを備えるモデルの未使用品の価格は約245万円です。これに対し、セラミックバージョンは210万円前後で入手できます。特殊なカーボン複合材を使用したひげゼンマイを搭載したトップモデル「カレラ ホイヤー 02T ナノグラフ」は、Chrono24で約260万円で購入できます。

モナコは、タグ・ホイヤーデザインの定番です。映画『ル・マン』でスティーブ・マックイーンが着用したことで、世界的に有名になったスクエア型のクロノグラフです。この時代のヴィンテージモデルは、それだけで憧れの的。特に、ブルー・ホワイト・レッドの文字盤にクロノマチック・キャリバー11または12を搭載したRef.113Bは、コレクターズアイテムとして注目されています。これらのキャリバーは、史上初の自動巻きクロノグラフムーブメントであり、巻き上げ用のリューズがケースの左側に、クロノグラフ用のプッシュボタンが右側に配置されているのが特徴です。現在の1133Bは、状態が良ければ175万円以上することもあります。グレーの文字盤を備えるRef.1133は、Chrono24で約105万円から販売されています。

同じく青白赤の文字盤を備える現行モデルは、映画で使用されたオリジナルと見間違えられるほどよく似ています。特に新しいキャリバー11を搭載したバージョンでは、オリジナルと同じようにケースの左側にリューズが配置されています。ただし、クロノグラフモジュールを搭載したセリタのSW300やETAの2892をベースにしています。タグ・ホイヤーはこの機構において、1970年代の初期のモナコのモジュラー構造を忠実に再現しています。ブルー・ホワイト・レッドの”マックイーン・ダイヤル”を備えたモデルの価格は、60万円前後です。

また、このムーブメントは、ガルフ・レーシングチームのチームカラーを採用したモナコ ガルフや、2021年に発表されるシルバーダイアルのモナコ チタンなど、数多くのモナコ限定モデルにも搭載されています。現代のキャリバー11は、タグ・ホイヤーがこの時計の50周年を記念して発表した169本限定の5つのスペシャルエディションにも搭載されています。モデルによって、価格は65万円～160万円になります。

ケースの右側にリューズがある腕時計がお好みなら、モナコ キャリバー12が最も手頃な選択肢となるでしょう。このムーブメントもセリタのSW300やETAの2892をベースにしていますが、リューズとプッシャーの配置は伝統的なものです。文字盤の色は、ブルーまたはブラックからお選びいただけます。価格は平均で55万円程度になります。

2020年以降、タグ・ホイヤーはモナコ キャリバー12の代わりに、自社製キャリバーホイヤー02を搭載したモデルを順次発表しています。Chrono24では、ブルーまたはブラックのダイアルを備えたスタンダードなバリエーションを、約60万円～65万円で購入することができます。赤と白のダイヤルを備えたモナコグランプリ・ド・モナコや、ダークグリーンのサンバーストダイヤルを備えた2021年発表のモナコ グリーンなどの特別モデルの価格は、約105万円～115万円です。

際立つ時計：モナコV4とバンフォード・エディション

モナコ コレクション内でも最も注目を浴びるモデルは、500本に限定されたバンフォード リミテッドエディションです。タグ・ホイヤーはこのカーボン時計を、バンフォード ウォッチ部門と共同開発しました。そのブラックの文字盤上には、ライトブルーのミニッツトラックと、同じくライトブルーのカウンターが見られます。ケース内で時を刻むのは、標準モデルと同じキャリバー11です。この特別エディションモデルの未使用品は、約145万円にてご購入いただけます。

タグ・ホイヤーは、モナコV4にて、まったく異なるアプローチをとりました。この時計には、主ゼンマイのエネルギーを歯付きベルトを介してムーブメントの他の構成要素に伝達する、まったく新しいキャリバーが採用されています。また、伝統的な巻き上げ式のローターも見られません。その代わりに、時計内部で上下に動く直線的な振動錘を使用しています。また、レーシングカーのエンジンブロックを彷彿とさせる、4つの香箱を備えたV字型のプレートも、この近未来的なモナコの特徴です。このハイテクウォッチのプラチナモデルの価格は795万円前後です。それに比べ、チタンケースのモデルは約360万円とかなり安価です。

オータビアは、タグ・ホイヤーの伝説的なクロノグラフの第3作目です。その名前は、「automobile (自動車)」と「aviation (航空)」を組み合わせたものです。1962年に腕時計としても発売されたオータビアは、モータースポーツや航空用の計器として開発されました。60年代のRef.2446のようなヴィンテージのオータビアは、今日では非常に人気があり、良好な状態であれば最低でも200万円の価格が付けられます。2446 GMTのような希少性の高いモデルは、通常、かなり高額になります。

1970年代、1980年代のヴィンテージ・オータビアの価格は、それより安くなります。この時期の時計では、ホイヤーは主にクロノマチック・キャリバー11、12、15を使用しており、左側にあるリューズで簡単に見分けることができます。また、ケースはクッション型で、1960年代の手巻き時計とは明確に区別されています。保存状態の良い商品は、Chrono24で約55万円～70万円で取引されています。

2017年、タグ・ホイヤーは、1960年代初期のクロノグラフを彷彿とさせるデザインの、自社製キャリバーホイヤー02を搭載したオータビアの新モデルを発表しました。このレトロな時計の特徴は、12時間目盛付きの両方向回転ベゼルと、42mmのケースです。自動巻きキャリバーホイヤー02は、80時間のパワーリザーブを持ち、ストップセコンド機能とクイックデイト調整機能を備えています。価格的には、ブラックの文字盤とホワイトの積算計を備えたモデルで約50万円になります。ホワイトダイアルとブラックインダイアルを備えパンダバージョンは、60万円前後とやや高価格です。

3針のオータビア リニューアルモデル

2019年、タグ・ホイヤーはオータビアのデザインを一新しました。それ以来、このコレクションは、ETA2824をベースにしたキャリバー5を搭載した3針時計のみで構成されています。タグ・ホイヤーはこのムーブメントに、特殊な耐磁性複合素材を使用した自社開発のイソグラフテンプを搭載しています。また、新型オータビアのキャリバーは、COSCによるクロノメーター認定を受けています。

タグ・ホイヤーは、この時計のデザインにおいて、歴史的なモデルからいくつかのヒントを得ました。例えば、視認性に優れた夜光性のアラビアインデックスは、1930年代のオータビアの計器をベースにしています。一方、ベゼルは、ジャック・ホイヤーが1960年代にデザインした初期の時計からインスピレーションを得ています。さらに、リューズは1940年代のパイロット・ウォッチをほぼそのまま採用しています。

ステンレスケースのオータビアの価格は、約30万円です。ブロンズモデルは、それより15万円程高くなります。

タグ・ホイヤーの時計は、アクアレーサーのように、レースサーキット以外の場所でもその価値を発揮します。このモデルシリーズは、その名の通り、ウォータースポーツやダイビングを楽しむ人のための腕時計です。

アクアレーサーは、ダイバーズウォッチとしての重要な機能をすべて備えています。60分スケールの逆回転防止ベゼル、夜光性の針とインデックス、300m (30気圧) の防水性などがあります。印象的なのは12角形のベゼルで、素材はセラミック、アルミニウム、ステンレスから選択できます。また、旧モデルには6つのライダータブが付いています。

定番の3針モデル、GMT機能を備えたモデル、ストップウォッチ機能を備えたモデルが用意されています。クロノグラフでは、定評のあるバルジュー7750または高精度のクォーツ・ムーブメントが時を刻みます。ステンレスのリンクブレスレットを備えたクォーツ・クロノグラフの価格は、約20万円です。自動巻きキャリバーとステンレスブレスレットを備えたアクアレーサー・クロノグラフは、未使用約40万円で購入できます。

3針と日付表示を備えたアクアレーサーには、自動巻きとクォーツの2種類のムーブメントがありますクォーツモデルは、機械式の姉妹機に比べて数万円安くなります。直径43mm、セラミックまたはアルミニウムベゼルを備えた自動巻きのアクアレーサーは、未使用約30万円で購入できます。ステンレスベゼルのモデルは、約25万円で購入できます。

タグ・ホイヤー コネクテッドは、スイスの高級時計メーカーが手がける初のスマートウォッチです。この腕時計のケースデザインは、カレラに強い影響を受けています。また、カレラに搭載されている様々なバーチャル・ウォッチフェイスを採用しました。コネクテッドの心臓部には、OSとしてAndroid Wearを搭載したIntelプロセッサが搭載されています。これはAndroidとiOSのスマートフォンで動作し、何千ものアプリをインストールすることができます。例えば、ナビゲーション、多数の国におけるGoogle Payでの支払い、音楽の聴取、翻訳、アクティビティの追跡などが可能です。

タグ・ホイヤー コネクテッドのケースは直径41mmもしくは45mmで、主に軽量のチタンを素材としています。しかし、モデルによってはベゼルとラグにセラミックやピンクゴールドのコーティングが施されたものもあります。ベゼルにダイヤモンド装飾が施されたモデルは特に高級感にあふれており、これらは女性向けの腕時計とされています。ブレスレットの素材としては、レザー、セラミック、ラバー、チタンが提供されています。

Chrono24では初代のコネクテッドが15万円～25万円程で販売されています。2020年に発表されたタグ・ホイヤーのスマートウォッチの第2世代は、バージョンによって約20万円～30万円となっています。

タグ・ホイヤーの歴史は1860年に、20歳のエドワード・ホイヤーがスイスのサン＝ティミエに小さな時計会社を創業したことから始まりました。彼はたったの4年間で会社の経営を大きく発展させ、時計作りの町、ビールにおいて大きな建物を借りてそこに移転するほどになりました。1882年にホイヤーは、彼が生み出した初のストップウォッチに対する特許を取得しました。その5年後、彼はクロノグラフ製造における大革命となった振動ピニオン機構を開発しました。このメカニズムにおいては、2つの小歯車を持つ可動シャフトが秒クロノグラフ車と連結しています。

1902年に、息子のチャールズとジュール・ホイヤーが家族経営の会社の跡継ぎとなりました。彼らの指揮の下で、同社は特殊時計の製造のみに力が注がれました。1911年には、その1つである航空機用の時計、タイム・オブ・トリップが発表されました。直径11cmのこの計器時計は、車や飛行機のダッシュボードに設置するのに最適です。大きなセンター針は時刻の表示に使用され、12時位置に見られる小さめのダイヤル内の2本の針によって、12時間までのタイムが表示されるようになっています。

1916年にさらなるマイルストーンが築かれました。ホイヤーは1/100秒の正確さでタイムを計測するストップウォッチ、マイクログラフを発表したのです。繊細な秒針が時計を1周するのにはたったの3秒しかかかりません。時計に内蔵されたテンプの振動数は大変高く、毎時36万回、つまり50Hzです。ホイヤーが「長短時間計測器」と呼んだこのタイムピースは、大砲の発射からの飛行時間の計測に使用されました。

1930年代にはタイム・オブ・トリップの後を継ぐ時計が発表されました。それが オータビアです。車や飛行機のために作られたこの時計にはセンター針が設置されており、60分と12時間カウンターの2つのインダイヤルが配置されています。このストップウォッチは、金のダッシュボード「Hervue」に取り付けられた状態でよく見られました。この計器において時刻の表示を実現していたのは、レビュートーメン社の8日間ムーブメントです。現在では多くの時計ファンたちがオータビアと聞いて思い浮かべるのが、1962年に初めて発表されたクロノグラフ腕時計です。

1964年1月に、家族経営会社であったEd. Heuer & Co. SAとLeonidas Watch Factory Ltd.が合併しました。合併後も同社の経営は、合併後もホイヤー家によって続けられました。クォーツ危機に伴い、機械式時計の生産はほぼ完全に停止され、クロノスプリットなどのクォーツ式時計がそのプログラムに採り入れられるようになりました。

1982年、当時社長を務めていたジャック・ホイヤーが同社の一部を売りに出し、1982年～1985年に時計メーカー ピアジェを所有していた人物がそれに目を付けました。1985年にテクニーク・ダバンギャルド (Techniques d'Avant Garde - TAG) が同社を買収しました。そしてその直後、会社名がTAG Heuer S.A (タグ・ホイヤーSA)に変更され、1996年に株式公開しました。1999年以降、ゼニスやウブロなども属するフランスのファッション業界大手企業体 LVMH (Moët Hennessy Louis Vuitton SA) が同社を所有しています。

タグ・ホイヤーは、昔からスポーツと深い関わりを持つメーカーです。1882年の初のクロノグラフ開発から旅行用タイム計測時計、また最新のモダンなクロノグラフに至るまで、このスイスメーカーはストップウォッチ機能を搭載する時計作り分野のエキスパートです。

1971年に公開された映画『ル・マン』で、スティーブ・マックイーンが腕に四角いホイヤー・モナコをつけていたのも、このことを知っていたからです。ダークブルーの文字盤を持つこの時計は、その画面表示によってカルト的な人気を得ました。2020年末、映画の中でマックイーンが身につけていた時計は、オークションハウスのフィリップス社によって競売にかけられ、約24億という記録的な金額で落札されました。これにより、歴代のタグ・ホイヤーの中で最も高価なモデルとなりました。

しかし、彼らを身につけるセレブはマックイーンだけではありません。アイルトン・セナやブルース・マクラーレンといった伝説のレーシングドライバーたちも、カレラの正確さに信頼を置いていました。バラク・オバマ元米国大統領も、上院議員時代にタグ・ホイヤーのスポーツウォッチを愛用していました。彼が所有する1500シリーズの時計は、現行のアクアレーサーシリーズのモデルとよく似ています。